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【QAあり】Faber Company、通期計画を達成、20周年記念配当を予定 ⼤⼿‧中堅企業への継続的な売上拡⼤を見込む

投稿:2024/11/26 13:00

事業概要

古澤暢央氏(以下、古澤):株式会社Faber Company代表取締役Founderの古澤です。2024年9月期通期決算発表を行います。よろしくお願いします。また、本日は、IRTVから國分さんにお越しいただきました。

國分淳平氏(以下、國分):IRTVの國分です。よろしくお願いします。

古澤:弊社の通期発表は初めてとなりますので、まずは、事業概要についてご説明します。

弊社はデジタルマーケティングに関わるさまざまなソリューションを提供しています。

國分さんの会社で、例えばホームページを運営している方や、マーケティングに携わっている方など、たくさんいると思います。そこで國分さんがお困りになった過去の経験などありましたら教えていただきたいです。

國分:やはりSEOです。弊社は「IRTV」というサービスをやっていますが、「IR 動画」で検索しても1ページ目には出てきません。けっこうクリティカルな状態です。

古澤:それはお店でいうと、大通りにお店がなくて、裏路地にあるような状態ということですね。

國分:裏路地も裏路地ですね。

古澤:そのような時に國分さんやマーケティング担当者は、おそらく情報収集をすると思います。どうやったらこの「IR 動画」で検索した時に上位表示できるのか、「SEO対策」や「SEO」などで検索したり、「X(旧Twitter)」でふだん情報を収集しているマーケティングの達人が出しているホワイトペーパーを見たりされると思います。

企業のマーケティング担当者がなにか困った時に、デジタルマーケティングの自動化ツールとリソース(人的支援サービス)を提供しています。

國分:コンサルのような感じですね。

古澤:そうです。あるいは、「人手が足りないから、誰か人を送り込んでほしい」と言われることがあるので、弊社が集めている優秀なフリーランスの方などをその企業の要件に合せて選定して送り込みます。このようにツールと人手をセットにして提供します。

「IR 動画」で検索結果上位に御社のホームページが出てきたとします。次に何をしますか?

國分:問い合わせが入ってくるかどうかというのを知りたいです。

古澤:そうですね。デジタルマーケティングの実行が進んでいくと、必要な施策が変わっていきます。そこに対応できるプロダクトを弊社は開発しています。したがってデジタルマーケティングの現場で働いてる方が困った時に、ピンポイントで必要となるソリューションを用意、提供しお客様をサポートしています。

ファーストパーティーデータを強化するコンテンツマーケティング‧SEOの自動化ソフトウェア

國分:入口はSEOからなんですね。

古澤:そうですね。私の祖業がSEOから始まっていますので、「SEOが強い」というイメージが弊社にはあると思うんです。

代表的なプロダクトを3つご紹介します。まず「ミエルカSEO」についてですが、やはりSEO施策を実行するといっても、昨今テクニカルなことはあまりなくて、大まかにいうと、検索した人にとって本当に役に立つコンテンツがそのホームページにないと、検索結果上位に上がってきません。

國分:どこかで拾ってきた文章がペタっと貼ってあるような記事では駄目なのですね。

古澤:駄目です。「IR 動画」で検索する人は、なぜ検索したと思いますか? 

國分:おそらく、IRの動画を作りたいなと思った時に、いろいろなサービスを比較したい感じだと思います。

古澤:そのとおりです。おそらくそこから、さらにIRのための動画はどのような体制で撮影して、どのように編集して、スタジオはどうするのか、相場がいくらなのか知りたいなどの意図があります。

國分:ありますね。

古澤:これを検索意図といいます。検索をする人が目的を持って検索をしています。今の検索エンジンは、そこをしっかり理解しているので、その検索意図をしっかりと把握した上でホームページを作成する必要があります。ユーザーの役に立っていないと思ったら上がりません。役に立っていると思ったら上がります。このような仕組みです。

このようなことをデジタルマーケター担当者は細かく知りません。弊社がクラウド上で、いろいろなビジュアルを使って、カスタマーサポート(人)のアドバイスとともに教えます。したがって、担当者はこれを見ながら施策を行うと、ページが検索結果の上位にどんどん上がります。

ユーザー行動を可視化し、コンテンツの満足度を高めるUX改善ソフトウェア

古澤:これもクラウドツールですが、先ほど國分さんがおっしゃったように、アクセスが集まったら、今度はそのアクセスしてきたユーザーに、1件でも多く問い合わせをしてほしいですよね。

エンドユーザーが買い物かごで購入する際に、ホームページの中をどのように動いているか分析すると、例えば「ここの部分をよく読んでるな」となると、そこに興味があります。よく読んでいるところが、ホームページのすごく下にあるのを見つけたら、すごくよく読まれているのに、本当はそれを最初に知りたいのではないかと思うわけです。

そこのコンテンツを上部に上げたり、あるいはスマートフォンで、例えば図表や図解をタップしてほしいのに、そこをスルーされると、それはおそらくユーザーが理解しづらい、わかりづらい、見づらい、そしてあまり意味がないと思っています。そのようなところをしっかりもう1回改善します。

あとはページのわりと上のほうなのに離脱する人が多い時は、まったく役に立たないコンテンツなので、このようなユーザー行動をサーモグラフィーで表す技術があります。デジタルマーケターはこれを見ながら、「あ、うちのホームページって、もうちょっとこう改善したほうがいいね」ということを理解しながら、1人でも多くのアクセスユーザーをコンバージョンに転換できます。

つまり、売上に変えます。成果に変えることをコンバージョンといいます。弊社が提供しているこのようなツールが「ヒートマップツール」です。

約2,000名のデジタルマーケティング人材が登録する、 即戦力マーケティング人材を企業に提供するサービス

古澤:これまでは、2つともクラウドツールでしたが、3つ目のサービスは「ミエルカコネクト」といいます。これは人材リソースの提供です。例えば國分さんの会社は、IPOなど主にIRに関するさまざまなサービスを提供していると思います。広告の運用担当者が突然、休職した場合どうしますか?

國分:代役を探すしかないですよね。

古澤:どうやって探しますか? 

國分:人材紹介会社に急募をかけると思います。

古澤:そうです。だいたい、みなさまそうですし、私もそうでした。人材紹介会社か、求人情報サイトで正社員の募集をします。広告運用の経験がある方が10人ぐらい来て、人事部長が面接します。しかしその方がIRTVにとって、ベストな広告運営者かどのように見抜き、見分けますか?

