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*12:48JST MDNT Research Memo(8):細胞加工業の事業基盤の強化と売上拡大を加速化(2)
■メディネット<2370>の事業活動の進捗と今後の取り組み
1) 特定細胞加工物製造業
再生・細胞医療に取り組む製薬企業、大学、医療機関、研究機関等から製造受託する特定細胞加工物における細胞種・品目数の取り扱いを増やすほか、従来の免疫細胞治療に用いる免疫細胞以外の免疫細胞の加工受託メニューのさらなる拡充を推進する。今後も最新の「がんの個別化医療」に貢献しつつ、業績拡大に向け推進する。
「NKT細胞活性化樹状細胞(がん領域)」は2023年2月より製造受託を開始した。これにより、免疫細胞治療法(メニュー)の幅が広がり、がん患者が最適な免疫治療を選ぶことができるようになった。
「脂肪由来間葉系幹細胞(ASC)」については、第19回日本免疫治療学会(2022年5月)で自社技術を確立したことを発表した。様々な疾患に対して臨床応用されており、間葉系幹細胞治療への期待は大きい。ASCの提供計画数は年々増加傾向にあり、間葉系幹細胞を用いた再生医療提供医療機関は281施設が登録している。今後の医療機関(治療施設)からの加工受託に向けて、同社は受託体制の整備を進めている。
「歯科診療領域における骨造成治療法の実用化」は、セルアクシア(株)が保有する「ダイレクトコンバージョン法」を活用して歯科診療領域における先進的な骨造成治療法の実用化に向けた共同研究を行うという基本合意書を、2022年10月に締結した。「ダイレクトコンバージョン法」とは、歯科インプラント手術で歯を入れ戻した時に、歯茎を安定させるための技術である。歯茎から細胞を採取・再生し、インプラントとともに埋め込むことでしっかりと固定できるようになる。メリットとして、インプラント手術のスピード化やインプラントの安定性が挙げられる。ただし、この骨造成治療法の実用化にはまだ時間かかるとしている。
2) CDMO事業の拡大強化
2022年9月末に、ヤンセンファーマの多発性骨髄腫に対する製品「カービクティ(R)点滴静注」が国際共同治験(第Ib/II相臨床試験)にて製造・販売承認された。同社はこれまで治験製品に関してヤンセンファーマの製造受託基準をクリアし、製造受託してきた実績と経験から、CDMO事業として実績の強化による売上拡大を目指している。
また、同社は国内外製薬企業やバイオベンチャー企業に対し、アプローチを強化している。ヤンセンファーマとの契約締結に次ぐ、治験製品製造受託の第2・第3の案件獲得に向け、製薬企業・大学病院を中心に顧客開拓活動を推進している。
3) バリューチェーン事業の推進
同社はフロー型バリューチェーンビジネスとして、再生・細胞医療のコンサルティング、細胞培養加工施設の運営管理、細胞加工技術者の派遣・教育システムの提供といった、特定細胞加工物を取り扱ううえで必要な一連の知見やノウハウを提供している。アカデミア(大学、研究機関)を中心として施設運営管理業務をリピート(継続受託)するとともに、新たに再生・細胞医療分野へ参入を企図しているアカデミアや製薬企業の様々なニーズに合わせたサービスに取り組み、販売強化につなげていく。なかでも「施設運営管理」は顧客と2023年度の契約を更新し安定売上を確保しており、「再生医療関連サービス」も、固定顧客からの売上が順調に推移している。
2023年9月期からは、バリューチェーン事業の再生医療関連サービスのリソース(細胞製造プロセスや人材)を細胞加工業の2本柱である特定細胞加工物製造業とCDMO事業にシフトして、効率的資源配分を実施している。
4) 国内外の企業とのアライアンス活動強化
同社は、2019年10月に台湾Medigen Biotechnology Corp.(MBC)とガンマ・デルタT細胞培養加工技術のライセンス契約を締結し、技術移転を完了した。この技術を用いたがん免疫細胞治療は台湾当局の承認後、MBCが提携する医療機関である新光呉火獅紀念醫院(台北市)が台湾当局へ申請し、2023年2月に台湾の規制当局から承認された。また、同年9月には秀傳紀念醫院(彰化市)が、12月には花蓮慈濟(花蓮市)がそれぞれ当局から承認された。彰濱秀傳紀念醫院(鹿港鎮)については、2023年10月に当局から承認され、同年11月から同社の細胞培養加工技術を用いたがん免疫細胞治療が受けられるようになっている。ほかにも台湾国内の各市・県の衛生局への登録を進めている。新規提携医療機関の探索・交渉も含め、着々とビジネスは進展している。がん免疫細胞治療が始まれば治療実績に応じてロイヤリティ収入が同社に得られる見込みである。また、世界各国の医療法制度に応じて現地の医療機関に再生・細胞医療が健全に提供されるよう、同社が培った技術と経験を積極的にライセンス供与していく。日本での治療を待ち望んでいる多数の患者もおり、同社は日本で円滑に受診・治療できる仕組みを構築していくとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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1) 特定細胞加工物製造業
