【QAあり】オープンワーク、3Q累計で過去最高益、営業利益は期初予想を前倒し達成 「OpenWorkリクルーティング」成長トレンド継続

投稿:2025/12/05 11:00

INDEX

大澤陽樹氏(以下、大澤):オープンワーク代表取締役CEOの大澤です。本日はご視聴いただきありがとうございます。

スライドは本日のアジェンダです。まず、当社の経営概況についてご説明した後、当社や当社のサービスについてお話しします。最後に、2025年12月期第3四半期の決算概要および事業トピックについてご説明します。

2025年12月期 第3四半期 決算トピックス

エグゼクティブサマリーです。2025年12月期第3四半期の決算トピックスとしては、各サービスともに堅調に推移しています。

第3四半期累計の営業収益は34億5,000万円で、前期比30.4パーセントの増収となりました。営業利益は11億9,000万円で、前期比29.1パーセント増となり、いずれも第3四半期累計としては過去最高の収益および利益を記録しています。

また、2025年12月期の営業利益予想について、期初に11億3,000万円を掲げていましたが、これを前倒しで達成したことになります。

当社主力の採用サービス「OpenWorkリクルーティング」も、各種KPIが堅調に推移しています。第3四半期単独の営業収益は8億3,000万円で、前期比24.4パーセントの成長トレンドを継続しており、期初予想に対しても順調に推移しています。

また、データベースの閲覧やそれに伴う送客など、会員への課金を行うセグメントに関しては、第3四半期単独の営業収益が3億2,000万円となり、前期比21.9パーセントの増加を達成しています。第1四半期から提携送客収入の値上げを実施しており、この効果は年間を通じて継続する見込みです。

また、第4四半期が現在中盤戦を迎える中、広告費など成長投資の拡大により販管費が増加する予定です。通期の営業利益はすでに前倒しで達成していますが、期初予想である11億3,000万円の水準に達する見込みです。

2025年12月期 第3四半期 業績サマリー

各KPIに関しては後ほど詳しくお伝えしますので、ここではすべて順調に推移していることをお伝えし、次のセクションに移りたいと思います。

企業概要

「初めてオープンワークの説明を聞くよ」「久しぶりにオープンワークをチェックしているよ」という方に向けて、当社についてご説明します。

オープンワークは2007年に創業し、2022年12月に東証グロース市場に上場しました。従業員数はまだ150名にも満たない小さな会社です。

当社は、就職・転職を支援する情報プラットフォームを運営しています。この後詳しくご説明しますが、社員のクチコミを基軸としたWebサービスやアプリサービスを展開しています。

Slogan / Mission

当社が非常に大切にしているのは、コーポレートスローガンにある「働きがい」というテーマです。

日本ではすでに労働人口が減少しており、生産性を向上させるためには、労働参加率を高めることが重要です。働き方改革などにより、働きやすい環境が整いつつあることなどから、労働参加率は徐々に高まってきています。

もう1つ重要なのは、1人当たりの生産性を高めることです。当社ではこの1人当たりの生産性に大きく影響を与える要素として、やりがいや一人ひとりの熱意を挙げており、これを「働きがい」だと捉えています。

ただし、あるアメリカの調査によると、日本の「働きがい」や熱意ある社員の割合は、世界で最低水準にあります。140ヶ国中、今年も130位台に位置しており、少しずつ上昇してきてはいるものの、依然として厳しい状況です。ただし、ここには大きな伸びしろがあると当社は考えています。

この「働きがい」という伸びしろのある領域にフォーカスを絞り、さまざまな事業サービスを展開することで、多くの人が輝き、適材適所が実現できるジョブマーケットを作り上げていくことが、当社が目指す最終的なゴールです。

オープンワークが目指す世界

オープンワークが目指す世界について、もう少し定性的な話をします。

これまでは、新卒一括採用や終身雇用、年功序列が一般的で、「働く」における主役は個人というよりも会社だという状況でした。

「来月から地方に転勤してよ」「こういう部署で人が足りないから来年はここに異動してね」といった環境下で、自分がどのように思っていようとも、会社の指示に基づいて「この会社で働き続ければ年収も上がっていくし、多少いやなことだけれど我慢してやろうか」と行動していました。

終身雇用や年功序列が基盤として存在していたからこそ、人々はその会社にコミットし続けていたのです。ただし、「働く」における主導権は基本的には会社側が握っていました。

