マクニカHD、Investor Day初開催!サイバーセキュリティ事業や人的資本の取り組みにより、事業成長と企業価値向上へ

投稿:2025/12/10 08:00

初開催!マクニカ Investor Day 2025

原一将氏(以下、原):みなさま、こんにちは。マクニカHD 代表取締役社⻑の原です。本日はお忙しい中、「マクニカ Investor Day」にご参加いただき、誠にありがとうございます。

今回が初開催となる本イベントでは、投資家のみなさまから特に関心の高いサイバーセキュリティ事業、およびその成長を支える人的資本についてご紹介します。本日の内容が、マクニカへの理解をより一層深めていただく一助となれば幸いです。

高付加価値ディストリビューション

:事業責任者からサイバーセキュリティ事業について説明する前に、まずは私からこの事業の位置づけについてお話しします。

現在、マクニカは収益の柱として、半導体事業とサイバーセキュリティ事業の2つの技術商社モデルを展開しています。両事業は、お客さまへの販売チャネルに一部違いがあるものの、いずれも創業以来続けてきた高付加価値ディストリビューションモデルを特徴としています。このモデルを、私たちは「Value-Added Distribution」、略して「VAD」と呼んでいます。

具体的に、このVADモデルでは、当社の社員の3人に1人を占める専門のエンジニアが、仕入先の先端テクノロジー商品に対して設計や開発、実装の技術支援を行い、顧客に付加価値を提供しています。この高付加価値ディストリビューションモデルにより、両事業は大きく成長を遂げてきました。

半導体事業については、国内市場における圧倒的なシェアの拡大と安定的な収益性を基盤に、これまでグループの収益拡大に大きく貢献してきました。また、半導体そのものの知名度や社会的な重要性の向上により、みなさまの事業理解も深まっていると感じています。

そのため本日は、売上成長率や収益性がより高い傾向にあるサイバーセキュリティ事業についてご説明します。まず、なぜサイバーセキュリティ事業がより高い収益性を実現できるのかについてです。

みなさまも活用されているスマートフォンやクラウドサービスの利用など、情報通信技術の進化や利用方法の変化に伴って企業のIT環境が大きく変化している市場において、サイバーセキュリティの必然性や重要性がますます増していることが挙げられます。

それだけでなく、このような変化に対応するため、先端テクノロジーを有する新たなサイバーセキュリティのスタートアップ企業が次々と誕生しています。これらの企業が提供する先端技術はまだ広く知られておらず、日本や当社が進出する国々でのマーケティング力も限定的です。

そのため、マクニカが技術的価値を付加し、その新たな価値を顧客に提案・提供する余地があり、その結果、高い収益性につながっています。

サイバーセキュリティ事業と企業価値

:スライド左の図は、両事業の営業利益の推移を示しています。近年では、全体に占めるサイバーセキュリティ事業の営業利益の割合が大きくなっています。

市況の影響を受けやすい半導体事業に対し、サイバーセキュリティ事業は市場の成長性が高く、依然として成長ステージにあり、安定的かつ持続的な成長が可能な事業です。

さらにバリュエーションの観点でも、この違いが反映されています。右の図に示されているとおり、半導体商社は市況の影響を受けやすいため、マルチプルは比較的低い傾向にあります。

一方でIT事業者は、安定的な利益成長が期待されることから、より高い評価を受けています。当社のバリュエーションは他の半導体商社と比べるとやや高い水準にありますが、IT事業者のレベルにはまだ達していません。

そのため、サイバーセキュリティ事業をさらに強化することで、安定的な利益成長が期待できる事業構造を確立し、結果としてバリュエーションの向上につなげていきたいと考えています。

サイバーセキュリティ事業への積極的な投資

:それゆえに、サイバーセキュリティ事業への積極的な投資を進めていく方針です。現在の収益の柱である半導体事業とサイバーセキュリティ事業で生み出す利益、そして借入を原資として、2025年度から2027年度までの中期経営計画の3年間において、全社で500億円から800億円規模の成長投資を計画しています。

このうち約半分を、サイバーセキュリティ事業と新たに展開するCPSソリューション事業における自社開発サービスやソリューションの開発・獲得に充てる予定です。

当社はこれまで、半導体のハードウェアおよびサイバーセキュリティのソフトウェアといった「モノ」に技術的価値を付加することで成長してきましたが、今後は価値そのものを創り、提供する側へとビジネスモデルを変革し、「コト」、すなわちサービスやソリューションを提供することで収益性のさらなる改善を目指していきます。

本日の講演内容

:本日のセミナーでは、まずサイバーセキュリティ事業についてご説明したのち、その成長を支えるマクニカ独自の人的資本についてお話しします。

マクニカはIPや設備といった資産をほとんど持たず、これまでの事業成長は人によって生み出してきた企業です。端的に言えば、変化する環境に柔軟に適応できる「ダイナミック・ケイパビリティ」を備えた会社であるということです。

本日は、マクニカは他社と比べて何がユニークなのか、そして投資家のみなさまがその違いをどのように読み取れるのかについて、OBやOG、そして従業員のクチコミデータを持つ「オープンワーク」さまとの対談を交えながらお話しします。

過去の説明会のご紹介

:本日のセミナーは、サイバーセキュリティ事業と人的資本にフォーカスした内容となっています。そのため、マクニカを初めて知る方には少しわかりづらい内容も含まれるかもしれません。当社は、過去の説明会のオンデマンド動画や書き起こし記事などをご用意しているため、ぜひあわせてご覧ください。

特におすすめなのは、マクニカのビジネスや投資家さま向け情報をわかりやすく紹介した個人投資家向け説明会、およびサイバーセキュリティ事業における最大の仕入れ先であるCrowdStrike社の取締役会会長をお招きしたセミナーです。

それでは、ここからは各責任者による本日のメインコンテンツを始めます。本日のセミナーが、みなさまのマクニカへの理解をさらに深める一助となれば幸いです。

登壇者のご紹介

司会者:続きまして、第2部「サイバーセキュリティ市場で選ばれるマクニカの持続的成長ストーリー」を進めていきます。第2部のスピーカーは、2名です。1人目は、ネットワークスカンパニープレジデントの小林雄祐です。小林は2021年から現職に就いており、投資家さま向けイベントへの登壇は今回が初めてです。

登壇者のご紹介

司会者:2人目は、セキュリティ研究センター センター長補佐の瀬治山豊です。瀬治山はマクニカのセキュリティ研究センターに所属し、日系企業を狙うサイバー攻撃の実態を調査し、その対策に関する情報発信を行っています。また、国内外のメディアにおいて延べ100件以上、セキュリティ事件に関連した出演やコメントを行っています。

このパートでは、まずは小林より、マクニカのサイバーセキュリティ事業の現状と成長戦略、そして昨今のサイバーセキュリティ市場や情勢についてご説明します。

次に、瀬治山がサイバー攻撃の実態について解説し、最後に再び小林からセキュリティ市場におけるマクニカの位置付けと価値についてご説明します。それでは小林さん、よろしくお願いします。

高付加価値ディストリビューター(Value Added Distributor)としての歩み

小林雄祐氏(以下、小林):ご紹介ありがとうございます。マクニカ ネットワークス カンパニー プレジデントの小林です。サイバーセキュリティ事業は圧倒的な成長力で順調に事業を拡大し、昨年はグローバルで1,500億円規模の売上を達成することで、国内でも有数の専業ディストリビューターへと成長しています。ここからは、サイバーセキュリティ事業の現状と今後の成長戦略についてご説明します。

