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ホクト、きのこの単価が堅調に推移し2Qは増収増益 通期見通しは火災に伴う影響を精査し来月発表見込み
2025年3月期第2四半期決算説明会
水野雅義氏(以下、水野):ホクト株式会社代表取締役社長の水野です。本日は、2025年3月期第2四半期の決算説明をご視聴いただきありがとうございます。10月29日に長野県上田市にある上田第一きのこセンターの作業棟で火災を発生させてしまい、みなさまには大変ご心配をおかけしています。その点についても後ほど触れていきますので、よろしくお願いします。
目次
本日は2025年3月期第2四半期の決算報告、および今後についてもお話しします。
2025年3月期第2四半期 決算のポイント
2025年3月期第2四半期決算のポイントです。国内きのこ事業において、猛暑や台風等の影響により野菜相場が非常に高くなりました。このような影響に引きずられるかたちできのこの単価が堅調に推移し、結果として増収増益となりました。
為替については、期末のほうが期初よりも円高に振れたことにより、為替の差損が発生しましたが、経常利益はほぼ前年並みに落ち着きました。
2025年3月期第2四半期 連結決算 (前期比)
前年同期と比較しながら、第2四半期の決算についてご説明します。国内きのこ事業においては、梅雨の時期が非常に短く、平年より高い気温の日が続きました。さらに、猛暑や台風の影響から多くの野菜の供給量が例年よりも少なく、野菜相場が高値で推移したため、きのこの単価も堅調に推移しました。
その結果、売上高・営業利益ともに前年を上回りました。スライドに前期比増減額の連結数字を記載しているとおり、前年よりも売上高は11億3,500万円、営業利益は16億9,300万円プラスに転じ、お示ししている数字となりました。主な要因については、後ほど触れたいと思います。
2025年3月期第2四半期 きのこ生産量の推移(連結)
きのこ生産量は、昨年や一昨年の反省を踏まえ、需要と供給のバランスをできるだけ維持するため、計画段階から前年よりも生産量を下回る予定でした。エリンギの生産量が計画よりも100トン少なくなりましたが、概ね計画どおり生産することができました。
2025年3月期第2四半期 セグメント別サマリー
セグメントごとのサマリーです。先ほどお話ししたとおり、国内きのこ事業は猛暑や台風の影響から増収増益となりました。
海外きのこ事業は、現地通貨ベースでは増収増益でしたが、為替が円高に振れたため、日本円ベースでは減収となっています。通貨ベースについては、後ほどお話しします。
加工品事業は、外食やデリカ、中食向け商品が好調でした。特に、レトルト食品を作っている子会社の株式会社アーデンでは受注も回復傾向にあり、前年に比べて増収となりました。
化成品事業は、きのこ生産者向けの原料などが堅調でしたが、全体の売上高を若干落としつつも前年並みとなっています。現在は原料・原材料関係の価格が上がっており、営業サイドで取引先に原料・原材料価格の高騰を猶予するお願いを進めている最中です。その反動も若干あって利益は上がっていますが、売上高はほぼ前年並みとなりました。
2025年3月期2Q 国内きのこ事業(平均販売単価の比較)
きのこの平均販売単価について、当社前年対比と計画対比をご覧ください。生産量の調整等を実施したことや、猛暑・台風の影響から、計画的に前年を大きく上回りました。アイテムにもよりますが、わずかながら計画を上回るかたちで単価は堅調に推移しました。
2025年3月期2Q 国内きのこ事業(生産量の比較)
昨年・一昨年の反省を踏まえ、生産量は前年に比べて数パーセント落としました。中でも、霜降りひらたけを大きく落としています。なお、生産量はほぼ計画どおりとなっています。
2025年3月期第2四半期 海外きのこ事業 (前期比)
海外事業です。スライドの前期比は、現地通貨の数字でお示ししています。アメリカは前年に比べ、大きくジャンプアップしました。昨年下期頃から、値上げ要請に反映してきた状態が続いています。現在は、さらなる値上げのお願いを進めているところです。