國分:経歴などを見るしかないですよね。

古澤:でも実際は経歴においては実体はさておき、真の実力はわかりません。弊社は20年この仕事をしているので、その方の持っているスキルセットが、どのような業界・業種、あるいはどのような難易度、あるいはどのようなレイヤー、例えばそれはディレクターなのか、手を動かす人なのか、アシスタントなのかということをすべて面談を通じて、スキルアセスメントを行います。

あとはヒューマンコミュニケーションのアセスメントもしているので、國分さんの代わりに「國分さんの要件定義からすると弊社が思うに、この人とこの人がいいと思います」と、レジュメとともに面談にお連れします。

國分さんがお話しいただき、まずはこのAさんでやってみるというかたちで、正社員ではなく、業務委託や派遣のかたちがとれますし、即日ご紹介も可能です。

國分:すぐできるのですか?

古澤:できます。したがって、従前は正社員で募集して、人事部長がアセスメントしないまま入れてみたものの、お互い不幸になってしまうことなどがあったと思います。このようなことが弊社のサービスで解決できます。もし、その方を気に入り、相思相愛になれば、社員として迎え入れられるサービス構成にもなっています。

國分:最後、正採用のようなことですね。

古澤:はい。そのようなことで、このサービスは非常に人気があります。

当社のビジネスモデル

古澤:当社のビジネスモデルの特徴についてご説明します。先ほど國分さんのお話にもありましたとおり、やはり事件は現場で起きますよね。そうすると、すごく困ります。

例えば、役員や、社長はそれほど細かいことに気が回らないので、現場は本当に困っています。隣にいた広告業者が、突然病気で休職すると、すごく困ります。そのようなことを、直ちに解決します。

現場の課長が判子を押しやすい価格帯があります。例えば何千万円や何百万円というと、課長では解決できないので社長に聞くと「いいよ、いったん、ちょっと君がやりなよ」となってしまうことがあります。そうならないように、まずはリーズナブルなかたちで、さまざまなプロダクトをピンポイントで解決できるような、お安いプロダクトを使っていただけませんかと提案しています。

その後にお客さまの悩みをどんどん聞いて、少しずつ2つ目の商材、3つ目の商材のようなかたちでアプローチします。

あとは弊社の特徴として売上の安定性があります。1,700社のお客さまの売上の積み上げです。毎月の積み上げの重なりなので、突然大型解約によって減収減益というようなことが今まであまりありませんでした。1社のお客さまの依存度も小さく、継続型のリカーリング収入が全体の8割強です。

國分:8割強は、けっこう高いですね。

古澤:高いです。したがって、わりと安定的に利益が積み重なるということが1つの特徴です。

ビジネスモデルの展開事例(抜粋)

古澤:先ほどの2つ目の商材、3つ目の商材のイメージをスライドに実例として出しています。左側は誰もが知っている化粧品メーカーです。その担当者とオンラインミーティングをしました。何百万PVというお客さまがホームページを訪れているそうです。すばらしいことです。

國分:すごいですね。

古澤:ただ、そのお客さまは「本当に望んだとおりにユーザーが動いているかわからないですし、見たことがない」と言いました。そこで、先ほどのサーモグラフィーで見られる当社の「ヒートマップツール」をまずは月額15万円で導入してくださいとご提案しました。

3ヶ月から6ヶ月ぐらい施策が走ると、確実に効果が現れてくるので信頼されるようになります。大企業や中堅企業を弊社はターゲットにしているのですが、彼らは来年の予算を決めるのに、その来年から半年前、 9ヶ月前ぐらいから予算を策定します。

信頼を獲得した時に先方の部長に対して「成果報告とともに今までのフィードバックをさせてください。私どもは、実はこういうケイパビリティを持っていますが、よかったら来年のご予算の中で、何かお役に立てることありますか?」というご提案をさせていただくと、「君たちの評判がいいから、来年はこことここの予算をちょっと割いてみようか」となり、グラフにあるとおり、2つ目、3つ目の商材が重なっていきます。

國分:すごいですね。月額料金3.6倍です。

古澤:そうですね。入りはすごく小さいです。それは弊社の作戦どおりであり、信頼を重ねるというところが、弊社の戦略です。

國分:やはり人材のところは大きいですよね。

業績推移及び成⻑戦略

古澤:業績推移と成長戦略についてご説明します。実は弊社はちょうど1年半前に戦略を転換しています。以前は大企業も、中堅企業も、中小企業も、零細フリーランスの方も同じ1社として数えて、数を集める戦略を取っていました。認知を獲得するという意味で突っ走っていました。

ところが、2020年の1月か2月にコロナ禍がはじまりました。

國分:思い出します。懐かしいですね。

古澤:あのあと、経済が不透明だったことや、緊急事態宣言が出されたことなどから、いったん、さまざまな経費を絞れということがあったと思います。

國分:一時期ディフェンシブになりました。

古澤:そうすると、中小企業は悪意なく、本当に致し方なく、弊社にとっては解約が続くことがありました。これはもう企業のせいではないです。

國分:不況になると、まず最初にカットされるのはマーケです。

古澤:マーケなんですよね。その時に、弊社はかなり苦しい思いをしましたが、今後どうするかと考えた時に、その中でも継続的に課金してくださる方は一定数いらっしゃいました。「なぜだろう」と思った時に、一般論として、より大きな予算がある企業は、より安定的な稼働を求めています。

あるいは、Webサイト自体が、その会社の利益の源泉・中核である場合があります。そのような事業者は、経済動向がどうなっても、毎月しっかりと施策を続けていくということがわかったのです。

まずは、このような大手企業、あるいは広告投資が多い企業、あるいは先ほどお話ししたWebそのものが企業戦略の中核にある企業にいったんフォーカスをすることを、ちょうど1年半前に始めました。

國分:上場する1年ぐらい前ですね?

古澤:そうですね。2022年の春頃です。右側のグラフで、弊社の連結決算の数字だけを見ると、実態的に、成長率が3パーセントとか、あるいは営業利益が減益に見えてしまうきらいがあります。ところが、グラフの灰色の部分は非注力事業といって、私が創業の頃から持っていたECサイトなど、いくつかありました。

國分:ECを持っていたのですか。

古澤:はい、シルバーアクセサリーの販売サイトなどです。SEOの実験場としても良かったので続けていましたが、これを2024年9月期に一掃し、事業撤退しました。したがって、その非注力事業を除いた、デジタルマーケティングのツールとリソースの注力事業はCAGRで2桁伸びています。

國分:13.1パーセントですね。

古澤:決算短信だけを並べると、どうしても、「なんだ、この会社」となってしまいますが、一応このような経緯があるということはお伝えしておきたいです。

今後の成⻑イメージ

古澤:今後の成長イメージとしては、1番目の大手・中堅企業への足元の戦略を徹底するということです。それから、後ほど出てきますが、1,700社の顧客基盤が次に買うだろうもの、あるいは今、投資を振り向けているものを弊社が自社で開発するか、提携をして商品を作るか、あるいはM&Aというと上から目線のような言葉になりますが、お客さまにすぐアドオンして売れる可能性があるので、グループにジョインしていただいて一緒にやっていきながら、そのような戦略を持って、こちらも成長しながら、相手も成長させていきたいと考えています。

