波乱相場はこれから

著者:菊川弘之
投稿:2014/09/26 09:23

来週はテクニカル的な調整リスクも

 春先から長く続いていた低ボラティリティが、8月20日に20日間高値や60日間高値を上抜き、上げ加速。その後も、連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、政策金利予想見通し(中央値)が上昇となった事、ルー米財務長官の円安容認姿勢、スコットランドの住民投票での反対派勝利などを受けて、109円台半ばまで急速に続伸した。90日と200日移動平均線も再びゴールデンクロスとなっており、中長期的なドル高円安基調が続きそうな状態だ。

 「保合いが長ければ長いほど放れた際の動きも大きくなる」と言う相場格言に則った動きだが、心理的節目110円を前に、もたついた動きとなっており、早々に高値更新できないと、来週の10月入り辺りから、8月にエントリーしたトレンドフォロー系の買いの手仕舞いが入る可能性がある。

 現在、手仕舞い水準が集中していると見られる10日間安値は、106.78円前後だが、高値更新せずに現行水準での保合いが続くと、来週にはこの水準が9月23日安値(108.23円水準)へ切り上がる。同水準は転換線とも重なり、テクニカル的には意識されやすいポイントだ。途転売りとなる20日間安値は、はるか下方で中勢のトレンド転換は考え難いが、来週の10月入りと共に、10日間安値割れでのトレンドフォロー系のテクニカル的な手仕舞い売りが出てくる可能性には注意したい。

 NY株価も史上最高値更新後、調整を匂わす動きとなっており、株価下落のアノマリーが強い秋相場において、QE終了+地政学リスクの高まりが、リスク回避を加速させる可能性もあるだろう。シリア空爆で、「イスラム国」だけでなく、コラサン(Khorasan)や ナスラ前線など新たなテロリストの戦いに足を踏み出した米国は、レイムダッグ化の続くオバマ大統領の下、出口の見えない泥沼に陥いるリスクが高いと見る。

 ドル円と逆相関のNY金は大きく売られていたが、足もとは心理的節目1200ドル水準で、底堅い動きに転じている。波乱の秋相場はこれからだろう。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想