キャピタル・アセット・プランニング、IFA向け新プラットフォームを軸にストックビジネスへ 中計でROE13%目標
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北山雅一氏(以下、北山):株式会社キャピタル・アセット・プランニング代表取締役の北山雅一です。本日は、当社のビジネスプランおよびこれからの成長戦略をご紹介します。よろしくお願いします。
塩谷航平氏(以下、塩谷):株式会社hands代表取締役の塩谷航平です。冒頭でお聞きしたいことがあります。御社の株主に、合同会社フィンテックマネジメントとSMBC信託銀行が含まれていると思いますが、どのような属性か教えてください。
北山:合同会社フィンテックマネジメントは、私の長男が100パーセント出資する資産管理会社で、当社株式の15.33パーセントを保有しています。一方、SMBC信託銀行については、当社が上場する前に、私が3人の子どもに対して15年間にわたり暦年贈与を繰り返したものが、信託勘定に組み込まれています。これは、特定有価証券信託です。
したがって、私自身は9パーセント強、妻が1.3パーセントほど、合計で37パーセント超の株式を保有しています。経営の安定のためには、まずは同族企業としてある程度の株式を保有することが重要です。また、将来の相続対策も見据え、現在は27パーセントに妻を加えた30パーセント近くの株式が次世代へ移転されている状況です。
塩谷:まさに税務に詳しい社長ならではですね。ありがとうございます、クリアになりました。
株式会社キャピタル・アセット・プランニング

北山:当社は東証スタンダード市場に上場しており、証券コードは3965です。スライドには「産休老後」と記載していますが、「Digitalの力により人の産休、即ち誕生から老後までの一生涯の経済的安心と安全・豊かな老後から円滑な相続を創造する」を当社のミッションとしています。
設立は1990年で、今年で36年目を迎えます。特に、生命保険、銀行、証券会社などの金融機関向けシステムの受託開発を行うとともに、「Wealth Management Workstation(WMW)」という相続、財産承継、資産運用の統合資産管理システムを提供し、使用料を課金している会社です。
スライドには「ゴールベースプランニングシステム」と記載していますが、いわゆるライフプランのシステムや、確定拠出年金アプリを提供するとともに、現在は金融商品仲介業者(IFA)向けの資産管理プラットフォームを開発中です。
パーパス/ビジョン -私たちの目指す姿

北山:当社のパーパスとビジョンについてお話しします。当社は「FT(Financial Technology)とIT(Information Technology)の統合により、ファイナンシャルウェルネスを創造する」ことをパーパスとしています。
ビジョンには「金融サービスとアセットマネジメントのイノベーターになる」を掲げています。「アセットマネジメントのイノベーターになる」とは、将来的には自らが金融機関として、プレーヤーとして活動することも意味しています。
キャピタル・アセット・プランニング 成長の歴史

北山:当社の設立は1990年で、今年で36年目を迎えます。2026年9月期の売上高は103億円と予想しており、36年目にして初めて100億円企業となります。
事業概要 -3つの事業ドメイン

北山:事業の概要は大きく3つに区分されます。1つ目は、ITソリューションです。銀行、証券会社、生命保険会社などの金融機関向けにコンサルティング支援のためのシステムを開発し、主に受託開発で提供しています。
2つ目は、コンサルティングです。自社開発システム「WMW」を活用し、組織再編、相続・財産承継、事業承継、資産運用コンサルティングを実際のお客さまに提供しています。
3つ目は、アセットマネジメントです。当社の完全子会社であるWealth Engine社を通じてファミリーオフィスコンサルティングサービスを提供しようとしています。
ファミリーオフィスコンサルティングサービスとは、財産承継、事業承継、資産運用といった総合的なコンサルティングサービスを指し、アメリカやヨーロッパでは非常に一般的なコンサルティング領域となっています。Wealth Engine社は現在、投資助言・代理業および第二種金融商品取引業のライセンスを申請中です。
多くの金融機関クライアント -生命保険会社41社中30社で取引実績

