サイエンスアーツ、「Buddycom」のAI活用と公共分野での導入が拡大 2030年8月期の中長期目標を上方修正

投稿:2026/10/20 11:00

サマリー 本決算でお伝えしたいこと

平岡竜太朗氏(以下、平岡):みなさま、こんにちは。株式会社サイエンスアーツ代表取締役社長の平岡竜太朗です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。これから2026年8月期の決算内容について、私からご説明します。どうぞよろしくお願いします。

まずは、サマリーとしてお伝えしたい内容です。スライド上段には2026年8月期の実績を示しています。

売上高は計画どおり進捗し、営業利益は4,000万円の上振れとなりました。また、売上成長率と営業利益率を合わせた「40パーセントルール」も達成し、成長性と収益性の両方を高めることができた1年だったと考えています。

次に、2027年8月期の計画についてです。売上高は前年度比30パーセント増、営業利益は11.3パーセント増を見込んでいます。この営業利益には、2027年4月の本社移転に伴う関連費用1億円が含まれています。

今期については、本社移転関連費用の1億円を含んでいながらも、売上成長率と営業利益率を合わせて41.3パーセントと成長性と収益性を確保した高い水準に位置付けられると考えています。

中長期目標 2030年8月期の目標値を上方修正

そして、今期の見込みを踏まえて、2023年11月に立てた中長期目標を修正しました。今回、上方修正となり、大きな変更点が2つあります。

まず1つ目は、売上高、営業利益、および営業利益率の3つすべてが上方修正となり、売上高が60億円、営業利益が18億円、営業利益率が30パーセントとなっています。

2つ目は、今回から新たにROEを指標として設定し、2030年8月期には30パーセントを目指しています。これも継続的な取り組みではありますが、成長性と収益性の両立を重視し、高い成長を目指しています。

前回から修正した理由についてですが、前回まで反映していなかった新規事業の数字を今回含めています。本日の後半部分でもお話ししますが、AI無線機やAI機能、セキュリティ市場向けの「Buddycom(バディコム)」など、新しいサービスからの収益貢献が見えてきたため、これを踏まえた中長期目標の上方修正となりました。

前期実績 2026年8月期実績

次に、2026年8月期の実績の詳細についてです。数字についてはスライドをご覧いただければと思いますが、変更点として、新たに「ストック収益」と「フロー収益」という項目に区分を変更しました。

ストック収益は、当社のメイン事業である「Buddycom」のクラウド利用料が中心となります。一方、フロー収益には、主にアクセサリーが含まれています。新規事業などが増えたことを受け、「ストック収益」と「フロー収益」という区分に変更しました。

前期におけるストック収益の成長は、主に既存顧客である製造業や運輸業における新規IDの獲得や、単価の高い上位プランへのアップセルが大きな要因となりました。また、公共分野や医療・介護をはじめとした新規顧客の開拓が非常に順調に進み、このような成長につながっています。

さらに、前期の数字にはAI無線機をはじめとする新機能の売上貢献も含まれています。

当期計画 2027年8月期計画

次に、2027年8月期の計画についてです。スライドには、数字が順調に伸びていくことが記載されていますが、特にご覧いただきたいのは従業員数の部分です。

売上高やARRなどは30パーセント前後の成長を計画しています。一方で、従業員数は19.5パーセント増を見込んでおり、売上と従業員数が比例して増加するのではなく、より効率的な経営を目指します。AIをはじめとする技術の進展も考慮しつつ、人件費と売上が比例しないかたちで効率化を図っていきます。

また、この計画には新規事業の数字も含まれていますが、スライド青枠の2027年8月期の見通し売上高の部分をご覧ください。既存のメイン事業である「Buddycomクラウド」で30パーセントの成長を計画しているほか、アクセサリーも前期並みの伸び率を目指しています。

KPI Buddycomの先行指標

次に、当社「Buddycom」の重要な指標であるARRについてご説明します。ARRは第3四半期から第4四半期にかけて大幅に増加しました。この要因として、製造業のお客さまによる上位プランの大口受注がありました。また、小売業のお客さまからAIプランの受注があったことも寄与し、大幅なARRの増加を達成しました。2027年8月期の計画についても、大幅な増加を計画しています。

スライド右側の月次解約率については、第3四半期、第4四半期ともに引き続き0.46パーセントとなっており、当社の目標である1パーセントを大きく下回って推移しています。

成長戦略 実際の現場でご活用いただき、公共での導入が広がる

次に今期のトピックとしてご紹介したいのは、公共機関における「Buddycom」の導入です。

2026年9月にプレスリリースを発表しましたが、名古屋市において、防災・災害対応の目的で「Buddycom」を導入いただきました。

単なるコミュニケーションツールとしての導入ではなく、市内500ヶ所の施設において、約1,000IDの「Buddycom」を活用しています。これにより、災害や洪水などの際に「Buddycom」を活用して災害対応を行える体制が進められています。

