*16:38JST クルーズ: ITアウトソーシング事業に注力で構造改革終了、明確な転換局面を迎える
クルーズ<2138>は、過去に展開してきたゲーム事業や大規模EC事業の譲渡・撤退を経て、現在はITアウトソーシング事業(主にSES事業や介護福祉人材サービス事業)を中核とする事業構造へと大きく転換している。従来のように複数の新規事業へ同時並行でリソースを投下する方針から距離を置き、足元で収益性と再現性が確認できている事業に経営資源を集中させる姿勢を明確にしている。今期で不採算事業の全整理を終え、将来不安の残る事業はなくなっており、業績も明らかな転換局面を迎えた。
SES事業の競争環境について、同社はテクノプロなどの大手人材サービス企業とは直接的な競合関係にあるとは捉えておらず、むしろ新興SES企業群との競争が中心であるとの認識を示している。SES市場自体が非常に多様なプレイヤーで構成されていることを前提としつつも、その中で明確な差別化要因として「採用力」を挙げている。特に、グループ内の求人広告代理店のノウハウを活かして、広告運用や応募対応の迅速化などを徹底しており、正社員エンジニアの採用実績は業界トップクラスを誇っている。候補者流入から応募対応、選考プロセスに至るまでのPDCAが確立されていることが、安定的な人材確保につながっている。
単価面では、SES事業の平均単価は概ね58万円前後で推移しており、現時点で大きな変動は見られない。同社は高単価人材の獲得を積極的に進める戦略ではなく、一定水準のスキルを有する人材を安定的に採用し、確実に案件へアサインしていくモデルを採用。案件獲得については、同社単独での営業活動に加え、SES企業同士での案件紹介や人材融通といったネットワークも活用しており、採用した人材が案件に結びつかないリスクを抑制している。自社雇用を前提としているため、スキルセットと案件内容のマッチングを重視した運営が行われている。
また、介護福祉人材サービス事業にも注力しており、同事業は介護施設向けの人材派遣が中心で、派遣免許を保有している点が事業基盤となっている。人材および営業体制への投資を継続しており、短期的に市場が縮小するリスクは小さい。AI活用による業務代替については、介護分野では導入が進みにくい領域であるとの認識を持ちつつも、将来的な効率化には対応していく必要があるとみている。
2026年3月期第2四半期決算では、連結売上高5,382百万円(前年同期比23.2%減)、連結営業損益138百万円の赤字(前年同期854百万円の赤字)と赤字幅を縮小して着地した。ただ、これは不採算事業からの撤退が影響しているだけで、注力中のITアウトソーシング事業の2Q売上高は、前期1,133百万円から今期1,748百万円(同54.3%増)と非常に好調、通期売上目標6,800百万円の達成はほぼ確実との見通しが示されている。
また、その中でも介護福祉人材サービス事業の売上高は前年同期83百万円から今期222百万円(同267.2%)と大きく伸長した。現状人材獲得などの先行投資を実施中で赤字となっているが、来期中の黒字化を視野に入れている。全社的な今期計画は、連結売上高11,821百万円(前期比16.7%減)、連結営業損益30百万円の黒字転換を見込んでいる。
繰り返しになるが、同社は構造改革が終了し、赤字又は赤字傾向の事業全て撤退(ランク王、SHOPLIST、ゲーム事業)、先行投資中事業を除き赤字事業はゼロとなった。今後、引き続きITアウトソーシング事業の拡大により業績成長を図っていく。SESから派生した同様のモデルの横展開で介護福祉人材サービス事業も来期黒字転換想定で、将来の貢献のポテンシャルは大きい。また、主力のITアウトソーシング事業に加えて、Ada.事業(EC事業)も開始からおよそ2年で年間取扱高約44億円(前年比397.9%増)の規模に成長している。Ada.事業は、主に「ZOZOTOWN」内で展開する、オリジナル商品と他社優良ブランドの商品を厳選したファッションセレクトショップを運営しているが、同事業も2Q時点で営業黒字に転換した。そのほか、新規事業については、過去のゲーム・EC事業の経験を踏まえ、無秩序なコングロマリット化を避ける方針が強調されており、現時点では、既存事業の延長線上や補完関係にある「その他事業」が自然に成長してくることを重視しており、条件が整わない段階での新規事業立ち上げには慎重姿勢となっている。
資本政策面では、営業黒字化が見えてきたとはいえ、当面は事業成長を優先する姿勢を示している。また、同社はベンチャー株や不動産への投資を行っているが、これらも非常に好調で、来期以降大きな貢献が期待されているようだ。投資不動産については、余剰資金の運用という位置づけで保有しており、ITアウトソーシング事業やAda.事業において急激に資金需要が発生する局面が少ないことから、資産価値の維持・安定を重視した運用を行っている。
株主還元についても、将来的な配当を視野に入れつつも、まずは事業を着実に成長させることを重要視している。IR活動は、業績回復局面にあるとの認識のもと、株価を意識した情報発信の強化を課題として挙げている。個人投資家・機関投資家双方に対して、冒頭で事業の現状やトレンドが直感的に伝わるような情報開示を進めていく方針であり、特にITアウトソーシング事業における採用力と成長トレンドを今後の主要な訴求ポイントと位置づけている。