FY24/9 通期連結決算 サマリー

古澤:決算概要についてご説明します。売上高累計23億1,700万円、営業利益累計が3億3,400万円でした。

特に営業利益はYoYプラス8.3パーセントです。もともと、業績予想として発表したものに関して、8.3パーセントの上振れで着地しました。

配当は、後ほど詳しくご説明しますが、今回2025年9月期の期末に、実施するという方針を決めたということが大きなトピックです。

業績概要

古澤:四半期ごとの売上と営業利益の推移です。偏りはそれほどありませんが、弊社の第2四半期は1月、2月、3月ですので、どうしてもお客さまの予算の区切りがあり、駆け込みでお仕事をいただくことがあるので、そこだけ膨らむという、ちょっとした季節要因があります。

KPI

古澤:最も重要な点が、KPIです。スライド左側の表では、FY2023年9月の第4四半期から右にかけて、新しい四半期に移っています。縦軸はお客さまから頂戴している金額です。厳密にいうと、粗利益額に変えています。

それが下から、3万円未満、3万円から30万円、30万円以上です。そこに、お客さまの数をプロットしています。ご着目いただきたいのは2024年9月期の第4四半期の数字です。縦に見ていただきたいのですが、合計で1,713社となっています。30万円以上のお客さまが前四半期に比べて、少しプラスアルファされて65社になっています。

どうしても四半期で少しでこぼこはありますが、30万円以上のお客さまは弊社にとって非常に重要なKPIです。

國分:そんなに簡単には決まらないですよね。

古澤:決まらないです。したがって、ただ切り上がっていくようなイメージであることには変わりありません。特に中心帯のお客さまが、3万円から30万円のお客さまで、ここは確実に増えています。

3万円未満のお客さまについてですが、弊社では月9,800円のコースからありますので、お客さまの離反がありますが、そろそろ下げ止まりがかなり見えてきたかというところです。

そのようなお客さまも非常に大事ですので、テックタッチという言葉を使ったら非常に失礼ですが、例えばサポートマニュアルの充実や勉強会・セミナーというかたちで効率的にサポートすることを一生懸命がんばっています。全体の社数は、これからまた少しずつ上がっていくと考えています。

スライド右側に折れ線グラフが2つありますが、赤のほうは営業チームの新規営業における決裁者の面談割合です。

國分:これはなかなか見ないですね。

古澤:弊社の場合は商談数はもちろん大事ですが、やはり質が大事です。決裁者は、大手企業の場合はだいたい部長か役員です。その方たちに対して、「大変恐縮ですが、弊社のご提案時に、最新の情報もありますので、お越しいただけませんか」とお願いするとそれに呼応してくださって、来ていただくこともあります。グラフはそのような呼びかけにより、この決裁者が参加してくださる割合が増えていることを示しています。

決裁者は核心を突いた質問をするケースが多いです。したがって、結論が出ることが多くなります。主任より課長、課長より部長の方が管掌範囲が広いので、困りごとも、より大きな幅で捉えています。例えば、先ほどの國分さんの話で、「IR 動画」などのキーワードで検索結果を上位に上げたいというのは、現場の悩みです。

ところが、1つ上の部長や役員は、それに加え、広告の入口、SNSの入口、SEOの入口、さまざまなものから集まってトータルとしてCPAがいくらということが気になります。

さらにその上の社長だと、もっと全体の予算のアロケーションや、もっというと戦略が頭にあり、1回踏み込んでもいいから本当はここを伸ばしたいなどの考えがあります。このように、悩みが大きくなっていくので、より複雑で幅広い提案が可能になり、顧客単価が上がっていきます。

國分:そのようなことですよね。

古澤:これを大事にしています。右側の黄色は、CSチームです。これはカスタマーサクセスおよびカスタマーサポートです。お客さまの面倒を見ているチームです。

買っていただいた後に、オンボーディングをして、お客さまからの質問に答えるのは当たり前ですが、その他にQBR(Quaterly Business Review)といって、四半期ごとの振り返りや、次の課題についてのご提案さしあげる面談をします。

もちろん質を伴った場合ですが、面談の数が多ければ多いほど悩みごとが舞い込んでくる確率が上がることになります。私どもは現場が命であるため、現場の最前線に立っているメンバーが、とにかくお客さまに徹底的に寄り添っていきます。それを指数化するとスライドのようになるということです。

國分:ここまで開示している会社は、なかなかありません。珍しいですよね。

23年9月期からの取組の結果について クロスセル戦略

古澤:こちらは、先ほどの表組みを棒グラフに変えたものですが、左側のグラフをご覧いただくと、「3万円未満」の区分ではお客さまが減ってはいるのですが、中価格帯のお客さまと、「30万円以上」のお客さまが増えています。

また、スライド右側の3色の棒グラフは、それぞれのレンジの粗利総額を面積として出しており、1年前と今年では粗利の総額が増えています。

客数が減っている区分もありますが、結論として粗利が増えているということは、私どもが1年半前に戦略転換したことが奏効していると見ています。

費用構造

古澤:費用構造については、直近の第4四半期が跳ねているように見えると思います。弊社は、販管費が大きく増えることはあまりありません。ただ、この第4四半期に関しては、先ほども「営業利益がYoYで8.3パーセント上振れ」という話があったように、もう少し余裕があったのですが、2025年9月期に向けた人材採用にまで踏み込んだのです。

したがって、販促費と人材採用における費用が増えていますが、今進行している2025年9月期の第1四半期には下がります。ただ、2024年9月期の第1四半期よりはもちろん増えます。

國分:4億7,900万円よりも、もう少し増えるということですね。

古澤:そうです。当然さまざまなソフトウェアを提供するため、その原価ベースや人材採用の面で、一般常識的な伸びによって費用が増える部分は、今のところ見えているということです。

FY24/9期の取り組み①:営業活動の組織化

古澤:2024年9月期の取り組みのトピックが、3つあります。特に1番目の、営業活動の組織化・仕組み化については、「1件のアポイントに対してもっと真剣に取り組もう」ということです。例えば、國分さんは、Slackを使ってらっしゃいますか? 

國分:使っています。

古澤:弊社は、役員を含めて全社員がSlackを使っていて、「お問い合わせチャンネル」というものがあります。

國分:「お問い合わせチャンネル」というのは、フォームを通ってきたら飛んでくるような仕組みですか?

