212円
nms ホールディングスのニュース
■業績動向
1. 2019年3月期第2四半期の連結業績概要
nmsホールディングス<2162>の2019年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比2.9%増の27,719百万円、営業利益が同59.8%減の239百万円、経常利益が同63.5%減の220百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同89.0%減の62百万円であった。計画に比べると、売上高が2.7%減、営業利益が40.1%減、経常利益が56.0%減、親会社株主に帰属する四半期純利益が82.0%減の大幅未達であった。先行投資負担や部材調達難が、利益を圧迫した。
事業セグメント別動向では、HS事業は旺盛な需要を反映して売上高が9,155百万円と前年同期比10.7%増加したものの、セグメント利益は147百万円と同44.1%減少した。国内需要は堅調に推移したものの、ロジスティクス関連新会社や外国人技能実習生向け研修事業会社等の先行コストにより、利益が大きく減少した。EMS事業は、売上高が同2.9%減の12,942百万円、利益が同61.5%減の157百万円と減収減益に終わった。工作機械関連やマレーシアの白物家電における需要に減速感が出た上、ベトナムの生産拠点における立ち上げ期のコスト計上が減益幅を大きくした。PS事業は需要の端境期から脱しつつあり、売上高が同5.3%増の5,621百万円、利益が同46.0%増の182百万円と増収増益であった。新規受注の量産化が順次スタートし、電池パックの出荷・納入も開始された。
2. 2019年3月期第2四半期の各セグメントの施策概況
同社は、事業環境の変化を好機とし、攻めの施策で成長基盤の構築を図っている。
(1) 外国人材の受け入れ拡大
HS事業の施策は、外国人技能実習生の定着支援である。発展途上国等に対する日本の国際貢献・国際協力の一環として「外国人技能実習制度」が創設され、在留実習生は2016年12月末時点で約23万人と5年間で6割増加した。2017年11月の制度改正により、優良な実習実施者・監理団体に対する優遇措置として、最長実習期間は3年から5年へ延長し、いったん帰国後、1ヶ月以上の間を置いて再び最大2年間の実習が可能となった。最大受け入れ人数枠は、常勤従業員の5%から10%へ拡大された。
同社は、2017年8月に外国人技能実習制度を総合的かつ、専門的に支援することを目的に、外国人技能実習生向け研修事業会社「日本技能教育機構(JATEO)」を設立した。同子会社は、1)入国後教育研修の受託、2)実習生受入先への業務支援を事業目的とする。
(2) 省力化装置事業への本格参入
HS事業では、2018年4月にキーエンス<6861>製の高解像度カメラを用いて、目視で行っていた検査工程の大幅な工数削減と安定した品質管理を実現する省力化装置の製造・販売に参入した。従来の人材サービス生産ライン請負に加えて、生産ライン診断・検証や省力化装置の設計・製作・導入の複合提案をする。既にベトナムや中国で引き合いが増加しており、タイにおいても省力装置事業を展開することを計画している。
(3) 物流3PL受託とテクニカル流通加工事業強化
これまでの物流3PL受託実績とテクニカルサービスのノウハウ・実績を生かして、新たな柱とすべく、2018年6月にnmsロジスティックス&テクニカルソリューション(株)を設立した。効率的な流通経路構築、革新的な物流戦略を支援し、各種電子デバイス製品の物流における高度加工にも対応する。人材ビジネスのグループリソースをフル活用し、物流業界の課題である機動的な人材確保とその定着、全体業務効率化を目指す。
(4) EMS事業の海外展開(アジア)
TKR MANUFACTURING VIETNAM CO., LTD.を2018年5月に設立し、2019年4月から生産を開始する計画だ。ベトナム工場は、4万平米の敷地にプレス工場と実装組立工場が配置される。マレーシアの拠点と機能の棲み分けをし、機動的な生産体制を構築する。生産品目は、液晶テレビ関連部品をはじめ、複合機関連部品などを予定している。
中国から東南アジアへの生産移行が進むなか、中国・東莞拠点にR&Dセンターを設置し、設計開発体制を強化する。同社グループは商品設計・部品設計力を高めて、テーラーメイド型EMSにより差別化を図り、大手メーカーのファブレス化による事業機会を獲得する。
(5) EMS事業の海外展開(米国・メキシコ)
12月19日、TKRが米国法人TKR USA, Inc.(以下、「TKR USA」)を設立し、TKR USAが、ソニー株式会社(以下、「ソニー」)の米国法人Sony Electronics Inc.(以下、「SEL」)の事業部門Sony Service and Operations of Americas(以下、「SSOA」)の機能及び事業、並びに、SSOAのメキシコ生産拠点 Sony Nuevo Laredo, S.A. de C.V.(以下、「SNL」)を譲り受けることが発表された。事業譲受実行日は、2019年3月31日を予定している。
