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アイティメディアのニュース
■イノベーション<3970>の会社概要
2. 事業内容
同社グループの主な事業内容は、法人向けのインターネットマーケティング支援事業である。つまり、法人営業における見込み顧客獲得(リードジェネレーション)や見込み顧客の育成(リードナーチャリング)、顧客獲得後のフォローアップまで、すべてのプロセスにおいてサービスを提供していることが特徴となっている。見込み顧客獲得のサービスとしてはIT製品の比較・資料請求サイトの「ITトレンド」、見込み顧客育成から顧客獲得後のフォローアップをMAツールの「List Finder」で、それぞれサービス提供する格好となっている。事業セグメントは、オンラインメディア事業とITソリューション事業と金融プラットフォーム事業の3つに区分されている。
(1) オンラインメディア事業
オンラインメディア事業は、B2B商材のマッチングプラットフォームである「ITトレンド」を中心に展開している。また、B2B特化の動画プラットフォーム「bizplay」やB2B特化のイベントプラットフォーム「ITトレンド EXPO」も手掛けている。
「ITトレンド」は、勤怠管理システムや会計システム等の法人向けIT製品やアウトソーシングサービスを提供する企業(以下、掲載企業)が見込み顧客の獲得を目的として自社製品・サービスを掲載するWebサイトである。掲載数や集客力は業界最大規模を誇っている。新たなIT製品やアウトソーシングサービス等の導入を検討する企業が「ITトレンド」に来訪し、掲載されている製品・サービスの中から関心のある品目を一括して無料で資料請求できる仕組みとなっている。
ビジネスモデルとしては、資料請求が行われた段階で掲載企業から成果報酬(1件当たり1万円が主流)が発生し、これが同社の売上となる。掲載企業から見れば、自社の製品・サービスに関心度の高い見込み顧客の獲得コストとして1件当たり1万円を支出することになるが、最終的な成約率まで考慮すれば、検索エンジン広告や有力メディアへの広告出稿やSEO対策を実施するよりも費用対効果としては大きい。このため、大手企業だけでなく営業リソースが不足しているベンチャー企業や中小企業等も見込み顧客獲得のための有力ツールとして「ITトレンド」を活用しており、結果、多くの製品・サービスが同サイトに掲載されるようになっている。同社の費用としては、Webサイトを運営するためのサーバー費用のほか、掲載する製品・サービスの紹介文等の作成及び顧客対応に携わる人員の人件費、Webサイトの認知度を向上させ、来訪者を増やしていくためのインターネット広告費等となる。費用としては広告費を除けばほぼ固定費となるため、限界利益率の高いビジネスモデルとなっている。
資料請求件数を増やすための施策としては、掲載製品数を拡充していくと同時に同サイトへの来訪者を増やしていくこと、CVRを高めていくことが重要となる。現在、来訪者の流入経路としては検索エンジンを経由したものが約7割を占めているため、検索エンジンで上位表示されるようなSEO対策が重要となる。
なお、競合する比較・資料請求サイトとしては、マネーフォワード<3994>が2019年11月に子会社化したスマートキャンプ(株)の「ボクシル」のほか、アイティメディア<2148>の「キーマンズネット」等がある。IT製品の比較サイトが複数あるなかで同社の強みとしては、「掲載企業を増やし維持するノウハウ」「見込み顧客を獲得するノウハウ」の2点が挙げられる。「掲載企業を増やし維持するノウハウ」としては、業界知識や組織的な営業力を生かした直接販売による新規開拓力を持つこと、また、掲載企業の見込み顧客獲得後の「フォロー方法」や「管理手段」まで踏み込んだフォロー体制を構築し、掲載企業の売上向上サポートにも注力している点が挙げられる。
「見込み顧客を獲得するノウハウ」については、サイトへの来訪者数をいかに増やすことができるかが重要なポイントとなるが、同社ではリスティング広告代理事業やSEO事業で培った検索エンジンからサイトへの集客力向上施策にノウハウ(キーワード検索で上位表示されるようなサイト構造の最適化等)を持っているほか、日経BP等のパートナーを通じたサイト集客施策(メールマガジン配信等)を行っていることも強みとなっている。また、長年のサイト運営で培った「問合せ率」向上のためのサイト最適化ノウハウも有しており、高いCVRにつながっている。
(2) ITソリューション事業