古澤:そうです。弊社の場合、私を含めて、全役員・全マネージャーが、すべての問い合わせを見ています。

國分:すごいですね。

古澤:「お客さまがどのようなことでお困りなのか?」「過去に商談した形跡がないか?」あるいは「知り合いではないか?」など、多くの目でさまざまな角度で見ています。

過去に接触したことがあるのであれば、「どのようなお話になったのか」ということを辿ると、非常にスムーズに話に入ることができます。お客さまにとってもゼロから説明するよりもやりやすいため、このようなことに集中しているわけです。

加えて、外報レビューですが、例えば明日の訪問に対する事前レビューです。「コクブン営業員が4件の会社を回る予定だ」という時に、マネージャーと役員が来て「ちょっと見せてごらん、明日君はこのA社に対してどんな見立てをして、どういう提案するのか?」と聞くわけです。

それに対して、営業員から説明があって、「それいいね。ただ、このお客さまは、ホームページを見てるとおそらくこういう事業もあるから、きっとこのヒートマップツールも提案してさしあげたほうが、お客さまがハッピーなのではないか?」というような話し合いをみんなでやるのです。

その後に営業員が訪問し、帰ってきた後に、その訪問の結果についてまたレビューする、ということを徹底的にやっています。

國分:そのようなことをしている会社はなかなかないですよね?

古澤:手間がかかりますが、2024年9月期にこれを一生懸命続けてきて、今もやっています。

國分:それによってだいぶ変わりましたか?

古澤:変わりました。今も、今日も進化しています。

國分:そうですよね。

FY24/9期の取り組み②:CARTA HDとの資本業務提携

古澤:2つ目のトピックです。上場日が7月31日で、この日に同時発表したのですが、CARTA HOLDINGSと資本業務提携をしました。

現在、そこから3ヶ月ぐらい経ちました。受注が少しずつ出始めています。P/Lに対するヒットは、この先まだ2期から3期先だと思いますが、現在このような動きがあるということをお伝えしておきます。

國分:CARTA HOLDINGSも、いわゆるデジタルマーケティングの支援をされていますが、住み分けはどのようになっていますか? 

古澤:弊社は、「ミエルカSEO」などのソフトウェアの事業が非常に多いです。一方で、CARTA HOLDINGSは、広告の運用におけるプロフェッショナルです。

國分:人手というところでしょうか?

古澤:そうです。やはりコンサルティングファームでもあるため、CARTA HOLDINGSのその強みは、私たちも勉強させてもらっています。

逆に、現場で使いたいツールなどは、私どもが日々作っています。お互いの領域を侵食しない範囲において、お互いのお客さまをご紹介しようという取り組みを、今、行っています。

FY24/9期の取り組み③:AIと人力のハイブリッドによる新サービス開発

古澤:3つ目は、AIと人力のハイブリッドです。2年前にOpenAI社が「ChatGPT」を発表し、今では、みなさま空気を吸うようにAIを使ってらっしゃいますが、私どもの「ミエルカ」シリーズにAIの機能をどんどん取り込んで、現場のお客さまがストレスなく、できるだけ人の手がかからないような省人化・自動化に向かっています。お客さまに非常に評判が良い機能がたくさんあり、お客さまの負担を下げるためにAI化していくということです。

一方で、マーケティングというのは戦略が非常に重要です。戦略に基づいて具体的な施策が発令されるため、事業理解や、勝ち筋が方針によって違いますよね。

國分:確かに。

古澤:「最後は人間の人智が必要だ」ということが、私どものモットーです。AIは、当然リスペクトして進めていきます。その一方で、「人間にしかできないことがまだたくさんある」と考えています。

弊社には、この道10年、20年という職人が数多くいます。本を20冊ぐらい出している人もいて、そのような人に直接相談ができます。

以上のように、この両方が私どもの特徴です。多くの場合は、どちらかに偏っているケースだと思います。

國分:AIに偏っているイメージがあります。

古澤:そうですね。

國分:しかし、結局聞かないとわからないことが多いですよね。

古澤:「安心感も欲しい」「成功事例なども聞きたい」「昨今の潮流などを聞きたい」という思いがありますよね。

2024年9月期 通期業績結果と2025年9月期予想

國分:ここからは、現在の進行期である、FY259月期の見通しです。気になるところだと思います。

古澤:スライドの表の赤い部分をご覧いただきたいと思います。特に重要な利益ですが、営業利益がYoYプラス12.4パーセントの成長、経常利益が21.3パーセントの成長、当期純利益が17.6パーセントの成長を見込んでいます。

國分:「御社はリードできるような強みがありながらも、予想売上高成長率が10.2パーセント、予想営業利益も12.4パーセントで、コンサバではないのか?」というご質問が事前に来ていました。良いところを突いていると思います。

古澤:これは良い質問だと思います。私も毎日寝られないほど悩んでいます。これは本当にご指摘のとおりで、私どもも、今のこの成長率はまったくもって非常に低いと自覚しています。

投資家のみなさまに、下手な言い訳はできません。そこで、考えていることを述べると、まず弊社は、リードの獲得力が非常に強いです。あらゆる手段を使ってセールスリードを獲得することに長けています。

一方で、今は営業における進化の途中です。マーケティングは戦略が重要であり、なにか物体的なモノ、例えばパソコンのように「スペックはCPUがこうで、ハードディスクが何ギガバイトである」というわけにはいかないということです。

お客さまに合わせた提案を、それぞれ個社ごとにしなければいけないため、レベルが求められます。こちらの部分を、今、絶賛トレーニング中で、高いリード獲得量に比べて、営業力が少し低いという状態です。

これは弊社メンバーの問題ではなく、トレーニングがなかなかうまくいかなかったという事情があります。今、PM人材や、コンサルテーションできる人材を獲得しており、弊社の営業は、非常に爽やかで素直で愚直ですから、一生懸命勉強しています。

こうして、徐々に徐々にリード獲得力に見合った営業力の偏差値を、1個ずつ上げているような状態です。この期間として、あと2年ぐらい見ていただけるといいと思います。

國分:それは先期、かなり採用をされたと思いますが、未経験の方の採用が多かったのですか?

古澤:新卒の方は非常に活躍してくれるため、弊社は、新卒の方を採っています。ただ、やはり社会人1年生が、いきなり100点を取るというのは難しいですよね。

國分:難しいですね。

古澤:そこで、ベテランの方と新卒の方のコラボレートによって、新卒の方はスポンジのように吸収していきます。先ほどのレビューや、同行営業、壁打ちなどのトレーニングが、日々の勉強会、研修会です。

このようなことを、現場でおろそかにせず、ショートカットすることなく、全員で取り組んでいるというイメージで、今、現場の士気は非常に高いです。

以上のように、すばらしいご質問をいただき、本当に心痛いというところですが、今一生懸命進めているところです。

國分:方向転換したが故に、営業しなければいけなくなったということもありますよね? 

