Aoba-BBTのニュース
【QAあり】Aoba-BBT、15期連続増収で過去最高を更新、営業利益は2桁増 教育AIやBtoB・デジタル領域への投資を強化
会社概要
柴田巌氏:みなさま、こんにちは。本日は、株式会社Aoba-BBTの2024年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の柴田巌です。5月17日に発表した2024年3月期決算の総括について、資料に沿ってご説明したいと思います。
会社概要です。すでにご承知の方が多いかと思いますが、当社は、昨年6月までは「株式会社ビジネス・ブレークスルー」という社名でしたが、その後、Aoba-BBTに変更し、東証スタンダード市場へ移行しています。
当社は教育事業会社であり、従業員は702名です。保育園から小学校・中学校・高等学校までのインターナショナルスクール、100パーセントオンラインで提供するビジネス・ブレークスルー大学・大学院、またBOND-BBT MBAはオーストラリアのBOND大学と提携しており、こちらも100パーセントオンラインでMBAを取得する共同プログラムを運営しています。
法人ならびにクライアント企業に対しては、企業研修というかたちで人材育成・教育のサービスを提供しています。
Mission & Vision
ミッションとビジョンです。世界で活躍するリーダーを育成していくことが私どものミッションであり、その実行を通じて「一生涯学び続ける学び舎になっていきたい」と考え、「Life-Time Empowerment(LTE)」をビジョンとしています。
会社のロゴは、地球の周りに無限の輪が回っており、「知のネットワークは、人間の能力を∞に伸ばす」という我々の考え方・理念を象徴しています。
沿革
沿革です。当社は、1998年に大前研一が創業しました。日本の将来やアジア、さらには世界の将来を背負って立つようなグローバルに活躍する人材を輩出していきたい、特に経営、ビジネス、起業家といった切り口で、新しい未来をどんどん開拓していく人材を輩出していきたいという思いから、この会社が誕生しました。
創業以降、スライドのグラフに示すとおり、2005年にはBOND大学との「共同MBAプログラム」を開講し、時期を同じくしてBBT大学院を開学しました。こちらは、文部科学省認可の100パーセントオンラインで経営学修士を獲得できる、日本初の株式会社立の大学院です。
2010年にはBBT大学として、100パーセントオンラインで経営学士が取得できる大学を開学しました。
その後、2013年にアオバジャパン・インターナショナルスクール(AJIS)の株式を取得するかたちで経営に参画し、以降の約10年間でアオバジャパン・バイリンガルプリスクール(AJB)、サマーヒルインターナショナルスクール、ムサシインターナショナルスクール・トウキョウ(MIST)などを買収し、インターナショナルスクール事業としても、日本で最大規模となりました。
2019年には、経営とITを両立できる人材を養成するため、ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック社を買収して経営に参画し、IT領域における教育も提供しています。2021年には同業のブレンディングジャパン社を吸収合併し、「ITプレナーズ」として運営しています。
また、先ほどご案内したとおり、昨年10月に社名を変更し、現在に至っています。
生徒数は、創業年の約300人から現在では2万人を超え、年齢層は、1歳から60代の経営層まで、幅広く学ぶことができる学び舎に成長を遂げてきました。
ミッション「世界で活躍するリーダーの育成」を実現する体系
教育のカリキュラムです。スライドには概念図を示しています。ミッションである「世界で活躍するリーダーの育成」を実現し、地球人、グローバルシチズンとして、よい社会を醸成する人材を輩出することを我々は教育の根底に考えています。
子どもから経営者まで、AIに代替されない本質的な力を身につけた「世界で活躍するリーダーの育成」ということで、人は幼児・学生(小中高)・一般社員・中間管理職・経営層という時系列で成長し、社会人となり仕事をしていく中で、より責任が重く幅広い役職に就きます。
その流れに沿って、インターナショナルスクール・保育園・小学校・中学校・高等学校・大学・大学院、大学院の修了後の経営者の学び舎をご提供しています。
学ぶ内容としては、中央に示したとおり、基本的には国際的な視野や英語力、論理的に考え、情報やファクトを探究し、自分なりに意味合いを見出していくという素養を身につけます。
