2026年の金融相場はどうなる? 「PERが割高化しやすい」米国株投資の新たな局面

投稿:2026/01/22 08:00

2026年の米国の政策金利はさらなる利下げ、日本では利上げが予想されています。中立金利という概念を理解することで、現在の金融政策の方向性が見えてきます。また、金融緩和局面では「金融相場」に入り、株価の上昇が期待できる銘柄も出てきます。バイオテクノロジーや情報技術関連銘柄のスクリーニング方法と投資のポイントを解説します。(※2025年12月18日収録のマネックス証券YouTube動画に基づく内容です)

【#3】FOMCで何が動く?金利と米国株をやさしく解説

山口慧太氏(以下、山口):みなさま、こんにちは。マネックス証券のぐっち~こと山口慧太です。ニュースで学ぶ投資を始めます。本日は、2025年12月の半ばに米国でFOMC(Federal Open Market Committee)が開催されたことを受け、2026年の金利の見通しについてお話しします。

2026年の金利見通しとFOMC

山口:さっそく、2025年12月9日から10日に実施されたFOMCから内容を見ていきます。会合の中で0.25パーセントポイントの利下げが決定されました。それにより、政策金利は3.5パーセントから3.75パーセントに引き下げられました。FOMCのメンバーは、長期的な政策金利について3パーセントに収束していく見方を示しました。

ーー例えば失業率の悪化など、どのような懸念があったのでしょうか?

山口:事前に市場では追加利下げが織り込まれていたのですが、労働市場をこれ以上悪化させないため、予防的な面が強い印象があります。

ーー今回、2025年12月に利下げが発表されましたが、2026年の政策金利はどのような方向性になるでしょうか?

山口:マネックス証券では、米国の金利に関して、2026年には2回ほど利下げをしていくのではないかという見通しを立てています。今回の会合で3.5パーセントから3.75パーセントに決められたものが、3パーセントから3.25パーセントまで引き下げられ、政策金利の引き下げに伴い、長期金利も緩やかに低下していくと予想しています。

今回は、FRBや日銀がどのように政策金利を決めていくかを掻い摘んで、イメージしやすいように解説します。

中立金利とは何か? 政策金利を理解するための基本概念

山口:そもそも、米国の政策金利は3パーセントで、日本では0.75パーセントですが、何を基準に決められているのかをお話しします。概念として重要なのが中立金利です。

中立金利とは、読んで字のごとく、景気を過度に押し上げることも、抑制することもない中立的な金利水準のことです。イメージしていただきたいのが、政策金利が中立金利を上回っている状態だと「金融引き締め」の状況になり、反対に、下回っている状態だと金融緩和となります。

スライドに示している表が、中立金利を考える上で重要な理論値の計算となります。

自然利子率という推計された利子率と、インフレ率を足し合わせたものが中立金利とされています。日本で例えると、中立金利はだいたい1パーセントから2.5パーセントの間にあるというのが市場のコンセンサスとなっています。

現在の政策金利は0.5パーセントで、日銀は、本日2025年12月18日から19日に、12月の金融政策決定会合を行い、利上げが行われる見通しが大勢を占めています。

(※本動画収録後の2025年12月19日、日銀は政策金利を0.75パーセントへ引き上げることを決定)

現在0.5パーセントの政策金利が0.75パーセントまで利上げされることに対し、中立金利が1パーセントから2.5パーセントにあるということは、依然として金融緩和的な状況であることが考えられます。

このように、政策金利を比較する時には、中立金利の水準がどの程度かを比較して見ていくことが重要です。

ーー今回の日銀の利上げは2025年1月以来の約11ヶ月ぶりで、0.75パーセントとなると1995年以来、30年ぶりの利上げ水準となります。これに際して、市場にはどのような影響があるでしょうか?

山口:30年ぶりの利上げ水準ということで、身構える部分はあるかと思います。

しかし、ペースがゆっくりであったのと、ある程度市場に織り込ませるよう日銀関係者のコミュニケーションがあったため、そこまで大きなサプライズになるとは思っていません。市場は、「今後1パーセントになるのはいつなのか?」に注目していると思います。

政策金利は、2025年12月の後にも、2026年の前半、おそらく7月あたりにもう1回上昇し、1パーセント程度に達する可能性が視野に入る見通しです。

金融相場に入る米国株式市場の見通し

山口:マネックス証券では、米国の政策金利が引き下げられるという見通しを出していますが、それをもとに、株式市場にどのような影響やヒントがあるのかをお話しします。

こちらのスライドは株式市場でよく使われるフレームワークで、4つのステージで循環しているというものです。

米国は、足元では政策金利の引き下げを続けており、金融緩和的な状況にあります。相場のサイクルで言うと、スライド左上の「金融相場(金融緩和)」に位置すると考えています。 金融緩和と聞くと、景気を押し上げることが想像されると思いますが、市場の局面として捉えると、スライド左上の「金融相場(金融緩和)」に位置している、もしくは到達している状態になります。

この金融相場の特徴は、金融緩和を背景に、将来の景気や業績回復を見込んだ株高になりやすい局面となり、そのためバリュエーション(PER)が割高化しやすい傾向があることです。新興グロースや景気敏感株が先行されやすい傾向にありました。

ーーなぜこの金融相場で、バリュエーションの上昇を伴った株高の傾向と位置づけられるのでしょうか?