北山:当社のクライアントについてご説明します。主に銀行、証券会社、生命保険会社を中心に取引があります。特に生命保険会社においては、国内41社のうち30社と取引実績があります。ソニー生命保険などは、当社の主要なクライアントと位置づけています。
銀行では三菱UFJフィナンシャル・グループの三菱UFJ銀行や三菱UFJ信託銀行、証券会社では野村證券、大和証券、楽天証券との取引実績があります。また、会計事務所およびIFAとしては青山財産ネットワークス、IFAとしてはGAIAやファイナンシャルスタンダードとも取引しています。さらに、マネーフォワードとも提携関係にあります。
提供サービス事例(1)

北山:スライドには、当社の実際のプロダクトとして、テレビコマーシャルにも登場するソニー生命保険の画面を掲載しています。コロナ禍で同社のライフプランナーが対面でお客さまに会えない状況で、画面を通じて説明を行うというリモートコンサルティングを実施しました。このシステムでは、「Zoom」などを使用せず、Webブラウザだけでお客さまの顔を見ながらライフプランニングを実行できます。
最近では、ソニー生命保険向けに、変額個人年金保険「SOVANI」の設計書・申込書システムや、資産形成商品を活用した老後リタイアメントプランの設計システムを提供しています。
提供サービス事例(2)

北山:信託銀行向けの確定拠出年金アプリも提供しており、デスクトップからスマートフォンまで幅広く対応しています。
証券会社向けには、ゴールベースプランニングを提供しています。ゴールベースプランニングとは、複数のお客さまのゴール達成可能性を確率的にシミュレーションしながらライフプランニングを行うことで、最近主流となりつつあるものです。当社では、ゴールベースプランニングシステムのライセンスを提供することで、使用許諾ビジネスを展開しています。
提供サービス事例(3)

北山:IFAチャネルをお持ちの中堅証券会社向けには、IFAのための資産管理プラットフォームや顧客管理(CRM)、注文機能、ポートフォリオ分析、提案書作成機能などのシステムを提供しています。こちらは、受託開発と使用許諾を統合したかたちで課金しています。
通期連結業績

北山:当社は9月決算ですが、直近の2025年9月期は売上高96億8,900万円、営業利益5億3,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益4億100万円を計上しました。売上高は前年比18.5パーセントの増収、営業利益は前年比78.4パーセントの増益、親会社株主に帰属する当期純利益は前年比156.3パーセントの増益となりました。
過去5年間の業績推移

北山:過去5年間の業績推移です。2022年9月期は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う環境下にありました。当社の主なクライアントは生命保険会社で、販売員による対面でのビジネスが主な形態であったため、2022年9月期は上場以来初めて営業損失を計上しました。しかし、その後回復し、2025年9月期の営業利益率は5.5パーセントとなりました。ただし、5.5パーセントという値については、私自身も低い水準だと認識しています。
キャピタル・アセット・プランニングの強み(1)

北山:当社の強みについてです。当社には金融機関に対する長年の開発実績があります。先ほどご説明したとおり、国内41社の生命保険会社のうち、30社に納品実績があり、現在は23社の生命保険会社がクライアントとなっています。このように、金融機関との確かな開発実績が当社の強みです。
もう1つの強みとして、社内に最新のテクノロジーや専門知識を持つプログラマーが在籍しています。クラウド技術やビッグデータ分析、さらには生成AIなどの最新技術を扱えるプログラマーがいる他、公認会計士や税理士も在籍しています。これにより、現代ポートフォリオ理論や最新の金融工学、相続税法財産評価通達などの税務に関する知識も備えています。また、プログラマーは入社後にファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得する必要があるなど、専門性の高い人材がそろっている点も当社の特徴です。
キャピタル・アセット・プランニングの強み(2)

北山:スライドに記載しているとおり、当社にはITだけでなく、金融・税務・経営に関連する資格取得者が豊富に在籍しており、これも当社の大きな強みです。具体的には、公認会計士、税理士、日本証券アナリスト協会検定会員が社内におり、これらの資格を複数保有している社員もいます。このため、タックスマネジメントとアセットマネジメントの両方を深く理解しています。また、プログラマー自身がCFP、AFP、ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有しているケースも多く、資格取得者が充実しています。
一方、情報テクノロジー分野ではクラウドコンピューティングを重視していることから、Amazon Web Services(AWS)関連のライセンスを保有しています。このライセンスは、プログラマーとして必須の資格と位置づけています。
キャピタル・アセット・プランニングの強み(3) -生成AIへの取り組み①

