日米両国からドル高牽制発言・・・・

著者:柳澤浩
投稿:2014/09/24 14:12

米株式市場下落もドル売り材料・・・・・

 本日、安倍首相が「「円安傾向が地方経済や中小企業に与える影響を注視したい」と発言されました。先週、輸出企業代表である自動車工業会の池会長が、「手放しで円安が良いとは申し上げにくい」とおっしゃっていましたが、110円の大台が目前に迫っている現在、このまま、円安傾向を強める事が日本経済にとって、本当に良い事なのか、一旦、再点検しようと云う事なのかましれません。

 実は先週、ドル・インデックスが昨年7月の高値を更新し、2010年7月以来の高値圏で推移しています。これはユーロや円を含む主要通貨が全般的に対ドルで値下がりを続けている事を意味しています。これを受けて、一昨日、ダドリーNY連銀総裁が、「ドルの大幅上昇はインフレを抑える傾向があり、2%のインフレ目標達成を一層難しくする」と発言。FRB担当者としては異例の為替レートに対する発言として注目されました。

 この様に、日米両国の当局者から、ドル高や円安に対する慎重な姿勢が示されていますから、矢張り、このままドル円が一本調子で上昇を続けると考える事は、余りにナイーブ過ぎると云うべきかもしれません。少なくともスピード調整が必要だと考える市場関係者が増えている様に思えます。唯、ユーロドルの上値も重い為、ドル全般の売りにつながるかどうかはやや疑問です。

 この処、ドル高により、原油相場や金相場等の下落が目立っていましたが、その流れが米国株式市場にも広がって来ている様です。NYダウは昨日続落し、S&P500種も3日続落となりました。この背景にはシリアでの米軍空爆開始等の地政学上のリスクを警戒する動きがあったと報じられていますが、ドル高が広範な「リスク資産」への利益確定売りにつながっている為と考えれば、もう少し、調整売りが続くと考える事も出来そうです。
柳澤浩
(株)FXプライム byGMOチーフアナリスト
配信元: 達人の予想