TKRは、中期ビジョンにおいて、弱電分野及び車載関連分野を注力分野と位置づけ、国内外における拠点戦略を展開している。特に、海外拠点においては競争力強化に向け、中国(東莞)拠点に新たにR&Dセンターを設置、また、弱電分野製品の生産体制強化として、マレーシアに加え、2019年4月からはベトナムにおける生産立ち上げを予定しているが、車載関連分野の事業展開においては、自動車産業の一大集積地への進出が急務となっており、かねてよりその検討を進めていた。
この事業譲受は、当社グループ及びTKRにおける初の北中米市場進出を実現するものであり、車載関連分野も含めたEMS事業の事業規模拡大につながるものとなる。また、事業のみならず、1979年設立以来、当地で培われてきた、SSOA及びSNLの人的資産及び企業文化を引き継ぐことで、新たな発展の源泉となるものと位置付けられている。
(6) PS事業の新分野・新市場への参入
PS事業は、既存事業の強化とともに、伸長市場への参入により成長事業への転換を図る。これまで培ってきた電源技術を生かし、電池マネジメントシステム事業を始動した。リチウムイオン二次電池パックの受注、引合いが順調に推移している。2018年1月に松阪工場(三重県)を開設し、9月より生産を立ち上げ、10月より納入を開始した。具体例に、日産自動車<7201>「NV350キャンピングカー」向けの電池パックがある。車載のエアコン、キッチン家電、AV家電など多様な機器類の使用を可能にし、ワンランク上のキャンピングカーとする。
3. 財務状況
2019年3月期第2四半期末の総資産は、28,188百万円と前期末比1,692百万円増加した。流動資産では、現金及び預金が同247百万円減の4,289百万円となった一方、受取手形及び売掛金(同459百万円増)、棚卸資産(同216百万円増)が増加した。有形固定資産は、PS事業のEV分野の製品開発・製造拠点である松阪工場の開設に伴い同1,047百万円増加した。同工場の購入により有利子負債は2,965百万円増の13,600百万円に増加した。その結果、財務の安全性の指標となる流動比率が前期末比9.7ポイント減の140.7%へ、自己資本比率は同1.9ポイント減の19.9%へ低下した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 2019年3月期第2四半期の連結業績概要
nmsホールディングス<2162>の2019年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比2.9%増の27,719百万円、営業利益が同59.8%減の239百万円、経常利益が同63.5%減の220百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同89.0%減の62百万円であった。計画に比べると、売上高が2.7%減、営業利益が40.1%減、経常利益が56.0%減、親会社株主に帰属する四半期純利益が82.0%減の大幅未達であった。先行投資負担や部材調達難が、利益を圧迫した。
事業セグメント別動向では、HS事業は旺盛な需要を反映して売上高が9,155百万円と前年同期比10.7%増加したものの、セグメント利益は147百万円と同44.1%減少した。国内需要は堅調に推移したものの、ロジスティクス関連新会社や外国人技能実習生向け研修事業会社等の先行コストにより、利益が大きく減少した。EMS事業は、売上高が同2.9%減の12,942百万円、利益が同61.5%減の157百万円と減収減益に終わった。工作機械関連やマレーシアの白物家電における需要に減速感が出た上、ベトナムの生産拠点における立ち上げ期のコスト計上が減益幅を大きくした。PS事業は需要の端境期から脱しつつあり、売上高が同5.3%増の5,621百万円、利益が同46.0%増の182百万円と増収増益であった。新規受注の量産化が順次スタートし、電池パックの出荷・納入も開始された。
2. 2019年3月期第2四半期の各セグメントの施策概況
同社は、事業環境の変化を好機とし、攻めの施策で成長基盤の構築を図っている。
(1) 外国人材の受け入れ拡大
HS事業の施策は、外国人技能実習生の定着支援である。発展途上国等に対する日本の国際貢献・国際協力の一環として「外国人技能実習制度」が創設され、在留実習生は2016年12月末時点で約23万人と5年間で6割増加した。2017年11月の制度改正により、優良な実習実施者・監理団体に対する優遇措置として、最長実習期間は3年から5年へ延長し、いったん帰国後、1ヶ月以上の間を置いて再び最大2年間の実習が可能となった。最大受け入れ人数枠は、常勤従業員の5%から10%へ拡大された。
同社は、2017年8月に外国人技能実習制度を総合的かつ、専門的に支援することを目的に、外国人技能実習生向け研修事業会社「日本技能教育機構(JATEO)」を設立した。同子会社は、1)入国後教育研修の受託、2)実習生受入先への業務支援を事業目的とする。