私たちは20年以上にわたって世界中から最先端のテクノロジーを発掘し、技術サービスと共に提供する、高付加価値ディストリビューターとして事業を拡大してきました。

日本市場におけるNo.1ディストリビューターとして、多くの商品の導入を先導してきた実績があります。豊富なラインナップの中からお客さまの課題に最適なソリューションをご提案し、民間企業から官公庁・自治体まで、幅広いお客さまを支援しています。

技術力に裏付けされた、実効性の高いセキュリティ支援

小林:サイバーセキュリティ事業では、エンジニアは社員の約半数を占めており、商品の提供だけでなく、コンサルティングなどの上流工程から導入・運用、有事のインシデント対応支援など、独自サービスの提供も行っています。

また、2013年に設立したセキュリティ研究センターでは、日本企業を狙った脅威を日々分析し、重要な脅威情報と技術知見を蓄積してきました。国内外から収集した最新情報は自社のサービスやツールにも反映され、進化を続けています。

さらに、国内外の専門カンファレンスへの登壇や、官公庁のセキュリティアドバイザーとしての活動など、社会貢献も積極的に行っています。

独自サービスの開発・提供

小林:また、近年ではこれらの技術力を活用した独自サービスの開発にも力を入れています。その1つである「Macnica ASM(Attack Surface Management)」は、企業のIT部門が把握していないサーバーやクラウドの弱点を検出し、危険度を判断して修正すべきポイントを可視化することで、リスクを早期に発見するためのサービスです。国内シェアNo.1の評価を3年連続でいただいています。

このサービスの開発・運営では、セキュリティ研究センターが日々の脅威動向分析で得た知見を活用しており、攻撃者による最新手口を踏まえた検知や分析品質の向上を実現しています。

海外展開

小林:一方で海外に目を向けると、マクニカは24の国と地域で事業を展開しており、需要の拡大や対応地域の拡張を背景に、市場成長率を上回るペースで拡大を続けています。

アジア太平洋地域では、インドを含む11か国でサイバーセキュリティの高付加価値ディストリビューション事業を展開しています。その中核となっているのが、2017年度にM&Aでグループ入りしたNetpoleon Solutions社です。各国の現地企業に対して世界最先端のセキュリティソリューションを提供しており、市場の堅調な成長を背景に、今後も事業の拡大が期待されています。

また、中東やアフリカでは、2022年度にUAE本社を構えるCyberKnight社と買収合意を行い、12ヶ国をカバーする体制を構築しました。これにより、日本からアジアを越えて中東・アフリカまでをカバーするグローバルなサイバーセキュリティディストリビューターとしての競争力を強化しています。

2024年度 主要数値

小林:主要数値の振り返りです。前中期経営計画期間である2021年から2024年度におけるサイバーセキュリティ事業は、売上高がCAGR22.8パーセントという成長を遂げました。冒頭でもお伝えしたとおり、昨年は1,500億円を超える規模にまで成長しました。

国内では大手企業や官公庁、中堅企業など、多くの販売パートナーさまとも連携し、事業を着実に拡大しています。また、海外でも東南アジアを中心に売上を伸ばしており、売上比率は全体の34パーセントに達しています。

2025年度上期においてもさらなる成長を遂げ、営業利益は前年同期比22パーセントの増加となり、売上と利益の両方で国内および海外の好調を維持しています。

市場規模推移:日本・東南アジア

小林:続いて、昨今のサイバーセキュリティ市場や情勢についてお話ししたいと思います。まずは市場規模の推移について、ガートナーの調査によるサイバーセキュリティ市場の成長予測をご紹介します。

日本市場は2024年に約46億ドル、2029年には約78億ドルとなり、日本円に換算すると約1兆2,000億円まで拡大する見込みです。CAGRは11.0パーセントと高い水準で堅調な成長が続くと、ガートナーが予測しています。

一方、アジア太平洋市場については、2029年に約130億ドルへと拡大し、年平均成長率11.2パーセントと、日本を上回るスピードで市場拡大が進むと見られています。

このように、日本だけでなくアジア全体でも、サイバーセキュリティ需要は今後さらに高まっていくことがうかがえます。

市場成長背景

小林:市場が急速に成長している背景にはさまざまな要因がありますが、その1つとして法規制の強化があります。

例えば、EUで制定されたサイバーレジリエンス法では、商品やソフトウェアを提供する企業に対し、セキュリティ対策を設計段階で義務づける内容となっており、日本の製造業にも多大な影響を与えています。それに伴い、対策ソリューションの導入も進行しています。

日本国内でも能動的サイバー防御法が成立し、国や重要インフラ事業に対して、より積極的なサイバー攻撃対策の実施や被害情報の報告体制を義務化する流れが進んでいます。また、サプライチェーン上の企業にもセキュリティ水準の向上が求められています。

さらに、AIの急速な普及によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速も新たなリスクを生んでいます。企業が想定すべき脅威の範囲はこれまで以上に拡大しており、オフィスだけでなく工場やクラウド環境など守るべきポイントが劇的に増加しています。その結果、セキュリティをどう担保するかが企業の成長や競争力を左右する時代に突入しています。

セキュリティ需要の高まりが今後も続くもう1つの理由として、攻撃者側にも大きな変化が起きています。ここからは、日々セキュリティリサーチを行い、多くのメディアにも登場しているセキュリティ研究センターの瀬治山から詳しくご説明します。それでは瀬治山さん、よろしくお願いします。

攻撃者側の変化

瀬治山豊氏(以下、瀬治山):マクニカ セキュリティ研究センターの瀬治山です。今後ますますセキュリティ需要が高まり続ける背景には、先ほど小林から言及があった法規制や市場予測以外にも、攻撃者側に明確な理由があります。

最近ではサイバー攻撃を行うグループの組織化や構造化が急速に進んでおり、洗練された組織によってサイバー攻撃が事業やビジネスとして行われるようになっている状況があります。ここ数年、サイバー攻撃を専門とする企業が世界中で数千社も立ち上がり、現在、企業に対して盛んに攻撃活動を行っています。

ランサムウェア攻撃とは

瀬治山:例えばランサムウェア攻撃とは、企業に攻撃を仕掛けてデータを暗号化し、その解除の見返りとして身代金を要求する手法です。支払いがない場合にはデータを戻さないだけでなく、盗んだデータを不特定多数に公開するなどと脅迫します。このようなランサムウェア攻撃についても、現在非常にビジネス化が進んでいます。

ランサムウェア攻撃のビジネス構造

瀬治山:彼らの業務構造は、スライドに示されているとおりです。まずは標的となる企業への侵入口を発見し、その情報を企業規模に応じた価格で他社に販売するグループが存在します。

そして、その情報を購入した攻撃の実行犯となるグループが攻撃ツールを提供する別のグループからツールやノウハウを借りて攻撃を行い、企業のシステムを暗号化します。これは、フードデリバリーのシステム提供元と実際に各家庭に宅配を行う配達員の関係に似ています。

被害企業が身代金を支払うと、ツールの開発元が1割から3割、攻撃の実行犯が残りの7割から9割の利益を分配するという構造となっています。

そして、各グループ内部も、まるで企業のような組織体系となっています。CEO、ツールの開発者、被害企業の身代金の支払いをサポートするスタッフ、財務担当、実行犯の採用を行うリクルーター、さらには法務担当などが存在します。

