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nms Research Memo(3):2022年3月期は営業減益も、旺盛な需要により今後の市場見通しは明るい

配信元:フィスコ
投稿:2022/07/04 16:03
■業績動向

1. 2022年3月期の連結業績概要
nmsホールディングス<2162>の2022年3月期の連結業績は、売上高が63,277百万円(前期比15.4%増)、営業損益が361百万円の損失(前期は689百万円の利益)、経常利益が122百万円(前期比22.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損益が1,980百万円の損失(前期は735百万円の損失)となった。受注が堅調に推移したことによって売上高は伸びたものの、コロナ禍による影響や部材不足による影響が大きく、営業損益では損失を計上した。経常損益は、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する為替差益697百万円の発生を背景に利益を計上した。親会社株主に帰属する当期純利益については、EMS事業における米国・メキシコ拠点で実行した事業構造改革費用、想定収益の後ズレによる減損損失をそれぞれ164百万円、1,433百万円を計上したため、損失となった。事業全体としては、部材不足や先行投資などを要因に依然として厳しい事業環境ではある。しかし、部材不足の背景には製造業における生産活動活発化を通じた需要のひっ迫であること、同社の売上高も増加していることから、事業環境は徐々に快方に向かうだろうと弊社は考える。また、2022年3月期に実施した事業構造改革に関しても、2023年3月期下期からその効果が業績に反映されてくることが予想される。

2. セグメント別業績概要
(1) HS事業
HS事業の売上高は22,088百万円(前期比15.4%増)、セグメント利益は647百万円(同26.0%減)となった。国内事業についてはコロナ禍や半導体関連などの部材不足による影響があったものの、事業規模拡大に向けた施策が奏功したこと、コロナ禍に伴う顧客企業の稼働調整の影響が前期に比べて軽微となったことから、事業全体で増収となった。利益については、人材の募集関連費用といった事業規模拡大のための先行投資の影響があり、減益となった。海外事業については、ASEANにおける新型コロナウイルス感染症の再拡大により顧客企業の稼働調整などの影響はあったものの、前年同期に比べるとその影響は軽微であった。特に中国、タイの業績は改善傾向となった。

(2) EMS事業
EMS事業の売上高は28,400百万円(前期比18.1%増)、セグメント損失は536百万円(前期は29百万円の損失)となった。同事業は中国・ASEAN・北中米において生産活動を展開しており、戦略投資の実行期にある。コロナ禍に伴う影響として、マレーシア、メキシコの両政府方針によるロックダウンや部材不足などの影響が残ったものの、ベトナム拠点での新規品生産立ち上げの開始のほか、中国・ASEAN地域においてコロナ禍による影響が前期に比べて軽減されたこともあり、増収となった。利益面では、重点施策として生産立ち上げを進めているメキシコ拠点の先行投資コストに加え、事業全体において部材不足に起因した顧客企業の減産や生産計画の後ろ倒しや部材価格高騰などによる影響が大きく、利益圧迫要因となった。足元では、ベトナム拠点に続いて生産計画が後ろ倒しになっていたメキシコ拠点において、顧客企業からの受注が再開され、2023年3月期第1四半期から量産を開始した。

(3) PS事業
PS事業の売上高は12,788百万円(前期比9.6%増)、セグメント利益は1百万円(前期比99.5%減)となった。抜本的コスト構造改革による体質強化の効果もあり、第1四半期は想定を上回る状況で推移したものの、第2四半期に入って部品調達難や副資材も含む価格高騰の影響が顕著となった。また、顧客企業やサプライヤーの生産拠点が集中するベトナムやマレーシアにおけるコロナ禍によるロックダウンの影響で大幅な生産減となった。利益面では、部材調達難などの影響により、前期に対して減益となった。ただ需要は高い水準を維持していることから、部材不足解消時や2023年3月期以降を見据えた取り組みを進めている。

3. 財務状況
2022年3月期末における資産合計は前期末比3,334百万円増の34,842百万円となった。流動資産は26,349百万円となり、4,690百万円増加した。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が1,435百万円、原材料及び貯蔵品が2,279百万円、その他流動資産が302百万円増加したことによる。固定資産は8,453百万円となり、1,342百万円減少した。有形固定資産が1,192百万円減少したことによる。

負債合計は前期末比5,343百万円増の32,148百万円となった。流動負債は26,333百万円となり、8,873百万円増加した。これは主に短期借入金が7,287百万円、支払手形及び買掛金が1,261百万円増加したことによる。固定負債は5,814百万円となり、3,529百万円減少した。これは主に長期借入金が3,103百万円、その他固定負債が199百万円減少したことによる。純資産合計は前期末比2,008百万円減の2,693百万円となった。利益剰余金が2,046百万円減少したことが大きく影響した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)


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配信元: フィスコ
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