台湾は、ほぼ計画どおりです。マレーシアは、単価アップなどさまざまな努力を重ね、前年に比べて売上高や営業利益がジャンプアップした数字となっています。
2025年3月期第2四半期 連結決算 (計画比)
連結決算の計画比です。売上高は、若干計画を下回る数字となっています。一方で営業利益は、価格とのバランスから計画を上回る数字となっています。当初よりも、現場サイドでエネルギーコストの削減に努めたことが大きな要因となっています。加えて、販売価格が堅調に推移したことも利益につながっています。当初の計画より若干下回ったアイテムが一部出たこともあり、売上高は計画に届かなかったのではないかと考えています。
経常利益は、為替の問題があったものの、期初計画から6億5,000万円プラスに落ち着いています。
2025年3月期第2四半期 セグメント別概況 (計画比)
セグメント別の計画比は、スライドに記載のとおりです。国内きのこ事業は野菜の堅調もあり、営業利益は計画比10億100万円プラスとなっています。
海外きのこ事業については後ほどご説明しますが、アメリカでの値上げに向けて若干もたついた部分があり、当初の計画よりも売上や利益が遅れてしまいました。
また、加工品事業では子会社の株式会社アーデンにおける推移が良かったため、計画を上回る数字になっています。
化成品事業は、値上げへの準備や新規がなかなか取れないこともあり、売上高は計画より1億1,000万円落とすかたちとなりましたが、営業利益は計画よりも4,100万円プラスで推移しています。
2025年3月期第2四半期 海外きのこ事業(計画比)
海外事業については、先ほどもご説明したとおり、アメリカに関しては、値上げの時期とのバランスが若干崩れたため、売上では計画を達成していませんが、年初と比べると売上・営業利益ともに大きく改善してきています。
台湾に関しては、猛暑の影響等もあって売上を少し落としていますが、ほぼ計画の範囲内だと考えています。
一方でマレーシアに関しては、本当はもう少し計画に近づきたかったのですが、まだ中国産のキノコの影響などがあり、そこに100パーセント対応しきれていないため、売上・営業利益ともに計画を下回っています。
以上が、第2四半期の海外きのこ事業の結果となります。
上田第一きのこセンターの火災について
上田第一きのこセンターが10月29日に火災を発生させ、作業棟が全焼しました。現在、消防でも原因を調べていますが、まだ結論には至っていません。ただ、いろいろな視点を考慮し、当時は無人であったことも考えると、なんらかの電気系統のトラブルが原因ではないかと推測しています。
復旧に向けた現況としては、おそらく来月頃まで解体はできない状況であるとのことですが、なんとか来年の今頃には生産できるようにと考えています。
2025年3月期通期の連結業績予想値の修正
そのようなこともあり、通期見通しの諸条件が変わってきています。11月14日の発表では「数字未定」と述べましたが、現在は各部門において、この火災に伴う影響などを精査しており、来月には見通しを出したいと考え、努めているところです。
2025年3月期通期の個別業績予想値の修正
個別の業績予想についても同様です。なお、中期経営計画については、上田第一きのこセンターの復旧見通しが立たなかったため、初年度からの見通しが出せない事態となり、延期しました。
ただし、すでにいろいろと進めており、2025年3月期の決算時には中期経営計画を発表したいと考えています。みなさまには本当にご心配とご迷惑をおかけしていますが、どうかご理解のほどよろしくお願いします。
以上、第2四半期の決算説明でした。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:上田第一きのこセンター再建予定地と減産分の増産体制について
質問者:上田第一きのこセンターの工場再建について質問です。先ほど、「来年の今頃には生産できるようにしたい」というお話でしたが、現在と同じ場所に再建する見通しでしょうか?