2026年8月期は、このようなお客さまの導入が進んだ結果、ARRを前年度比約300パーセント増と大幅に成長させることができました。

成長戦略 Buddycomは公共インフラの基盤に

名古屋市以外にも、公共分野で「Buddycom」の導入がどんどん進んでいます。特に多いのは消防のお客さまで、さまざまな消防本部に導入いただいており、その数は非常に多いと考えています。

また、名古屋市の例のように、防災インフラとして「Buddycom」を活用する自治体が非常に増えています。今年の夏には大雨による被害があり、従来の日本の災害状況とは異なるケースが増えています。このような背景から、今後も国土強靱化の取り組みの一環として、「Buddycom」の導入がさらに進むのではないかと考えています。

成長戦略 新機能・新サービスの実績が出始める

次に、冒頭でご説明しました新規事業についてご紹介します。現在、大きく4つの事業を進めており、それぞれで結果を出し始めましたので、ここでご紹介します。

成長戦略 セキュリティ市場向けBuddycom (Buddycom オンプレミス)

まず1つ目は、セキュリティ市場向けに「Buddycom」の販売を開始しています。昨今、セキュリティの問題による個人情報流出やさまざまな被害が発生している中で、高いセキュリティが求められる業界が非常に多く存在しています。

例えば、製造業や電気・ガスの発電所、プラントのような業界のお客さまに向けて、「Buddycomオンプレミス」というサービスを展開し始めました。

さまざまなニーズがある中で、重要な点としては、セキュリティやBCPの観点です。一般のネットワークを使用できないお客さま、閉域網や自営網の通信しか利用できないお客さまをメインターゲットとしています。

こちらは国際電気とパートナーシップを結び、製造業や電気・ガス業界のお客さまの開拓を進めている状況です。

成長戦略 AI機能で大口受注を獲得

次に、AI機能によって大口受注を獲得しましたので、その事例をご紹介します。

こちらのお客さまは小売業界の大手企業です。具体的にどのようなAI機能を導入いただいたかというと、例えば、初めてアルバイトとして働く方の場合、店舗のオペレーションや商品の配置などについて、多少経験を積んだ後でもわからないことが多くあるのではないかと思います。

そのような場合、毎回先輩や上司に対して「これはどうやるのですか?」「これはどこにあるのですか?」などと確認することは、精神的な負担となってしまう可能性がありますし、膨大なマニュアルから分からないことを探すことも時間がかかってしまいます。

このお客さまでは「Buddycom」に、例えば「お客さまからこのようなお問い合わせをいただいたのですが、どのように対応すればいいですか?」と質問すると、「Buddycom」のAIがそれに応答するということで導入していただきました。AIに対する質問は月に約4万回行われており、FAQに登録されるデータの数も3,400件と増加を続けています。非常に活用いただいている事例です。

成長戦略 Buddycomだから現場に強いAIになる

今後、このお客さまの活用をきっかけに、AIをより多くのお客さまに販売したいと考えています。特に、当社の提供する「Buddycom」のAIにはこれらの優位性があると思っています。

まず1点目は、音声データを扱うことができる点が、他社にはない大きな競合優位性ではないかと思っています。

これまでAIなどで活用されているデータはある種、構造化されたデータや蓄積可能なデータに限られ、実際に企業内で扱われているデータのうち、ほんの数パーセントにすぎないと言われています。

一方で、構造化されていないデータは非常に多く、その大半を音声データが占めると言われています。当社はその音声データを扱うAIを開発していることが、競争優位性の1つとなっています。

非常に簡単に言うと、例えば、日常的に上司や先輩へ寄せられる「この業務はどうすればよいのですか?」というようなFAQを、当社のサービスが自動的に参照し、同様の質問がされた場合に当社のAIが自動で答えることが可能です。

2点目は、現在「Buddycom」にAIが追加されていますが、お客さまがわざわざAIを操作する必要はなく、従来どおり「Buddycom」を利用していただくだけで、AIを活用できます。

例えば、通常の業務を行っている中で「毎日、日報を書かなければいけない」という時に、業務終了時に「Buddycom」がその日の会話内容や担当者が行った仕事を解析し、日報を自動作成できるようになります。

3点目の強みは、当社の「Buddycom」が業務中に常にご利用いただいている音声コミュニケーションサービスであるため、AIが人に対して通知やアクションのレコメンドをすぐに行える点です。他のサービスではなかなか実現が難しいのではないかと思います。

例えば、30人程度のグループで業務をしており、なにか危険を感じさせるような会話があった際に、AIが現場の上長に対して「このグループで問題が発生するかもしれません」と音声で呼びかけることで、即座にそのグループに入り会話を聞いたり参加したりする対応が可能になることを想定しています。

成長戦略 Buddycom AIで単価向上

AIが当社の事業にどのような数値的な貢献をするのかについてです。これまで当社は、顧客をどれだけ広げられるかを非常に重要視して事業を進めていました。

利用者や業界の拡大を重視し、面を広げるというところを追求してきましたが、今後はAIを活用することで、その面に対して高さを出していく方針です。ARPU(ユーザー単価)の向上によってARRの成長を目指す商品という立ち位置としています。