古澤:それもあります。

國分:これは長い目で、期待してほしいということですね。

2025年9月期の計画

古澤:2025年9月期の計画ということで、先ほどお伝えした大手中堅顧客に対するクロスセルと提案営業を、引き続き徹底的に行っていきます。

また、CARTA HOLDINGSを含めて、パートナーの拡大をしていくことにより、徐々に顧客単価を向上させ、また、それはそのままLTVになっていくため、LTVも向上させることによって生産性を上げ、成長率を少しずつ上げていこうと考えています。

2025年9月期 四半期業績見通し

古澤:四半期の見通しですが、スライド左側のグラフで、赤が2024年9月期の売上高のばらつきを示しています。

第2四半期は1月、2月、3月で、スポットが舞い込んでくるため、売上が少し上がってしまいます。ただ、その部分を減らして見ていただくと、徐々に積み上がっていくイメージを持っていただけると思います。

また、右側のグラフは営業利益ですが、第2四半期、第3四半期は1月から6月にあたり、展示会が1月から夏にかけて増えます。東京ビッグサイトなどで行うものですが、当然費用がかかります。したがって、コストは第2四半期、第3四半期が高くなるという傾向があります。

通常の期であれば、第4四半期が一番利益と売上が高くなっていますが、2024年9月期の第4四半期は、余裕があり先行投資をしたため利益が凹んでいるのですが、本当は一番高くなります。以上が、2024年9月期の特殊な事情でした。

一方、3ヶ月後に発表する2025年9月期第1四半期の業績についてですが、ありがたいことに、去年の第1四半期で非常に高収益な案件を頂戴したため、去年の第1四半期に比べ、売上が少し落ちる可能性があります。

ただ、通期の見通しにおいては、お伝えしているとおり継続型の売上が多いため、帳尻が合ってきてしっかり上がっていきます。

國分:増収増益は最後の楽しみですね。

古澤:3ヶ月後の四半期は少し売上が落ちても、そのような事情があるということを、先にご説明しておきます。

ファイナンス戦略とM&Aの考え方

古澤:ファイナンス戦略とM&Aの考え方ということで、これは今絶賛ソーシングしています。弊社の顧客基盤である約1,700社のお客さまが、次に買おうとしているもの、あるいは次に投資しようとしているものを、私どもは当然自分でも作ります。また、もしグループジョインしていただけるのならば、そのような製品を持っている方に加わっていただこうと考えています。

それは、直ちにお客さまにとっての価値となるため、このようなシナジーとシェアの最大化を1つの目論見として、今動いています。

財務戦略と還元方針

古澤:キャッシュが20億円以上積み上がっているため、まず最優先として成長投資とM&Aに振り向けた上で、前回お伝えした株主還元を綿密にシミュレートしました。

弊社のM&Aの動きで、入ってくる案件の規模がかなりわかってきました。PMIが重要であり、次々に買うことはできないため、デットを引いた弊社の現在の実力値において精緻にシミュレートした結果、株主のみなさまへの配当を同時にやっていけるという目処が立ったため、配当の意思決定をしたことをお伝えします。

2025年9月期 株主還元

古澤:まず、2025年9月期の期末の配当を、1株当たり30円ということで、普通配当20円に20周年の記念配当として10円をプラスします。

國分: 20周年なんですね。

古澤:はい。そこで、今までのお客さまと、過去と現在の従業員のみなさまに感謝して、それを株主のみなさまにお返しさせていただくということで、30円の配当としました。

これは、配当性向でいうと31パーセント強です。配当利回りでいうと、先週末の株価(2024年11月8日終値)に対して3.35パーセントですが、非常に高いとは思っていません。

まずはデビュー戦です。プロボクサーもいきなり世界戦はやりません。まず4回戦です。日本ランカーで、アジアパシフィックチャンピオン、東洋太平洋チャンピオンと進みます。

國分:だいぶ小刻みですね。

古澤:そのように考えており、まずはこのようなかたちで今回発表しました。

出資に関するお知らせ:株式会社Growth DXへ出資

古澤:M&Aではないのですが、本日、出資をリリースしました。

Growth DXというすばらしい名前の会社です。筒井社長と握手している写真がスライドにありますが、彼は、インサイドセールス、フィールドセールスなどのセールス分野に非常に強みを持っており、見た目は優しいのですが、若くて頭が良くて屈強な方です。

國分:優しそうに見えます。

古澤:心は屈強です。オフィスに遊びに行ったのですが、それはものすごい勢いでワーッと並んで、営業しているという感じです。

國分:営業集団なんですね。

古澤:私どもも、やはりセールスを強化します。先ほどからお伝えしているようにセールスを強化する部分で、彼らにお助けいただくことがこれからも多くあると思います。

人的な資源として助けていただく一方で、彼らに対して私どもがマーケティングの知見を提供することで、彼らの事業は伸びると思っています。このような理由で、お互い握手ができるということです。

その他にも、弊社のお客さまの中にはBtoBの企業が多いです。お客さまも、セールス人員に困っているという相談が多く来るため、そのようなお客さまには、「Growth DX社が非常に信頼できる会社だ」と、ご紹介さしあげることができます。売上のシナジーもあると考えて、今回組み込ませていただきました。

本当は、通期決算発表で「M&Aで行きます」と言いたかったのですが、まず足元で、きちんとできる範囲で「出資」としました。

FY25/9期のトピック: 生成AIを活用した新機能をリリース

古澤:2025年9月期は、生成AIをより活用していこうということで、スライドの左側をご覧ください。先ほどのヒートマップデータというのがあります。

國分:ツールがありましたね。

古澤:それをいつもどうするかというと、マーケターのみなさまが見て、仮説を立てます。「ここに立ち止まっているから、ここがいいコンテンツだ」とか、「ここはタップされていませんね」と解釈をして、言語化して施策に変えるというものです。

これを私どもは、もう20年やっていて、ヒートマップはまだ10年ほどですが、勝ちパターンが蓄積されているわけです。

「このようなデータマップ、このようなヒートマップであれば、このような施策が効く」という勝ちパターンがわかっているため、これをAIで学習してお客さまに提示します。

そうすると、先ほどの「見て、がんばって、考えて」ということがなくても、80点から90点の成果を出せる可能性があります。この新機能をローンチしています。

國分:もうローンチ済みなのですね。

古澤:これは非常に期待していて、引き合いもいただいています。

次に、スライド右側のものは「ABテスト」と言って、AとBどちらのホームページが反応がいいかをテストしますよね。テストする時に、ホームページの中を書き換えなければいけないため、エンジニアが必要で、大変ですよね。

國分:経験がありますが、手間がかかります。

古澤:しかし、今、私たちのパソコンで、例えば「ボタンのこの色や、ボタンの文言を書き換える」ということが、エンジニアなしで、ノーコードでできる仕組みがあるのです。これを実装して、社内で頻繁に使っています。

國分:もう中で使っているのですね。

古澤:まもなくお客さまに対してお披露目できるかということがあり、エンジニアの数もかなり減っているため、エンジニアに開発工数を出すことが、非常にやりづらいじゃないですか。

國分:気まずいですね。

古澤:喧嘩のタネになります。そこで、そのようなことなしでできるようなものを作っており、2025年9月期は、AIのブレークする年かもしれないと思い、お客さまには「ご期待ください」と申し上げているわけです。

國分:当然、お客さまの満足度につながりますが、単価向上にもかなり効いてくるのでしょうか?