さらに、攻撃や脅迫に関するマニュアルが整備されているほか、社会的影響が大きい大企業への攻撃を行う際には、CEOの決裁が必要となります。

さらに、必要なスキルを記載した人材採用ページも持っており、まさに企業のように活動しているといえます。今年に入ってからは、さらなる規模拡大を目指し、各グループの吸収合併やノウハウとインフラを共有する業務提携が発表されています。

ランサム被害発生傾向 ※ 2025年は9月末時点

瀬治山:そのような背景から、ランサム被害は残念ながら減少の兆しがまったく見られていません。スライドのグラフは、外部から観測可能なランサム攻撃の被害件数を示したデータです。10月時点でこれだけの被害が発生しており、今年分はまだ集計中ですが、過去最多を更新する可能性が非常に高い状況です。

そして、表には現れていない膨大な被害が発生しているため、実際の被害件数はこの数倍から十数倍に達し、世界的には10万件以上の被害が発生していると推測しています。

すべてのケースが、現在国内で大きく報道されている事例のような深刻な被害になるわけではありませんが、そのような可能性を持つサイバー攻撃がこれほど多く発生しているのは、まさに異常事態と言えるでしょう。

守るべき領域と資産数の指数関数的広がり

瀬治山:これだけサイバー攻撃が起きているのに、まったく被害が減らないことに対し、「企業は何をやっているんだ」と思われるかもしれませんが、企業が守備を意識すべき範囲と、その中で守るべきポイントの数が爆発的に増加しているために、自社を守り切ることの難易度は年々上がっているのです。

具体的には、2018年頃までは、企業が守備を固めるべきポイントとして、不審なUSB、メール、Webサイトの3つを意識すれば十分でした。しかし、攻撃者の創意工夫により、年々攻撃の対象範囲が広がっています。

さらに、各ポイントの数も増加しています。例えば、みなさまの身の回りを振り返ると、スマートフォンやパソコン、タブレットといったデジタルデバイス、利用しているSaaSやWebサイトの数も、数年前と比較して何倍にも増えているはずです。

企業活動においても、それをさらに上回る増加が起きています。企業がサイバーセキュリティの観点で防御すべき範囲とポイントの数がこれだけ増えれば、防御が手薄になる箇所も多くなります。

先月、NHKと朝日新聞で報道いただいた弊社独自の調査によれば、日本国内には少なくとも5万台以上のランサムウェア侵入経路となるポイントが確認されています。

AI登場による攻撃数の更なる増加

瀬治山:加えてAIの登場によって、みなさまが予想されているとおり、攻撃はさらに熾烈さを増しています。現在は攻撃者側で試行錯誤が行われており、実際にAIを活用した攻撃も行われています。報道では、例えば日本語の壁がなくなり偽メールが高度化することや、コンピューターウイルスが作られることが注目されています。しかし、これらはそれほど大きな脅威とはならないと私は考えています。

逆に、AIが人間をサポートすることで、1人の攻撃者が以前は1組織しか攻撃できなかったところ、同じリソースで5社も10社も同時に攻撃できるようになりつつあります。

そのため、現在は攻撃数の大幅な増加や、企業内に侵入した後はどこを攻撃すればより深刻なダメージを与えられるのか、どれがより価値のある情報なのかを大量の日本語のドキュメントから効率的に取捨選択できる状況において活用が進んでおり、脅威となりつつあります。

さらに、まだ現実にはなっていないものの、人間には思いもよらない新たなハッキング手法が見つかる日も、そう遠くないと考えています。

攻撃側と防御側のスキルギャップ

瀬治山:こうした攻撃側には、ITやセキュリティのスキルが非常に高い人材が揃っており、潤沢な資金やリソースを活用して次々と攻撃を仕掛けてきています。

一方で防御側、特に日本や東南アジアの組織では、セキュリティを専門とする人材を抱えるところは残念ながらほとんどありません。多くの場合、他の業務と兼務している、あるいは人事異動が頻繁で、スキルやノウハウが蓄積されにくいという構造的な問題を抱えています。

つまり、攻撃者と防御側の状況には、メジャーリーグのチームと町内の草野球チームほどの歴然とした実力やリソースの差が生じてしまっています。

ここまでの話を総括すると、プロの攻撃者集団がビジネス化やAIの活用によって高度な攻撃を広範囲に仕掛けている現状の中で、こうしたスキルギャップを含めた対策を講じ、攻撃を防ぐために、さまざまなセキュリティサービスやプロフェッショナルによるサポートの必要性が高まり続けているのが、現在のサイバーセキュリティ業界で起きていることです。私からの説明は、以上です。

小林:瀬治山さん、ありがとうございます。攻撃者の実態の一端ではあるものの、みなさまにご理解いただけたかと思います。

国際的な最新トレンド情報や革新的な最先端ソリューションを世界中からソーシング

小林:マクニカとしては、攻撃者と企業のスキルギャップを埋めることで課題解決を支援したいと考えています。ここであらためて、サイバーセキュリティ市場におけるマクニカの位置付けと価値についてご紹介したいと思います。

第一の強みである先端技術の発掘については、当社のアメリカ駐在員を中心としたソーシングチームが、年間1,200社以上のスタートアップやテクノロジー企業を調査し、そのうち150社以上と実際に対話・評価を実施しています。

国内外のサイバーセキュリティ分野におけるキーパーソンや投資家とのネットワークを活かし、日本でまだ知られていない有望なスタートアップと早期に接点を持てることが最大の強みです。

例えば、業界の世界的なリーダーであるCrowdStrike社については、SafeBoot社という仕入先との契約で築いた人的ネットワークを基盤に、創業2年後の2013年に世界初の代理店契約を締結することで、国内での圧倒的なNo.1シェアの獲得につながりました。

また、社内のソリューションチームやセキュリティ研究センターとも連携し、国内市場における潜在ニーズの調査や技術評価を実施することで、有望な商品や仕入先を見極め、高い価値を提供できるソリューションを継続的に育成・導入する体制を整えています。

サイバーセキュリティ事業におけるマクニカの優位性

小林:こうした長年の活動によって、お客さまのニーズと市場の変化を的確に捉える力が磨かれ、マクニカの大きな優位性につながっています。

まず、お客さまの業界特有の課題や取り組みを深く理解している点が挙げられます。これは単なる商品販売にとどまらず、エンドユーザーに寄り添い続けたことで蓄積された知見といえるでしょう。

また、数多くのプロジェクトを通じて、導入、運用、人材育成に関するベストプラクティスを確立してきており、実践的なナレッジとして提供することも可能です。

さらに、多くのパートナー企業との強固なエコシステムによって、お客さまの特性に合った最適な解決策を提案できる体制を整えています。

また、世界最先端の技術トレンドを押さえた専門性により、日本のお客さまのニーズに合致した最適なソリューションを選定できる点も大きな強みです。

加えて、脅威動向の分析にも注力し、商品の背景にあるリスクや必要性を実践的な知見として提供することも可能です。

そして、なによりも世界のトップセキュリティベンダーの経営層やグローバルリーダーとのネットワークは、大きな資産です。

とある仕入れ先からは「マクニカとの契約こそが戦略である」という声をいただくほど、お客さまとセキュリティを深く理解し、圧倒的な技術力を持つマクニカだからこそ選ばれる好循環を、今後も加速していきたいと考えています。

中期経営計画におけるサイバーセキュリティ事業の主要戦略

小林:最後に、現在の中期経営計画におけるサイバーセキュリティ事業の主な戦略をあらためてご紹介します。1つ目は、ビジネスの中核である高付加価値ディストリビューションモデル(VAD)の拡大です。現在取り扱っている主力商品の拡販に加え、将来の収益の柱となる仕入先の継続的な発掘と導入拡大を進めていきます。

