遠いギリシャと近い中国・・・・・

著者:柳澤浩
投稿:2015/07/08 16:01

円買い材料が目白押し・・・・

 昨日、IMFが年次審査報告書を発表し、米FRBに対し、早過ぎる利上げは米国経済へのリスクであり、2016年まで利上げを先送りすべきだと論じました。これが昨日のNY市場ではドル円の売り材料となっていました。又、本日、日本の5月経常収支が発表され、1兆8,800億円余りの黒字となり、市場予想を上回りました。この数字は直ぐに円買いを生むものではありませんが、中期的には円高につながる材料と云えます。

 一方、遠く欧州では、終に、EU首脳会議が、ギリシャに対して、新改革案提出の期限を7月12日と指定。余程の事が無い限り、ギリシャ側が、EU側を満足させられる提案を出す事は出来ないと思われる為、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性が一段と高まり、これが、「リスク回避」の流れにつながりました。
 
 更に、中国株が下げ止まらない事が「リスク回避」の流れを一段と強めました。今日は上海総合指数がいきなり前日比8%も下落し、中国人民銀行が中国証券金融向けの支援融資を発表。この様な連日の株価下支え政策発表も、一向に効果を示さず、中国株急落が、アジア株全般に影響。日経平均株価は本日、600円以上もの下落幅を記録してしまいました。

 この様な状況ですから、円を買う動きが全般的に強まり、現在、豪ドル円は90円の大台割れとなっており、ドル円も122円の大台を割り込んで、安値圏揉み合いを続けています。過去の値動きを鑑みると豪ドル円が下がる時にはドル円も下がり易く、それを勘案すれば、もう一段のドル安・円高が予想されますから、121円台前半まで下げ幅を拡大する可能性が高そうです。
柳澤浩
(株)FXプライム byGMOチーフアナリスト
配信元: 達人の予想