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ティア Research Memo(4):葬祭事業はコスト増で収益性が低下するもEBITDAベースで増益が続く

配信元:フィスコ
投稿:2025/12/15 13:04
*13:04JST ティア Research Memo(4):葬祭事業はコスト増で収益性が低下するもEBITDAベースで増益が続く ■ティア<2485>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) 葬祭事業
葬祭事業の売上高は前期比12.0%増の19,865百万円、営業利益は同0.1%減の3,291百万円となった。売上高は既述のとおり、葬儀件数が新規出店効果やグループ2社の通年寄与もあって同8.0%増の19,773件となり、葬儀単価も同3.3%増と上昇したことが増収要因となった。利益面では、増収効果があったものの原価率の上昇やのれん償却額が100百万円増加したことが足かせ要因となった。本来の収益力を示すEBITDAでは、同6.0%増の4,660百万円と増益基調を維持した。

ティア直営店の葬儀件数は既存店が前期並みにとどまったものの、新店効果により前期比3.0%増の15,889件となり、葬儀単価は同0.6%上昇の852千円となった。葬儀売上高は約4%の増収となった。地域別葬儀件数の前年同期比伸び率を見ると、名古屋市内が4.9%増、愛知県(名古屋市除く)が2.0%増、大阪府が横ばいとなり、首都圏が2.8%減と唯一落ち込んだ。ただ、首都圏については上期が6.9%減となったため、下期だけで見ると増加に転じている。首都圏の減少は2024年9月期末に都内のサロン7店舗を閉鎖したことが主因と見られるが、埼玉県や千葉県の店舗でも件数は伸び悩んだようだ。

八光殿及び関連ブランドの葬儀件数は前期比33.3%増の2,285件、葬儀単価は同5.2%上昇の1,058千円となった。前第2四半期から連結に組み込んだため、同期間(第2〜4四半期)の葬儀件数増減率で見ると0.3%増とほぼ横ばい水準にとどまった。第3四半期までは堅調に推移していたが、第4四半期が前年の水準が高かった反動で6.4%減となったことが響いた。なお、葬儀単価については下期以降、専門の葬祭プランナーを配置し顧客ニーズに応じて最適な葬儀プランの提案に取り組んだことが上昇の一因となった。葬祭プランナーが提案することで、顧客満足度の向上と葬儀単価を同時に引き上げる効果がある。

東海典礼及び関連ブランドの葬儀件数は前期比36.0%増の1,599件、葬儀単価は同16.9%上昇の1,122千円となった。八光殿と同様に、第2〜4四半期の葬儀件数増減率で見ると4.4%増と増加したが、第4四半期だけで見ると13.5%減と急ブレーキがかかった格好となっている。ただ、東海典礼ではブランド力の低かった豊橋市エリアの店舗を「ティア」ブランドに切り替え、同社のマーケティング施策に上手く乗れたようで、豊橋市エリアでのシェア拡大につながった。葬儀単価が大きく上昇したが、期初から葬祭プランナーによる提案営業を取り入れたことが主因だ。

(2) FC事業
FC事業の売上高は前期比横ばいの560百万円、営業利益は前期比20.5%増の94百万円となった。前期に開設したFC店舗向け物品販売の反動減があったものの、FC店舗が前期末比4店舗増加の74店舗と拡大し、ロイヤリティ売上が増加したことでカバーした。利益面では、売上構成比の変化による原価率低減が増益要因となった。なお、FC店舗の葬儀件数は同7.5%増の6,697件と順調に増加した。

(3) その他
その他の事業は、不動産事業と八光殿によるリユース事業等で構成され、売上高は前期比2.1倍増の1,136百万円、営業利益は同8.5倍増の128百万円となった。遺族からの不動産の相続や売却に関する相談ニーズに対応するため、2024年2月より同社が開始した不動産事業で、物件の買取・販売を開始したことが主な増収増益要因となった。これまで同社は不動産事業者を紹介するに留まっていたが、遺産相続において不動産の売却を検討する遺族は多く、自社で不動産売買の許認可を取得し、ワンストップでのサービス提供が可能となった。不動産売却で約5億円の売上を計上したと見られる。

一方、八光殿が展開するリユース事業は、中古品の買取専門店「リサイクルマート」を2店舗運営するほか、2024年7月に買取専門店「かんてい局 じゃんぼスクエア香芝店」を開業した。同店舗で買い取った商品は、ECサイトを通じて一般向けに販売するほか、専門事業者へも販売している。今後は葬祭事業との連携を強化し、買取金額の1割程度を占める遺産整理・買取サービスを強化していくものと思われる。


収益拡大により財務体質はやや改善

3. 財務状況と経営指標
2025年9月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比542百万円増加の27,868百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が248百万円増加し、固定資産ではのれん及び顧客関連資産が357百万円減少した一方で、新規出店等により有形固定資産が570百万円増加した。

負債合計は前期末比125百万円増加の19,265百万円となった。未払法人税等が94百万円減少した一方で、有利子負債が117百万円、賞与引当金が64百万円増加した。純資産合計は同417百万円増加の8,603百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益891百万円の計上と剰余金の配当450百万円による。

経営指標を見ると、自己資本比率が前期末比0.9ポイント上昇の30.9%、有利子負債比率が同6.1ポイント低下の139.4%となり、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)も131百万円改善するなど、収益の拡大によって財務体質もやや改善した。同社は前期に実施したM&Aの資金を金融機関からの借入金で賄ったため、一時的に財務体質は悪化したが、今後はグループシナジー創出による収益拡大とともに財務体質も徐々に良化していくものと弊社では見ている。

収益性指標を見ると、売上高営業利益率は7.6%と前期比横ばいとなったが、ROEが前期末比1.2ポイント上昇の10.6%となった。ROEを分解すると、総資産回転率が0.88倍から0.78倍とやや低下したものの、財務レバレッジが2.66倍から3.29倍に上昇したほか、売上高当期純利益率も4.0%から4.1%と若干上昇し、ROEの上昇につながった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ

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