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三機工業 Research Memo(7):2023年3月期から“Century 2025”Phase3へ

配信元:フィスコ
投稿:2022/06/29 16:07
■中期経営計画

1. 長期ビジョン“Century 2025”とは
三機工業<1961>は創立100周年に向けた10年間の目標として、2016年3月に長期ビジョン“Century 2025”を発表した。この計画の最初の3年間(2017年3月期から2019年3月期)をPhase1、次の3年間(2020年3月期から2022年3月期)をPhase2、最後の4年間(2023年3月期から2026年3月期)をPhase3とした。各Phaseにおいて、様々な「定性的目標」「定量的目標」を掲げてきたが、完了したPhase2まではおおむねこれらの目標は達成したと言える。そして現在は、2023年3月期から“Century 2025”の総仕上げとなるPhase3に入った。このPhase3ではステークホルダーから「選ばれる」会社となることを目標とし、重要施策として「社会のサステナビリティへの貢献」「働き方改革の加速」「次世代に向けた投資」を掲げている。

2. Phase2の総括
Phase2は、2022年3月期で完了した。主な定量的目標に対してはおおむね達成したものの、前倒しで達成したものもあれば、コロナ禍の影響もあり最終年度には未達となったものもある。経営目標についても同様だ。自己株式の取得とROEは未達となったものの、経常利益、配当、総還元性向などは目標に達した。この3年間が「コロナ禍」という世界的に未曽有の状況であったことを考慮すれば、これらの結果は非常に健闘したと言えるだろう。

3. Phase3の基本方針と施策の全体像
Phase3は、⾧期ビジョン“Century 2025”の総仕上げとなる中期経営計画として、これまで取り組んできた「質」と「信頼」を高める施策をさらに成熟・進化させるとともに、新たな3つの施策「社会のサステナビリティへの貢献」「働き方改革の加速」「次世代に向けた投資」によって「選ばれる」 会社を実現することを基本方針としている。これまでのPhase1及びPhase2で掲げてきた各施策を継続し、さらなる進化を目指すと同時に、「Phase3の新たな3つの重要施策」を実行していく。

(1) 「社会のサステナビリティへの貢献」
1) 脱炭素社会実現に向けた新技術開発の促進
2) サプライチェーンを含めた全体の温室効果ガスの排出削減
3) 環境負荷や人権に配慮したCSR調達の推進
4) 「SANKI YOU エコ貢献ポイント」の強化
5) 実効的なBCP※1を維持するためのBCMS※2の構築・運用

※1 BCP:Business Continuity Plan=事業継続計画
※2 BCMS:Business Continuity Management System=事業継続マネジメントシステム


(2) 「働き方改革の加速」
達成感・成長・自己実現・社会の発展への貢献などの価値を実感でき、人権が尊重され、適切な待遇を得られることを目指す。
1) 経営トップ主導「スマイルプロジェクト」の継続
2) 若手の積極登用と定年延長を軸とした人事制度の改革
3) DXによる品質・生産性向上と労働時間抑制の両立
4) ダイバーシティ推進を考慮した人財確保・育成

(3) 「次世代に向けた投資」
未来に向け、これからの社会が求める分野で新たなエンジニアリングビジネスの芽を育てる。
1) 分野
・脱炭素技術 (省エネルギー、創エネルギー等)
・自動化・省人化技術 (マテリアルハンドリング)
・LCE事業(ストックビジネス)
・DX
2) 手段
・成長投資 200億円程度
・オープンイノベーションなど外部連携
・M&A

4. Phase3の業績目標と経営目標
定量的な目標としては、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上などとしている。決して容易な目標ではないが、重要な点は、「この目標に向けて同社が質的・量的にどのように変わっていくか」である。今後の同社のさらなる変化に注目したい。

5. 「2050年の姿」(超長期ビジョン)
また同社では、気候変動をはじめとするさまざまな社会問題に対し、将来を見据えながら対応していくためにPhase3と合わせて「2050年の姿」を定めた。「選ばれ続ける三機へ!」をテーマに、カーボンニュートラルの達成に取組むなど、快適環境を創造するエンジニアリングで答えを出し、サステナブルな世界の実現に貢献する企業を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


<EY>
配信元: フィスコ
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