2つ目は、海外展開のさらなる強化です。新規セキュリティベンダーの開拓やグローバルでの仕入先の共通化、日本で培った技術ノウハウの展開を進めることで、グローバルに強いディストリビューターとしての競争力をこれからも高めていきます。

3つ目は、運用支援サービスの強化です。近年、多くの企業でセキュリティ人材の不足が深刻化しており、商品を導入しただけでは十分な対策が維持できないケースが増えています。そこで、マクニカは監視・運用支援などのサービスを拡大し、お客さまの負荷を軽減することで、継続的な商品利用と安定した収益基盤の確立を図ります。

最後に、従来のディストリビューションモデルだけでなく、自社開発によるサービス・ソリューションモデルの強化も進めることで、利益率の改善と事業の持続的成長を目指していきます。中でも、すでに国内市場で非常に高い評価を得ている「マクニカASMサービス」を中心に、国産のセキュリティサービスとして、お客さまにとって価値のある収益性の高いビジネスを展開していきます。

Security as a Business Driver セキュリティをビジネスの原動力に

小林:昨今の報道でも取り上げられているとおり、サイバーセキュリティリスクは企業の成長と存続を左右する極めて重要な経営課題となっています。指数関数的に増加し、AIを駆使して高度化する脅威に対して、多面的なアプローチと継続的な運用が求められています。

マクニカは、本日ご紹介した強みを基盤として、セキュリティを守るためのコストではなく、ビジネスを加速する力へと変えることを目指しています。

これによって企業の成長をしっかり支えるとともに、お客さまや社会の安全に貢献し、サイバーセキュリティ領域で最も信頼され、真っ先に選ばれるパートナーとなります。そして拡大し続ける市場での競争力をさらに高めることで、事業の成長と企業価値の向上にも寄与したいと考えています。

私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

マクニカって、どんな会社?

司会者:小林さん、瀬治山さん、ありがとうございました。それでは、第3部「オープンワークと解説 『働きがいのある企業5位』“人”で成長し続けるマクニカ」のパートに進む前に、会社紹介動画をご覧いただきたいと思います。

みなさまは、マクニカにどのようなイメージをお持ちでしょうか? 動画を通して、ぜひマクニカの企業文化や働く社員の思いを感じていただければ幸いです。それでは、どうぞご覧ください。

登壇者のご紹介

司会者:みなさま、いかがでしたでしょうか? それでは第3部「オープンワークと解説 『働きがいのある企業5位』“人”で成長し続けるマクニカ」のパートを進めます。はじめに、登壇者を2名ご紹介します。

まず、マクニカ人事本部本部長の堀田一郎です。総合電機メーカーに入社後、半導体メーカーやヘルスケア業界における人事部門の責任者を経て、2023年にマクニカに入社しました。日本国内およびドイツ、アメリカなど海外を含め、一貫してさまざまな人事領域でキャリアを積んできています。

登壇者のご紹介

司会者:続いて、オープンワーク執行役員CSOの栗本廉さまです。電通やボストンコンサルティンググループでのキャリアを経て、2023年からオープンワークに在籍されています。2024年4月より執行役員に就任され、中長期の経営計画や戦略の策定、新規事業の統括をされています。

このパートでは、まずは堀田さんから、マクニカの人的資本に関する考え方を簡単にご説明いただきます。次に、オープンワークの栗本さまより、オープンワークの会社概要と、今回のパートのタイトルにもある「働きがいのある企業」ランキングの概要についてご紹介いただきます。

その後は堀田さんと栗本さまの対談形式で、「働きがいのある企業」ランキングやマクニカの企業文化などについて深掘りしていきます。それでは、まずは堀田さん、よろしくお願いします。

「企業の成長は、人の力によって動き出す」

堀田一郎氏(以下、堀田):ご紹介ありがとうございます。マクニカ 人事本部 本部長の堀田です。まず、当社の「人」に関する考え方についてです。代々受け継がれている経営方針書や、創業者である神山の著書『経営の本質』で繰り返し言及されています。

それを端的に示す言葉として、「すべては人に始まり、人に終わる。」があります。マクニカは、この創業者の考えを脈々と受け継ぎ、人は大切な財産であり、重要な経営資本であると捉え、人的資本の最大化に取り組んできました。

この考えを基盤に生み出された、マクニカが大切にしている独自の価値観であるコアバリュー「T.E.A.M.S.」と、マクニカが何の会社であり、何のために存在するのかを再定義したパーパスに基づき、人と組織に関するさまざまな施策を講じてきています。

人的資本の強化に向けて

堀田:Vision 2030の実現はもちろん、企業を持続的に成長させ、その価値を向上させるためには、人的資本を最大限活用することが必須です。その実現に向けて、私たちは新規人財獲得、ウェルビーイング、健康経営、DE&I、そして人事制度のさらなるアップグレードや働き方改革など、これらのテーマに絞って現在取り組んでいます。

司会者:堀田さん、ありがとうございました。続きまして、オープンワークの栗本さまより、オープンワークの会社概要と、昨年マクニカが5位にランクインしたオープンワークの「働きがいのある企業」ランキングの概要についてご説明いただきます。それでは栗本さま、よろしくお願いします。

オープンワーク株式会社について

栗本廉氏(以下、栗本):ご紹介ありがとうございます。オープンワーク株式会社にて執行役員CSOを務めている栗本です。本日はよろしくお願いします。

まずは、当社について簡単にご紹介します。当社は2007年に創業し、2022年にグロース市場に上場しました。現在、日本最大級の社員クチコミ・企業評価スコアのデータプラットフォーム「OpenWork」を中心に事業を運営しています。

事業紹介:日本最大級の社員クチコミサイト「OpenWork」

栗本:「OpenWork」についても、簡単に紹介します。これまで累計758万人がユーザー登録し、社員口コミ・評価スコア数は現在2,010万件に達しており、多くの方にご利用いただいています。

実際にご登録いただくと、社員・元社員による5点満点の会社評価スコアや、ユーザーの本音が詰まった社員口コミをご覧いただけます。特に社員口コミは、在籍中の方や退職済みの方、それぞれの生の声が寄せられており、よりリアルな社員の声が反映されているため、ぜひ一度ご覧ください。

「OpenWork 働きがいのある企業」ランキング:概要

栗本:ここからは、冒頭でご紹介いただいたマクニカさまがランクインした「働きがいのある企業」ランキングについてお話しします。当ランキングは、「OpenWork」における総合評価を集計し、社員および元社員が評価する働きがいのある企業をランキング化して発表するものです。

「OpenWork 働きがいのある企業」ランキング:取り組みの背景

栗本:本取り組みは、足かけ約10年継続しています。ランキングの特徴としては、先ほどお伝えしたとおり、社員・元社員からのクチコミのみが評価基準となるため、弊社や企業さまが順位を操作することが一切できない仕組みになっています。

したがって、より本音に近いかたちで、その年に従業員から高い評価を受けている企業を表彰することを目指しています。

「OpenWork 働きがいのある企業」ランキング2025:5位

司会者:栗本さま、ありがとうございました。続きまして、マクニカ 堀田さんとオープンワーク栗本さまによる対談に移ります。ここでは「働きがいのある企業」ランキングの結果や、マクニカの企業文化について深掘りします。

まず、マクニカが5位にランクインした「働きがいのある企業」ランキング2025についてお聞きしたいと思います。今回、マクニカは5位にランクインしましたが、この結果について、オープンワークさまのご見解をおうかがいできますでしょうか? 

