オプティム Research Memo(1):ストック売上が順調に推移し、中間期過去最高の売上・営業利益を達成

配信元:フィスコ
投稿:2025/12/22 12:01
*12:01JST オプティム Research Memo(1):ストック売上が順調に推移し、中間期過去最高の売上・営業利益を達成 ■要約

オプティム<3694>は、AI・IoT技術を得意とするベンチャー企業である。主力の「OPTiM Biz」及び「OPTiM Cloud IoT OS」のデファクトスタンダード化を通じて、第4次産業革命の中心的役割を果たす企業を目指している。当初から世の中にないサービスを作り出すことを念頭に技術開発を行っており、関連の特許を数多く所有する(出願数1,171件、登録数569件、2025年3月時点)。様々な業界の大手企業が同社のパートナーであり、技術力やポテンシャルは内外からも高く評価されている。2014年に東京証券取引所(以下、東証)マザーズ上場、2015年には東証第1部に昇格し、2022年4月の東証区分再編に伴いプライム市場へ移行した。

1. 事業内容
同社の主力事業は「X-Techサービス(AI/IoTサービス)」と「モバイルマネジメントサービス」である。「X-Techサービス(AI/IoTサービス)」は近年投資を加速してきた分野であり、AI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」を活用し、あらゆる産業のDXを実現する取り組みやサービスを展開する。サービス区分としては、1) アグリテック(農業)、2) デジタルヘルス(医療)、3) デジタルコンストラクション(建設)、4) オフィスDX、5) マーケティングDX、6) 映像管理DXにわかれる。農業ではAI・ドローンを用いたドローン農薬散布DXサービス「ピンポイントタイム散布サービス」、建設では高精度3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」が同社を代表するソリューションとなっている。全社売上高の44.8%(2025年3月期)を構成する。「モバイルマネジメントサービス」では、スマートフォンやタブレットなどの様々なデバイスをクラウド上で管理し、組織内の運用管理、資産管理やセキュリティポリシーの設定などを行う「OPTiM Biz」が主力サービスであり、18万社以上に導入され15年連続シェア1位を誇る。パートナー企業による代理販売、OEM提供などで流通し、端末数に応じたライセンス料を受領する。全社売上高の45.6%(2025年3月期)を占める。

創業以来、技術と知財戦略を軸に革新的な市場を切り拓き、複数のサービスで国内トップシェアを獲得。ライセンス収益を基盤とした堅固なビジネスモデルを構築し、AI・IoT分野では各業界の有力企業と連携を強化している。

2. 業績動向
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比10.0%増の4,971百万円、営業利益が同15.2%増の914百万円、経常利益が同29.2%増の857百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同40.5%増の538百万円となり、2桁の増収増益となった。

売上高は、ストック売上が41.5億円、売上構成比で83.6%に達しており、安定収入が積み上がった。モバイルマネジメントサービスが堅調な売上成長を持続したのに加え、AIを核としたX-Techサービスでは展開が加速するとともに、大きく成長した。特に、アグリテック分野の中心的サービスである「ピンポイントタイム散布サービス」が繁忙期をむかえ、圃場面積や顧客数を増やしたことが大きく増収に貢献した。利益については、収益性が相対的に高いライセンス収入の比率が高かったことなどにより売上総利益率が53.3%(同0.3ポイント増)と堅調だった。販管費は、開発人員への積極的投資を継続し同131百万円増だったが、販管費率は同0.5ポイント低下した。これらの結果、営業利益率は前年同期からの18.4%(同0.8ポイント増)と上昇した。

3. 成長戦略・トピックス
2025年10月、同社では、あらゆる情シス業務を効率化・自動化する統合サービス「OPTiM Biz Premium」を月額980円/IDで提供開始した。従来のスマートフォン・PC管理(MDM)に特化した「OPTiM Biz」を基盤に、これまで同社が提供してきた各種IT運用支援サービスを統合した国内初(2025年10月同社調べ)の次世代情シスDXサービスである。情シスの業務は、日々の定型的・反復的な業務が、業務全体のうち約80%もの割合を占めており、広範化・複雑化する傾向にある。このシステムは、企業の情報システム部門が担う「社内ITサポート」「スマホ・PC管理」「ID管理」「SaaS管理」等の主要業務をはじめ、あらゆる情シス業務を効率化・自動化する。同社の試算では、導入前にかかっていたコストに比べ、ライセンス料金を含めた従業員1人あたりに対する情シス対応コストは約53%削減される。また、「OPTiM Biz Premium」と同等機能を、仮に他社製類似サービスでそろえた場合と比較した場合のコストでも、相場より約42%安くなるという。「OPTiM Biz(月額300円/ID)」の導入実績は18万社以上に達しており、既存顧客のアップグレードが一定程度進めば、業績へのインパクトが大きくなるだろう。

4. 今後の見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比10.0%増の11,640百万円、営業利益で同19.7%減の1,570百万円を見込んでいる(期初予想通り)。売上高については、同社の巡航速度である前期比10%成長であり、創業来26期連続となる過去最高売上高を目指す。モバイルマネジメントサービス市場が順調に拡大するなか、優位なポジションを確保している同社の主力製品・サービスが伸びることでストック売上が増加する傾向は、進行期も継続すると想定される。X-Tech・AIサービスについては、各産業においてDX・AIが急速に進展していることが追い風になるなか、農業、建設など優先度の高い“キラーサービス”で大幅に成長を見込んでいる。過去25期にわたって増収を続けてきており、安定した成長を実現できるビジネスモデルである点で進行期の売上計画も信頼できる。通期の売上高予想に対する中間期進捗率は42.7%(前年同期は40.0%)と前年並みである。利益については、AIサービスの開発・サービス体制への大幅な投資の実施を計画しており、利益水準をやや落とす。投資の中身としては、人材への投資がメインであり、新卒者への初任給大幅引き上げなどはその一例である。売上高営業利益率予想(13.5%)は、同社ビジネスモデルの実力値としての利益率(前期18.5%、過去に20%以上の実績有)より低いが、投資意欲を読み取ることができる。通期の営業利益予想に対する中間期進捗率は58.2%(前年同期は40.7%)と前期を大幅に上回る。各業界でAI活用が活発になっているなか、競合技術・サービスも一部で出現しており、同社が優位性を確保する重要な時期であり、進行期の積極投資の判断は賢明であると弊社では考えている。上期にモバイルマネジメントサービスの新サービスがリリースされたこと等でストック売上が想定を上回って伸びれば、利益の上振れもあると想定する。

■Key Points
・独自のAI・IoT・Roboticsの技術で人材不足が深刻化する業界のイノベーションを目指す注目ベンチャー企業。各分野でNo.1ソリューションを多数保有
・2026年3月期中間期はストック売上が順調に推移し、中間期過去最高の売上・営業利益を達成。アグリテック分野が成長けん引
・2026年3月期は売上高で創業来26期連続増収を目指す。AIサービスの開発、体制への大幅な投資を実施中
・情シスDXサービス「OPTiM Biz Premium」の提供を開始。オフィスDX分野で生成AI活用サービスのラインナップ充実

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

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