その上で、問題解決能力、IT・統計・ファイナンス・マーケティングといったハードスキル、人とのコラボレーションや仕事でチームを牽引していくリーダーシップやコミュニケーション能力などのソフトスキルに加えて、今後のAI時代に備えて、AIが実行することのできない能力を身につける構想力、「0から1」を生み出す能力などを、初期の段階からカリキュラムに取り揃えて提供しています。
AI時代を生き抜くために必要な能力として、AIでは代替できない能力や、AIを平均以上に使いこなしていくための能力を教育体系に取り込み、今後も進めていきます。
事業領域
事業領域です。当社はIR上、リカレント教育セグメントとプラットフォームサービスセグメントの2つのセグメントで業績の発表を行っています。事業としては、リカレント教育セグメントに4つ、プラットフォームサービスセグメントに1つと、5つの主たる事業があります。
まず、リカレント教育セグメントです。University事業では、100パーセントオンラインで学位を授与することが共通項となっています。
社会人の方が働きながら世界のどこにいてもいつでも学べるように、オンラインを活用したオンデマンド型で提供しており、正式な学位を獲得することができます。具体的には、BBT大学経営学部、BBT大学大学院経営学研究科があり、ともに日本の経営学士・経営学修士を取得できます。
また、オーストラリアのゴールドコーストに拠点があるBOND大学と共同し、BOND大学のMBAが取得できる100パーセントオンラインの共同MBAプログラムも運営しています。
法人人材育成事業は、企業で働いている方の人材力を高めていくために、研修や教育を提供しています。集合型やオンライン型の研修、これらをミックスしたブレンド型の研修も行っています。
また、一定の役職者すべてが受けるような階層別の研修から、特定の条件で選ばれた方が学ぶ選抜型の研修まで、幅広くご提供しています。
ITマネジメント事業は、子会社のITプレナーズジャパン・アジアパシフィック社が、テクノロジーやインフォメーションシステムを経営に活用するための教育プログラムを提供しています。
代表として「ITIL」という認定資格があります。日本クイント社とITプレナーズジャパン・アジアパシフィック社を合わせて、日本市場における約4割のシェアを持っています。
英語教育事業は、英語でのコミュニケーション能力の獲得を目的としています。主にビジネスで実践できるコミュニケーションを習得するため、フィリピンの英語ネイティブのインストラクターと、インターネット経由、マンツーマンで英語のコミュニケーションを学習するスタイルです。
プラットフォームサービスセグメントのインターナショナルスクール事業についてです。スライド左下に記載のロゴで、緑色の「A」のほうがアオバジャパン・インターナショナルスクールです。幼稚園から小・中・高の一貫校で、国際バカロレア(IB)の認定校です。
赤色の「A」のほうが、アオバジャパン・バイリンガルプリスクールです。こちらは保育園に特化しており、日本語と英語のバイリンガルで国際バカロレアの認定を受けたカリキュラムを運営している幼児教育学校です。
太陽が山から昇ってきているようなロゴは、サマーヒル・インターナショナルスクールです。こちらは国際バカロレアの認定を受けた幼児教育を提供する学校です。100パーセント英語で、1歳から5歳が対象です。
MISTは、ムサシインターナショナルスクール・トウキョウです。MISTは国際バカロレアのカリキュラムではなく、ケンブリッジ大学が開発した「ケンブリッジ国際」というカリキュラムに準拠した、幼稚園から高等学校までの一貫教育を提供している学校です。
これらを合わせて、現在1,600人強の在校生が学んでいます。インターナショナルスクールグループとしては、日本で最大規模の学校です。同時に、国際バカロレア認定校としても日本で最大規模の学校となっています。
市場環境:両セグメントとも成長市場
プラットフォームサービス・リカレント教育の両セグメントともに、市場全体としては、今後も堅調な拡大が想定されます。
スライド左側のデータは、インターナショナルスクール市場の状況を示しています。2014年から2024年の10年間、世界及び日本国内におけるスクール数・生徒数が拡大しています。
右側は、eラーニング、リカレントなどの市場規模を示しています。政府をはじめ文部科学省・経済産業省・厚労省・金融庁が、労働生産性の向上に加え、1人当たりのGDP及び収入を高めることで日本のGDPを発展させる政策を掲げています。
そのためには、会社としては人材への投資、個人としては学び直しが必要です。総合的にリカレント教育やリスキリング教育が必要になる時代だと叫ばれており、すでにその緒に就き、今後も進行すると考えています。
チャートは顕在化しているデータを示していますが、今後は集合型の研修からeラーニングへとシフトし、市場のサイズ自体は、数千億円の単位で拡大すると見込んでいます。
