[資源・新興国通貨12/15~19のポイント&注目通貨] メキシコ中銀は18日に利下げ!?

著者:八代和也
投稿:2025/12/15 12:55

今週のポイント

今週は、15日にカナダの11月CPI(消費者物価指数)、18日にNZの7-9月期GDP(国内総生産)が発表されます。それらが市場予想からかい離する結果になれば、カナダドルやNZドルが反応しそうです。市場では、BOC(カナダ中銀)とRBNZ(NZ中銀)のいずれも次の動きは利上げになると予想されています。

米国の経済指標の結果を受け、FRB(米連邦準備制度理事会)の先行きの金融政策に対する市場の見方がどのように変化するのかにも注目です。FRBによる利下げ観測が高まる場合、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは堅調に推移し、米ドル/カナダドルは軟調に推移すると考えられます。

豪ドル/円など対円の通貨ペアについては、19日の日銀会合が材料になりそうです。仮に0.25%利上げすることが決定されたとしても、植田日銀総裁が会合後の会見でさらなる利上げに慎重な姿勢を示せば、対円の通貨ペアは底堅く推移する可能性があります。

18日のBOM(メキシコ中銀)の政策会合では、0.25%の利下げを行うことが決定されそうです。そのとおりの結果になれば、“5人の政策メンバーの投票行動”や“先行きの金融政策についてどのようなヒントが提供されるか”に注目です。前回11月6日の会合では、4対1で0.25%利下げすることが決定され、ヒース副総裁が政策金利の据え置きを支持して反対票を投じました。BOMの声明では「(今後)政策金利の引き下げを検討する」と、さらに利下げする可能性が示されました。

メキシコの11月CPIは総合が前年比3.80%、コアが同4.43%と、上昇率はいずれも前月(3.57%と4.28%)から加速。特にコアは24年3月以来1年8カ月ぶりの高い伸びとなりました。BOMは近い時期に利下げをいったん停止するかもしれません。仮に18日の会合で0.25%の利下げが行われたとしても、声明などで先行きの利下げ停止もあり得ることが示唆されれば、メキシコペソにとってそれほどマイナス材料にならないかもしれません。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.14000NZドル~1.15500NZドル>

RBA(豪中銀)は12月8-9日に政策会合を開き、政策金利を3.60%に据え置くことを決定しました。会合後のブロックRBA総裁の会見はタカ派的な内容でした。ブロック総裁は「さらなる利下げは必要ないと考えている」と述べ、追加利下げの可能性を否定。また、「(RBAは)現在のインフレ率の水準に満足しておらず、インフレ率を引き下げるために必要なことを行う」とし、「データがインフレの鈍化を示唆しない場合、26年2月の会合で(利上げを)検討する」と語りました。

OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場ではRBAは26年に0.25%の利上げを2回行うとの見方が優勢。RBAによる利上げ観測は豪ドルにとってのプラス材料と考えられます。

一方で、RBNZ(NZ中銀)による利下げも打ち止めになる可能性があります。RBNZが11月26日の会合で公表した政策金利予測では、現局面の利下げサイクルの最終到達水準は2.20%との予測が示されました。2.20%は、現在の政策金利のわずか0.05%下の水準です。市場では、RBNZの次の動きは利上げになるとの見方が有力であり、OISに基づけば、RBNZはRBAと同様に26年に0.25%の利上げを2回行うとの見方が優勢です。

RBAとRBNZの金融政策面からみれば、豪ドル/NZドルには明確な方向感が出にくいと考えられます。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35500カナダドル~1.39000カナダドル>

米ドル/カナダドルは12月12日に一時1.37528カナダドルへと下落し、9月17日以来およそ3カ月ぶりの安値をつけました。足もとの米ドル/カナダドル軟調の主な要因として、FRBとBOC(カナダ中銀)の金融政策に対する市場の見方の違いが挙げられます。

FRBは12月10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを行うことを決定しました。市場では、FRBは26年にさらに何回か利下げを行うとの観測があります。一方、BOCは同じく10日の政策会合で政策金利を2.25%に据え置くとともに、「現在の政策金利は、経済を支えつつインフレ率を2%近辺に維持するのに、ほぼ適切な水準だ」と改めて表明しました。BOCによる利下げサイクルは終了したと市場は受け止めており、早ければ26年後半に利上げが行われるとの観測が市場にはあります。

今週発表される米国やカナダの経済指標の結果を受け、市場でFRBとBOCの金融政策の方向性の違いが改めて意識されれば、米ドル/カナダドルには一段の下押し圧力が加わりそう。その場合の下値メドとして、200週移動平均線(12/12時点で1.35726カナダドル)が挙げられます。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想