水野:そのように考えていただいてけっこうです。
質問者:上田第一きのこセンターの工場で生産しているのはブナシメジで、国内生産のおよそ7パーセントを占めていたと思いますが、足元では他の十数拠点で増産をかけ、鍋シーズンが始まるこれからの時期に備えていくということになりますか?
水野:正直にお伝えしますと、現在、上田第一きのこセンターの部分が減産というかたちになっています。したがって、10パーセントまではいきませんが、7パーセントから8パーセントほどの生産量を落としている状況です。
質問者:それは、今後、他の工場で増産をかけて補えそうなのでしょうか? 現在は、他の工場もなかなか手一杯な状況ですか?
水野:年末などが休みになる工場では、現場の許す限りそこをリカバーしようと考えていますが、上田第一きのこセンターで生産していた分を丸々補う量までは対応できないと思います。年末に、スズメの涙程度カバーするくらいでしか対応できない状況になっています。
質問者:それでは、丸々7パーセントほどがそのまま減産状態になるのでしょうか?
水野:ピーク時はそうなりますが、少し不需要期になって生産調整をする際、上田第一きのこセンターの部分をカバーするかたちになるかと思います。
質問者:これからの冬の需要期では、上田第一きのこセンター分を丸々補うのは難しいということですね。
水野:難しいです。
質疑応答:上田第一きのこセンター再建コストと需要について
質問者:火災が発生した上田第一きのこセンターの作業棟は「建て直す」という言い方でよろしいですか?
水野:そのようになります。
質問者:どのぐらいの投資をされるのか、おおよその見通しが立っていれば教えてください。
水野:まだ解体の見積もりさえも出ていないため、現時点ではわかりません。ただし、作業棟を丸々作らなければならなくなるため、新たな場所で建てるよりも、同じ場所に建てたほうがコストがかからず、時間にも猶予があるかと思います。そのため、解体して建設したほうが時間的にも有意であると考えています。
質問者:わかりました。建て直すのは当然のようにも考えられますが、その反面、昨年から減産もされているため「再建するのだろうか?」と注目していました。そのような意味で、上田第一きのこセンターを建て直す理由は、どのようなお考えからなのでしょうか?
水野:東京都を中心にお客さまがしっかりとついており、今回も、この件で取引先には非常にご迷惑をおかけしている実態があります。正直に言いますと、現在も営業が全国でそれぞれのきのこをうまく寄せ合いながら、なんとか全体でカバーしている状況です。これが来年も再来年もということになると非常に厳しく、まだ上田第一きのこセンター分の需要はあると考えているため、再建していくことになると考えています。
質問者:わかりました。東京の出荷元として、非常に大事であるということですね。
水野:そうですね。
質疑応答:火災での事件性について
質問者:火災の原因は電気系統のトラブルではないかというお話がありましたが、誰も侵入した形跡がなかったということですか?
水野:事件性はないと聞いています。まだ、現場や消防でもさまざまな調査を行っている最中であるため、先ほどもお話ししたとおり「これ」と断言はできませんが、なぜ、誰もいないところで火災が発生したかということになると、やはり電気系統の問題ではないかという推測があります。
このあたりは消防のほうでまだ時間がかかるとのことなので、消防のほうからはいろいろと申し上げられないとのことですが、現時点での弊社の見解としては、事件性はないと考えています。
質疑応答:上田第一きのこセンターでの国内比率について
質問者:数字について、1点確認させてください。上田第一きのこセンターでは、ブナシメジの生産の7パーセント程度を占めているとのことでした。ブナシメジの生産量3,000トン程度というのは、国内の7パーセントという理解でよろしいでしょうか?
