212円
nms ホールディングスのニュース
■今後の見通し
1. 2019年3月期業績予想
nmsホールディングス<2162>の2019年3月期通期の連結業績は、第2四半期の実績が予想を未達だったものの、期初予想が据え置かれた。売上高は前期比12.6%増の61,000百万円、営業利益が同0.6%増の1,300百万円、経常利益が同2.9%増の1,550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.5%減の1,100百万円となる。通期予想達成のハードルは上がった。通期予想達成のためには、下期の売上高が前年同期比22.2%増、営業利益が同52.5%伸びることが必要となる。下期の売上高営業利益率は上期の0.9%から3.2%に上昇することになる。2016年3月期下期に、同利益率は3.5%の水準を達成したが、当時は買収したばかりのPS事業(利益率9.4%)の貢献が大きかった。同事業の利益率は、その後下落傾向をたどり、ようやく端境期から脱出しつつある。
下期の業績拡大要因として、外国人材を中心とした受け入れ・管理受託業務等の拡大とPS事業における生産増加が挙げられる。PS事業は、上期に部材調達難に伴う生産計画後ろ倒しがあったため、下期に挽回を図る。ただし、既存品の需要は縮小傾向にあり、部品価格上昇のすべてを販売価格に転嫁するのは容易でない状況にある。新分野の電池パックは、車載や産業機械分野の用途であるため認証取得などに時間を要することから、2021年3月期以降に本格化すると思われる。当社は、今後の事業動向を見て、通期予想を見直す考えだ。
改正入管法が成立、2019年4月に施行される
2. 出入国管理法改正
外国人技能実習制度は技能の習得を目的にしているため、農林水産・製造・建設関連などに対象が限定される。2018年版出入国管理法改正(入管法)は、外国人労働者の受け入れを飲食や宿泊などのサービス業の単純労働を含むものに拡大する。法案が2018年12月に成立したことで、2019年4月から施行される。入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける。相当程度の知識または経験を要する技能を持つ外国人に「特定技能1号」を与え、14業種での就労を可能とする。14業種は、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造、電子・電気機器関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食になる。最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られる。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。1号で受け入れを想定する人数は、5年間で最大345,150人になる。
「特定技能2号」の資格は、さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人に与えられる。1~3年ごとなどの期間更新が可能で、更新回数に制限はない。配偶者や子どもなどの家族の帯同も認める。更新時の審査を通過すれば長期の就労も可能だ。
受入先機関は日本人と同等以上の報酬を支払うなど、雇用契約で一定の基準を満たす必要がある。直接雇用を原則とし、分野に応じて例外的に派遣も認める。
同社は、外国人材の受入拡大を好機とし、人材の受け入れ・定着・帰国後支援の仕組みを早期に仕上げ、好循環を作り上げる。外国人材の送り出しに当たっては、7ヶ国、8つの政府系送出機関と戦略的提携を行っている。グループネットワークで受け入れ先開拓とマッチングサポートを展開する。受け入れ先のニーズに合った講習・技能訓練を企画・構成し提供する。受け入れ先には、受け入れに必要な総務・人事・労務・福利厚生等に関する業務を、総合的かつ専門的に支援する。2018年5月に、ベトナム人材向け日本語教育システム「3Lシステム」を開発しており、運用を開始する。異文化教育や製造・介護技術、製造現場関連教育等もプログラム化し、他の国・地域に横展開する。外国人材の採用・派遣を拡大し、高度人材の多様化を進める。
新中期経営計画の目標値は、売上高1,000億円、EBITDA 45億円
3. 新中期3ヶ年経営計画
同社は2018年5月14日に新中期3ヶ年経営計画を発表した。最終年度となる2021年3月期の売上高1,000億円、EBITDA 45億円を目標値とする。3ヶ年におけるCAGRは、売上高が22.7%、EBITDAが31.3%の高成長を目指す。自己資本比率は、2018年3月期の21.8%から30%以上に、配当性向は同6.5%から20%に引き上げることを計画している。
3ヶ年で売上高は45,827百万円増加(3期間のCAGR:22.7%)することになる。増加額の事業別内訳は、HS事業が17,930百万円(同27.0%)、EMS事業が17,834百万円(同18.9%)、PS事業が10,063百万円(同24.3%)となる。HS事業は、良好な事業環境を反映して、コンスタントな成長が見込まれている。一方、EMS事業とPS事業は、最終年度の2021年3月期に、それぞれ前期比41.9%増と31.3%増の高成長が見込まれている。今3ヶ年の累計設備投資額は、前3ヶ年の3,261百万円から8,200百万円と倍増以上が計画されている。投資額は、1年目に2,400百万円、2年目に3,000百万円でピークを打ち、3年目に2,800百万円へ若干減少する。1、2年目の積極投資が、3年目に実を結び、営業利益を大幅に引き上げるという計画になる。
新中期経営計画では、『変化を好機に 攻めの施策で成長基盤を構築』を掲げている。事業環境の変化として、少子高齢化による労働力減少のリスクの顕在化、新興国の台頭及び生産地域の多極化、環境規制強化による新エネルギー需要の高まりに着目している。同社が進める事業戦略は、1)ASEAN市場開拓、2)新スキームの立ち上げ、3)新製品開発・投入になる。HS(人材サービス)、EMS(製造受託)、PS(電源製品の開発・生産・販売)のそれぞれの特長を生かした連携で経営基盤を強化し、持続的な成長を目指す。
なお、現時点で、TKRにおけるソニーからの事業譲受による影響は反映されていない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<MH>
1. 2019年3月期業績予想