北山:現在注目されている生成AIへの取り組みについてです。当社では、「LibelliS」という生命保険会社の募集文書をチェックするシステムを、生成AIを活用して開発しています。
募集文書は生命保険会社ごとに異なり、金融庁が定める一定の基準を満たす必要があります。また、各生命保険会社固有の記載文言も存在します。それらを「LibelliS」でチェックする仕組みを構築しています。
新商品に対しては、ある保険会社では100人がかりで文書をチェックしており、この「LibelliS」を用いることで、非常に効率的にチェックを進めることができます。
キャピタル・アセット・プランニングの強み(3) -生成AIへの取り組み➁

北山:生成AIの分野で日本において最も権威のある、東京大学松尾豊研究室発のスタートアップ企業であるElithと連携し、AI-OCRを用いた決算書の読み取りを行っています。「決算書類の読み取り」というテーマは古くて新しいものですが、生成AIを活用したOCRにより、非常に正確にテキスト化します。
この取り組みの目的は、非上場株式や自社株の評価を効率的に行うことです。読み取った決算書を基に非上場株式の評価を効率的に行うことができ、複数の生命保険会社への納品を実現しています。
キャピタル・アセット・プランニングの強み(3) -生成AIへの取り組み③

北山:生成AIを活用して相続・財産承継の提案書を作成するシステムの開発も進行中で、今年4月頃には提供できる予定です。
相続・財産承継ビジネスでは、4つの重要なテーマがあります。1つ目は相続税の納税準備、2つ目は円滑な財産分割、3つ目は相続税の課税価格の軽減、4つ目は資産運用です。当社では、現状分析から提案まで、生成AIを用いてわかりやすい文章でお客さまに提供する提案書の作成を目指しています。
「IDC Fintech Rankings 2025」でTop100社にランクイン

北山:毎年発表される世界のFintech企業ランキングにおいて、当社は昨年「IDC FinTech Rankings 2025 TOP 100」の50位から100位にランクインしました。これは国内では唯一の企業です。
中期経営計画について(1)

北山:岸田政権から石破政権、高市政権に至るまで、政府は資産運用立国の実現を掲げており、資産所得の倍増を国家戦略と位置付けています。当社は、これらを支援する取り組みを行っています。
2025年から始まった中期経営計画では、最終年度の2027年9月期に、ROE13パーセントおよび営業利益10億円の達成を目標としています。
中期経営計画について(2) -5つの成長戦略

北山:中期経営計画目標を達成するために、5つの戦略を掲げています。
1つ目は、既存の生命保険会社のニーズを深掘りすることです。日本は国民平均年齢が50歳であり、これから人口が徐々に減少していく中、生命保険会社にとっては、資産形成商品を投入することが銀行・証券分野の新NISAに対抗する大きなテーマとなっています。この点において、当社側から提案を行い、生命保険会社のニーズを深掘りするシステムを提供します。
2つ目は、事業ポートフォリオの改革です。これは当社にとって大きなテーマです。当社売上高の85パーセント近くを占める生命保険会社では、人生100年時代の資産運用が大きなテーマとなっています。そのため、銀行・証券分野の売上を拡大し、事業ポートフォリオを改革する方針です。
3つ目は、ファミリーオフィスビジネスへの参入です。ファミリーオフィスビジネスは財産承継、事業承継、資産運用を担うもので、日本の人口構成上の課題を解決する役割があります。この分野には、100パーセント子会社Wealth Engine社を通じて参入を進めています。
4つ目は、受託開発からストックビジネスへ移行するために新たなプラットフォームを開発し、特にIFAや証券会社に提供します。5つ目は、海外市場への展開を積極的に推進していきます。
これら5つの成長戦略によって、中期経営計画の目標達成を目指しています。当社のビジネスについては以上のとおりです。
中期経営計画について(3) 通期連結業績と業績予想