古澤:もちろんそうです。今、労働人口が減少して、例えばプレゼンをした時に、「良いのはわかるが、人をお宅から『ミエルカコネクト』で頼むほどの予算がない」というお客さまも当然いらっしゃいますよね。

そのような時に「実は、余分にエンジニアが関わらないのです」「本当に?」という話になると思います。「では、やってみてください」「おお、すごいね」というようなことが起きます。

この機能は、非常にお客さまに対して価値が出せると考えています。顧客単価の上昇、顧客の獲得、受注率が変わってくると期待しています。

國分:楽しみですね。

スタンダード市場、上場維持基準に関する認識

古澤:私どもは7月31日に上場し、その日から9月末までの期間で、上場維持基準の適合がジャッジされます。不名誉なご報告なのですが、そこにおいて、流通株式時価総額が足りなかったのです。

したがって、改善するために、先ほどから言っているKPIをきちんと実施し成長戦略を実行していきます。また、株主のみなさまにしっかり還元していくことに加えて、今しているようなIR活動を、土日も夜中も一生懸命していきます。

それによって、できるだけ細かく、会社の現状をお示しして、誠実に対応していくことによって、クリアしていこうと考えています。株主のみなさまにおかれましても、少し長い目で見ていただいて、1年間しっかりとやっていこうと考えています。

Q&A

こちらのQ&Aのスライドが、最後のページです。

質疑応答:上場による変化について

國分:「上場されて3ヶ月半経過しますが、変化を実感されている点があれば教えてください」というご質問です。

古澤:一番は採用ですね。以前は、弊社規模であれば、最後は役員である私たちが出ていくのですが、求職者の懸念点としては、家庭やご両親の目、安定性も気になるということがあると思います。そうすると「ギリギリまで検討したのですが辞退します」というケースもありました。

しかし、上場するとすべての情報が開示されており、その事実があります。弊社の財務安定性に関しては、包み隠さず出ているため、内定を出すと「では、お願いします」という確率が増えました。

先ほどお伝えしたように、PM人材、コンサルタント人材が、弊社ではお客さまの価値を出すという意味で非常に重要で、成長戦略にも重要ですが、上場によって変わってきました。

國分:採用にはやはり良い影響があると聞きますよね。

古澤:そのとおりだと思います。その他には、投資家のみなさまから非常に厳しい叱咤をいただきます。お電話をいただくこともありますし、問い合わせ、あるいは投資家勉強会に行った時に質問をいただきます。「不甲斐ないぞ」とお叱りいただくこともあります。

ただ、それは株式投資をする人間として当然のことで、それが非常に良い緊張感になっていると思っています。

國分:やはり10パーセント、15パーセント増では駄目だということですね。

古澤:はい。今それが、巡り巡って何に良いかというと、現場のメンバーの「やってやるぞ」という士気につながります。株主のみなさまに業績を還元するという意識が大変高いです。部屋の温度が2℃ぐらい上がっている印象がありました。

國分:すごいですね。しかし、1年半前に転換して、ガラッと営業会社に変えられるというのは大変なことですよね、私も前職が営業会社なのですが、なかなかすごいなと思います。

古澤:私がもともと光通信という会社から出向しているという背景はあります。あとは、今の時代に合った方法がありますから、四半世紀前の、昭和の時代のスポ根では立ち行かないですね。

國分:灰皿が飛んでいるような状況ですね。

古澤:昔は飛んでいましたね。今はそのようなわけにいかないので、ストリートスマートなかたちで、みんなが幸せになる方法を考えています。

國分:なるほど。ただ、泥臭いところはきちんとやっていく姿勢が、業界の中でも強みというか、特徴になってきていますね。

質疑応答:デジタルマーケティング業界における強みについて

國分:私はデジタルマーケティング業界にあまり詳しくないのですが、プレイヤーが非常に多いイメージです。

古澤:はい、多いです。

國分:その中でこれだけリードを獲得できるのは、どこに強みがあるのでしょうか?

古澤:弊社の強みはいくつかあります。Faber Companyと同じようなサイズのデジタルマーケティング企業は、非上場も含めて山ほどありますが、弊社は他社と比べて、問い合わせを獲得する力が強いのが1つ目の強みです。

投資家目線で言うと、1リード獲得の単価が安いということになります。顧客獲得コストのことをCPA(Cost Per Acquisition)やCPO(Cost Per Order)と言いますが、同じ経費をかけていてもリード数が多ければ、これが低いです。

國分:普通の会社は積極的に広告宣伝費を打っているのでしょうか?

古澤:はい。弊社の一丁目一番地はデジタルマーケティングであり、祖業がSEOです。現場の方が困った時にまずググると思うのですが、その時のタッチポイントが多くなります。検索すると4回に3回は「ミエルカ」が出てくるので、「なんだろう?」と思いますよね。

國分:Googleでも「X(旧Twitter)」でも、何を検索してもFaberさんが出てくるということですね。

古澤:そうです。「YouTube」で情報収集して、「あれ、『ミエルカ』って書いてあるぞ」と気づいていただくこともあります。その上で、弊社のホームページに来ていただいた時に、潜在的なお客さまを含めてお客さまが気にされるのは、自分の会社と同じような業種の、同じような規模の成功事例はあるのかということです。例えばIRの仕事をやっていてSEO対策したい時に、靴屋さんの成功事例を見てもピンとこないですよね。

國分:そうですね。

古澤:その際に同じような業種があると、「なるほど、このように問題解決してくれるんだな」と思って、場合によってはそれをプリントアウトしたり、URLを上司に送ったりして「こういう会社がありますよ」と共有いただき、検討が一歩進むことがあります。

弊社の場合は、成功事例のインタビュー記事の公開数が非常に多いです。当然、成功させなければ事例として紹介できませんから、これは簡単なことではないのです。

國分:そうですよね。

古澤:ライザップで言う「コミット」のように、まずは成果を出すということが大切です。

2つ目は展示会です。弊社は東京ビッグサイトや幕張メッセでよく展示会をやっています。

國分:実は私もやっていました。

古澤:國分さんは主催者側でしたね。私たちは出店側で、他社とやることは一緒なのですが、成果が違います。

國分:それは、名刺獲得数などですか? 