ITソリューション事業では、法人営業に特化したMAツール「List Finder」や、これらを基軸としたWebサイトへの集客施策等に関するコンサルティングサービス等を提供している。
「List Finder」は、法人営業プロセスのなかで見込み顧客の育成から成約・クロージング(リードナーチャリング)、アップセル・クロスセル(フォローアップ)までを効率的に行うツールである。主な機能としては名刺情報に基づいた見込み顧客の一元管理、一括メール配信、自社サイト来訪個人解析、自社サイト来訪企業解析、フォーム作成機能等が挙げられる。
MAツールの市場は、5~6年ほど前から日本でもSalesforceやマルケト(2018年、Adobeに買収)等の、外資系企業が販売を開始したのを契機に立ち上がり始めた比較的新しい市場となっている。ただ、外資系の製品はいずれも高機能でシナリオ設計が複雑であるため、ツールを使いこなすためにはマーケティングとITに精通した人材を専任で配置する必要がある。同社は、簡単な機能で低価格の製品を提供できれば中堅・中小企業等でも需要が拡大すると見て「List Finder」を開発した。
ビジネスモデルは、導入企業に対する月額料金の合計が収益となる構造である。2020年3月期より、それまでのアカウント数拡大戦略から収益力強化に向けた顧客満足度の最大化戦略に転換している。足元では導入企業数は2020年3月期は483件、2021年3月期は475件、2022年3月期は478件と横ばいが続いているものの、平均請求金額(ARPU:Average Revenue Per User)の上昇により、利益の拡大に成功している。
(3) 金融プラットフォーム事業
金融プラットフォーム事業は、2021年3月期第1四半期から事業を開始している。DX(デジタルトランスフォーメーション)が遅れており、かつ大幅な市場成長が見込まれるIFA市場とM&A市場をターゲットとしている。デジタルマーケティングのノウハウを生かし、金融仲介業に進出し、IFA事業とM&A事業を始めている。2020年2月に資産運用コンサルティング業務を行うHorse IFA Partners(現 Innovation IFA Consulting)の株式を取得し子会社化したほか、同年10月にM&A仲介支援業務を行うInnovation M&A Partnersを設立し、事業を拡大している。IFA事業では、IFA人数、口座数、預かり資産残高等が重要な指標である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
<EY>
2. 事業内容
同社グループの主な事業内容は、法人向けのインターネットマーケティング支援事業である。つまり、法人営業における見込み顧客獲得(リードジェネレーション)や見込み顧客の育成(リードナーチャリング)、顧客獲得後のフォローアップまで、すべてのプロセスにおいてサービスを提供していることが特徴となっている。見込み顧客獲得のサービスとしてはIT製品の比較・資料請求サイトの「ITトレンド」、見込み顧客育成から顧客獲得後のフォローアップをMAツールの「List Finder」で、それぞれサービス提供する格好となっている。事業セグメントは、オンラインメディア事業とITソリューション事業と金融プラットフォーム事業の3つに区分されている。
(1) オンラインメディア事業
オンラインメディア事業は、B2B商材のマッチングプラットフォームである「ITトレンド」を中心に展開している。また、B2B特化の動画プラットフォーム「bizplay」やB2B特化のイベントプラットフォーム「ITトレンド EXPO」も手掛けている。
「ITトレンド」は、勤怠管理システムや会計システム等の法人向けIT製品やアウトソーシングサービスを提供する企業(以下、掲載企業)が見込み顧客の獲得を目的として自社製品・サービスを掲載するWebサイトである。掲載数や集客力は業界最大規模を誇っている。新たなIT製品やアウトソーシングサービス等の導入を検討する企業が「ITトレンド」に来訪し、掲載されている製品・サービスの中から関心のある品目を一括して無料で資料請求できる仕組みとなっている。