塩谷:金融領域に特化したシステム開発会社として、国の戦略が非常に追い風になっていると感じます。また、意欲的な中期経営計画や事業ポートフォリオの改革による利益率の変化など、さまざまな変化があると思います。そのため、これらの詳細についてお聞きしていきます。
まず、前期の業績についておうかがいします。売上高は前年比18パーセント増収という高成長を果たしましたが、その理由や背景を教えてください。
北山:生命保険会社は、これまで死亡保障や入院介護ビジネスが主力でした。しかしながら、現在、日本では新NISAや資産形成が非常に大きなテーマとなっています。そのため、新NISAに対応すべく、複数の生命保険会社で大きな戦略の転換が進んでいます。
当社の主たるクライアントであるソニー生命保険では、新NISAに対応した資産形成商品として変額個人年金保険「SOVANI」を開発し、非常に好調です。「SOVANI」の契約資産残高は、2年半ほどで1兆円を超える実績を達成しました。
塩谷:すばらしいですね。
北山:1兆円を超える投資信託は、国内では現在11本と把握していますが、ソニー生命保険の「SOVANI」は2年半ほどでその水準をクリアしました。
このように、資産形成商品に関連する設計書・申込書システムの需要が高まっていることから、ソニー生命保険向けの売上が増加しました。さらに、ソニー生命保険以外の生命保険会社も資産形成商品を投入しており、これにより、当社においても設計書・申込書システムの開発案件が多くなっています。
また、証券会社向けの金融商品仲介業チャネルにおいては、資産管理プラットフォームを2025年9月末に納品しました。
銀行・証券分野においては、一般サラリーマン階層に加え、企業経営者や資産家層に向けて、ウェルネスマネジメントが非常に重要になってきています。当社は、ウェルスマネジメントビジネスにシステムやライブラリを提供しており、この案件が2025年9月期に重なったこともあり、前年比18パーセントの増収を達成しました。
塩谷:基本的に、生命保険会社が新商品を出すと、御社の受注も好調になるという理解でよいでしょうか?
北山:おっしゃるとおりです。
塩谷:次の質問です。御社の業績を見ると、四半期ごとに多少のばらつきがあるように見受けられますが、季節性の要因があるのでしょうか?
北山:当然ですが、当社は工事進行基準で収益計上を行っています。生命保険会社では、新商品の投入時期が4月初めか10月初めとなる場合がほとんどであるため、システムの納品や設計書・申込書システムなど新商品に関わる作業を3月末および9月末までに完了させる必要があり、納品検収も3月末および9月末に集中します。
そのため、第1四半期と第3四半期は比較的業績が低調となり、第2四半期と第4四半期には操業度が最大化し、収益計上が集中する傾向があります。なお現在、銀行・証券分野の売上割合を高めるよう注力しているため、この傾向は将来的には徐々に緩やかになると考えています。
塩谷:銀行・証券分野が増えると、少しずつ平準化されていくイメージですか?
北山:そのとおりです。
塩谷:これまで第1四半期は赤字になることが多かったですが、前期は黒字でした。これは平準化に関連しますか?
北山:だんだん平準化していきますが、前期についても第1四半期と第2四半期でかなり差がありました。残念ながら、生命保険会社向けのクライアントが多い当社は、この傾向がしばらく続くと見ています。
中期経営計画について(4)