2024年3月期 業績ハイライト
業績のハイライトです。2024年3月期は、これまでよりも進歩した部分と投資家のみなさまにしっかりとご説明すべき計画未達部分の両方があります。
売上高は、15期連続の増収で過去最高を更新しました。営業利益は、テクノロジーやDXなどの先行投資を進めつつ、前年比16.4パーセントの増益となりました。過去5年間で2番目の高水準となっています。
2024年3月期の通期実績として、売上高は74億7,400万円、営業利益は3億8,300万円、経常利益は3億8,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億4,200万円となりました。前年比で、売上高は3パーセントの増収、営業利益は16.4パーセントの増益、経常利益は19パーセントの増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比マイナス66.5パーセントとなりました。前年は、有形固定資産の売却などによるキャピタルゲインがあったため、その反動による減少となります。こちらは予想していた内容であり、特に問題視していません。
一方で、計画値として期初に、売上高80億8,100万円、営業利益6億5,000万円、経常利益6億6,300万円、親会社株主に帰属する当期純利益4億5,200万円と発表していました。
計画値に対して、売上高はマイナス7.5パーセント、営業利益はマイナス41.1パーセント、経常利益はマイナス41.5パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナス46.4パーセントとなりました。特に利益水準が4割強足りなかったということで、非常に大きな責任を感じています。誠に申し訳ございません。
以上が業績の概要です。増収増益は実現したものの、計画値に対して、特に利益が大幅に足りず、全体感として反省材料や課題のほうが圧倒的に多い結果となったと認識しています。
計画対比との差異の理由
計画値との差異の理由についてご説明します。売上高でマイナス7.5パーセント、営業利益でマイナス41.1パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益でマイナス46.4パーセント下振れした要因として、特にUniversity事業・英語事業・ITマネジメント事業でのビハインドがボリュームとして大きかったと考えています。
個別にご説明していきます。University事業は、外部環境の想定以上の変化として、コロナ禍後のオンラインからリアル(教室型)の学習への回帰、ならびに学位の取得需要の減少がありました。
2020年からのコロナ禍においては、リモートやソーシャルディスタンス、そもそも通学できないということで、当然ながらオンライン型の学習が伸びましたが、2023年5月に新型コロナウイルスが第5類に分類されました。それ以降はコロナ禍の反動が出たと捉えています。
さらに、Z世代を中心に、経営管理の学士(Bachelor of Business Administration)という学位の価値が減少傾向にあると見ています。一方で、短期間で集中的に1つのスキルを習得できる短期集中型講座の需要がシャープに伸びました。
当社では、デジタル系、AI系、ファイナンスの実践的な学び、デジタルマーケティングなどの短期集中講座を年間3講座から4講座ほど集中投下したところ、いずれもかなり反応が高く、大きく伸びました。しかし、本科生の減少を埋めるには至らず、その結果、売上高は前年比でマイナス5パーセントとなりました。
英語事業は、法人向けニーズが堅調に推移しました。2022年度以前と比べても伸びたと捉えています。しかしながら、個人向けニーズは鈍化しました。その結果、売上高は前年比プラス5パーセント程度の伸びにとどまっています。
ご存じのとおり、英会話マーケットは価格競争が激しくプレイヤーも多いです。特に初心者及び中級者の学習セグメントはブルーオーシャンではありません。我々はそちらに対して有効な差別化を図っており、ハイエンドのお客さまを獲得することが求められていましたが、BtoCのビジネスが計画どおりに進みませんでした。それにより増収増益に至らず、大きな反省材料となっています。
ITマネジメント事業では、「ITIL」を取得するための学習需要が堅調に推移しました。現在のバージョンは4.0で、DXなどの考え方を反映した認定研修へと世界的に移行している最中です。
一方で、注力しようとしているアジャイルやDevOps等の施策は、計画ほど伸びませんでした。アジャイルとは、スピード感を持って情報システムやアプリケーションを開発・導入し、俊敏にITを経営に取り込んでいく手法です。DevOpsとは、システム開発や業務運用のチームを組み合わせていく手法です。これらはマーケティング不足で伸長せず、結果として、前年比10パーセントの増収にとどまりました。