nmsホールディングス<2162>の2019年3月期通期の連結業績は、第2四半期の実績が予想を未達だったものの、期初予想が据え置かれた。売上高は前期比12.6%増の61,000百万円、営業利益が同0.6%増の1,300百万円、経常利益が同2.9%増の1,550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.5%減の1,100百万円となる。通期予想達成のハードルは上がった。通期予想達成のためには、下期の売上高が前年同期比22.2%増、営業利益が同52.5%伸びることが必要となる。下期の売上高営業利益率は上期の0.9%から3.2%に上昇することになる。2016年3月期下期に、同利益率は3.5%の水準を達成したが、当時は買収したばかりのPS事業(利益率9.4%)の貢献が大きかった。同事業の利益率は、その後下落傾向をたどり、ようやく端境期から脱出しつつある。
下期の業績拡大要因として、外国人材を中心とした受け入れ・管理受託業務等の拡大とPS事業における生産増加が挙げられる。PS事業は、上期に部材調達難に伴う生産計画後ろ倒しがあったため、下期に挽回を図る。ただし、既存品の需要は縮小傾向にあり、部品価格上昇のすべてを販売価格に転嫁するのは容易でない状況にある。新分野の電池パックは、車載や産業機械分野の用途であるため認証取得などに時間を要することから、2021年3月期以降に本格化すると思われる。当社は、今後の事業動向を見て、通期予想を見直す考えだ。
改正入管法が成立、2019年4月に施行される
2. 出入国管理法改正
外国人技能実習制度は技能の習得を目的にしているため、農林水産・製造・建設関連などに対象が限定される。2018年版出入国管理法改正(入管法)は、外国人労働者の受け入れを飲食や宿泊などのサービス業の単純労働を含むものに拡大する。法案が2018年12月に成立したことで、2019年4月から施行される。入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける。相当程度の知識または経験を要する技能を持つ外国人に「特定技能1号」を与え、14業種での就労を可能とする。14業種は、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造、電子・電気機器関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食になる。最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られる。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。1号で受け入れを想定する人数は、5年間で最大345,150人になる。
「特定技能2号」の資格は、さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人に与えられる。1~3年ごとなどの期間更新が可能で、更新回数に制限はない。配偶者や子どもなどの家族の帯同も認める。更新時の審査を通過すれば長期の就労も可能だ。
受入先機関は日本人と同等以上の報酬を支払うなど、雇用契約で一定の基準を満たす必要がある。直接雇用を原則とし、分野に応じて例外的に派遣も認める。
同社は、外国人材の受入拡大を好機とし、人材の受け入れ・定着・帰国後支援の仕組みを早期に仕上げ、好循環を作り上げる。外国人材の送り出しに当たっては、7ヶ国、8つの政府系送出機関と戦略的提携を行っている。グループネットワークで受け入れ先開拓とマッチングサポートを展開する。受け入れ先のニーズに合った講習・技能訓練を企画・構成し提供する。受け入れ先には、受け入れに必要な総務・人事・労務・福利厚生等に関する業務を、総合的かつ専門的に支援する。2018年5月に、ベトナム人材向け日本語教育システム「3Lシステム」を開発しており、運用を開始する。異文化教育や製造・介護技術、製造現場関連教育等もプログラム化し、他の国・地域に横展開する。外国人材の採用・派遣を拡大し、高度人材の多様化を進める。
新中期経営計画の目標値は、売上高1,000億円、EBITDA 45億円
3. 新中期3ヶ年経営計画
同社は2018年5月14日に新中期3ヶ年経営計画を発表した。最終年度となる2021年3月期の売上高1,000億円、EBITDA 45億円を目標値とする。3ヶ年におけるCAGRは、売上高が22.7%、EBITDAが31.3%の高成長を目指す。自己資本比率は、2018年3月期の21.8%から30%以上に、配当性向は同6.5%から20%に引き上げることを計画している。
3ヶ年で売上高は45,827百万円増加(3期間のCAGR:22.7%)することになる。増加額の事業別内訳は、HS事業が17,930百万円(同27.0%)、EMS事業が17,834百万円(同18.9%)、PS事業が10,063百万円(同24.3%)となる。HS事業は、良好な事業環境を反映して、コンスタントな成長が見込まれている。一方、EMS事業とPS事業は、最終年度の2021年3月期に、それぞれ前期比41.9%増と31.3%増の高成長が見込まれている。今3ヶ年の累計設備投資額は、前3ヶ年の3,261百万円から8,200百万円と倍増以上が計画されている。投資額は、1年目に2,400百万円、2年目に3,000百万円でピークを打ち、3年目に2,800百万円へ若干減少する。1、2年目の積極投資が、3年目に実を結び、営業利益を大幅に引き上げるという計画になる。
新中期経営計画では、『変化を好機に 攻めの施策で成長基盤を構築』を掲げている。事業環境の変化として、少子高齢化による労働力減少のリスクの顕在化、新興国の台頭及び生産地域の多極化、環境規制強化による新エネルギー需要の高まりに着目している。同社が進める事業戦略は、1)ASEAN市場開拓、2)新スキームの立ち上げ、3)新製品開発・投入になる。HS(人材サービス)、EMS(製造受託)、PS(電源製品の開発・生産・販売)のそれぞれの特長を生かした連携で経営基盤を強化し、持続的な成長を目指す。
なお、現時点で、TKRにおけるソニーからの事業譲受による影響は反映されていない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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