*15:13JST 日本製鉄:配当4%、PBR1倍割れの割安成長株、中期計画で株価はダブルバガー以上へ(1)
日本製鉄<5401>が「2030中長期経営計画」を発表した。厳しい環境下でも「実力ベース連結事業利益6,000億円超の確保」ができる状況から、「実力ベース連結事業利益1兆円以上を実現」するさらなる収益基盤強化、グローバル戦略を推進する。ROEは10%程度が目標となるため、目標達成後の税引き後の15倍まで買われた場合、現状の時価総額3.4兆円は数倍となる。足もとPBRも0.62倍であり、かつ配当利回りも4%に近い。連結配当性向は年間30%程度が目安とされ、特筆すべきは年間24円/株の下限配当が設定されたことだ(1:5の株式分割前だと120円/株)。割安水準でインカムゲインを享受しつつ、大きな成長を取り込める可能性がある局面となる。
「2030中長期経営計画」を推進することで日本製鉄は、総合力世界No.1の鉄鋼メーカーとしての復権を目指している。2016~2020年度の実力ベース連結事業利益2,000億円程度、長期成長投資3.1兆円程度を、2021~2025年度では約7,700億円(目標は同6,000億円超の確保)、約7.5兆円へ増加させた。国内では生産設備構造対策、紐付き価格・マージン改善、戦略投資を推進し、海外ではアメリカにおけるU. S. Steel買収、インドAM/NS Indiaの生産能力の拡充、日系製造業が集積するタイにおけるG/GJ Steel買収など、有望市場での生産能力確保・拡大を推進し、「幅」と「厚み」のある事業構造へと進化させている。2030中長期経営計画では、こうして確立した事業体制を最大限活用して、国内における「さらなる収益基盤強化による収益力の向上」と海外における「グローバル成長戦略の実行」を通じて、世界No.1鉄鋼メーカーへの復権を果たし、2030年度までに実力ベース連結事業利益1兆円以上、2031年度以降でグローバル粗鋼1億トン以上(30%以上出資会社の生産能力の単純合算)を目指す。2026~2030年度までの成長投資も、総額6兆円規模(U. S. Steel投資を含む)を実施予定だ。日本における高い技術をアメリカ、新興国へ移管し、保護主義および地政学リスクを回避するとともに、新興国の成長を取り込むことになる。実力ベース連結事業利益は国内で5,000億円以上を維持拡大しつつ、主に海外を大きく伸ばす計画である。
先進国の中で唯一人口が長期的に増加を継続しているアメリカでは、鋼材の自給率が55%程度と試算されている。100%出資によって日本製鉄の完全な技術移転が可能となり、設備投資で技術的なアドバンテージを獲得するU. S. Steelは、国内シェアを高めるとともに、保護主義および地政学リスクの回避志向がプラスに働こう。現状のアメリカの関税率は、中国との競争において競争力を持ちうる水準となる可能性がある。さらに、タイのマーケットにおける競争で磨かれる事業運営上の知見や対応力も取り込める可能性がある。インドの鋼材需要は2020年から2030年にかけて倍増が見込まれており、同社はその成長を取り込めるポジションにもある。
なお、同社は、国内最大手かつ世界有数の鉄鋼メーカーとして、グローバルなサプライチェーンと圧倒的な技術力を基盤に、高機能鋼材を中核とした高付加価値製品を多様な業界に供給している。同社の事業は「製鉄」「エンジニアリング」「ケミカル・マテリアル」「システムソリューション」の4セグメントに大別されるが、その中でも「製鉄」がグループ売上収益の約9割を占める。鉄鋼事業では、国内製鉄所(東日本、名古屋、関西、九州など)を中心に、原料から製品までの一貫生産体制を構築しているほか、タイ、インド、米国など海外拠点も強化。用途別では、自動車・建設・産業機械向けなど、強度・耐久性・成形性を求められる分野への製品供給を担っている。
同社の競争優位性は大きく三点に集約される。第一に、他社に先駆けた高機能鋼材の製品開発力と製造技術である。特に電磁鋼板や自動車用高張力鋼板(ハイテン)などは、自動車・電機・インフラ分野など、品質や性能が厳しく求められる用途に数多く採用されており、こうした分野における需要の拡大に対応する形で供給体制の強化が進められている。第二に、海外展開においては、インドのAM/NS India、米国のU. S. Steel買収、タイ薄板市場シェア拡大などを通じ、成長市場におけるプレゼンスを着実に高めている。第三に、世界的な環境規制強化に対応するため、COURSE50やSuper COURSE50といった水素還元製鉄技術の開発をリードしており、脱炭素社会への貢献と将来的なコスト競争力の確保を両立する姿勢が評価されている。これらにより、価格競争に陥らず、技術・供給・環境の三軸での優位性を確立している。
今後については国内製鉄の構造改革に加え、米国U. S. Steel買収による統合効果、インドやタイでの需要地型生産拡大といった戦略施策が着実に進んでおり、収益力回復に期待が持てる。高付加価値製品の拡販、グローバルな最適供給網の整備、脱炭素対応に向けた技術開発など、長期的な競争力強化に向けた布石も進んでいる。製造拠点の再編やサプライチェーンの強靭化、国内外の多様な販売チャネルによって、高い参入障壁を築いている点は引き続き注目される。