再生・細胞医療に取り組む製薬企業、大学、医療機関、研究機関等から製造受託する特定細胞加工物における細胞種・品目数の取り扱いを増やすほか、従来の免疫細胞治療に用いる免疫細胞以外の免疫細胞の加工受託メニューのさらなる拡充を推進する。今後も最新の「がんの個別化医療」に貢献しつつ、業績拡大に向け推進する。
「NKT細胞活性化樹状細胞(がん領域)」は2023年2月より製造受託を開始した。これにより、免疫細胞治療法(メニュー)の幅が広がり、がん患者が最適な免疫治療を選ぶことができるようになった。
「脂肪由来間葉系幹細胞(ASC)」については、第19回日本免疫治療学会(2022年5月)で自社技術を確立したことを発表した。様々な疾患に対して臨床応用されており、間葉系幹細胞治療への期待は大きい。ASCの提供計画数は年々増加傾向にあり、間葉系幹細胞を用いた再生医療提供医療機関は281施設が登録している。今後の医療機関(治療施設)からの加工受託に向けて、同社は受託体制の整備を進めている。
「歯科診療領域における骨造成治療法の実用化」は、セルアクシア(株)が保有する「ダイレクトコンバージョン法」を活用して歯科診療領域における先進的な骨造成治療法の実用化に向けた共同研究を行うという基本合意書を、2022年10月に締結した。「ダイレクトコンバージョン法」とは、歯科インプラント手術で歯を入れ戻した時に、歯茎を安定させるための技術である。歯茎から細胞を採取・再生し、インプラントとともに埋め込むことでしっかりと固定できるようになる。メリットとして、インプラント手術のスピード化やインプラントの安定性が挙げられる。ただし、この骨造成治療法の実用化にはまだ時間かかるとしている。
2) CDMO事業の拡大強化
2022年9月末に、ヤンセンファーマの多発性骨髄腫に対する製品「カービクティ(R)点滴静注」が国際共同治験(第Ib/II相臨床試験)にて製造・販売承認された。同社はこれまで治験製品に関してヤンセンファーマの製造受託基準をクリアし、製造受託してきた実績と経験から、CDMO事業として実績の強化による売上拡大を目指している。
また、同社は国内外製薬企業やバイオベンチャー企業に対し、アプローチを強化している。ヤンセンファーマとの契約締結に次ぐ、治験製品製造受託の第2・第3の案件獲得に向け、製薬企業・大学病院を中心に顧客開拓活動を推進している。
3) バリューチェーン事業の推進
同社はフロー型バリューチェーンビジネスとして、再生・細胞医療のコンサルティング、細胞培養加工施設の運営管理、細胞加工技術者の派遣・教育システムの提供といった、特定細胞加工物を取り扱ううえで必要な一連の知見やノウハウを提供している。アカデミア(大学、研究機関)を中心として施設運営管理業務をリピート(継続受託)するとともに、新たに再生・細胞医療分野へ参入を企図しているアカデミアや製薬企業の様々なニーズに合わせたサービスに取り組み、販売強化につなげていく。なかでも「施設運営管理」は顧客と2023年度の契約を更新し安定売上を確保しており、「再生医療関連サービス」も、固定顧客からの売上が順調に推移している。
2023年9月期からは、バリューチェーン事業の再生医療関連サービスのリソース(細胞製造プロセスや人材)を細胞加工業の2本柱である特定細胞加工物製造業とCDMO事業にシフトして、効率的資源配分を実施している。
4) 国内外の企業とのアライアンス活動強化
同社は、2019年10月に台湾Medigen Biotechnology Corp.(MBC)とガンマ・デルタT細胞培養加工技術のライセンス契約を締結し、技術移転を完了した。この技術を用いたがん免疫細胞治療は台湾当局の承認後、MBCが提携する医療機関である新光呉火獅紀念醫院(台北市)が台湾当局へ申請し、2023年2月に台湾の規制当局から承認された。また、同年9月には秀傳紀念醫院(彰化市)が、12月には花蓮慈濟(花蓮市)がそれぞれ当局から承認された。彰濱秀傳紀念醫院(鹿港鎮)については、2023年10月に当局から承認され、同年11月から同社の細胞培養加工技術を用いたがん免疫細胞治療が受けられるようになっている。ほかにも台湾国内の各市・県の衛生局への登録を進めている。新規提携医療機関の探索・交渉も含め、着々とビジネスは進展している。がん免疫細胞治療が始まれば治療実績に応じてロイヤリティ収入が同社に得られる見込みである。また、世界各国の医療法制度に応じて現地の医療機関に再生・細胞医療が健全に提供されるよう、同社が培った技術と経験を積極的にライセンス供与していく。日本での治療を待ち望んでいる多数の患者もおり、同社は日本で円滑に受診・治療できる仕組みを構築していくとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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