水野:そのとおりです、国内です。
質疑応答:きのこの需要喚起策について
質問者:きのこの需給に対し、供給面については、供給を絞るようなかたちできのこの価格安定化を図られてきたということでした。一方で需要面については、需要を喚起するような取り組みとして、現在はどのようなことに注力されているのか教えてください。
水野:需要喚起については、特に大きなCMを打っていないため、各取引先と個々でさまざまなポイントなどを行っています。先ほども申し上げたとおり、今年は野菜の価格が全体的に高騰している中、生産量に対して非常にいいバランスだったということで、特別になにか大きなことを全社としては実施していません。個々の営業部隊で、細かな取り組みをしています。
あとは、全体的にPRで「きのこで菌活」ということを訴えながら、さまざまなかたちで施策を行っています。今年に関しては、現在、特別大がかりなキャンペーンを行っている状態ではありません。ただし、昨年や一昨年と比べると、本当にまったくできなかった店頭でのデモンストレーションが少しずつ回復してきています。
このような取り組みを少しずつ再開しているということが、去年と今年との1つの違いであると考えています。
質疑応答:火災後の需給バランスと価格動向について
質問者:上田のきのこセンターの火災について1点教えてください。火災により、ブナシメジの需給バランスと価格動向にはどのような影響が出てくると考えていらっしゃいますか?
水野:価格設定はそれぞれが取り組むことであるため、こちらで強引にとは言えませんが、当然ながら、物が足りなくなると、値段を上げざるを得ないことにもつながってくる可能性が非常にあります。現在の環境問題もあることから、このあたりのバランスの部分で対応せざるを得ないかと思います。
そのような点では、現在7パーセントという数字ではありますが、取引先のみなさまにはご迷惑をかけているということで、お詫びしながらいろいろと取り組んでいます。
質疑応答:マーケットにおける競合他社との関係性について
質問者:少し基本的なことを教えていただきたいのですが、このマーケットにおいて、日本では大手2社があります。それぞれに特徴があり、強みが異なる品目でわかれているため、2社間ではそこまで戦わず、安定して事業を行っていると理解しています。業界関係者の方や供給先も含め、みなさまが合意しているかたちで市場が成り立っているということなのでしょうか?
水野:今まではお互いの価格を見ながら、場合によってはそれをくぐるようなことをやっていた時期もありました。ただし、現在はこれだけ原材料価格やエネルギー価格が高騰している中、そのようなことをやっているとお互いの首を絞めてしまうところもあるため、適正価格を意識しています。
したがって、昔のように相手を倒したり、打ち合わせをしたり、カルテルを結ぶようなことはありませんが、お互いに「このぐらいの価格でなければ経営は成り立っていかない」ということを意識しながら、取引先に価格設定をお願いしています。
質疑応答:今後の成長の方向性について
質問者:日本市場はそこまで伸びない環境かと思いますが、御社として株式市場の中で多少成長を期待できることもあると思います。あるとすれば、日本市場でこのような品目も将来可能性がある、あるいは海外で成長するなど、方向性やこれまでやってこなかったことについて、なにか新しい方向性があれば教えてください。
水野:できれば、それを今度の決算時に中期経営計画に盛り込んでお話ししようと思っていましたが、そこまでお待ちいただけますか?
質問者:どのようなかたちで出てくるのかわかりませんが、あるにはあるということで、考え方としては、ここまで御社の株価をずっと見てきて、株式市場でこれまでと違うことが起こることを期待していいということでしょうか?
水野:数字をずっと追っていただければと思いますが、コロナ禍で非常に厳しかった海外部門、特にアメリカが前年度から好転しているというところには何か原因があるのか、現在いろいろと市場調査も行いながら対応しているところです。それがどのくらいなのかが見えてくるのが、今度の中期経営計画に反映されるだろうと考えています。
質問者:わかりました。それは、他社と同じところに行って勝負するというよりは、彼らは向こうへ行く、自分たちはこちらにチャンスがあるからこちらに行くといったかたちで、それぞれ独自の視点で独自の成長戦略を打ち出していこうという強い意思があるということですか?
水野:そうですね。競合他社を見てみると、弊社と若干違うところもありますので、まったくのバッティングはあまりないと思っています。
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