アンジェス Research Memo(3):HGF遺伝子治療用製品は2026年からライセンス交渉を本格始動(1)

配信元:フィスコ
投稿:2025/12/23 12:03
*12:03JST アンジェス Research Memo(3):HGF遺伝子治療用製品は2026年からライセンス交渉を本格始動(1) ■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向

同社の主要開発パイプラインには、HGF遺伝子治療用製品、NF-κBデコイオリゴDNAや、提携先のVasomuneと共同開発中のTie2受容体アゴニストがある。

1. HGF遺伝子治療用製品
HGF遺伝子治療用製品は、血管新生作用を活用して、症状が進行した慢性動脈閉塞症患者向け治療薬として開発が進められてきた。慢性動脈閉塞症は、血管が閉塞し血流が滞ることで組織が潰瘍・壊疽を起こし、最終的に下肢切断を余儀なくされることもある重篤な疾患である。現在の治療法としてはカテーテル治療や血管バイパス手術などが行われているが、手術ができないケースも多く、新たな治療法の開発が求められている。

HGF遺伝子治療用製品は、血管が詰まっている部位周辺に複数回注射投与することによって新たな血管を作り出し、血流を回復させることで潰瘍の改善を図るものである。国内では2019年3月に「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能、効果または性能として、条件及び期限付き承認を取得し、同年9月より「コラテジェン(R)筋注用4mg」※として提携先の田辺三菱製薬を通じて販売を開始した。製造販売後承認条件評価を実施して2023年5月に本承認の申請を行ったが、国内第3相臨床試験の成績を再現できなかったことや、米国の後期第2相臨床試験の結果が良好であったことを踏まえて、戦略的観点から2024年6月に申請を一旦取り下げ、国内での販売を終了した。

※ 用法は、虚血部位に対して筋肉内投与を4週間間隔で2回行い(4mg/回)、症状が残存する場合には4週間後に3回目の投与もできる(薬価は約61万円/1瓶(4mg))。

国内で重度の患者を対象に開発を進めたのに対して、米国では2019年6月に改定された包括的高度慢性下肢虚血に関するグローバル治療指針※や治験担当医師の提案を踏まえて、下肢切断リスクの低いステージ1または2の患者を対象に臨床試験を実施した。治験担当医師の、重症下肢虚血の患者はがんと同様に早期に治療を開始することが重要である、との仮説による試験デザインとした。

※ グローバル治療指針(Global Vascular Guideline:GVG):包括的高度慢性下肢虚血(CLTI:Chronic Limb-Threatening Ischemia)の初期段階から適切な治療マネジメントを提供することで患者のQOLの向上を図ることを推奨している。当ガイドラインでは臨床ステージを4段階(clinical stage1~4)に分け、それぞれのステージにおける治療方針が示されており、米国での後期第2相臨床試験は下肢切断リスクの低いclinical stage1と2を対象とした。このステージの患者には、まず潰瘍の治療を考慮することがガイドラインで推奨されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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