セグメント別実績(売上高/営業利益)
セグメント別の売上高と営業利益です。リカレント教育セグメントの売上高は、36億3,200万円となりました。スライドをご覧のとおり、法人人材育成事業の堅調な成長によって前年同期比で3パーセント伸びたものの、計画していたほどの伸びには至りませんでした。
プラットフォームサービスセグメントの売上高は、38億2,700万円となりました。拠点の新設と既存拠点の生徒増によって、前年同期比4パーセントの増収となりましたが、計画していたほどは伸びていません。
セグメント別の営業損益についてです。リカレント教育セグメントは、2022年度のマイナス800万円から、2023年度はプラス1億3,400万円の増益となりました。先行投資を行ってきたデジタル化などの推進がコスト効率化に寄与し、黒字転換しています。こちらは今後も収益性が増す想定ですが、いずれにしても計画した利益水準には達しませんでした。
プラットフォームサービスセグメントの営業利益は、2022年度の3億円から2023年度は2億5,200万円と、減益となりました。いくつかの拠点でスクールイヤーを変更した結果、会計上の差異が生じ、2022年度は売上高をテクニカルに多く計上することになりました。2023年度は、その逆の状況となり、期ずれが起きたため利益水準が若干目減りしています。その結果、前年同期比16パーセントの減益という結果になりました。
いずれにせよ、2023年度の期初に開示した計画値に対し、特に利益面で4割以上の大幅な未達となりました。株主ならびに投資家のみなさまには、ご説明とともにあらためてお詫びを申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
セグメント別概況・トピックス 【リカレント教育】 ~法人人材育成事業~
セグメント別のトピックスです。リカレント教育セグメントは、法人人材育成事業で行っている法人研修の需要が通期で堅調に拡大し、ビジネスの実績としても拡張できました。
法人営業取引における売上高は通期で約15億円となり、前期比で16パーセント増加しました。特に、年間1,000万円以上の取引をしている「VIP企業」数も、スライド中央のグラフに記載のとおり30社弱から35社へと伸びています。
また、新たにアカウントを発行した新規受注の企業数も、金額ベースで大幅に増加しました。右側のグラフのとおり、1億3,000万円強から1億6,000万円弱へと伸び、通期で約130社の新たなアカウントを獲得することができています。
左側のグラフからも、2021年と2022年のコロナ禍を除くと、2023年度は比較的堅調に積み上がってきていることがわかります。
セグメント別概況・トピックス 【リカレント教育】 ~法人人材育成事業~
法人人材育成事業のもう1つの特徴は、経営者になるための人材、いわゆる「次世代経営人材」の育成、企業によっては「サクセションプラン」と表現される案件が顕著に増加していることです。
スライドの図をご覧ください。これまでは左側の「以前」にあるとおり、リーダーシップを学習し、別の学習者は問題解決、構想力、英語力などのプロダクトを個別に学ぶスタイルが多く採用されていました。
右側の「現在~今後」では、それらを1つのカリキュラムとして統合的に学び、次のCxOになる方を選抜した上で集中的に投資するかたちとなっており、人材育成のスタイルに変化が見られています。
我々もこの変化に合わせ、スライド下段の「2.新プログラム」に記載の「構想力・イノベーション講座」および「BBTエッセンシャルズ」といった新しいプログラムを投下します。
セグメント別概況・トピックス 【リカレント教育】~University事業
University事業です。先ほどお伝えしたとおり、本科受講生の入学者数は思ったように伸ばすことができませんでした。全体の売上高は9億4,000万円、前期比で5パーセントの減収となりました。
ただし、その中でも短期集中型講座が好調に推移しました。日本には現在、約800校の大学がありますが、少子高齢化により、私立大学の半分以上が定員割れとなったという統計も出てきています。
したがって、今後は「大学」というモデルのあり方についても、キャンパスがあって固定費を大きく抱え、フルタイムで働く先生方が授業を教えるというスタイルから、世界中からクラウドソーシングし、アカウンティングやファイナンス、戦略などの世界中で最も有益かつ最前線の学びができる組み合わせに変わってくるのではないかと思っています。