もちろん、企業が労働者を雇用する構造的な本質は変わりません。しかし、現在では職種別採用が進むとともに、人手不足により人材の流動化がますます促進されています。その結果、「働く」における主役は会社から個人に移りつつあります。

「自分の望む働き方ができなければ転職すればいいじゃないか」「自分で自分のキャリアを作っていけばいいじゃないか」という考え方が、かなり一般的なものになってきています。

会社が求職者を選ぶのはもちろんですが、労働者も会社を選ぶ時代となり、お互いが選び合う社会へと変化していると感じます。

一方で、「会社に依存せず自分のキャリアは自分で作れよ」「自分でデザインすればいいじゃないか」と言われますが、実際にはまだ安心して働けるジョブマーケットには至っていません。

依然として、実態とかけ離れたイメージ広告が多く見受けられ、「求人広告を見て入ってみたら思っていた会社と違った」といった状況が続いている状態です。

当社では、「入社後の実情はブラックボックス」という考えを、ジョブマーケットの情報の透明性を通じて広めていこうとしています。

入社前から違和感なく、ミスマッチを避けて働ける人が増えることで、働きがいが日本国内で増していくことを目指し、社員のクチコミにフォーカスしたサービスを開始しています。

「OpenWork」と「OpenWorkリクルーティング」の関係

当社の売上の90数パーセントは、「OpenWork」と「OpenWorkリクルーティング」という2つのサービスで構成されています。

「OpenWork」は日本最大級の社員クチコミ情報サービスで、ユーザー数は758万人です。その中から、「転職・就職してもいいよ」と履歴書やレジュメを登録しているユーザーは157万人にのぼります。

現在、人手不足による倒産が3年連続で過去最多を記録していますが、人手不足においては企業は人が集まる場所で採用活動を行いたいと考えます。そこで、多くのWeb履歴書や登録者が存在する「OpenWork」上で企業が採用活動を行えるサービスが「OpenWorkリクルーティング」です。

「OpenWorkリクルーティング」は求人掲載や候補者への直接スカウトが可能な採用サービスです。契約社数は4,240社で、契約している企業は、社員クチコミだけでなく、企業情報や求人を同時に掲載することができます。

また、求人や企業情報と合わせてクチコミを見たいと考えるユーザーが増えると、ユーザーの増加に伴い履歴書の数も増加します。その結果、採用・スカウトしたい企業が増加し、さらに企業情報とともに求人が増え、クチコミも増加し、ユーザー数のさらなる増加につながります。

このように、双方にポジティブな影響を及ぼしながら成長しているのが、「OpenWork」と「OpenWorkリクルーティング」というサービスです。

日本最大級の社員クチコミサイト「OpenWork」

それぞれのサービスについてご説明します。「OpenWork」は、1年以上働いている、または働いたことがある正社員や契約社員の方が投稿できるクチコミサイトです。

私は「8・8・3」と呼んでいるのですが、まず、待遇面の満足度や風通しの良さ、20代の成長環境、法令遵守意識などの、8つの定量的な評価項目について5段階でランク付けができます。

次に、8つの社員クチコミについては、定性的な社員クチコミが投稿されています。組織体制、企業文化、ワークライフバランス、女性の働きやすさ、経営者への提言、退職検討理由などが、500文字以上で投稿されています。

最後に、3つの実情報として、残業時間、有給休暇消化率、年収データを確認することができます。

これらのクチコミは、Web履歴書を登録する、ご自身の体験をクチコミとして投稿する、当社が紹介する人材サービス等に登録する、または税別1,800円の有料会員として登録する、これら4つの条件のいずれかを満たすことで一定期間閲覧可能となります。

特に、提携サービスへの登録と有料会員登録は「OpenWork」セグメントの売上に寄与しています。

企業向けダイレクトリクルーティングサービス「OpenWorkリクルーティング」

「OpenWorkリクルーティング」は、Web履歴書を登録した方が「OpenWork」上で非常にスコアが高い企業からスカウトや求人を受け取ることができるサービスです。

これまでの一般的な方法は、多くの広告費を投入することで目立つ場所に自社の求人を掲載できるものでした。しかし、売り手市場が進み、労働者側が非常に貴重な資源となる中では、企業中心のサイトではなく、求職者にとって利便性の高いサービスが選ばれるようになっています。

そのため当社では、社員から高い評価を受けている企業に対し、求職者への求人やスカウトが届きやすい仕組みを提供しています。これが「OpenWorkリクルーティング」の特徴です。

