GLテクノ Research Memo(4):2026年3月期中間期は半導体事業がけん引し、前年同期比で増収
配信元:フィスコ
投稿:2025/12/22 11:04
*11:04JST GLテクノ Research Memo(4):2026年3月期中間期は半導体事業がけん引し、前年同期比で増収
■ジーエルテクノホールディングス<255A>の業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高21,383百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益2,846百万円(同1.7%減)、経常利益3,225百万円(同12.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益2,160百万円(同53.0%増)となった。半導体事業の高稼働と受注増により増収を確保し、営業減益となったものの為替差益などの営業外収益が寄与し最終利益は大幅に伸長した。
2. セグメント別業績動向
(1) 分析機器事業
売上高は8,989百万円(前年同期比0.7%増)とほぼ横ばいであった。国内における自社装置販売は軟調だったが、他社製品の取り扱い拡大で補った。営業利益は643百万円(同11.6%減)と、新生産棟の設備移設費や自社装置比率低下が収益を圧迫し、減益となった。地域別では国内売上75.3%・海外24.7%で、海外では中国景気の低迷及び北米での前年同期の特需反動により北米、アジアがやや減少する一方、その他地域が15.4%増と堅調であり、現地販売体制の拡充が功を奏した。新製品としてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)カラム「Inertsil Hybrid-C18」を投入し、製薬・化学工業分野でのシェア拡大を図るなど、中期的な収益基盤強化を進めている。
(2) 半導体事業
売上高は11,474百万円(前年同期比15.0%増)とグループの成長をけん引。パソコンやスマートフォン、自動運転向けの需要は依然として低調だったものの、生成AI関連など高付加価値製品の需要拡大を背景に国内外で高稼働を維持した。この結果、営業利益は2,162百万(同2.6%増)となり、増収増益となった。地域別では海外比率が62.9%と高く、特にアジアが58.1%を占めており、前年同期比で24.9%増と高成長も維持している。中国工場の稼働日数増加や物流混乱の緩和も寄与している。受注残はやや平常化傾向にあるが、今後の半導体業界の景況感の回復により再加速が期待される。
(3) 自動認識事業
売上高は919百万円(前年同期比2.7%増)と堅調に推移したが、営業利益は25百万円(同56.5%減)と大幅減益となった。主な要因は、化学物質管理システムや物品管理用UHFシステムの導入が進んだが、低利益率案件の増加と人材投資の拡大が収益を圧迫したことによる。需要面では、住居関連施設向けが弱含む一方、特注ICタグやシステム案件が好調である。下期偏重の受注傾向にあり、年間では売上高の進捗率は41.8%と、おおむね計画どおりの推移である。
高水準の自己資本と潤沢な手元流動性で投資余力を確保
3. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期末の総資産は60,498百万円(前期比末2,123百万円増)と拡大した。内訳としては、流動資産35,486百万円(同1,145百万円増)、固定資産25,011百万円(同977百万円増)であり、特に現金及び預金が9,876百万円(同1,979百万円増)と着実に増加した。手元流動性の厚みが増し、資金余力を十分に確保している点が特徴である。
負債面では、負債合計15,328百万円(同1,360百万円増)と増加しており、そのうち有利子負債は6,451百万円(同1,318百万円増)と拡大した。成長投資及び生産能力強化に向けた戦略的な資金調達が進んだと見られる。これにより自己資本比率は74.7%(前期比1.4ポイント減)となったが、依然として高水準を維持しており、財務の健全性に懸念はない。
効率性指標では、現預金回転期間が2.8ヶ月(前期は2.2ヶ月)と若干の長期化が見られるが、成長投資フェーズが続くなか、手元流動性を潤沢に確保した格好だ。収益性指標では、売上高営業利益率13.3%と1.3ポイント低下した。これは原材料費やエネルギーコストの上昇による一時的な圧迫が要因であり、依然として業界内では高水準の利益率を維持している。