総じて、クルーズは「ITアウトソーシングを軸に、採用力を武器として着実な成長を目指す企業」へと明確な転換点を迎えている。恒常的に黒字を維持しつつ売上を成長させ、損益分岐点を超えた結果として営業利益が発生し続けていくという点でトレンドが大きく変化しているなか、来期以降の株価動向には非常に注目しておきたい。
<NH>
SES事業の競争環境について、同社はテクノプロなどの大手人材サービス企業とは直接的な競合関係にあるとは捉えておらず、むしろ新興SES企業群との競争が中心であるとの認識を示している。SES市場自体が非常に多様なプレイヤーで構成されていることを前提としつつも、その中で明確な差別化要因として「採用力」を挙げている。特に、グループ内の求人広告代理店のノウハウを活かして、広告運用や応募対応の迅速化などを徹底しており、正社員エンジニアの採用実績は業界トップクラスを誇っている。候補者流入から応募対応、選考プロセスに至るまでのPDCAが確立されていることが、安定的な人材確保につながっている。
単価面では、SES事業の平均単価は概ね58万円前後で推移しており、現時点で大きな変動は見られない。同社は高単価人材の獲得を積極的に進める戦略ではなく、一定水準のスキルを有する人材を安定的に採用し、確実に案件へアサインしていくモデルを採用。案件獲得については、同社単独での営業活動に加え、SES企業同士での案件紹介や人材融通といったネットワークも活用しており、採用した人材が案件に結びつかないリスクを抑制している。自社雇用を前提としているため、スキルセットと案件内容のマッチングを重視した運営が行われている。
また、介護福祉人材サービス事業にも注力しており、同事業は介護施設向けの人材派遣が中心で、派遣免許を保有している点が事業基盤となっている。人材および営業体制への投資を継続しており、短期的に市場が縮小するリスクは小さい。AI活用による業務代替については、介護分野では導入が進みにくい領域であるとの認識を持ちつつも、将来的な効率化には対応していく必要があるとみている。
2026年3月期第2四半期決算では、連結売上高5,382百万円(前年同期比23.2%減)、連結営業損益138百万円の赤字(前年同期854百万円の赤字)と赤字幅を縮小して着地した。ただ、これは不採算事業からの撤退が影響しているだけで、注力中のITアウトソーシング事業の2Q売上高は、前期1,133百万円から今期1,748百万円(同54.3%増)と非常に好調、通期売上目標6,800百万円の達成はほぼ確実との見通しが示されている。
また、その中でも介護福祉人材サービス事業の売上高は前年同期83百万円から今期222百万円(同267.2%)と大きく伸長した。現状人材獲得などの先行投資を実施中で赤字となっているが、来期中の黒字化を視野に入れている。全社的な今期計画は、連結売上高11,821百万円(前期比16.7%減)、連結営業損益30百万円の黒字転換を見込んでいる。
繰り返しになるが、同社は構造改革が終了し、赤字又は赤字傾向の事業全て撤退(ランク王、SHOPLIST、ゲーム事業)、先行投資中事業を除き赤字事業はゼロとなった。今後、引き続きITアウトソーシング事業の拡大により業績成長を図っていく。SESから派生した同様のモデルの横展開で介護福祉人材サービス事業も来期黒字転換想定で、将来の貢献のポテンシャルは大きい。また、主力のITアウトソーシング事業に加えて、Ada.事業(EC事業)も開始からおよそ2年で年間取扱高約44億円(前年比397.9%増)の規模に成長している。Ada.事業は、主に「ZOZOTOWN」内で展開する、オリジナル商品と他社優良ブランドの商品を厳選したファッションセレクトショップを運営しているが、同事業も2Q時点で営業黒字に転換した。そのほか、新規事業については、過去のゲーム・EC事業の経験を踏まえ、無秩序なコングロマリット化を避ける方針が強調されており、現時点では、既存事業の延長線上や補完関係にある「その他事業」が自然に成長してくることを重視しており、条件が整わない段階での新規事業立ち上げには慎重姿勢となっている。
資本政策面では、営業黒字化が見えてきたとはいえ、当面は事業成長を優先する姿勢を示している。また、同社はベンチャー株や不動産への投資を行っているが、これらも非常に好調で、来期以降大きな貢献が期待されているようだ。投資不動産については、余剰資金の運用という位置づけで保有しており、ITアウトソーシング事業やAda.事業において急激に資金需要が発生する局面が少ないことから、資産価値の維持・安定を重視した運用を行っている。
株主還元についても、将来的な配当を視野に入れつつも、まずは事業を着実に成長させることを重要視している。IR活動は、業績回復局面にあるとの認識のもと、株価を意識した情報発信の強化を課題として挙げている。個人投資家・機関投資家双方に対して、冒頭で事業の現状やトレンドが直感的に伝わるような情報開示を進めていく方針であり、特にITアウトソーシング事業における採用力と成長トレンドを今後の主要な訴求ポイントと位置づけている。
総じて、クルーズは「ITアウトソーシングを軸に、採用力を武器として着実な成長を目指す企業」へと明確な転換点を迎えている。恒常的に黒字を維持しつつ売上を成長させ、損益分岐点を超えた結果として営業利益が発生し続けていくという点でトレンドが大きく変化しているなか、来期以降の株価動向には非常に注目しておきたい。
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