栗本:そうですね。対象となる全体数は非開示ですが、5位という順位は極めて高水準な結果といえると思います。2023年の発表ではマクニカが40位を獲得しており、これでも十分高水準な結果でしたが、今回さらに5位という高順位にランクインされたのは、僭越ながらすごいことだと感じています。

司会者:では、堀田さんはオープンワークさまのサイト内で確認できるマクニカ社の評価スコアを実際にご覧になられたということですね?

マクニカのOpenWorkスコア

堀田:そのとおりです。マクニカの評価スコアを拝見しましたが、全体的にスコアが高い印象を受けました。それが、今回のランクインにつながったのではないかと思います。栗本さん、こちらのスコアについて、マクニカならではの特徴はありますか? 

栗本:まず特徴として、総合評価スコアが4.18となっています。これは全企業中の上位1パーセントに該当し、極めて高い水準といえます。スコアは8項目に分かれており、各評価項目を確認すると、特に「風通しの良さ」と「20代成長環境」の2項目で、マクニカが非常に高いスコアを記録していることがわかります。

これらのスコアは4.5点を超えており、この数値は、私たちのサイトでもあまり見かけないレベルで、相当な高評価と言えるでしょう。

堀田:うれしいですね。ありがとうございます。せっかくの機会ですので、もう1つおうかがいしたいのですが、先ほどのパートで説明していたサイバーセキュリティ事業と近しい業界の平均スコアと比較したデータなどはありますか?

SIer、システム開発、システム運用業界 平均との比較

栗本:サイバーセキュリティ事業に近い分野としてSIer業界を選び、比較してみました。全体的に高いスコアを示していますが、残業時間や有給消化率は業界平均と比べてやや低い傾向にあります。

一方、組織風土を表す指標と私たちが定義している「社員の士気」や「風通しの良さ」は、SIer業界全体と比較しても非常に高水準であると言えると思います。

司会者:ありがとうございます。「働きがいのある企業」ランキング第5位という実績に加え、マクニカが社員やOB・OGからの口コミ評価でも高い評価を得ていることがわかりました。

ところで堀田さん、この「働きがいのある企業」ランキング5位という結果について、率直にどのようにお感じでしょうか? 

堀田:多くの会社の中で5位という結果をいただけたことは大変光栄ですが、正直なところ、少し残念な気持ちもないとは言えないというところでしょうか。扱っている商材や提供しているサービスおよびソリューション、さらに「Vision2030」に向けてさまざまな分野で事業面での布石を打っている当社は、非常に働きがいのある会社だと考えています。

また、「働きがい」という点にはこだわり続けてきた会社でもあるため、ぜひ1位を目指したいと考えています。これを今後の課題だと思います。

司会者:5位という高評価ではありますが、堀田さんとしては、まだまだ伸びしろがあるということですね。実際に社内で感じている、働きがいが高いことによるプラスの影響については、どのように感じていますか? 

堀田:働きがいのある環境というのは、成長の実感、適正な報酬、そして活気ある職場、この3つを通じて社員が自らの価値を感じられる場であると考えます。社員が働きがいを感じることで組織の力が高まり、企業は新たな挑戦の機会やより良い環境を提供し、さらなる幸福と成長を促進するという好循環が生まれるのではないかと思います。

この好循環を支えるために、マクニカは制度と文化の両面から人財の成長を支援しています。その結果が、これまでのマクニカの成長の軌跡の原動力になっていると考えています。

司会者:人財の成長や働きがいが会社の成長にもつながっているということですね。一方、近年は働きやすさを重視する考え方も広がっています。この働きやすさは視聴者も気になるテーマかと思いますが、堀田さんはどのようにお考えでしょうか?

堀田:働きやすさとは、個々人が成長したり、挑戦できたりする環境面の充実だと考えています。ソフト面では、先ほども少し触れましたが、風通しがよく、心理的安全性があり、失敗を受け入れられる文化があることが挙げられます。

また、ハード面では、育児や介護といった個々の事情に応じた柔軟な働き方が可能な制度が整備されていることや、オフィス環境が従業員の目線で考えられていることが重要だと思います。

ちなみに栗本さん、オープンワークさまのクチコミページで働きがいや働きやすさの指標を調べる際には、どのような点を確認すればよいのでしょうか?

OpenWork 上で調査できる働きがい・働きやすさ

栗本:現在ご覧いただいているスライドのとおり、「働きがい」「働きやすさ」で直接検索することはできませんが、それに近い機能として、評価スコア別のランキングを「OpenWork」で閲覧できるようにご用意しています。

画面に投影している内容は、実際に弊社のWebサイト上でご覧いただけるものです。例えば、働きがいに関連する項目としては、先ほど紹介した「社員の士気」や「20代成長環境」、さらに「人事評価の適正感」などが挙げられます。

一方、働きやすさに関連する項目としては、「法令遵守意識」「平均残業時間」「有給休暇消化率」などが該当します。評価スコアは項目ごとにランキングでソートすることが可能ですので、ぜひご活用ください。

司会者:ありがとうございました。続きまして、マクニカの企業文化の実態に迫っていきます。まずは、オープンワークさまのクチコミや評価データから見た、マクニカの組織文化の特徴や傾向についてお聞かせください。

従業員クチコミレポートについて

栗本:マクニカさまの特徴をご紹介するにあたり、その前段として使用するコンテンツを簡単にご紹介します。当社では「従業員クチコミレポート」と題し、「クチコミから見える各社の特徴や傾向」をデータで分析するサービスを提供しています。

このサービスでは、クチコミ文章1件1件をAIで解析し、従業員の本音が見えるレポートとして、多くの企業さまに提供しています。今回は同レポートから一部を抜粋し、マクニカの社員クチコミ文章の分析結果を提示します。

マクニカ社・組織文化の特徴:直近1年間のクチコミワードクラウド

栗本:こちらが、結果となるワードクラウドです。スライドにあるように、マクニカさまの組織文化に関するクチコミ文章を集計したもので、クチコミ内で出現率の高いフレーズほど文字サイズが大きくなっています。

ご覧いただくと、中心付近に「風通しの良さ」というワードが最大サイズで表示されており、目立っています。また、赤色でハイライトされていますが、その周囲には成長環境や裁量、権限移譲などに関連したフレーズが多く見られるのがわかります。

以上のように、データでは成長環境や裁量権、権限移譲といった傾向が見られますが、実際に堀田さんの実感と近いものがありますか?