それを示す1つの現象として、我々が提供しているのはAIやDX関係のスキルですが、これらを学ぶ短期集中講座が好調に推移しました。スライド中段に「実践型 生成AI活用キャンプ」「ファイナンスドリヴンキャンプ」という具体的な講座名を示しています。こちらは年に数回開講しており、集客は順調に進んでいます。
一方で、BOND大学との共同MBAプログラムについては、イギリスのタイムズ紙が発行する「Times Higher Education」に掲載されている世界の大学ランキングのうち、BOND大学が「The World's best small universities 2023」の世界8位に選ばれました。これによってBOND大学への興味・関心が高まり、出願数も堅調に推移しています。
今後に関しては、BBT大学ならびに大学院本科生の獲得にも注力しつつ、市場もしくは需要の変化に合わせて短期集中型のニーズに応えていきます。特に、経営学士などの若い年齢のセグメントは学び方のニーズも変わってきており、大学というビジネスモデルも生まれ変わる必要があると捉えています。
この1年間も、新しいビジネスモデルへのトランスフォーメーションを進めていきたいと思っています。
セグメント別概況・トピックス 【リカレント教育】 ~英語教育系事業~
英語教育事業です。この1年間は、フィリピンと日本における為替リスクが創業以来最も高まった年でした。ご高承のとおり、日本円が大きく円安に振れたため、フィリピンのドル建てコストを日本円に換算した際に収益を大きく圧迫しました。
このようなコスト構造上の事情はありますが、いずれにしても通期売上高は前期比5パーセント増ということで、125パーセント前後の増収の見込みからは大きく下振れて着地しています。
一方で、法人ソリューション事業でもご紹介したとおり、次期経営人材育成(サクセションプラン)などの需要が堅調で、法人売上高は前年同期比約2割増となりました。
トピックスとしては、学校教育との連携が進んでいます。公文教育研究会とは「TOEFL Junior」や「TOEFL Primary」に関する協業、教科書出版の大手企業とはより実践的な英語系の学びに関する協業を開始しました。
また、文部科学省からは、語学学習における生成AI活用ガイドラインが指針として出ていますので、このような分野は今後もチャンスがあるのではないかと捉えています。
AI学習アプリについては、初級者を中心に、AIを活用した学習メソッドを積極的に提供しています。「インストラクターが、学生もしくは学習者に対して提供して学ぶ」というスタイルから「AIとともに学んでいく」というスタイルに変えていく必要があると捉えています。
セグメント別概況・トピックス 【リカレント教育】 ~ITマネジメント事業~
ITマネジメント事業についてです。マーケットリーダーであるITIL認定研修事業が堅調に伸びたものの、アジャイル領域の事業拡充が計画に対して振るいませんでした。
売上高は、前期比9パーセント増の5億2,000万円となりました。特に、ITIL認定研修事業は前年比145パーセントと伸びましたが、そもそも全体で125パーセント以上の増収を狙っていましたので、売上高の伸びは大きく足りませんでした。
トピックスとしては、DX人材の鍵となるアジャイル人材の育成プログラムに注力しました。国際的に、特に欧米では、これまでの「ウォーターフォール型」の開発に代わり「スクラム」という開発手法が主流となっています。
このような開発手法の変更という大きなマクロトレンドは、日本でも必ず起きます。したがって、我々も「ITIL」と並行して、スクラム開発の手法やシステムインテグレーションの仕方を社会的に啓蒙しながら、市場を作って掘り起こしているところです。
教育AI投資:AirCampus、AirSearchが目指す3つの重点施策
当社のオンライン学習プラットフォームである「AirSearch」と「AirCampus」についてです。これらにも、AI実装等のさらなる進化への投資を行った1年となりました。
スライドにはタブレットやスマートフォンの写真を掲載していますが、あらゆるデバイスに加え、GoogleとAppleの両OSに対応できるかたちで開発を進めています。
特に、スライド下段の「1.学習体験の向上」では、学習をパーソナライズにリコメンデーションしていく機能や最適なオンライン学習環境を提供するための機能変更を提供しています。「2.教育業務のDX推進」では、学生への学習サポートや、プログラム運営側が「学生もしくは学習者がどのような進捗で学習しているのか」といったデータを一人ひとり蓄積し、AIによるアラートの早期かつ正確な創出も行っています。
「3.教育ビジネスの拡大」では、新しい学び方として、他社の学習プラットフォームとのシステム連携や自社の学習プラットフォームを販売していきます。
