PBシステムズ Research Memo(8):新規開拓進展、エモーショナル事業も好調

配信元:フィスコ
投稿:2025/12/09 13:18
*13:18JST PBシステムズ Research Memo(8):新規開拓進展、エモーショナル事業も好調 ■ピー・ビーシステムズ<4447>の業績動向

3. 2025年9月期のセグメント別業績動向
2025年9月期のセグメント別業績は、セキュアクラウドシステム事業の売上高が前期比16.6%減の2,553百万円、セグメント利益が同63.5%減の144百万円、エモーショナルシステム事業の売上高が同70.4%増の81百万円、セグメント損益が19百万円の損失(前期は33百万円の損失)となった。

セキュアクラウドシステム事業は、案件のクロージングに苦戦したものの、複数の業界で今後にもつながる案件を獲得し、収益を支えた。1つは「小売業大手向け高性能ハードウェア販売の大型案件」で、中間期での計上予定から第3四半期にズレこんだものの、無事に計上している。同顧客自体も事業基盤を拡大中とのことで、需要機会の増加が予想される。2つ目は、顧客内でのM&Aに伴う「グループ仮想基盤統合案件」で、こちらも業務システム連携などの需要継続がありそうだ。3つ目は受注残に含まれているが「ホームセンター向けの旧世代基幹システムのデータベース最新化及びデータ移行案件」だ。こちらも地方で増勢中の企業とのことで、今後の継続的な取引に期待できそうである。

医療業界では、既存顧客の「医療法人向け仮想基盤更改案件」を受注した。同業界では近年の医療DXの流れに加え、こちらも金融業界同様セキュリティ重視の姿勢もあり、引き合いが徐々に出始めているもよう。また、同案件は、近年加速している仮想基盤での脱VMwareの流れからのものであり、代替ソリューションとしてHyper-V(Windows)を採用した。なお、脱VMwareとは、VMwareライセンス体系変更に伴い価格が上昇したことで、顧客が代替品へのブランドチェンジを進めることを指す。同社は今後も顧客での脱VMwareの流れは継続すると予想し、最適なソリューション提案を固めつつあるようだ。

エモーショナルシステム事業については、MetaAnywhereは、短期間となったリリース初年度で売上30百万円計上と好調なスタートを切った。なかでも受注総額100百万円規模(期中計上は一部)の「大型アミューズメントパーク向けMetaAnywhere 案件」は、乗り物アトラクションでのバーチャル空間構築で、複数のプロジェクターを配置し、運行スケジュールに合わせ、不定形なオブジェクトに映像を映し出す仕組みを設計した。アトラクション自体が話題になれば、水平展開にもつながっていく可能性が生まれそうだ。MetaWalkersについては、本体販売数は計画に届かず、イベント売上中心となったが、イベント実施件数自体は倍増しており、認知は広がっている。また、2025年8月には、多摩26市の市長が任意に組織する「東京都市長会」の防災担当者交流プログラムでは、省スペース型の「MetaWalkers ATOM」を提供しており、防災関連での活用を推進する。

なお、第3四半期に受注した「Fintech企業向けの基幹システム仮想化基盤の大型更改案件」は親交を深めているDELLを介した案件だが、DELLやCXJ(シトリックス)に限らず新規のベンダー各社と、連携を戦略的に推進している。足元では、IT専門商社や商社系ICT企業、インフラ系ベンダーなど、着々と関係構築を進めている。これら連携は、同社課題の営業力強化の一環ともなり、全国区で幅広い顧客層に事業展開する大手企業との連携により、事業基盤を広げる考えである。特にセキュアクラウドシステム事業部では首都圏をターゲットに強く推進しており、現在連携が加速している。

受注残については、セキュアクラウドシステム事業において前期比20.0%減の617百万円、エモーショナルシステム事業では同673.6%増の95百万円と大幅に伸長している。合計では前期比9.2%減の712百万円となっているが、決算発表後にはモータースポーツ施設向けシューティングライドのリプレース案件を受注したことで、足元でのエモーショナルシステム事業の受注残は1億円を超えた。また、セキュアクラウドシステム事業でも新規顧客となる大手損害保険会社向け新規案件を受注したことを説明会資料の中で開示している。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)

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