塩谷:現在も増収増益傾向が続いていると認識しています。この継続性について、どのように考えるべきでしょうか?
北山:生命保険分野と銀行・証券分野に分けてご説明します。まず、生命保険業界についてです。死亡保障、入院、介護といった伝統的な商品は、人口構成上の問題から業界全体で右下がりの傾向にあります。
それに対抗するかたちで、各生命保険会社が資産形成商品の新規導入に取り組んでいます。ソニー生命保険で変額個人年金保険「SOVANI」がヒットしたことを受けて、複数の生命保険会社が変額個人年金保険など資産形成商品の投入を進めています。今後少なくとも3期程度はこの動きが続くと私自身は考えています。
一方、銀行・証券分野では、人生100年時代および大相続時代を背景に、特に日本では大相続時代が先行して到来すると見ています。1946年から1947年生まれのベビーブーム世代の相続がすでに始まりつつあります。
相続が発生することで資産の組み換えやライフプランが次世代に引き継がれる中、相続税対策や納税準備のための生命保険加入が必要となります。銀行や証券会社では現在、大相続時代を見据えたシステム開発を推進している状況です。
こうしたサービスはメガバンクだけでなく、証券会社でも資産家や富裕層向けの相続対策に活用され、今後さらなる拡大が見込まれます。したがって、大相続時代の中で、銀行・証券分野の売上も拡大していくと思っています。
また、私自身が注目しているのはIFAです。顧客本位の業務運営を最も行っているのはIFAではないかと考えています。IFA向けのCRMシステムやポートフォリオマネジメントシステムに加え、FP(ファイナンシャルプランニング)システムも含まれる資産管理プラットフォームのニーズが一段と増しています。FPシステムでは、相続税の計算やゴールベースプランニングによる目標達成可能性のシミュレーションも行えるのが特徴です。
現在はこれらのシステムを開発中であり、IFA向けだけではなく、証券会社への納品も可能です。したがって、大相続時代が続く限り、増収増益の可能性は高まりつつあると私自身は考えています。
一方で、税務や現代ポートフォリオ理論の知識を持つプログラマーの需要が非常に高まっており、引く手あまたの状況です。それに伴い、そのようなプログラマーの労務費や外注費の上昇が今後予想されます。これに対して当社では、生成AIを活用してプログラミングの自動化を進めており、すでに実行段階にあります。この取り組みにより、さらに増収増益を確実なものにしたいと考えています。
塩谷:まさに私も前職では証券リテール営業を担当しており、相続税評価の計算は非常に大変でしたので、当時これがあればよかったと思います。
このような流れを含めて、社長の見立てでは、向こう3年ほどは事業環境として引き続き好調とお考えでしょうか?
北山:はい。ただし、3年が経過した際、必ずしも強力な会社だけが残るとは限らないと考えています。私は、環境に適応できる会社こそが生き残り、成長を遂げると信じています。そのため、おそらく3年先の環境に適した企業のDXが必要になると考えています。
塩谷:業績についてご回答いただきありがとうございます。ここからは、競合他社も含めた御社のマルチプルに関して質問します。
競合他社と比較して、御社のマルチプルは安いと感じています。非常に評価されている企業として一例を挙げると、Finatextは売上高で前年比40パーセントという成長を達成しています。この業界にはこれくらいの成長ポテンシャルがあると考えていますが、御社も同様の成長イメージをお持ちでしょうか?
北山:当社がFinatextさんとまったく同じ戦略をとっているわけではありませんが、Finatextさんは日本の資産運用分野でフロンティアを走っている企業だと認識しています。IFA向けにプラットフォームを提供しており、BtoBtoCの仕組みの中で、IFAがお客さまに直接アプローチするかたちで、彼らが活用しやすいプラットフォームを構築していると思います。
当社も、こうしたマーケットの成長可能性は大きいと考えています。このため、台湾のSoftBI社と合弁でTrust Engine社を設立しました。台湾はスイスと同じく、銀行が投資一任業を行っている市場で、SoftBI社のシェアは80パーセントを占めています。Trust Engine社は、当社が51パーセント、SoftBI社が49パーセントの議決権を保有する合弁会社です。
Trust Engine社では、台湾における実績を基にシステムを日本語にローカライズし、日本の金融行政に適合するかたちでカスタマイズしたうえで、2026年春以降に順次リリースしていく計画です。
この取り組みはFinatextさんに近い戦略ではあり、IFAのみなさまにもシステムを提供し、使用料課金による収益を狙っていこうと考えています。これにより、「1人月いくら」という受託開発だけでなく、使用料課金による売上を増やしていく戦略を進めています。
当社のPERは現在12倍程度です。東証スタンダード市場の情報通信業界平均である約20倍と比較すると、将来的な成長可能性が期待されていないのか、それとも当社の戦略が十分に伝わっていないと考えています。
大相続時代を迎え、資産の組み換えが進む時代においては、資産運用が今後の戦略として非常に重要なテーマになると考えています。Finatextさんとは事業内容に違いがあるため、前年比40パーセントの成長ということは難しいかもしれませんが、継続的に10パーセント超の年平均成長率を実現することを目標としており、それは十分可能であると見込んでいます。
塩谷:足元の2025年9月期は前年比18パーセントの増収でしょうか?
北山:はい、そのとおりです。
中期経営計画 成長戦略2 ~事業ポートフォリオ改革~

塩谷:営業利益率に関してはいかがでしょうか? 御社は足元で改善が進んでいる印象がありますが、Finatextの営業利益率が数十パーセントという中で、その水準に近づいていくイメージはありますか?
北山:当社が生命保険ビジネスを行う場合、いわゆる「1人月いくら」という受託開発となります。これを、使用許諾や残高課金型のビジネスへ移行しなければならないと考えています。
生命保険会社のシステムの利益率と比較して、銀行・証券分野の利益率は約10パーセント高いです。このため、銀行・証券分野の売上を拡大することで、結果として全体の利益率を高めることができます。
さらに、先ほどご説明したIFA向けのプラットフォームを構築し、受託開発から使用許諾ビジネスに移行を進める方針です。これにより、一時使用許諾料や継続使用料を計上することで売上を拡大し、利益率の向上を目指していく計画です。