古澤:そうです。だいたい2日間か3日間のイベントですが、その中で5分、10分の小さな時間単位の行動と成果にこだわることをずっと続けていくと、獲得する名刺の総数がまったくもって変わります。

國分:私も現場にいたのでわかりますが、会社さんによっては、ずっと座っているところもありますね。

古澤:立っていても、社員同士でしゃべっているところもありますよね。

國分:そうですね。社員同士でしゃべっているところもあります。

古澤:そうすると、参加者のみなさまも話しかけづらいですよね。そのような会社さんは、3日間の名刺獲得数は400枚ほどです。中央値が1,000枚から2,000枚、1,500枚ぐらいですが、弊社はその3倍ぐらいの名刺を獲得します。

國分:これはすごいことですね。さらっとおっしゃっていますが、現場を想像したらとてつもないです。

古澤:はい。実は先月も展示会があって、そこでトップスリーの成果を上げた人たちを今日のお昼にお寿司に連れて行きました。投資家のみなさまが見ていらっしゃるのでお伝えしますが、もちろん私のポケットマネーで、会社の経費ではありません。

國分:上からトップで行うのは大事ですが、下が自らこれをやるのは大事ですよね。

古澤:続いて3つ目の強みです。ここまで聞くと、体育会系の昭和的な会社だと怒られるのですが、実際は、こちらの3つ目こそが真骨頂で、非常に真面目に活動しています。

弊社には20冊ぐらい著書を出版している人間や、この業界では知らない人がいないような教科書的な立ち位置の人間がいます。彼らが世界に出て行って、最新の情報を日本に持ち帰り、YouTubeチャンネルやX(旧Twitter)、セミナー、レポート、ホワイトペーパーなどで欧米のトレンドや成功事例をアナウンスします。

これは他社が行っていない弊社独特の活動なので、大きな強みです。これをウォッチしてくださっている方というのはお客さまになりうる方であり、弊社の働き手になってくださる可能性もあります。両方の可能性を秘めているので、ここでコミュニケーションを取ることは非常に重要です。

結論としては、弊社の強みはリード獲得力が他の会社と比べて非常に高いことと言えます。

國分:なるほど。プロダクトなどで差を出したり、特許でがっちりと固めたりはできないので、このようなところが効いてくるのですね。

古澤:実は弊社では特許も取得しています。難しい話なので今回は省略しますが、技術面にはかなり注力して、大学との共同研究も行っています。それと同時に、とりわけ差がつきやすいリード獲得で、凡事徹底しているかたちです。

質疑応答:Growth DX社への出資における今期決算への影響について

國分:「今日リリースされたGrowth DXへの出資について、今期決算への影響は加味されていらっしゃるでしょうか?」というご質問です。

古澤:今期の決算への影響はありません。まだマイナーな出資ですので、より蓋然性が見えて、より深いお付き合いをして、投資家のみなさまに発表できる時点になったらご報告します。現時点では、非常に重要な取り組みだと思っています。BtoB企業において、マーケティングの次の工程はセールスです。

國分:確かに、結局そこですよね。

古澤:弊社のお客さまも常に困っていらっしゃいます。大手企業でも、人はたくさんいるだろうと思いますが、新規事業部門は人手が限られています。

助けてくれという声も大きいですし、これからは労働人口が減少します。Pepperくんが営業できるようになるまでにはまだ10年ぐらいかかりますよね。

國分:そのおかげで、リードは来るようになったのですが、次の手を打たなければいけないということですね?

古澤:そうです。

國分:そこをシームレスにつなげるということでしょうか。

古澤:はい。

國分:なかなか良い出資ということですね。

質疑応答:新規事業の展開について

國分:新規事業では、何をやるのでしょうか?

古澤:まだ蓋然性がないので、あまり大きな声では言っていないのですが、実は、私どもがこの20年間培ってきたケイパビリティと言いますか、コアコンピタンスを言語化すると、たくさんのリードを獲得することにあります。

このケイパビリティを活かして、より大きな市場に応用・転換できないか、この5年ぐらい仲間と一緒にずっと考えていました。私たちもソフトウェアを売っている立ち位置なので、振り返ってみるとSaaSという市場があります。

國分:大きいですね。

古澤:特にバックオフィス系が大きいです。

國分:「SmartHR」や「freee」などですね?

古澤:はい。市場が莫大で、おそらくまだ白地もかなり残っていると思います。

國分:まだ残っていますね。

古澤:政府の統計などを見たり、お客さまとお話ししたりすると、地方のお客さまの中にはまだ物理のタイムカードを押しているところもあります。

國分:ピッと打刻するものですね?

古澤:世間ではDXと呼ばれているIT化、ペーパーレス化、電子化について、まだビハインドしているお客さまが多数いらっしゃいます。そのようなところに悩みを聞くと、「セールスマンを3社ぐらいから呼ぶと、どこに聞いても『うちが1番だ』と言うんだけれど、本当なのか」とおっしゃいます。誰が1番なのか、わからないですよね。

國分:人間不信になりますね。

古澤:私たちが消費者で、保険を選ぶ時と一緒です。よくわからないので、保険の窓口に行くことがありますよね。同様にSaaSの窓口があってもいいのではないかということで、お客さまに成り代わって、「お客さまの規模と業種と今の環境を考えれば、人事系はこのツールで、それとAPIをつなげて基幹システムはこのツール、経費精算システムはこのツールがよいですよ」とプランニングしてさしあげるわけです。これは販売代理として行うので、お客さまからは代金を頂戴しません。

國分:手数料をいただくということですね?

古澤:そうです。お客さまが自分で選べない、どうしていいかわからない状況で、フィルターのかかった情報ではなく、「うちにベストなものを紹介してくれ」というニーズにダイレクトにアタッチできるという付加価値があります。業界の大先輩としては、大塚商会さまや光通信さまです。

國分:商社のようなかたちですね。

古澤:私たちはまだ足元の蟻のようなレベルですが、そのような先輩方のモデルを見習って、今の社会に必要とされるものを、私どものケイパビリティを活かして横展開し、1つの事業として立ち上げようとしています。今、その立ち上げ特攻隊長が私の机の横で取り組んでいます。

國分:部長クラスの方ですか? 

古澤:そうです。まだ今期は業績に織り込んでいませんので、2026年9月期に予算化すべく、一生懸命検証とテストマーケティングを進めて、日々少しずつ結果が出始めています。

國分:すでに少しずつ見えてきているのですね? 

古澤:はい。私もいろいろとやっていますが、はじめの一歩は小さいですよね。「その程度の売上があってもどうしようもない」と思われることもありますが、その先に大きな一歩がありますので、今みんなで取り組んでいます。

國分:将来的には柱になってくる感じですね?

古澤:そうですね。

國分:期待して見ていきたいと思います。

質疑応答:営業人員の数について

國分:「オーガニックで成長性を高めるとすると、2026年9月期に向けて営業力強化を図るのだと思いますが、営業人員はまだ足りていないのでしょうか?」というご質問です。

古澤:お恥ずかしい話ですが足りていません。採用活動にはかなり力を入れていますが、文化にマッチしているか、一緒に夢を追えるかということを大事にしているので、簡単には採用できないのです。

あとは、新卒の社員たちが非常に活躍するという過去の経緯も見て、新卒採用を強めていこうと考えています。来春は6名内定しており、先日、箱根で全社合宿を行いました。私たちは毎年1回、1泊2日で全員が集まる合宿があるのです。

國分:全員ですか? 

