クイック Research Memo(7):人材紹介の事業成長とクライアントエージェント機能の強化に注力

配信元:フィスコ
投稿:2026/01/07 12:07
*12:07JST クイック Research Memo(7):人材紹介の事業成長とクライアントエージェント機能の強化に注力 ■中長期の成長戦略

1. 中期計画
クイック<4318>の中期計画は3カ年計画であり、ローリング形式で毎期見直されている。現在の中期計画の最終年度である2028年3月期の連結業績目標は、売上高42,000百万円(2025年3月期比29.2%増)、営業利益5,950百万円(同31.3%増)、経常利益6,000百万円(同30.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,965百万円(同10.7%増)である。本中期計画においては、人材サービス事業を中心とした先行投資や米国の通商政策等による国内外の採用縮小リスクの影響を織り込み、2026年3月期は保守的な計画とし、2027年3月期と2028年3月期により高い事業成長を計画している。

2. 事業セグメント別の戦略
(1) 人材サービス事業
人材サービス事業は、引き続きグループの主力事業として位置付けられ、2028年3月期には売上高29,360百万円、営業利益4,828百万円を目指す。

人材紹介においては、既存の専門職・特定領域での深耕・シェア拡大を図る。具体的には、各領域において、運営サイトの改良や機能面の拡張、コンテンツの質量両面での強化に取り組みつつ、継続的なプロモーション展開を通じてブランド価値の引き上げを進める方針だ。加えて、業務プロセスの効率化につながる投資を進め、全体の生産性向上も図りながら、新たな専門職・特定領域を開拓し培ったノウハウを生かすという横展開の戦略を、これまで同様に積極的に推進する。また、人材面では採用活動を積極的に展開し、育成体系の充実を進めることで、若手社員を早期に実務で活躍できる戦力へ育て上げていく考えだ。

人材派遣・紹介予定派遣等の分野では、派遣先企業との単価協議を進めつつ、新規取引先の開拓を通じて収益性の維持・向上を図る方針である。また、看護師紹介事業との連動強化や既存登録者層の再活性化を進めることで、登録者基盤の拡充にも取り組む構えだ。保育士派遣については、運営サイトの情報拡充やSNSでの発信、イベント企画、外部パートナーとの協働といったプロモーション以外の施策にも力を注ぎ、安定的な登録者獲得を実現していく考えである。

(2) リクルーティング事業
リクルーティング事業は、2028年3月期に売上高5,175百万円、営業利益1,302百万円を目指す。

採用手法が一段と多様化する環境下において、同社はクライアントに対し上流段階から関与し、採用活動全体を支援するクライアントエージェント機能の拡張を進めていく方針だ。Indeedや求人ボックス等の採用支援サービスを核としつつ、採用戦略の策定サポート、選考プロセスの改善支援など幅広いメニューを提示できる体制を整備し、特定サービスへの依存を避けた総合的な提案力を高める考えである。

(3) 地域情報サービス事業
地域情報サービス事業は、2028年3月期に売上高3,151百万円、営業利益446百万円を目指す。

利益率の高い人材紹介を中心としたコンサルティングサービスに今後さらに注力していく方針だ。また、各種イベントとの連携やSNS広告による販促支援や、求人分野におけるIndeed等のWeb媒体の販売拡大を進めていく。ポスティングサービスについては、Webによる受注システムの導入や自社サイトを活用した営業促進、さらに価格見直しも含めた収益性向上策を図る。加えて、スタッフの処遇向上や採用力の強化を図り、配布組織の安定確保と配布エリアの改善・拡張を計画的に進めていく計画だ。

(4) HRプラットフォーム事業
HRプラットフォーム事業は、2028年3月期に売上高1,446百万円、営業利益566百万円を目指す。

人事ポータルサイト「日本の人事部」について、認知度を一段と高める取り組みとより充実したコンテンツ作りを進め、ユーザー数及び会員数の拡大を狙う方針だ。加えて、同サイトが展開するイベントを含む一連の関連サービス全体を、さらにユーザー同士のネットワーク醸成を可能にする基盤へと進化させ、競争優位性と顧客満足度の向上を図る。加えて、HR分野における新たな市場の開拓にも積極的に取り組む考えである。

(5) 海外事業
海外事業は、2028年3月期に売上高2,865百万円、営業利益251百万円を目指す。

北中米地域では、米国における雇用の国内回帰を見据え、米国人求職者の登録拡大に重点を置く一方、メキシコにおいては既存顧客への深耕営業、新たな営業エリアの開拓、集客チャネルの多様化を進め、収益基盤の安定化を図る方針である。欧州では、ITやフィンテック、エネルギーなど採用需要の伸長が期待される分野に照準を当て、営業活動の強化とともに拠点展開を見据えたネットワーク形成や市場調査を進める。アジアにおいては、採用難易度の高い日本人の採用支援に加え、現地人材紹介サービスの既存顧客への深耕と新規開拓を推進する。また、米国とメキシコ、英国とオランダなどグループ会社間の連携を強め、国際間の転職希望者を対象とした「クロスボーダーリクルートメント(R)」サービスの拡充にも注力していく。さらに、政治経済の状況を見ながらではあるが欧米を中心に拠点展開も行っていく方針だ。

3. M&A戦略
中長期的な事業成長に向け、M&A・出資・業務提携に対して、同社は当中期計画期間においてさらに積極的に取り組んでいく。主に手元資金を活用した60億円を、M&A戦略の予算として活用する方針である。ターゲットとしては、人材紹介の新たな専門職・特定領域の開拓につながる企業、採用の上流工程において特徴的な機能の獲得につながる企業、同社のIT関連体制の強化につながる企業を優先的な対象としている。



■株主還元策

2026年3月期は5期連続の増配を予定、株主優待も魅力

同社は、持続的な企業価値の向上と株主への利益還元を重要な経営課題と位置付けており、株主還元策は、配当政策、加えて株主優待制度、そして市場における株式の流動性向上策を組み合わせて行われている。

配当政策は、安定的な配当の継続を基本としつつ、業績に応じた利益配分を行うことを目指している。配当性向のめどは、2024年3月期に従来の40%から50%に引き上げられた。2026年3月期の年間配当金予想は、前期実績の96.0円(株式分割前換算)から増配となる104.0円(株式分割前換算)が計画されており、2022年3月期から5期連続の増配となる見込みだ。

また、同社は株主優待制度を導入しており、中長期的な株式保有を促している。保有株式数と継続保有期間に応じ、クオカードや特産品や工芸品といった優待品が贈呈される。株式の流動性向上については、2025年2月に主要株主が保有する90万株の立会外分売を実施、さらに2025年12月に普通株式1株につき3株の割合をもって株式分割を実施している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 西村 健)

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