どれだけ広告費を投じても、働きがいや魅力の少ない会社は採用が難しいような仕組みにしているのが「OpenWorkリクルーティング」です。

採用成功報酬は基本利用料120万円とは別に、中途採用で1人当たり70万円、新卒採用で30万円となっています。利用方法にもよりますが、一般的には人材紹介サービスや他社のダイレクトリクルーティングサービス、求人媒体よりも、1人当たりの採用費をかなり低く抑えることが可能です。

このコストの安さとユーザー登録数の多さが評価され、企業での導入が現在増加しているサービスです。

クチコミデータを新たな社会課題解決に活用する「オルタナティブデータサービス」

売上には大きく影響しませんが、その他の領域についてもご紹介します。

1つ目は「オルタナティブデータサービス」です。これは「OpenWork」に投稿されたクチコミデータを活用し、資本市場の予測や各企業の組織課題の可視化、さらにはサステナビリティ課題の解決に役立てていただけるサービスを提供しています。

こちらは大きく2つの領域に分かれています。スライド左側は「FIS」と呼ばれる「Financial Indicator Service」です。こちらは国内外の資産運用会社、クオンツファンドやヘッジファンド向けに、当社が加工したクチコミデータを提供しています。

なぜこのようにデータを購入いただけているかというと、論文で「OpenWork」のクチコミが企業の2年後から3年後の業績と強い相関があることが証明されているのです。そのため「これはアルファが出るぞ」と当社のデータをご購入いただいています。

一方、スライド右側は「DAP」と呼ばれる「Data Analytics Platform」です。「OpenWork」のクチコミには参考になる情報が多く含まれています。特に大手企業では人的資本情報の開示が進んでいますが、その過程で自社の組織課題をより具体的で生々しい情報として把握したいというニーズがあります。

その際に「OpenWork」のクチコミをAIで分析し、レポート化して提供するサービスを現在展開しています。

キャリア情報の交換・収集のためのコミュニティサービス「OpenWorkキャリア」

2つ目は、キャリアのSNSである「OpenWorkキャリア」です。

周囲に、自身の転職や就職、仕事について相談できる人がなかなかいない方も多いのではないでしょうか。自分と似たような職種年齢の人がどのぐらいの年収なのか、その人はどのようなキャリアを歩んできているのか、どのようなスキルが自分とは違うのかなど、他人のキャリアをのぞき見でき、情報を得られるキャリアの総合プラットフォームを現在開発・運用しています。

こちらはまだマネタイズのフェーズには至っていません。コンテンツを拡充し、さまざまなテストを行いながら、ユーザーに価値あるデータを提供できた後に、マネタイズ化を図る考えです。

事業系統図

事業系統図についてです。この後、セグメントごとに売上の報告を行いますが、当社は大きく3つのセグメントに分かれています。

1つ目は「OpenWork」です。クチコミを閲覧するために他社のサービスに登録していただくことで、当社が紹介料を受け取ったり、ユーザーから月額1,800円をいただいたりする仕組みです。これらの収益を合わせたものが「OpenWork」です。

2つ目は「OpenWorkリクルーティング」です。登録ユーザーの履歴書に対して、企業やエージェントがスカウトや求人を掲載し、採用が決定した際に当社が成功報酬をいただくモデルです。

3つ目は、当社のデータを企業や機関投資家に提供する「オルタナティブデータサービス」の利用料です。これらの3つのセグメントで当社の営業収益は成り立っています。

P/Lハイライト

ここからは2025年12月期第3四半期の決算概要についてご説明します。冒頭でもお伝えしましたが、第3四半期は非常に好調で、売上高は34億5,000万円となりました。

それぞれのサービスについては、「OpenWork」「OpenWorkリクルーティング」は先ほどお伝えしたとおりです。「オルタナティブデータサービス」も前期比で2倍の成長を遂げています。

業績推移(四半期ごとのサービス別営業収益の推移)

業績の推移について、サービス別にご説明します。

まず、グラフに濃い青で示した「OpenWork」についてです。当社はデータを「OpenWork」に蓄積していきたいと考えています。

「OpenWork」はユーザーが他社のサービスに登録いただくことで、クチコミを見られるようになる広告ビジネスです。言い換えれば、データを外部に流している仕組みです。当社はAIの時代において、どれだけ貴重なデータを保有できるかが非常に重要だと考えており、「OpenWork」については維持もしくは微減で進めてきました。

しかし、他の人材紹介会社の決算を見ても、広告費が非常に高騰していることがわかると思います。特に人材関連の広告では競争が激化しており、広告単価が大きく上がっています。当社においても同様ですが、一方で「OpenWork」において、他社の人材サービスへ当社ユーザーをご紹介する場合には、広告単価を引き上げられると判断しました。