(2) 省力化装置事業への本格参入
HS事業では、2018年4月にキーエンス<6861>製の高解像度カメラを用いて、目視で行っていた検査工程の大幅な工数削減と安定した品質管理を実現する省力化装置の製造・販売に参入した。従来の人材サービス生産ライン請負に加えて、生産ライン診断・検証や省力化装置の設計・製作・導入の複合提案をする。既にベトナムや中国で引き合いが増加しており、タイにおいても省力装置事業を展開することを計画している。
(3) 物流3PL受託とテクニカル流通加工事業強化
これまでの物流3PL受託実績とテクニカルサービスのノウハウ・実績を生かして、新たな柱とすべく、2018年6月にnmsロジスティックス&テクニカルソリューション(株)を設立した。効率的な流通経路構築、革新的な物流戦略を支援し、各種電子デバイス製品の物流における高度加工にも対応する。人材ビジネスのグループリソースをフル活用し、物流業界の課題である機動的な人材確保とその定着、全体業務効率化を目指す。
(4) EMS事業の海外展開(アジア)
TKR MANUFACTURING VIETNAM CO., LTD.を2018年5月に設立し、2019年4月から生産を開始する計画だ。ベトナム工場は、4万平米の敷地にプレス工場と実装組立工場が配置される。マレーシアの拠点と機能の棲み分けをし、機動的な生産体制を構築する。生産品目は、液晶テレビ関連部品をはじめ、複合機関連部品などを予定している。
中国から東南アジアへの生産移行が進むなか、中国・東莞拠点にR&Dセンターを設置し、設計開発体制を強化する。同社グループは商品設計・部品設計力を高めて、テーラーメイド型EMSにより差別化を図り、大手メーカーのファブレス化による事業機会を獲得する。
(5) EMS事業の海外展開(米国・メキシコ)
12月19日、TKRが米国法人TKR USA, Inc.(以下、「TKR USA」)を設立し、TKR USAが、ソニー株式会社(以下、「ソニー」)の米国法人Sony Electronics Inc.(以下、「SEL」)の事業部門Sony Service and Operations of Americas(以下、「SSOA」)の機能及び事業、並びに、SSOAのメキシコ生産拠点 Sony Nuevo Laredo, S.A. de C.V.(以下、「SNL」)を譲り受けることが発表された。事業譲受実行日は、2019年3月31日を予定している。
TKRは、中期ビジョンにおいて、弱電分野及び車載関連分野を注力分野と位置づけ、国内外における拠点戦略を展開している。特に、海外拠点においては競争力強化に向け、中国(東莞)拠点に新たにR&Dセンターを設置、また、弱電分野製品の生産体制強化として、マレーシアに加え、2019年4月からはベトナムにおける生産立ち上げを予定しているが、車載関連分野の事業展開においては、自動車産業の一大集積地への進出が急務となっており、かねてよりその検討を進めていた。
この事業譲受は、当社グループ及びTKRにおける初の北中米市場進出を実現するものであり、車載関連分野も含めたEMS事業の事業規模拡大につながるものとなる。また、事業のみならず、1979年設立以来、当地で培われてきた、SSOA及びSNLの人的資産及び企業文化を引き継ぐことで、新たな発展の源泉となるものと位置付けられている。
(6) PS事業の新分野・新市場への参入
PS事業は、既存事業の強化とともに、伸長市場への参入により成長事業への転換を図る。これまで培ってきた電源技術を生かし、電池マネジメントシステム事業を始動した。リチウムイオン二次電池パックの受注、引合いが順調に推移している。2018年1月に松阪工場(三重県)を開設し、9月より生産を立ち上げ、10月より納入を開始した。具体例に、日産自動車<7201>「NV350キャンピングカー」向けの電池パックがある。車載のエアコン、キッチン家電、AV家電など多様な機器類の使用を可能にし、ワンランク上のキャンピングカーとする。
3. 財務状況
2019年3月期第2四半期末の総資産は、28,188百万円と前期末比1,692百万円増加した。流動資産では、現金及び預金が同247百万円減の4,289百万円となった一方、受取手形及び売掛金(同459百万円増)、棚卸資産(同216百万円増)が増加した。有形固定資産は、PS事業のEV分野の製品開発・製造拠点である松阪工場の開設に伴い同1,047百万円増加した。同工場の購入により有利子負債は2,965百万円増の13,600百万円に増加した。その結果、財務の安全性の指標となる流動比率が前期末比9.7ポイント減の140.7%へ、自己資本比率は同1.9ポイント減の19.9%へ低下した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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