1,387円
E・Jホールディングスのニュース
■会社概要
1. 会社沿革
E・Jホールディングス<2153>は2007年6月に、建設コンサルタント事業を主業務としていた株式会社エイトコンサルタントと日本技術開発株式会社が共同株式移転によって設立した持株会社である。その後の動きとしては、2008年1月にエイトコンサルタントの計測機器レンタル事業を吸収分割により日本インフラマネジメント(株)に承継させ、2009年6月には日本技術開発の建設コンサルタント事業等をエイトコンサルタントに承継している。承継の際に、エイトコンサルタントは社名を株式会社エイト日本技術開発に、日本技術開発は株式会社EJビジネス・パートナーズにそれぞれ変更している(2015年5月にエイト日本技術開発がEJビジネス・パートナーズを吸収合併)。
2010年6月には株式交換にて、橋梁・構造物、都市ライフラインに特化した建設コンサルタント事業を行う(株)近代設計を子会社化し、2017年12月には北海道での事業拡大を目的に(株)北海道近代設計を新設分割により設立している。また、海外展開としてはエイト日本技術開発が2014年11月にタイのバンコクに駐在事務所を、2018年9月にミャンマーに支店をそれぞれ開設した。
直近では、2019年3月に岡山県内で建設コンサルタント事業を行うアークコンサルタントを子会社化したほか、同年7月には九州エリアで発注者支援業務やインフラ管理業務を行うアイ・デベロップ・コンサルタンツを子会社化している。
社会資本整備プロジェクトの企画・計画策定から調査・設計、施工・運営管理まですべての工程をグループ内で提供できることが強み
2. 事業概要
同社グループは主に官公庁の公共事業等において、企画・構想から計画策定・事業化、調査・設計、工事施工管理、運営維持管理まで事業プロジェクトのすべての工程に関してワンストップでサービス提供できることを強みとしており、2019年7月時点の連結対象子会社は9社で構成されている(その他非連結子会社7社、関連会社2社)。
(1) 子会社の概要
連結売上高の7割強を占める主力子会社のエイト日本技術開発は、企画・計画策定、調査・設計、診断、マネジメント等の建設コンサルタント業務のほか、海外コンサルタント業務、観光農園やアグリビジネス等の地方創生につながる事業の開発などを行っており、その子会社となる(株)共立エンジニヤ及び共立工営(株)で測量・地質調査・設計業務を、都市開発設計(株)で上下水道や道路などの計画策定、工事設計・管理業務等を主に行っている。また、日本インフラマネジメントでは測量、施工管理、技術者派遣、計測機器のレンタル販売業務等を、近代設計では、道路・橋梁等の施工管理や発注者支援業務等をそれぞれ主に展開している。近代設計に関しては、国土交通省が推進する無電中化プロジェクト(計画・設計・調査・維持管理支援)の受注シェアで約2割強と高い実績を誇っていることが特徴となっている。無電柱化するためには地下に共同溝を作って電線や通信ケーブル、ガス・水道管などを集約化する必要があり、そのために水道局や通信、ガス会社との折衝が求められ、そのノウハウが競争力の源泉となっている。同ノウハウをグループ内で共有化し、エイト日本技術開発でも数件の受注実績が出始めている。
新たに子会社として加わったアークコンサルタントは、主に岡山県内の測量、道路や橋梁等の計画・設計、河川等の設計等の建設コンサルタント業務を行っており、年間売上規模は3億円弱となる。また、アイ・デベロップ・コンサルタンツは九州北部エリアを地盤に、社会インフラの発注者支援業務やインフラ施設管理業務等を展開しており、年間売上規模は8〜9億円程度となる。九州エリアにおける事業規模拡大を目的に子会社化した。アークコンサルタントの株式取得費用はわずかな額だが、アイ・デベロップ・コンサルタンツに関しては17億円で全株式を取得している。純資産額は5億円前後と見られ、のれんが発生するが償却方法や償却期間については確定していない。2社とも2020年5月期の第2四半期から連結業績に組み込む予定となっている。
(2) 発注機関別・地域別受注高構成比
同社の売上高の9割弱は官公庁向けで占められており、その中でも道路・橋梁などの交通インフラや治水・治山など国土保全に関わる案件の比率が高くなっている。2019年5月期実績では国交省を中心とした中央省庁が32.3%、都道府県が35.2%、市町村が19.7%、民間企業が10.9%、海外が1.9%となっている。なお、海外についてはアフリカやアジア地域における道路整備や治水・給水プロジェクト等、(独法)国際協力機構(以下、JICA)を通じた受注が大半を占めている。