このように、同社は潤沢な現金ポジションと高い自己資本比率を背景に、投資拡大と安定経営を両立する堅実な財務基盤を有しており、今後の成長投資フェーズにも十分耐え得るバランスシートを維持している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高21,383百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益2,846百万円(同1.7%減)、経常利益3,225百万円(同12.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益2,160百万円(同53.0%増)となった。半導体事業の高稼働と受注増により増収を確保し、営業減益となったものの為替差益などの営業外収益が寄与し最終利益は大幅に伸長した。
2. セグメント別業績動向
(1) 分析機器事業
売上高は8,989百万円(前年同期比0.7%増)とほぼ横ばいであった。国内における自社装置販売は軟調だったが、他社製品の取り扱い拡大で補った。営業利益は643百万円(同11.6%減)と、新生産棟の設備移設費や自社装置比率低下が収益を圧迫し、減益となった。地域別では国内売上75.3%・海外24.7%で、海外では中国景気の低迷及び北米での前年同期の特需反動により北米、アジアがやや減少する一方、その他地域が15.4%増と堅調であり、現地販売体制の拡充が功を奏した。新製品としてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)カラム「Inertsil Hybrid-C18」を投入し、製薬・化学工業分野でのシェア拡大を図るなど、中期的な収益基盤強化を進めている。
(2) 半導体事業
売上高は11,474百万円(前年同期比15.0%増)とグループの成長をけん引。パソコンやスマートフォン、自動運転向けの需要は依然として低調だったものの、生成AI関連など高付加価値製品の需要拡大を背景に国内外で高稼働を維持した。この結果、営業利益は2,162百万(同2.6%増)となり、増収増益となった。地域別では海外比率が62.9%と高く、特にアジアが58.1%を占めており、前年同期比で24.9%増と高成長も維持している。中国工場の稼働日数増加や物流混乱の緩和も寄与している。受注残はやや平常化傾向にあるが、今後の半導体業界の景況感の回復により再加速が期待される。
(3) 自動認識事業
売上高は919百万円(前年同期比2.7%増)と堅調に推移したが、営業利益は25百万円(同56.5%減)と大幅減益となった。主な要因は、化学物質管理システムや物品管理用UHFシステムの導入が進んだが、低利益率案件の増加と人材投資の拡大が収益を圧迫したことによる。需要面では、住居関連施設向けが弱含む一方、特注ICタグやシステム案件が好調である。下期偏重の受注傾向にあり、年間では売上高の進捗率は41.8%と、おおむね計画どおりの推移である。
高水準の自己資本と潤沢な手元流動性で投資余力を確保
3. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期末の総資産は60,498百万円(前期比末2,123百万円増)と拡大した。内訳としては、流動資産35,486百万円(同1,145百万円増)、固定資産25,011百万円(同977百万円増)であり、特に現金及び預金が9,876百万円(同1,979百万円増)と着実に増加した。手元流動性の厚みが増し、資金余力を十分に確保している点が特徴である。
負債面では、負債合計15,328百万円(同1,360百万円増)と増加しており、そのうち有利子負債は6,451百万円(同1,318百万円増)と拡大した。成長投資及び生産能力強化に向けた戦略的な資金調達が進んだと見られる。これにより自己資本比率は74.7%(前期比1.4ポイント減)となったが、依然として高水準を維持しており、財務の健全性に懸念はない。
効率性指標では、現預金回転期間が2.8ヶ月(前期は2.2ヶ月)と若干の長期化が見られるが、成長投資フェーズが続くなか、手元流動性を潤沢に確保した格好だ。収益性指標では、売上高営業利益率13.3%と1.3ポイント低下した。これは原材料費やエネルギーコストの上昇による一時的な圧迫が要因であり、依然として業界内では高水準の利益率を維持している。
このように、同社は潤沢な現金ポジションと高い自己資本比率を背景に、投資拡大と安定経営を両立する堅実な財務基盤を有しており、今後の成長投資フェーズにも十分耐え得るバランスシートを維持している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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