「日本製鉄:配当4%、PBR1倍割れの割安成長株、中期計画で株価はダブルバガー以上へ(2)」へ続く
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「2030中長期経営計画」を推進することで日本製鉄は、総合力世界No.1の鉄鋼メーカーとしての復権を目指している。2016~2020年度の実力ベース連結事業利益2,000億円程度、長期成長投資3.1兆円程度を、2021~2025年度では約7,700億円(目標は同6,000億円超の確保)、約7.5兆円へ増加させた。国内では生産設備構造対策、紐付き価格・マージン改善、戦略投資を推進し、海外ではアメリカにおけるU. S. Steel買収、インドAM/NS Indiaの生産能力の拡充、日系製造業が集積するタイにおけるG/GJ Steel買収など、有望市場での生産能力確保・拡大を推進し、「幅」と「厚み」のある事業構造へと進化させている。2030中長期経営計画では、こうして確立した事業体制を最大限活用して、国内における「さらなる収益基盤強化による収益力の向上」と海外における「グローバル成長戦略の実行」を通じて、世界No.1鉄鋼メーカーへの復権を果たし、2030年度までに実力ベース連結事業利益1兆円以上、2031年度以降でグローバル粗鋼1億トン以上(30%以上出資会社の生産能力の単純合算)を目指す。2026~2030年度までの成長投資も、総額6兆円規模(U. S. Steel投資を含む)を実施予定だ。日本における高い技術をアメリカ、新興国へ移管し、保護主義および地政学リスクを回避するとともに、新興国の成長を取り込むことになる。実力ベース連結事業利益は国内で5,000億円以上を維持拡大しつつ、主に海外を大きく伸ばす計画である。
先進国の中で唯一人口が長期的に増加を継続しているアメリカでは、鋼材の自給率が55%程度と試算されている。100%出資によって日本製鉄の完全な技術移転が可能となり、設備投資で技術的なアドバンテージを獲得するU. S. Steelは、国内シェアを高めるとともに、保護主義および地政学リスクの回避志向がプラスに働こう。現状のアメリカの関税率は、中国との競争において競争力を持ちうる水準となる可能性がある。さらに、タイのマーケットにおける競争で磨かれる事業運営上の知見や対応力も取り込める可能性がある。インドの鋼材需要は2020年から2030年にかけて倍増が見込まれており、同社はその成長を取り込めるポジションにもある。
なお、同社は、国内最大手かつ世界有数の鉄鋼メーカーとして、グローバルなサプライチェーンと圧倒的な技術力を基盤に、高機能鋼材を中核とした高付加価値製品を多様な業界に供給している。同社の事業は「製鉄」「エンジニアリング」「ケミカル・マテリアル」「システムソリューション」の4セグメントに大別されるが、その中でも「製鉄」がグループ売上収益の約9割を占める。鉄鋼事業では、国内製鉄所(東日本、名古屋、関西、九州など)を中心に、原料から製品までの一貫生産体制を構築しているほか、タイ、インド、米国など海外拠点も強化。用途別では、自動車・建設・産業機械向けなど、強度・耐久性・成形性を求められる分野への製品供給を担っている。
同社の競争優位性は大きく三点に集約される。第一に、他社に先駆けた高機能鋼材の製品開発力と製造技術である。特に電磁鋼板や自動車用高張力鋼板(ハイテン)などは、自動車・電機・インフラ分野など、品質や性能が厳しく求められる用途に数多く採用されており、こうした分野における需要の拡大に対応する形で供給体制の強化が進められている。第二に、海外展開においては、インドのAM/NS India、米国のU. S. Steel買収、タイ薄板市場シェア拡大などを通じ、成長市場におけるプレゼンスを着実に高めている。第三に、世界的な環境規制強化に対応するため、COURSE50やSuper COURSE50といった水素還元製鉄技術の開発をリードしており、脱炭素社会への貢献と将来的なコスト競争力の確保を両立する姿勢が評価されている。これらにより、価格競争に陥らず、技術・供給・環境の三軸での優位性を確立している。
今後については国内製鉄の構造改革に加え、米国U. S. Steel買収による統合効果、インドやタイでの需要地型生産拡大といった戦略施策が着実に進んでおり、収益力回復に期待が持てる。高付加価値製品の拡販、グローバルな最適供給網の整備、脱炭素対応に向けた技術開発など、長期的な競争力強化に向けた布石も進んでいる。製造拠点の再編やサプライチェーンの強靭化、国内外の多様な販売チャネルによって、高い参入障壁を築いている点は引き続き注目される。
「日本製鉄:配当4%、PBR1倍割れの割安成長株、中期計画で株価はダブルバガー以上へ(2)」へ続く
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