古澤:はい。そこで内定式を行って、私も内定者と一緒に食事しました。彼らの入社が非常に楽しみです。

國分:6名全員が営業ですか? 

古澤:いや、4人ぐらいですね。エンジニアもいます。そのような新卒を中心に営業の人たちを集めながら、PM人材の採用も行っています。

國分:コンサル提案ができる人でしょうか? 

古澤:はい。お客さまのヒアリングをしっかり行って、プランニングする人間です。こちらは逆にベテランの方が必要ですので、コンサルティングファームにいらっしゃる方などにお声がけしています。

國分:上場前に比べると、そのような人材も採りやすくなってきていますか?

古澤:そうですね。話は聞いてくれるようになっているので、それはありがたいことですね。弊社は今までも良いメンバーが多かったのですが、そこにプラスアルファの技能を持っているベテランたちが入ってくれるようになってきました。これがお客さまへの提案につながり、最終的に業績につながると信じています。

國分:人数も質も追求して、改善しているフェーズということですね?

古澤:そうですね。

質疑応答:M&Aを実施する際ののれん償却について

國分:「仮にM&Aを実施する際、バリエーションにこだわるという点は頼もしく感じています。貴社は日本基準でのれん償却も発生すると思いますが、収益を圧迫しないことは考慮されていますか?」というご質問です。

古澤:そうですね。教科書的な返答になってしまうかもしれませんが、EBITDAで5倍を目安に考えています。

國分:5倍ぐらいですか? 

古澤:はい。のれん償却といっても、20年も30年もできないという事情もあります。先のことはわからないので、のれんの償却はできれば短いほうがいいです。AIによって今後どのように状況が変化していくかわからないですし、実際の償却期間よりは短い償却期間を頭の中に描いて、それできちんと回収できるか計算したいと思っています。

とはいえ、魅力的な会社は、私たちだけではなくみんな欲しいですよね。

國分:価格が釣り上がってしまいますね。

古澤:そうです。その意味では、EBITDAが5倍以上になる可能性はあります。いずれにせよ、PMIを含めて、アップセル・クロスセルができるのか、きちんと経営統合できるのか、あるいは経営統合しないにしても、お互いをリスペクトしたかたちで数字にコミットできるのかなど、しっかりと考えて実施したいと思っています。経済的に破綻するようなM&Aというのは、今の段階では考えていないです。

質疑応答:販促費について

國分:リード獲得の強みに戻るのですが、御社の販促費は同業他社に比べると少ないですか?

古澤:少ないです。ただ、私どもはそれを反省点と捉えています。広告ではない方法でリードを獲得してきた経緯もあるのですが、一方で、諸先輩の会社さんの有価証券報告書を見させていただくと、私どもが使っている広告費・販促費の3倍から4倍の金額を使って結果を出しているところがいくつかあります。

そのような諸先輩の背中を見ると、もし採算があって、LTVが伸びて業績・利益ともに成長するのであれば、それを取らない手はないと考えています。

國分:より加速するイメージですね。

古澤:そうです。ただ同時に、ここは非常に危ないなとも思っています。私は慎重な性分なので、よくわからない状態でいきなり「じゃあ2,000万円使おう」「1億円使おう」ということはできません。

國分:石橋を叩いて渡るタイプですか?

古澤:非常に慎重に判断しています。例えば広告費は、数十万円、あるいは1日という単位で見て、投資に見合うものがしっかりと返ってくるのか確認しながら、ジャブを打って距離を測っています。

そのため、諸先輩の背中を追って、数年かけて販促費が3倍から4倍になることはあり得ますが、今年突然膨らむということはありません。やけどを負う可能性があるので、投資のタイミングを見て増やしていくことが大事だと考えています。

國分:「来期は販促費を増やすので赤字になります」ということはないわけですね。

古澤:はい。それをやると家に石が投げられてご叱責賜りますので、できるだけしないようになりました。もしそのようなことがあるとするならば、事前にご相談させていただいたほうが、お互い幸せではないかと思っています。

國分:そうですね。

質疑応答:粗利率の推移について

國分:「利益率は約14パーセントから15パーセントと上がっていると思いますが、粗利率は一定というイメージでよろしいでしょうか?」というご質問です。

古澤:直近は、そのとおりです。ただ、私どもは売上対営業利益率と粗利益率について、内部で目標を持っています。

國分:内部だけの目標ですか?

古澤:そうです。もう少し実績を伴ってからお話ししたいのですが、「このぐらい上げていこう」という目標を私どもの中で持っています。それを達成するために、1社のお客さまに対して、より多くの提案をしたり、深い仕事をしたりするようにしています。

お客さまにとって価値があれば継続月数も続き、LTVの総量が増えていくはずです。同じ営業コストでも、上がってくる粗利益の額が大きくなれば営業利益率に反映されるだろうと、手元では計算しながら営業しています。

こちらに関しては、今年はどうだったか、来年はどうするかということを、もう少し明確にご説明できるように私自身も鍛えていきたいと思っています。いずれにせよ、粗利率は上げるつもりで取り組んでいます。

國分:勉強不足なのですが、この業界における営業利益率15パーセントというのは、どのように見たらいいですか? 

古澤:まあ、普通ですかね。偏差値52から55くらいのイメージです。

國分:15パーセントでもそのぐらいなんですね。

古澤:そうですね。諸先輩で非常に高い企業では、20パーセントや25パーセントのところもあります。

國分:25パーセントですか? そんなに高い営業利益率になるのですか? 

古澤:はい。私どもも、そのような諸先輩の背中を見て、胸を借りて、しっかりとその背中を追いたいと思っています。

國分:なるほど。どこかのタイミングでKPIなどが開示されるということですね。

古澤氏からのご挨拶

國分:最後に、今期の意気込みをお願いします。

古澤:先ほどお伝えしたように、現在の数字が良いものだとはまったく思っていません。ただ、懺悔をしてもあまり意味がないので、具体的にどうするのか、毎日マネージャーと話して、1つずつ実験しながら取り組んでいます。

まずはしっかりと業績を上げて、株主のみなさまやお客さま、従業員のみなさま、世間さまも良しという状況を作るべく、がんばりたいと思っています。

投資家のみなさまにおかれましては、いろいろとお問い合わせ窓口を設けていますし、私はこのような勉強会にもけっこう出ていますので、いろいろなご意見を率直にぶつけていただければと思います。来週も神戸にいますので、直接お会いすることもできます。インサイダー情報以外でしたらお話しさせていただきます。

なかなか答えにくい情報もありますが、そのようなところで叱咤激励していただいて、株主のみなさまと一緒に幸せになっていければと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。

配信元: ログミーファイナンス

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