塩谷:一般的なライセンス売上のように、ストック収入性が高く、利益率が高いというイメージでしょうか?
北山:そのとおりです。世界の先進国と比較しても、日本は税率が非常に高い国です。例えば、所得税+住民税、相続税、贈与税の最高税率は55パーセントとなっています。このため、税務に関連するシステムの構築が非常に重要なポイントとなります。
そのため、アセットマネジメント関連のシステムを構築することは当然のことながら、タックスマネジメントとアセットマネジメントの両方の事業領域を実現しない限り、日本の富裕層マーケットに本格的にアプローチすることは難しいと考えています。
当社社内には会計士や税理士が在籍しており、現代ポートフォリオ理論と税務の知識を兼ね備えたプログラマーもいます。これにより、タックスマネジメントとアセットマネジメントのノウハウを活用して構築したシステムを、使用許諾や計算ライブラリというかたちで提供することが可能です。このような取り組みにより、利益率を改善する余地は大きくあると考えています。
中期経営計画について(4)

塩谷:中期経営計画で掲げる営業利益率9パーセントの実現可能性については、どのようにお考えでしょうか?
北山:中期経営計画では、最終年度の2027年9月期に売上高110億円を目標としています。そのうち銀行・証券分野の売上を40パーセントとする計画ですが、生命保険分野70パーセント、銀行・証券分野30パーセントでシステムを提供すれば利益率に差があるため、営業利益10億円は達成可能だと、私自身のシミュレーションでは考えています。
塩谷:非常に具体的な数字をご説明いただき、ありがとうございます。
中期経営計画 成長戦略3 ~ファミリーオフィスビジネスへの参入~

塩谷:ここからは、成長戦略のうち、3つ目の「ファミリーオフィスビジネスへの参入」についてご説明いただきます。従来のシステム開発会社を中心としたモデルとは少し異なる印象を受けますが、もう少し詳しく教えていただけますか?
北山:簡単にいえば、ファミリーオフィスビジネスは財産承継、事業承継、資産運用を指します。これまでの日本の相続対策は、税務対策を実行することで相続税を軽減することが主流でした。しかし今後は、アメリカやヨーロッパのように資産運用を含めたかたちが主流になってくると見ています。したがって、日本のファミリーオフィスビジネスとは、財産承継、事業承継、資産運用という3つの事業領域が統合されたビジネスモデルだと私は考えています。
これを実現するためには、当社の100パーセント子会社であるWealth Engine社が重要な役割を果たします。現在、Wealth Engine社は関東財務局に投資助言・代理業および第二種金融商品取引業のライセンスを申請しております。Wealth Engine社がまさにプレーヤーとなります。