ビジネスモデルとしては、資料請求が行われた段階で掲載企業から成果報酬(1件当たり1万円が主流)が発生し、これが同社の売上となる。掲載企業から見れば、自社の製品・サービスに関心度の高い見込み顧客の獲得コストとして1件当たり1万円を支出することになるが、最終的な成約率まで考慮すれば、検索エンジン広告や有力メディアへの広告出稿やSEO対策を実施するよりも費用対効果としては大きい。このため、大手企業だけでなく営業リソースが不足しているベンチャー企業や中小企業等も見込み顧客獲得のための有力ツールとして「ITトレンド」を活用しており、結果、多くの製品・サービスが同サイトに掲載されるようになっている。同社の費用としては、Webサイトを運営するためのサーバー費用のほか、掲載する製品・サービスの紹介文等の作成及び顧客対応に携わる人員の人件費、Webサイトの認知度を向上させ、来訪者を増やしていくためのインターネット広告費等となる。費用としては広告費を除けばほぼ固定費となるため、限界利益率の高いビジネスモデルとなっている。
資料請求件数を増やすための施策としては、掲載製品数を拡充していくと同時に同サイトへの来訪者を増やしていくこと、CVRを高めていくことが重要となる。現在、来訪者の流入経路としては検索エンジンを経由したものが約7割を占めているため、検索エンジンで上位表示されるようなSEO対策が重要となる。
なお、競合する比較・資料請求サイトとしては、マネーフォワード<3994>が2019年11月に子会社化したスマートキャンプ(株)の「ボクシル」のほか、アイティメディア<2148>の「キーマンズネット」等がある。IT製品の比較サイトが複数あるなかで同社の強みとしては、「掲載企業を増やし維持するノウハウ」「見込み顧客を獲得するノウハウ」の2点が挙げられる。「掲載企業を増やし維持するノウハウ」としては、業界知識や組織的な営業力を生かした直接販売による新規開拓力を持つこと、また、掲載企業の見込み顧客獲得後の「フォロー方法」や「管理手段」まで踏み込んだフォロー体制を構築し、掲載企業の売上向上サポートにも注力している点が挙げられる。
「見込み顧客を獲得するノウハウ」については、サイトへの来訪者数をいかに増やすことができるかが重要なポイントとなるが、同社ではリスティング広告代理事業やSEO事業で培った検索エンジンからサイトへの集客力向上施策にノウハウ(キーワード検索で上位表示されるようなサイト構造の最適化等)を持っているほか、日経BP等のパートナーを通じたサイト集客施策(メールマガジン配信等)を行っていることも強みとなっている。また、長年のサイト運営で培った「問合せ率」向上のためのサイト最適化ノウハウも有しており、高いCVRにつながっている。
(2) ITソリューション事業
ITソリューション事業では、法人営業に特化したMAツール「List Finder」や、これらを基軸としたWebサイトへの集客施策等に関するコンサルティングサービス等を提供している。
「List Finder」は、法人営業プロセスのなかで見込み顧客の育成から成約・クロージング(リードナーチャリング)、アップセル・クロスセル(フォローアップ)までを効率的に行うツールである。主な機能としては名刺情報に基づいた見込み顧客の一元管理、一括メール配信、自社サイト来訪個人解析、自社サイト来訪企業解析、フォーム作成機能等が挙げられる。
MAツールの市場は、5~6年ほど前から日本でもSalesforce
ビジネスモデルは、導入企業に対する月額料金の合計が収益となる構造である。2020年3月期より、それまでのアカウント数拡大戦略から収益力強化に向けた顧客満足度の最大化戦略に転換している。足元では導入企業数は2020年3月期は483件、2021年3月期は475件、2022年3月期は478件と横ばいが続いているものの、平均請求金額(ARPU:Average Revenue Per User)の上昇により、利益の拡大に成功している。
(3) 金融プラットフォーム事業
金融プラットフォーム事業は、2021年3月期第1四半期から事業を開始している。DX(デジタルトランスフォーメーション)が遅れており、かつ大幅な市場成長が見込まれるIFA市場とM&A市場をターゲットとしている。デジタルマーケティングのノウハウを生かし、金融仲介業に進出し、IFA事業とM&A事業を始めている。2020年2月に資産運用コンサルティング業務を行うHorse IFA Partners(現 Innovation IFA Consulting)の株式を取得し子会社化したほか、同年10月にM&A仲介支援業務を行うInnovation M&A Partnersを設立し、事業を拡大している。IFA事業では、IFA人数、口座数、預かり資産残高等が重要な指標である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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