政府からの支援と受託事業
リカレント教育という切り口においては、この1年間で政府系プロジェクトの受託も進みました。主に、文部科学省、厚生労働省、経済産業省との連携が進んでいます。
文部科学省からは、6年連続でIB教育推進コンソーシアム事業を受託しています。我々のグループ会社であるアオバジャパン・インターナショナルスクールが、コンソーシアムの事務局を運営しています。
また、文部科学省からは大学等におけるリカレント教育の普及啓発イベントも受託しています。今後、国内の社会人に向けてリカレント教育を普及していきたいということで、1回目のプロジェクトのトータルコーディネーターを受託しています。
厚生労働省からは、教育訓練給付金の対象プログラムとして、BBT大学の短期集中型プログラムが新たに認定されました。これまでに、大学および大学院の本科プログラムなども認定されていますが、認定対象プログラムが新たに追加されています。
経済産業省からは、社会人の学び直しによるキャリアチェンジやキャリアアップを後押ししたいということで、転職事業者のSOOLとコンソーシアムを組成しサービスを開始した、転職支援付きのBBTパーソナライズが「リスキリング教育を通じたキャリアアップ支援事業に採択されました。
政府からの支援と受託事業
文部科学省から受託した「大学等を活用したリカレント教育EXPO 2024」についてご説明します。スライドに記載のとおり、私がモデレーターを務め、パーソル総合研究所上席主任研究員の小林さま、富士通株式会社CHROの平松さま、東京大学総長の藤井さまなどをお招きしました。オープニングには、文部科学省事務次官の藤原さまに記念講演をしていただき、華々しいスタートを切りました。
文部科学省からは「大学と企業、学びたい個人を結び付けるこの活動を今後も継続していきたい」というご意向をいただいていますので、我々も引き続き注力していきます。
アルムナイの活躍 ‐ 起業し、IPOを達成したアルムナイ
活躍するアルムナイということで、我々のプログラムを学んで修了した方が起業して株式公開しています。もともとはグループ会社が運営している起業家を養成する私塾「アタッカーズ・ビジネススクール」が源流ですが、当該年度にもスライド左側に記載している大竹弘氏のハッチ・ワークと小堤音彦氏が起業したAnyMind Groupが、東京証券取引所グロース市場に上場し、累計17名の方がIPOを達成しました。
過年度の方はスライド右側に記載のとおり、マクロミル、ケンコーコム、MIXI、アイスタイル、クラウドワークス、弁護士ドットコム、鎌倉新書、リファインバースグループなど、今、日本を代表する企業家と言われている方も多く含まれています。
セグメント別概況・トピックス 【プラットフォーム事業】
インターナショナルスクールの概況です。アオバジャパン・インターナショナルスクール、アオバジャパン・バイリンガルプリスクール、サマーヒルインターナショナルスクール、ムサシインターナショナルスクール・トウキョウの4つの学校を運営しています。
ムサシインターナショナルスクール・トウキョウはケンブリッジ国際の認定校で、それ以外は国際バカロレアの認定校です。日本では唯一、世界の2大デファクトスタンダードと呼ばれるカリキュラムの認定校を運営し、1歳から18歳までの計1,600名ほどの生徒に幼小中高の一貫教育を提供しています。
セグメント別概況・トピックス 【プラットフォーム事業】
これまで首都圏を中心に、毎年1ヶ所あるいは2ヶ所のキャンパスを開設し、現在の拠点は約12ヶ所に拡大しました。スライドの棒グラフが示すとおり、230名から約1,600名の学校集団に成長しましたが、フィジカルエクスパンション(物理的な拠点拡大)は一旦小休止し、今後はオンラインなどのサイバーエクスパンション(サイバー空間上の拠点拡大)を行いたいと思っています。
業績は売上高38億3,000万円、営業利益2億5,000万円と前年比で増収減益となりましたが、テクニカルな事情が主因ですので、特に大きな心配はしていません。今後も堅調に拡大していけると捉えています。
ただし、拡大のドライバーが物理的な拠点の拡張からオンラインやブレンド型の学習での拡張に変わっていく戦略的なピボットを行う予定です。
右下に記載のとおり、アオバジャパン・バイリンガルプリスクールの中野キャンパスと下目黒キャンパスがIB認定校に承認され、最新では2023年4月に用賀キャンパスを開校しました。
セグメント別概況・トピックス 【プラットフォーム事業】
スライドには、インターナショナルスクールとバイリンガルプリスクールのトピックスを列挙しています。
セグメント別概況・トピックス 【プラットフォーム事業】
