雇用者数のニュー・ノーマル・・・・・

著者:柳澤浩
投稿:2015/11/06 14:09

多少弱くとも、時給次第で利上げ観測強まり、ドル円上昇へ・・・・・

 9月雇用統計発表時、非農業部門雇用者数(以下NFP)が14.2万人増に留まった事や、平均時給の伸びが横ばいに留まった事から、年内利上げ観測が後退し、ドルを売る動きが強まりました。

 しかし、現在、失業率が完全雇用を示す領域まで低下している事や、労働参加率が改善しない事もあり、余剰の労働力自体が少なくなっているとの見方も強まっています。

 この点を勘案してか、11月5日に、ロックハート・アトランタ連銀総裁は、「月間平均20万人を超える雇用の伸びは景気回復局面では持続不可能であり、10万━12万5000人の伸びで十分」と述べています。

 それ故、10月雇用統計でも、NFP20万人超増といった強い数字が出る可能性は低く、15~18万人増程度の数字が出れば、十分強いと判断出来るかもしれません。

 一応、NFPの市場予想は18.5万人増ですから、それより低い数字が出れば、瞬間的にドルが売られる局面が見られるでしょうが、余程低い数字でなければ、相場が落ち着けば、ドルを買い戻す動きが強まるものと思われます。

 又、平均時給の伸びは今後のインフレ率押し上げと関連性が高い為、今月も市場が注目するものと思われます。此方の予想は、前月比+0.2%となっています。

12月FOMCまでには、12月4日に、もう一度、11月雇用統計の発表が控えています。この為、今回の数字を以て、利上げが決まるとは云い切れません。

 しかし、NFPは、多少低い数字でもノーマルな状態だと市場が納得すれば、時給の伸びを見つつ、或る程度は12月利上げ開始の織り込みを強め、ドル円は再び、124円付近まで上げ幅を拡大するかもしれません。
柳澤浩
(株)FXプライム byGMOチーフアナリスト
配信元: 達人の予想