手応えサイクル

堀田:確かにマクニカでは、「トラスト」と「エンパワーメント」、すなわち信頼と権限移譲という考え方に基づき、社員に権限を委譲して主体的な行動を促す文化を育んでいます。

この文化を通じた成長の連鎖を、マクニカでは「手応えサイクル」と呼んでいます。私も最近、入社3年目となる社員のフォローアップ研修の懇親会で、このような話を耳にしました。

その社員は半導体事業の営業職に配属され、新卒1年目はOJT期間となる予定でした。しかし社内の体制変更により、予定より早く実務を任されることとなりました。

その際、上司は「信頼して任せる」という判断を行い、周囲の先輩も期待を寄せていました。その結果、不安よりもやる気が上回り、本人は高いモチベーションをもって業務に取り組むことができました。

彼が担当していた商品は競合が強い上に、ビジネス的にも難しい状況でした。しかし、Web記事の作成やコロナ禍でのオンデマンドセミナーなど、工夫を凝らした施策を主体的に実行しました。

結果として、その商品の市場での存在感を高め、仕入れ先からアワードを受賞しました。さらに、社内でも高い評価を受け、本人は大きな自信と成長実感を得ることができたそうです。

その後、本人が「もっと専門性を高めて、海外の案件にも挑戦したい」と上司に希望を伝えたところ、その意欲を汲み取り、上司は海外出張を含むさらに大きな仕事を任せる判断を行いました。

このような権限移譲が若手社員の挑戦心を引き出し、組織全体の成長につながっていると感じました。

司会者:エピソードからも、マクニカに成長環境が整っていることが伝わってきます。ただ、堀田さん、若手に裁量権を与えることはなかなか難しいのではないでしょうか? 場合によっては、丸投げになってしまう危険性もあると思います。この文化を維持する上で工夫していることや、難しいと感じる点はありますか? 

堀田:権限移譲と丸投げの違いという点では、「結果責任を、特に失敗した場合の結果責任を誰が負うのか?」ということに尽きるのではないかと思っています。権限移譲においては、その責任は任せた上司にあるということです。したがって、権限移譲とはいえ上司は常に進行状況を把握し、いつでもサポートや軌道修正ができる体制を整えておかなければなりません。

万が一失敗しそうな場合には適切に介入し、仮に失敗した場合であっても、次にどうすればよいかを一緒に考えることが重要です。このように、上司が一人ひとりに向き合うことが最も重要な点だと思います。

「丸投げをすること」と「裁量権を与えること」の違いについて、栗本さんはどのようにお考えですか? 

栗本:話を聞き、難しいテーマだとあらためて感じましたが、私の考えをお伝えします。丸投げというのは、一言で言えば、目的や判断基準を共有せずに仕事を渡してしまうことであり、いわば「任せっぱなし」に近い状態ではないかと考えています。この場合、本人の負荷が増えるだけで、パフォーマンス向上にはつながりにくい部分もあるのではないかと思っています。

一方で裁量権を渡すということについては、まず目的や期待値、さらには判断の幅を明確にした上で進め方を任せるというかたちとなり、私は「意図ある移譲」と呼んでいます。

判断の幅や期待値の差をどこまで出すかについては、裁量権を与えるメンバーの能力や、本人がどのようなキャリアを志向するかによっても変わってくると思います。そのため、人材開発の観点からも、この違いを把握することが、メンバーが安心して主体性を発揮できる環境作りにつながると考えています。

司会者:ありがとうございました。続きまして、事業成長と人的資本の関連性についておうかがいします。堀田さん、事業成長に直結する人材戦略で、現在最も注力されている点はどのようなものでしょうか?

Core Values

堀田:なんといっても、私どもにとって人材の獲得は企業の成長を左右する重要な起点であると考えています。マクニカでは、挑戦心を持ち、自律的に行動する当社の文化と、私たちが大切にしている独自の価値観であるコアバリュー「T.E.A.M.S.」に共感し、高い能力を備えた人材の採用を重視しています。

その中で特に重視しているのは、変化に対応する力です。私どもはこれを「ダイナミックケイパビリティ」と呼んでおり、それを備えた人材の採用を重視しています。

また、近年ではラジオCMやテレビCM、採用サイトのリニューアルなど、採用ブランディング活動にも力を入れています。これらの活動を通じて、多様な人財との接点を広げながら、組織に根づいて長く活躍できる人財を獲得することに力を注いでいます。

個の育成

堀田:もう1点挙げるとすると、社員一人ひとりの能力開発とキャリア形成の支援が重要ではないかと思っています。

個々の成長が組織の競争力を高め、企業価値の向上につながるという考えのもと、2024年度に当社の人材開発体系を刷新しました。この体系を「MACNICA University」と呼んでいます。この「MACNICA University」では、社員が仕事に手応えを感じながら、自律的に成長できるよう、キャリアステージに応じて教育体系を体系的に提供しています。

大きく分けると、この教育はオンボーディング、リーダーシップ開発、マネジメント開発の3つのステージに分類され、新入社員から管理職まで各階層に合わせた研修プログラムを設計しています。これにより、社員は与えられた役割や権限に対して必要なスキルを習得し、力を発揮できるようになっています。

この点について、オープンワーク社では、人財戦略がどのように事業成長に寄与していると分析されているのでしょうか?

従業員クチコミレポート内「働き方スコア」と企業業績の相関

栗本:今回は多くの投資家の方がご覧になっているということで、興味深い研究結果を用意しました。それが、こちらのスライドです。

こちらは先ほどご紹介した「従業員クチコミレポート」において、クチコミ文章から作成される「働き方スコア」というデータのスコア変化に関するものです。このスコアが上がることで、売上や利益、株価などの先行指標となり得る結果がデータから示唆されています。

時間の都合上、働き方スコアの詳細は割愛しますが、要点としては、元となるクチコミ文章がポジティブな文脈、つまり良いクチコミが増えるほど、この働き方スコアの値が向上するという仕様になっています。

したがって、クチコミの基となる企業内でのさまざまな良い経験が前向きに捉えられ、クチコミに記載されることで、働き方スコアが向上するという仕組みです。

この働き方スコアの向上が、先ほどお伝えした売上・利益・株価の先行指標となり得ることから、従業員目線で見た企業内での経験を形成するような人材戦略の善し悪しは、人としても重要であり、事業成長にも直接寄与すると私たちは考えています。

司会者:大変興味深いデータでした。それでは最後に、栗本さまからは今後マクニカに期待すること、堀田さんからは働きがいランキング5位のその先に描く「次のステージ」についてうかがいたいと思います。まずは栗本さま、いかがでしょうか? 

栗本:まず、弊社の中長期的なミッションとして、「ひとりひとりが輝く、ジョブマーケットを創る。」を掲げています。従業員から高く評価される企業が増えることは、一人ひとりが輝く環境が増えていることにつながると考えています。

そのため、マクニカさまには顧客や市場からはもちろん、業界や日本を代表するリーディングカンパニーとして、「OpenWork」上では高いスコア、つまり従業員の方々からの高い評価を一層保ち続けていただくことを、オープンワークの立場から僭越ながら期待しています。

司会者:堀田さんはいかがですか?

堀田:これまで培ってきた文化や優れた仕組みを大切にしつつ、当社で働く一人ひとりがより一層働きがいを感じ、成長できるような仕掛けを、さらに多く作りたいと考えています。もちろん、そのような人財にはマクニカグループで活躍していただけることを期待していますが、マクニカという枠にとどまらず、社会に一層貢献できる人財を輩出するような熱量を持った会社でありたいとも思っています。

司会者:堀田さん、栗本さま、ありがとうございました。以上で、第3部を終了します。

質疑応答:サイバー攻撃インシデントのマクニカ業績への影響について

司会者:「アサヒグループやアスクルなどがサイバー攻撃を受けていましたが、マクニカの業績にどのような影響があるのでしょうか?」というご質問です。

小林:今回のインシデントは非常に大きく報道されていますが、サイバーセキュリティ対策を経営課題として捉える企業は、間違いなく増えています。今朝訪問したお客さまも、その一例でした。

各企業のシステム構成やリスクに応じた対策を検討するかたちとなるため、例えば「もう明日すぐに入れてくれ」というように、急に案件が決まることはありませんが、確実に需要は高まっていると思います。