オンラインでの国際教育の提供についてです。今後、日本国内において、18歳以下の年齢層に対する幼小中高のグローバル教育のニーズはますます高まっていくと考えています。これは日本人の親御さんのお子さま、日本に住み働く外国籍の方のお子さまも同じです。
アオバジャパン・インターナショナルスクールグループは、スイスに拠点がある国際バカロレア機構から、約1年前にオンラインでIBディプロマプログラムを提供するパイロット校として認可されました。実施校は世界で5校のみ、アジアではアオバのみになります。スライド右側の地図のとおり、東京との時差3時間圏内で提供できる学校はアオバのみです。
プログラムは高等学校課程であるディプロマ課程が対象となっており、今年の夏からスタートします。国際バカロレア機構としても実験的な試みですが、プログラム修了後には正式なIBディプロマが取得できるオンラインプログラムを世界で数校が提供を開始します。現在はその直前段階に入っています。
左側には、今後のビジネスチャンスの観点から、Model1、Model2、Model3を記載しています。まずはModel1として、アオバ教育をバーチャルに国内展開していきます。通学型の学校は、学校に通学できる範囲に住んでいる方しか入学できませんが、オンライン教育により全国区にしていきます。
Model2として、このような国際教育に興味のある国内の学校にもオンラインで提供します。我々がコンテンツプロバイダーあるいは個別の講座のプロバイダーになるということで、こちらはすでに実例があり、熊本県の九州ルーテル学院で実施しています。
世界最大の半導体の製造ファウンドリである台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)の熊本県進出に伴い、日本政府も1兆円近くの資金援助を行い、4月に第1工場が稼働しました。第2工場も建設する予定で、熊本県菊陽町に合計2兆円近く投資されると想定されます。
台湾の本社から優秀な技術者がご家族とともにこの町に引っ越して、工場の立ち上げを支援することになり、その従業員の子どもたちが通うインターナショナル教育機関が必要だということで、我々が九州ルーテル学院を支援しています。
すでに熊本県の高校生がアオバのオンライン高等学校課程に入学しており、来週の卒業式で卒業生第1号が出る予定になっています。このように、このモデルにも実例が出始めています。
Model3は、国内だけではなく、アジア・オセアニア市場への地理的な拡大です。オンライン教育のため、物理的な距離は問いませんし、それこそがこのオンラインパイロット校の狙いでもあります。
IB認定校のないエリアに対してもIB教育を提供する方法を共同で模索していくために、国際バカロレア機構と我々がコラボレーションし、アジアでの展開がスタートしました。業績への貢献も、ぜひ期待していただきたいと思っています。
2025年3月期修正計画、及び2022年6月開示中期経営計画との比較
2025年3月期の業績の見通しです。売上高は83億1,300万円、営業利益は5億100万円、経常利益は5億1,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億9,600万円を計画しています。
中期経営計画の3ヶ年目の数字からはビハインドしています。スライドの表の右端にある「2025/3」が2022年6月に発表した中期経営計画の数字です。当時は売上高100億円、営業利益10億5,000万円を計画しており、それに対して売上高は約17億円、営業利益は約5億円強の下振れとなります。
この点に関しては、5月15日に開示した中期経営計画の変更ということで、投資家ならびに株主のみなさまにご案内しました。当初の計画から修正しなくてはならない状況については、この場をお借りして深くお詫びします。誠に申し訳ございませんでした。
この新しい計画を着実に達成し、そこで終わるのではなく、外部環境の変化などをうまく見極めながら、新しい事業機会や成長機会をより一層獲得していきたいと思っています。
なお、前年比で、売上高は74億7,400万円から11.2パーセント増の83億1,300万円、営業利益は3億8,300万円から30.8パーセント増の5億100万円という計画となっています。
今後の成長戦略
今後の成長戦略です。新たな中期経営計画については別途ご案内させていただくことになると思いますが、注力していく分野として強化事業領域を3つ挙げています。まずはスライド中央の教育AI投資です。
AIを活用したEdTechカンパニーとして社会をリードしていきたいと思っていますので、AIへの投資を進めていきます。AIやテクノロジーについては、リカレント教育セグメントで特にBtoBが伸びている法人向けの人材育成に活用していきたいと考えています。