地域別の受注高構成比で見ると本社のある中国が24.4%と最も高くなっており、次いで関東が19.6%、近畿が17.0%となり3つの地域で約6割を占めている。5年前の2014年5月期との比較で見れば、受注高構成比は関東が4pt、近畿が3pt上昇し、逆に四国や北海道・東北が3pt弱低下している。
受注プロジェクトの件数は年間約2,900件となっており、1件当たりの受注単価は平均で900〜1,000万円となっている。プロジェクト期間は1年内に終わる案件がほとんどだが、工期が複数に分割されているもので継続受注した場合は、トータルで3~4年の長期にわたるプロジェクトもある。また、業績を見るうえでは、売上高の6~7割が第4四半期(3月-5月期)に集中するため、第3四半期までは例年、損失を計上するといった季節要因がある点には留意する必要がある。
3. 経営理念
同社グループの経営理念(ミッション)は、「地球環境にやさしい優れた技術力と判断力で真に豊かな社会づくりに貢献する」こととしており、また、経営ビジョンとしては「持続的成長と企業価値向上を追い続ける、わが国第1級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループを目指す」ことを掲げている。
経営ビジョンの実現を目指すため、同社はイノベーション、プロフェッショナリズム、誠実、チームワークといった観点から4つの行動規範※を規定し、事業活動を行っている。
※イノベーション…社会や環境の変化を見極め、あらゆるインフラ分野の課題解決を目指し、グローカル(グローバルからローカルまで)な思考で行動する。
プロフェッショナリズム…多様で高度なニーズに的確に応えることのできる優れた技術と豊かな感性、誠実な人格を有するプロフェッショナル集団として、人材価値、企業価値を高めるため、自己研鑽に努める。
誠実… 関連法令ばかりでなく、企業倫理~職業倫理も遵守し、公正・中立的な立場で社会的責任を遂行する。
チームワーク…わが国第一級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループとしての自覚を持ち、常に高い目標を掲げ、その実現に向けてグループの総力で挑戦する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社沿革
E・Jホールディングス<2153>は2007年6月に、建設コンサルタント事業を主業務としていた株式会社エイトコンサルタントと日本技術開発株式会社が共同株式移転によって設立した持株会社である。その後の動きとしては、2008年1月にエイトコンサルタントの計測機器レンタル事業を吸収分割により日本インフラマネジメント(株)に承継させ、2009年6月には日本技術開発の建設コンサルタント事業等をエイトコンサルタントに承継している。承継の際に、エイトコンサルタントは社名を株式会社エイト日本技術開発に、日本技術開発は株式会社EJビジネス・パートナーズにそれぞれ変更している(2015年5月にエイト日本技術開発がEJビジネス・パートナーズを吸収合併)。
2010年6月には株式交換にて、橋梁・構造物、都市ライフラインに特化した建設コンサルタント事業を行う(株)近代設計を子会社化し、2017年12月には北海道での事業拡大を目的に(株)北海道近代設計を新設分割により設立している。また、海外展開としてはエイト日本技術開発が2014年11月にタイのバンコクに駐在事務所を、2018年9月にミャンマーに支店をそれぞれ開設した。
直近では、2019年3月に岡山県内で建設コンサルタント事業を行うアークコンサルタントを子会社化したほか、同年7月には九州エリアで発注者支援業務やインフラ管理業務を行うアイ・デベロップ・コンサルタンツを子会社化している。
社会資本整備プロジェクトの企画・計画策定から調査・設計、施工・運営管理まですべての工程をグループ内で提供できることが強み
2. 事業概要
同社グループは主に官公庁の公共事業等において、企画・構想から計画策定・事業化、調査・設計、工事施工管理、運営維持管理まで事業プロジェクトのすべての工程に関してワンストップでサービス提供できることを強みとしており、2019年7月時点の連結対象子会社は9社で構成されている(その他非連結子会社7社、関連会社2社)。
(1) 子会社の概要