特に今回のような大きなケースでは、本社以外の子会社や中堅企業などからの引き合いは中長期的に増えていくように思います。今後、さらに力を入れていきたいと考えています。

質疑応答:高市政権による国産セキュリティへの優遇による、マクニカ業績への影響について

司会者:「高市政権による国産セキュリティへの優遇は、マクニカの業績にどのような影響があるとお考えでしょうか?」というご質問です。

小林:正直に申し上げると、国産セキュリティだけでカバーできる領域は非常に限られてしまいます。そのため、当社が主に扱っている、セキュリティレベルがより高い重要インフラにも導入されている海外商品を組み合わせて活用した対策を基本として提案していきたいと考えています。

一方、前半のパートでもご説明した自社サービス「Macnica ASM」は、国産のセキュリティサービスとして間違いなく追い風となるでしょう。日本国内だけでなく、政府の後押しもあり海外からの引き合い案件も増えてきています。海外での案件や事業の拡大にもつながっていくことを期待しています。

質疑応答:新卒エンジニアの教育と成長支援について

司会者:「貴社の事業では、エンジニアが肝だと思います。新卒技術社員に対する教育は、どのようになさっているのでしょうか? また、通常は何年ぐらいで一人前のセキュリティエンジニアになるのでしょうか?」というご質問です。

瀬治山:新卒エンジニアの教育については、主にOJTを中心に行っています。特に、近いチームの先輩やチーム全体で一丸となりサポートしている様子が非常に印象的です。

そして、その成果について明確に申し上げることは難しいですが、マクニカは一人前になる速度が非常に速いと思います。私は現在マクニカが3社目となりますが、それはやはり、権限移譲に基づくOJTの文化が一因になっているのではないかと考えます。

通常であれば、お客さま先に出る仕事や講演を任されるまでに、5年から10年かかることが多いかと思います。しかし弊社では、数ヶ月単位でそのような仕事を任されることがあります。このような点も、成長を支える要因の一つだと思います。

質疑応答:セキュリティ事業の市場成長および地域拡大について

司会者:「サイバーセキュリティ事業の成長は目覚ましいですが、今後もこの成長が継続できるのでしょうか? 社長のお考えをお聞きしたいです。」というご質問です。

:まだまだ成長できると考えています。当然ながら市場の拡大も進んでおり、国内においてもセキュリティの成熟度には、まだ伸びしろがあると思います。

さらに、我々が展開しているアジア、ASEAN、インドを含めたエリア、そして中東やアフリカといった地域にも拡大を考えています。これらの地域は日本よりも成熟度がやや低いものの、徐々に高まっていくと見ています。

このような領域の拡大を考慮すれば、当社および市場全体における事業の成長には引き続きご期待いただけるのではないでしょうか。

質疑応答:ITエンジニアの採用状況と今後の方針について

司会者:「ITエンジニアの採用市場は売り手市場だと思いますが、エンジニアの採用は予定どおり実施できているのでしょうか?」というご質問です。

堀田:当社において、エンジニアは社員全体の3分の1を占める大変貴重なリソースです。そのような状況の中、ITエンジニアについても、一定程度は私たちの要求を満たしている状況にあります。ただし、引き続き、私たちの事業拡大に応じて、さらに多くのエンジニアの方々に加わっていただきたいと考えています。

それにあたっては、マーケットからの採用だけでなく、先ほどお話ししたように、社内の従業員教育を通じて人財を育成することも含めて対応していきたいと思います。

質疑応答:マクニカ社のスコアと人材市場への取り組みについて

司会者:「オープンワーク社のデータは非常に興味深いものでした。オープンワークの栗本さんにうかがいたいのですが、あえてマクニカさまの課題を挙げるとしたら何でしょうか?」というご質問です。

栗本:非常に難しい質問ですが、僭越ながらお答えします。先ほどお伝えしたとおり、マクニカのスコア自体は特に欠点がなく、4.1点を超える非常に高い数値だと思っています。ただし大前提として、マクニカさま単独ではなく、非常に人材市場が難しい状況にあることが挙げられます。スコアが高いからといって、人材がすぐに採用できるわけではないことが非常に重要になります。

これは課題というよりも期待ともいえるのですが、より一層のチャレンジをしていただきたいという意味で、スコアが高いということを必要条件とみなしつつも、マクニカさまの文化や組織風土がより効果的に伝わるような取り組みを、ぜひ主体的に進めていただければと思います。

それによってスコアを高い状態で維持しつつ、マクニカさまにとって相性の良い人材が採用され、社会全体としてもそのような環境が整うことが期待されます。また、この取り組みが、マクニカさまが人材市場で一歩リードするために、今後さらに必要になると考えています。

質疑応答:セキュリティ事業におけるグローバル展開戦略について

司会者:「セキュリティ事業は、日本とアジア、中東で展開しているとのことですが、どのような連携、シナジーを出しているのか、具体的に教えてください」というご質問です。

小林:先ほどもお話ししたように、仕入れ先を共通化することが最もわかりやすい例だと思います。例えば、中東のCyberKnight社とマクニカ日本が仕入れ先を共有していますし、その他いくつかの仕入れ先については、Netpoleon社と東南アジアの仕入れ先を共有しています。

こうした共通の仕入れ先に対し、マクニカのグローバルチームとして、大きなカンファレンスで仕入れ先を訪問し、各国や地域ごとの状況や法規制の情報を交換する中で、技術的な話や戦略的な議論を進めています。

さらに「どう事業拡大していくか?」という話を、日本だけでなくサイバーセキュリティ分野における専門家のグローバルチームとして展開されます。

世界最先端の仕入れ先を訪問し、仕入れ先の経営者と対等な立場で、同じ目標に向かって議論できるというのは、他の企業ではあまり見られない特徴だと考えています。

加えて、営業的・事業的な視点だけでなく、私たちの特徴である技術力についてです。日本国内だけでなく、これまでM&Aや事業提携を進めてきたマクニカのグループ会社は自社で技術力を持っており、営業員と同数の技術者を抱えるような体制を取っている会社です。

その技術力を現在は各国ごとに活用していますが、今後もナレッジを蓄積していくことで、マクニカ全体が各地域に対応し、場合によっては国をまたいで技術サポートを提供するといったかたちが実現されると思います。

これにより、日本にいながら世界各国の知見も蓄積され、結果として業務の効率化やビジネス面での効率化にもつながると考えています。このような活動を通じて、真のグローバル企業を目指し、事業全体の拡大を図りたいと思っています。

質疑応答:従業員エンゲージメント向上の取り組みについて

司会者:「人的資本経営をうたっていますが、従業員とのエンゲージメントをどのように可視化し、どのようにマネジメントアクションにつなげているのでしょうか?」というご質問です。

堀田:現在、エンゲージメントについてのお話はいろいろなところでされていますが、実は私どもは、ちょうど12年前から、組織診断というものを行っています。

これは60項目から70項目の質問を従業員に投げかけ、それに対する回答を分析するものです。その中には、現在で言うエンゲージメントを測るような質問もすでに含まれています。そのような意味では、12年前からそうした活動を行ってきたと言えます。

また、従業員全体の声を拾い上げ、各部門長がしっかりと受け止め、社長とともにコミュニケーションを取りながら「このような対策をしていく」「こうして組織を活性化させていく」という施策を作り上げ、実施するPDCAを12年前から回してきました。