プラットフォームサービスセグメントについても、教室で先生が教える授業にAIを活用し、デジタル化していきます。このようなことを積極的に推進し、オンラインでの拡大、ブレンド型の学習の拡大を支えたいと考えています。
スライドの左下には収益性の強化施策を記載しています。生成AI時代にニーズが高まるプロダクトとして、使いこなす能力、AIやDXが代替できない能力の獲得、それらを総合的に習得するための次世代の経営人材プログラムへの反映を進めていきたいと思っています。
以上が本日のご説明になります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:今後の成長戦略の売上への貢献度について
「今後の成長戦略として、BtoB領域、デジタル領域への投資を強化とありますが、売上への貢献度はどのくらいを想定していますか?」というご質問です。
2024年3月期から2025年3月期のトップラインの伸びとして、今回、概ね9億円の増収を発表しました。そのうちの半分弱をデジタル領域とBtoB領域で獲得したいと考えています。数字に換算すると、4億円もしくは5億円程度のインパクトを計画しています。
特に法人人材育成事業に関しては、2023年度で年間15億円前後の規模感だったため、2割、3割の増収となると、3億円もしくは4億5,000万円となります。デジタル系の学びに加え、これまで提供してきた学習の内容にAIやDXを加味することで、お客さまのリピートや取引金額の単価アップ、新たな案件の獲得などに結び付けていきたいと考えています。
デジタル領域の観点からは、今後、インターナショナルスクールの物理的な拠点の拡大はいったん停止し、既存の拠点からオンライン教育を提供するスタイルに変えていきます。2023年度の売上高は38億円前後でしたが、最低でも1割以上の伸びを示すと考えると、4億円程度の伸びが期待できると思っています。
デジタルというかたちでくくらないとすれば、9億円のうちの半分はBtoB、またはリカレント教育へのデジタルの適用、残りの約4億円はインターナショナルスクール事業での適用という配分で考えています。
質疑応答:通期計画を下方修正したことについて
「増収増益ではあったものの、下方修正されたのは当初の計画値が高かったということでしょうか?」というご質問です。
立場上、決して当初の計画値が高かったとは捉えていません。しかし、結果的には利益面で計画値の4割下回りましたので、しっかりと振り返りを行い、将来に向けて糧としていく必要があります。
特に、当社の場合は第4四半期に入るあたりから、学校系のビジネス、大学・大学院系の入学者、インターナショナルスクール系の入学者が固まっていきます。そのため、12月、1月、2月を見ないことには、売上の着地の精度がなかなか高まらないという季節的な偏重もあります。
いずれにしても、70億円、80億円の小さな事業規模ですので、日本全体の教育においてインパクトを高めていく上では、最低でも数百億円の事業規模にしていく必要があります。今後も高い目標を掲げながら、株主や投資家のみなさまからのプレッシャーも受け止めつつ、伸ばしていきたいと考えています。
質疑応答:次期中期経営計画の発表時期について
「次期中期経営計画はいつ発表する予定ですか?」というご質問です。
2024年4月からの新年度が現行の中期経営計画の3年目に入ります。この1年を通じて、次の3年あるいは3年プラスアルファのフェーズの戦略を定義し、数値計画を作っていくのか討議している最中です。したがって、2024年度内にはなんらかのかたちでお示しすることができると思います。
今回は東京証券取引所からの要請もあり、結果的にはプライム市場からスタンダード市場に指定替えしました。2021年12月末に3ヶ年計画を出しましたが、今後の中期経営計画については、経営スタイルによりフィットしたフォーマットを勘案しながら、投資家や株主のみなさまに発表していきたいと思います。
柴田氏からのご挨拶
2024年3月期は増収増益の着地となりましたが、計画値に対して大きく未達となりました。この1年間、我々の事業に賛同・期待していただき、株主となっていただいたみなさまにあらためてお詫びします。
これを糧として、今後1年間ならびに中長期的な事業の戦略を再度作り、それを実行し、成長していきます。そのプロセスにおいて、日本の教育・人材をより一層良くしていくことに貢献していきたいという強い意志は変わりませんので、ぜひお力添えいただければと思います。
本日はお忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願いします。
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