山口:金融緩和をすることで、企業を金融の面で支えていき、それにより経済が回復していくことや、業績回復を先取りして株価が先に上がっていくことになります。

一方で、割高化しやすい反面、実際に得られる利益以上に株式が評価されていることで「割高」と評価される可能性があるため、注意する必要があります。逆に言うと、今持っている株式のバリュエーション主導で上がっていく場合には、売り時のタイミングを意識する局面だという認識を持っています。

金融相場で注目すべき銘柄とスクリーニング戦略

ーー今から銘柄を探して買うのはまだ遅くはないでしょうか?

山口:もちろん、個人投資家のみなさまは常にタイミングを探しているであろうと想像しています。

このような局面でPERが高くなっているところは狙わず、逆に情報技術・AI関連やバイオテクノロジー等で出遅れている銘柄がないかをスクリーニングしてみて、なぜ出遅れているのかを考え、まだ見つかっていないようであれば投資していくとチャンスがあるかもしれません。

人気のNVIDIAやGAFAM、マグニフィセント・セブンの銘柄は、テスラを除くと過去に比べてバリュエーションは高くないです。そのような銘柄がPERの切り上げによって株高になっていくことも、1つの可能性として視野に入れることができると思っています。

「銘柄スカウター米国株」のご紹介

ーー当社のサービスとして「銘柄スカウター米国株」があり、こちらは米国株やETFに特化したスカウター機能を搭載しています。「10年スクリーニング」を使用して、金融相場で株価の上昇が見込まれる銘柄をスクリーニングしていきます。

ーー先ほど、金融相場で上昇が見込まれる企業として、バイオ企業や情報技術関連企業を挙げました。まずは医療バイオ系の企業からスクリーニングしていきます。「業種」の区分で、バイオ系や医療系の分野を選択し、成長率を設定します。今回は「5年で20パーセント以上」「ROEが25パーセント以上」としています。スクリーニングの結果、対象銘柄は15件出てきました。

山口:バイオテクノロジーはPERが高くつくことが想像できますが、専門的な分野のため、手を出しづらいセクターだと思います。個別の評価も必要ですが、この中でPERが1,300倍台にある銘柄を避けていき、一方でPERが低いものには注目して、内容を精査した上で良いと判断できれば、ウォッチリストに入れていくような流れが良いと思います。

ーー個別銘柄で注目すると、ハロザイム・セラピューティクスという銘柄があります。主にがん治療に関するバイオテクノロジー企業で、売上高が6期連続増収、10年最高額が予想されている銘柄です。また、個別銘柄に投資するのに少し不安を覚える方は、ETFという上場投資信託もあります。投資信託のように複数の銘柄が組み込まれており、バイオテクノロジー関連で分散投資をすることが可能です。

山口:ETFは複数銘柄に投資をすることができます。「卵を1つの籠に盛るな」とよく言われますが、分散することで、何かが起きた時に卵がすべて割れてしまうのを防ぐという意味の投資格言です。

もちろんETFも一緒に下落する心配はありますが、下落時のダメージを軽減することが期待できます。

まずはETFなどから探しつつ、少しずつ情報をキャッチアップして、個別のバイオテクノロジー株も買っていくというのがステップアップの仕方として良いと思います。

ーー続いて、情報技術関連の銘柄について確認します。「業種」では「通信サービス」「半導体」「ソフトウェア」を組み込み、詳細条件は「成長率が5年で20パーセント以上」「ROEが25パーセント以上」でスクリーニングを行います。今回の対象銘柄数は24件で、この中には先ほど挙げたNVIDIAも入ってきます。

ーーこう見ると、NVIDIAは時価総額が大きく突出していますが、他にもブロードコムや、英会話学習でおなじみのデュオリンゴもあります。注目の銘柄や指数などはありますか?

山口:注目銘柄としてオラクル、ブロードコムなどが挙げられます。AI関連銘柄は足元で設備投資の課題感もあり、本日はフォーティネットが下落していましたし、なかなか手が出しづらいことが想像されます。一方で、NVIDIAは利益の成長速度が非常に速いため、現在のPERだけで見ると高く見えなくても、将来の利益を考慮すると割高感はありません。

2026年もAI関連銘柄がメインテーマとなって相場を主導していくと思います。

個人的に思うのは、投資する際には、下値やチャンスがある時に少しずつ買っていくことが大切だということです。2026年、2027年と先を見据えた「青田買い」というほどではないですが、「買えたら良い」という程度で、足元の調整や懸念がある場合は我慢しつつ、軽めの投資金額を入れていくのが、安全な投資のスタンスだと思います。

ーー2025年は、日経平均がAIや半導体関連銘柄に大きく引き上げられた年でしたが、2026年もこのトレンドは引き続き継続していきそうということですか?

山口:そう思います。お金が動くところ、いわゆるハイパースケーラーなどが大きなお金を動かしており、日本でもその半導体の工場を作っているため、そのテーマが大きく変わるということは想像していないです。

AIや半導体関連銘柄は、引き続き2026年のテーマになっていくと予想しますが、今出ているような懸念材料はずっとついてくると思います。その点も配慮しながらどの程度上がっていくのかを考え、調整のタイミングで買っていけると良いと思います。

まとめ

山口:今回お伝えしたかったのは、金融相場の局面は、PERが割高化しやすい相場サイクルの位置づけにあるため、半導体やテクノロジーは常に割高になりやすく、危険度が増すところでもあるという点です。

そのような局面であることに注意しながら、すでに持っている方についてはポジションを再検討する際の参考にしていただければと思います。ご視聴ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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