このような取り組みを今後も継続して行い、従業員のエンゲージメント向上に努めていきたいと考えています。

質疑応答:セキュリティ研究センターと日本特有の脅威への対応について

司会者:「商社の中にセキュリティ研究センターというR&D組織があることが珍しいと思いますが、具体的に日々の活動はどのようなものなのでしょうか? また、それがセキュリティビジネスにどのように貢献していらっしゃるのでしょうか?」というご質問です。

瀬治山:当社にはセキュリティ研究センターという組織があり、現在はおよそ8人で活動しています。普段の活動内容としては、特に日本の組織や企業に対してどのような攻撃が行われているのかを深くリサーチしています。

セキュリティの情報というと、どうしても海外の情報が中心になりがちで、なにかを調べようとすると海外しか情報を持っていないという状況が、以前はよくありました。しかし、海外で行われる攻撃が必ずしも日本の組織に対して行われるわけではありません。

さらに、日本の組織に特化して行われるような攻撃も存在するため、そうした脅威を的確に把握することが非常に重要だという考えのもと、セキュリティ研究センターが設立されました。

そうした脅威の調査を基に、次に何をするかというと、対策をお客さまにお伝えすることになります。ただ、セキュリティ対策を講じようとしても非常に難しい面があります。

さまざまな商品やサービスが必要になりますが、「今、日本に対してどのような攻撃が来ているのか?」「どのようなかたちで守ればいいのか?」という観点で調査を行い、海外を中心に多種多様なソリューションや商品を探し、それを案内する取り組みをしています。

したがって、「今、何が起きているのか?」という情報をしっかり把握しているからこそ、適切なソリューションや商品をお客さまに案内できており、その結果、多くのお客さまから支持をいただいているのだと考えています。

質疑応答:企業文化の維持・向上のための取り組みについて

司会者:「人的資本のセッションでもお話がありましたが、すばらしい企業文化をお持ちだと思います。これを維持、さらに進化させていくためには、どのような取り組みをなさっているのでしょうか?」というご質問です。

:本日、堀田からご紹介したコアバリュー「T.E.A.M.S.」は、トラストを前提としたエンパワーメントです。これを若い人たちが実際に業務を通じてどれだけ体感できるかという点に尽きると思います。

その意味では、若い人たちがさらにチャレンジできる環境や事業、新たな挑戦を、経営者として、または会社としてどれだけ提供していけるかが非常に重要だと考えます。

本日はサイバーセキュリティ事業の拡大についてご紹介しましたが、これまでの技術商社モデルから、サービスやソリューションを創造するサービス・ソリューションカンパニーへの展開を目指しています。

本日はご紹介できませんでしたが、新しいCPSソリューション事業など、次々と新たな事業を立ち上げています。こうした取り組みを通じて、成長スピードが速く、伸びしろの大きい若い世代が活き活きと活動できる環境をどれだけ整えることができるかが重要です。

そして、どれだけ実践できるかがカギとなります。これを実現することでサステナブルな事業成長を果たし、人的資本を最大化していけると考えています。

質疑応答:新規市場立ち上げに必要な期間と競争力の要因について

司会者:「サイバーセキュリティ事業でスタートアップと契約し、ともに成長するということは理解できました。このスタートアップが立ち上がるまで、平均するとどの程度の期間がかかりますか?」というご質問です。

小林:平均してどの程度かを明確にお答えすることは難しいですが、概ね3年から5年かかる場合もあるかと思います。例えば、代表的な事例としては、CrowdStrike社が挙げられます。同社は2013年に契約を開始し、「ゼロトラスト」という概念が浸透し始めた2018年から2019年頃に本格的に立ち上がったかと思います。

私たちが現在取り扱っている商品では、シスコ社と統合したSplunk社もありますが、これらも本格的に立ち上がるまでは3年から5年ほどかかっています。そのため、平均するとだいたいそれくらいの年数がかかると感じています。

ただし、ここがやはりマクニカの差別化できるポイントだと考えています。多少ビジネスの立ち上がりに時間がかかっても、私たちがしっかりと目利きを行っていきます。

さらに市場からの手応えを感じつつも、まだ脅威が少ない段階の商品に対しても、粘り強く仕入れ先とともに市場を開拓しています。

業界用語にはなりますが、日本語で言うと需用喚起、つまりデマンド・クリエーションと呼んでいます。需要が存在しないところから、セキュリティの世界でいえば脅威の啓蒙を通じて需要を創出し、市場を形成していくという取り組みです。

セキュリティとは、本来必要がないに越したことはないのですが、攻撃側も日々進化を遂げており、新たな脅威が次々と発生する現状では、対策が求められます。今までのオンプレミスのサーバーやパソコンのみならず、クラウド環境やその中にあるデータをどう守るべきか、企業や国が対応すべき課題は間違いなく増えています。

そのため、まだ市場が立ち上がっていない段階から、私たちが信じたスタートアップ企業とともに粘り強く市場を開拓できるのは、マクニカならではだろうと思っています。3年から5年ほどかかるかもしれませんが、時間をかけてでも「高付加価値ディストリビューション」事業の拡大を目指していければと思っています。

:補足すると、先ほどのお話はサイバーセキュリティに限りません。実際、かつて半導体事業においても、先端テクノロジーを扱う段階では同様の時間が必要でした。

逆に言えば、それだけ早い段階で私たちが目利き力を発揮し、次の市場トレンドや先端テクノロジーを見極めていたと言えるかと思います。

早い段階で見極めて契約し、その期間を私たち自身が技術力を獲得するための期間と捉えることができます。したがって、これは必然的な期間と言えると思っています。

その結果、市場が到来した際には、圧倒的な技術力とインテリジェンスを持って事業を立ち上げることが可能です。その段階で気づいた他のディストリビューターは容易に参入することができません。これが、私たちの競争力の源泉であると思っています。

質疑応答:リカーリングビジネスと更新率向上への取り組みについて

司会者:「サイバーセキュリティ事業ではソフトウェアの比率が増えていますが、その中でリカーリングはどの程度の比率でしょうか? また、今後もその比率は上がる傾向なのでしょうか?」というご質問です。

小林:現時点でリカーリングの比率について具体的な数字は手元にありませんが、非常に高い水準になっています。今後もソフトウェアの売上は増加すると考えており、いわゆるARRと呼ばれるリカーリング率を追求することは、仕入れ先からも求められています。

また、お客さまが良い商品であれば現在の商品を継続して使用しようというモチベーションが非常に高いため、リカーリング売上やソフトウェアの売上、およびその比率も今後着実に伸びていくと見込んでいます。

一方でますます重要となっているのは、お客さまがセキュリティ商品を正しく組織に浸透させ、エンドユーザーまで使いこなしていただけるかという点です。

そのため、当社では「リテンションレート(更新率)」を向上させるためにカスタマーサクセスと位置付け、お客さまが確実に商品を活用できるよう、技術的支援を含めたサービスを提供しています。

このようにしてリカーリングビジネスの比率を高め、結果として高い更新率を維持するという現在の傾向を今後も続けていきたいと考えています。

原氏からのご挨拶

:本日は、マクニカ初の「Investor Day」にご参加いただき、誠にありがとうございました。サイバーセキュリティ事業や人的資本への取り組みをご説明する本日のイベントに、多くの方々にご参加いただき、たくさんのご質問をいただいたことで、みなさまの高い関心を強く感じています。

私たちはこうした対話を大切にし、オープンで透明性のある姿勢を貫きながら、今後も継続的にコミュニケーションの場を設けていきます。

持続的な成長と価値創造に向けて精進していきますので、引き続きみなさまのご支援をお願い申し上げます。本日はご参加いただき、誠にありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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