連結売上高の7割強を占める主力子会社のエイト日本技術開発は、企画・計画策定、調査・設計、診断、マネジメント等の建設コンサルタント業務のほか、海外コンサルタント業務、観光農園やアグリビジネス等の地方創生につながる事業の開発などを行っており、その子会社となる(株)共立エンジニヤ及び共立工営(株)で測量・地質調査・設計業務を、都市開発設計(株)で上下水道や道路などの計画策定、工事設計・管理業務等を主に行っている。また、日本インフラマネジメントでは測量、施工管理、技術者派遣、計測機器のレンタル販売業務等を、近代設計では、道路・橋梁等の施工管理や発注者支援業務等をそれぞれ主に展開している。近代設計に関しては、国土交通省が推進する無電中化プロジェクト(計画・設計・調査・維持管理支援)の受注シェアで約2割強と高い実績を誇っていることが特徴となっている。無電柱化するためには地下に共同溝を作って電線や通信ケーブル、ガス・水道管などを集約化する必要があり、そのために水道局や通信、ガス会社との折衝が求められ、そのノウハウが競争力の源泉となっている。同ノウハウをグループ内で共有化し、エイト日本技術開発でも数件の受注実績が出始めている。
新たに子会社として加わったアークコンサルタントは、主に岡山県内の測量、道路や橋梁等の計画・設計、河川等の設計等の建設コンサルタント業務を行っており、年間売上規模は3億円弱となる。また、アイ・デベロップ・コンサルタンツは九州北部エリアを地盤に、社会インフラの発注者支援業務やインフラ施設管理業務等を展開しており、年間売上規模は8〜9億円程度となる。九州エリアにおける事業規模拡大を目的に子会社化した。アークコンサルタントの株式取得費用はわずかな額だが、アイ・デベロップ・コンサルタンツに関しては17億円で全株式を取得している。純資産額は5億円前後と見られ、のれんが発生するが償却方法や償却期間については確定していない。2社とも2020年5月期の第2四半期から連結業績に組み込む予定となっている。
(2) 発注機関別・地域別受注高構成比
同社の売上高の9割弱は官公庁向けで占められており、その中でも道路・橋梁などの交通インフラや治水・治山など国土保全に関わる案件の比率が高くなっている。2019年5月期実績では国交省を中心とした中央省庁が32.3%、都道府県が35.2%、市町村が19.7%、民間企業が10.9%、海外が1.9%となっている。なお、海外についてはアフリカやアジア地域における道路整備や治水・給水プロジェクト等、(独法)国際協力機構(以下、JICA)を通じた受注が大半を占めている。
地域別の受注高構成比で見ると本社のある中国が24.4%と最も高くなっており、次いで関東が19.6%、近畿が17.0%となり3つの地域で約6割を占めている。5年前の2014年5月期との比較で見れば、受注高構成比は関東が4pt、近畿が3pt上昇し、逆に四国や北海道・東北が3pt弱低下している。
受注プロジェクトの件数は年間約2,900件となっており、1件当たりの受注単価は平均で900〜1,000万円となっている。プロジェクト期間は1年内に終わる案件がほとんどだが、工期が複数に分割されているもので継続受注した場合は、トータルで3~4年の長期にわたるプロジェクトもある。また、業績を見るうえでは、売上高の6~7割が第4四半期(3月-5月期)に集中するため、第3四半期までは例年、損失を計上するといった季節要因がある点には留意する必要がある。
3. 経営理念
同社グループの経営理念(ミッション)は、「地球環境にやさしい優れた技術力と判断力で真に豊かな社会づくりに貢献する」こととしており、また、経営ビジョンとしては「持続的成長と企業価値向上を追い続ける、わが国第1級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループを目指す」ことを掲げている。
経営ビジョンの実現を目指すため、同社はイノベーション、プロフェッショナリズム、誠実、チームワークといった観点から4つの行動規範※を規定し、事業活動を行っている。
※イノベーション…社会や環境の変化を見極め、あらゆるインフラ分野の課題解決を目指し、グローカル(グローバルからローカルまで)な思考で行動する。
プロフェッショナリズム…多様で高度なニーズに的確に応えることのできる優れた技術と豊かな感性、誠実な人格を有するプロフェッショナル集団として、人材価値、企業価値を高めるため、自己研鑽に努める。
誠実… 関連法令ばかりでなく、企業倫理~職業倫理も遵守し、公正・中立的な立場で社会的責任を遂行する。
チームワーク…わが国第一級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループとしての自覚を持ち、常に高い目標を掲げ、その実現に向けてグループの総力で挑戦する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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