成長戦略 JVCケンウッドとAI無線機を共同開発

次に、成長戦略の3つ目として、JVCケンウッドと協力してAI無線機を開発しています。JVCケンウッドがハードウェアを担当し、当社がその内蔵ソフトウェアを手掛けています。

この無線機は、IP無線機の中に「Buddycom」を搭載したようなものですが、これまでのIP無線機とはまったく異なる機能を備えています。

従来のIP無線機は単に会話を可能にするものでしたが、このAI無線機では、日本語で話すだけで英語やイタリア語に翻訳できる機能や、話しかけるだけで先ほど紹介したAIとの会話を実現するといった特長があります。

JVCケンウッドモデルは6月から販売を開始し、わずか3ヶ月で大きな受注を獲得することができました。一方、サイエンスアーツモデルは2027年8月期の第3四半期に発売を開始することを目標としています。

成長戦略 社内だけでなく、消費者ともつながるBuddycom

最後に、遠隔案内市場への参入を目指して開発している「Buddycom コール/ベル」という製品についてです。みなさまも駅で見かけたことがあるかもしれませんが、東京メトロに実証実験で導入していただき、今後全域に拡大する方向で進めています。

どのようなことができるものかというと、具体的には、スライド右側の写真にあるような、駅の係員を呼び出すインターホンです。写真の水色の部分に表示されているのは、当社が提供している「Buddycom コール」というサービスです。このボタンを押すと、駅員と会話することができます。

これを使って、駅員と例えば「『Suica』で改札に入れないので、どうにかしてほしい」というようなコミュニケーションを行うことができます。1つの駅に複数の改札がありますので、改札の内外それぞれにこのような筐体を設置していただくことで製品を展開しています。

この製品は駅だけでなく、店舗、空港、受付などへの展開も目指しています。通常の遠隔接客サービスとは異なり、コールセンターなどでデスクに座っている方だけでなく、現場で働いている方からも、遠隔案内できる点が最大の特長だと思います。

駅で働く人員が減少している中で、効率化の一助として当社の製品が活躍できるのではないかと考えています。

成長戦略 中長期的にはグローバル展開を目指す

最後に、中長期的にはグローバル展開を目指しています。現在は北米を中心に進めていますが、アジアや中東、さらにスライドには記載していない欧米でもさまざまな準備が進んでいます。発表可能な段階になりましたら、続報をお伝えしたいと思います。

以上です。

質疑応答:第4四半期のARRが大幅に伸びた要因について

司会者:「2026年8月期第4四半期でARRが大きく伸びている要因について教えてください」というご質問です。

平岡:第4四半期は他の四半期と比べて大幅に伸びていますが、その要因は大きく2つあります。

1つ目は、製造業のお客さまから上位プランの大口受注があったことです。もう1つは、小売業のお客さまに高単価のAIプランを導入いただいたことです。

全体を通して、この2つのお客さま以外にも、高単価プランへのアップセルやクロスセルの動きが少しずつ増えています。今後も同様の事例を積み重ねていきたいと考えています。

質疑応答:2030年8月期の売上増加計画と販管費について

司会者:「2030年の目標値について、営業利益が大きく伸びる要因は何でしょうか?」というご質問です。

平岡:まず、売上は現在、毎年順調に伸びていく計画であり、増加率はおおむね30パーセントとなっています。

なお、それに比例して販管費も増加します。2027年8月期は引っ越しなどの影響で増加率がやや高くなる見込みですが、通常では継続的に増える割合として、約15パーセントを見込んでいます。この結果として、営業利益が大きく成長する構造となっています。

質疑応答:最も重視している新機能・新サービスについて

司会者:「成長戦略で4つの新機能、新サービスをご紹介していましたが、どれが一番重要でしょうか?」というご質問です。

平岡:4つともそれぞれ異なる目的がありますが、いずれも主な目的は市場を広げることです。例えば、セキュリティ市場向けの製品やAI無線機についても同様です。スマートフォンが使用できない現場や、無線機でなければ対応できない現場に対して、無線機は非常に需要が増えると考えています。

また、遠隔案内市場向けについても同様です。これまで私たちがアプローチできなかった遠隔接客の領域で、BtoBだけでなくBtoBtoCにも対応できる製品を今回用意しました。

これらの3つの製品は、マーケットをどんどん広げていくものとなっています。そして、私自身が最も重要だと考えているのが、それらの製品の上にAIを組み合わせていくことです。

AIを活用することで、単なるインカムやコミュニケーションツールにとどまらず、業務改革を実現するための適切で最良なサービスへと「Buddycom」を進化させることが可能になると考えています。また、戦略的な重要性や売上面での期待についても、AIは非常に高い可能性を秘めていると考えています。

平岡氏からのご挨拶

今回は製品の詳細をあまりご説明できませんでしたが、当社製品はフロントラインワーカー、つまり現場で働いている方々向けの音声コミュニケーションサービスです。

日常生活の中で、例えば駅やスーパーなど、インフラを支えてくださっている方々にご利用いただいているサービスです。そのような方々に適切な機能を提供し、現場の課題を解決することで、当社の事業成長を目指していきたいと考えています。

これからも当社の成長にご期待いただき、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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