先ほどご説明した台湾のSoftBI社と当社が設立したTrust Engine社が、日本のファミリーオフィスビジネスのためのプラットフォームを構築し、Wealth Engine社、およびその他の会計事務所やIFAがそのシステムを利用します。
Wealth Engine社は、投資助言・代理業および第二種金融商品取引業のライセンスを取得し、カスタマイズファンドラップの組成・構築・販売をTrust Engine社が開発したシステムを活用しながら推進していく計画です。
私自身も税理士資格を保有していますが、申告書の作成は税理士法人固有の業務です。そのため、税理士法人と提携しながら、タックスマネジメントとアセットマネジメントを統合したワンストップサービスを提供するビジネスを、Wealth Engine社とTrust Engine社、さらに提携税理士法人とともに展開していきたいと考えています。
このようなサービスは、アメリカやヨーロッパでは比較的大きな金融サービスとなっています。アメリカではRIA(Registered Investment Adviser)というプレーヤーがファミリーオフィスサービスを提供しており、ファミリーオフィスビジネスサービスが巨大なビジネスの1つとなっています。
スイスにはEAM(External Asset Manager)というプレーヤーが存在し、そこが顧客の金融資産、不動産、非上場株式を含む総資産管理を行っています。一言で言えば、日本版RIA、EAMをWealth Engine社で実現していこうと考えています。
Wealth Engine社には、過去20年間にわたりアセットマネジメント会社でアナリストとして業務経験を持つ人材や、コンプライアンス業務の経験がある人材が在籍しています。これがアセットマネジメントのイノベーターになると冒頭で述べましたが、まさにWealth Engine社がプレーヤーとして、お客さまの財産承継、事業承継、資産運用を一体的に支援するマルチクライアントファミリーオフィスビジネスを展開していこうと考えています。
荒井沙織氏(以下、荒井):フリーアナウンサーの荒井沙織です。ファミリーオフィス業界について理解が深まりました。
北山:ファミリーオフィスビジネスは、アメリカやヨーロッパなどの資本主義国で非常に盛んに行われており、中国本土にも存在します。主要な資本主義国の中でファミリーオフィスビジネスが大きなビジネスとなっていないのは、日本だけです。
なぜ日本ではファミリーオフィスビジネスが盛んでないかというと、税務が非常に複雑で参入が難しいためです。そこで当社は、Trust Engine社のシステム、Wealth Engine社と税理士法人の連携を活用し、ワンストップサービスとして日本版マルチクライアントファミリーオフィスビジネスを展開していく計画を立てています。この計画では、財産承継、事業承継、資産運用を含めた総合的なサービス提供を目指しています。
荒井:一度参入がうまくいけば、後から参入してくる企業が増えにくいため、競争優位を保ちやすいということでしょうか?
北山:そのとおりです。日本でマルチクライアントファミリーオフィスビジネスを実行しようとする際には、税務の知識や経験が欠かせません。また、金融資産に関わるアセットマネジメント、不動産に関わるアセットマネジメントに加え、相続税の納税には生命保険が必要となるため、総資産に関わるアセットマネジメントが求められます。
通常の会計士や税理士は税務のプロフェッショナルですが、アセットマネジメントに精通している会計士や税理士は非常に少ないのが現状です。当社では、日本証券アナリスト協会検定会員の資格を持ち、税務の知識に加えてアセットマネジメントに取り組む会計士や税理士を中心に、日本におけるマルチクライアントファミリーオフィスビジネスを展開しようとしています。
株主還元(1)

荒井:次に、気になる株主還元について教えてください。
北山:株主還元には2つの方法があります。1つは現金配当、もう1つは株主優待です。この2つの側面から、当社が実行しようとしている株主還元政策についてご説明します。
まず、配当についてです。2025年9月期においては、中間配当と期末配当を合わせて1株当たり18円の配当を実施しました。2026年9月期については、中間配当9.5円、期末配当9.5円で、合計19円を予想しています。
当社では累進配当制度を導入しています。これは減配がなく、少なくとも据え置き、または増配を実施する制度です。なお、配当性向は20パーセントから50パーセントを目処としており、現状では20パーセントに近い水準です。2026年9月期についても増収増益を予想しており、今後の増配にも期待していただける状況です。
株主還元(2)

北山:株主優待については、300株以上を1年以上保有いただいている株主さまに、2,000円分の「QUOカード」を支給します。さらに、300株以上を3年以上継続して保有いただいた株主さまには、3,000円分の「QUOカード」を支給します。また、1,000株以上を1年以上保有いただいている株主さまには、3,000円相当のオリジナルカタログギフトを支給しています。保有期間が3年以上の場合には、3,000円相当のオリジナルカタログギフトと1,000円分の「QUOカード」を支給します。
現金配当と株主優待制度の2つを、株主さまへの還元策として位置づけています。先ほどご説明した現金配当については、今期も累進配当政策を採用しています。増収増益が見込まれる中で、現金配当の増配にもご期待いただきたいと考えています。
荒井:株主還元がしっかりしており、うれしいですね。
塩谷:そうですね。累進配当という点も、安心して購入できる理由になるかと思いました。
おわりに

北山:現在の日本は、大相続時代や人生100年時代に突入しています。このような時代は、個人資産の組み換えが行われる時期であり、大運用時代でもあります。当社は、デジタルの力を活用し、資産運用立国の実現を支援していきます。今後の当社の企業価値拡大にご期待いただければと思います。
本日はご説明をお聞きいただき、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
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(+0.70%)
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