そこで昨年末に交渉を行った結果、すべての企業から了承をいただくことができました。今期はこの値上げ分により年間約20パーセントの影響が出る見込みです。

グラフで水色で示した「OpenWorkリクルーティング」については、前期から「OpenWorkリクルーティング」の「スペシャルスカウト」というクロスセル商材を導入し始めました。また、今年から計上方法を期間按分に変更したこともあり、前期は第3四半期の売上がやや伸びています。

通常、第2四半期が最も繁忙期となり、4月に多くの方が入社されることで売上が上がるケースが非常に多く見られます。その結果、第2四半期が突出して売上が膨らみ、第3四半期、第4四半期と徐々に減少します。

しかし、「スペシャルスカウト」というクロスセル商材があったことにより、前期は第3四半期の売上がやや伸びました。今期は例年と同じような動きをしているものの、伸び率に関しては、他の第1四半期や第2四半期では30パーセント以上の伸びが見られた一方で、第3四半期では24.4パーセントとなっています。

24.4パーセントでもかなり伸びているほうだと考えていますが、他の四半期と比較してやや伸び率が低く見えることで懸念される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その点についてはご安心いただきたいと思います。

営業費用の推移

営業費用の推移についてです。こちらで特に注目すべきは広告費です。

一見すると広告費が非常に増加しているように見えますが、これは第1四半期からご説明しているとおり、今期は特に関西エリアでテレビCMを定期的に展開しているためです。また、第3四半期からはお笑い芸人を起用した新テレビCMを開始していることも影響しています。

前期はこのような広告を第1四半期と第4四半期に集中的に流していたため、今期はその分非常に大きく伸びているように見える状況です。

ただし、冒頭でもお伝えしたとおり、営業利益はガイダンスで示している水準に着地する予定です。広告費は今後も計画的に投じていく予定ですが、しっかりと営業利益予想どおりで着地する見込みですので、ご安心ください。

今期業績の進捗と見通し

今期業績の進捗と見通しについてです。冒頭でお伝えしたとおり、営業利益以下はすでに通期予想を達成しています。第4四半期では広告費などに投資する予定がありますので、現時点では上方修正などは考えておらず、予定どおりの着地を見込んでいます。

また、スライドからもおわかりいただけるように、営業収益についてもほぼ間違いなく通期予想を達成できる見込みです。順調に進捗しています。

各種KPI / OpenWorkリクルーティング

各種KPIについてです。「OpenWorkリクルーティング」については、契約社数とWeb履歴書登録者数がともに順調に増加しています。

契約社数については、以前は「OpenWorkリクルーティング」は無料で利用することができたため、大きく伸びていました。今期第1四半期から有料化したことにより、契約社数の伸びは鈍化すると予測しており、実際に第1四半期から第2四半期で契約社数が鈍化しました。

無料期間中には契約社数が伸びるものの、「とりあえず契約してみました」といったケースではその後の当社の売上につながらず、ユーザーにも良質なスカウトや求人が届かないこともありました。そのため、鈍化は想定どおりの結果であり、特に問題はないと考えています。

一方で想定外だったのは、第2四半期から第3四半期に新規契約社数が予想以上に増加したことです。多くの企業が採用に困っている現状が背景にあると実感しています。昨年の無料期間中と同程度の伸び幅で契約社数が増加しており、非常に順調と言える状況です。

各種KPI / OpenWork

「OpenWork」に関しては、ユーザー数が第2四半期から第3四半期にかけて例年少し伸び悩む傾向があります。他の四半期に比べて伸び幅が小さくなる時期ですが、これは例年どおりの推移です。

また、社員クチコミ数や評価スコア数についても例年と同様に順調に伸びており、KPI全体が順調に推移しています。

株主優待制度に関するご案内

最後に、今期からスタートした株主優待制度についてご案内します。

株主優待については、これまでも「『OpenWork』の社員クチコミを見られるようにしてほしい」という声が寄せられていました。しかし、株主の中にはすでに閲覧権限を持っている方もいらっしゃいます。そのため、フェアネスの観点から、「OpenWork」の社員クチコミの閲覧権限にも交換できるデジタルギフトを優待品としてご用意しています。

社員クチコミをまだご覧になったことがない方は、社員クチコミの閲覧権限に交換することも可能です。すでに権限をお持ちの方は、その他の「QUOカードPay」や「Amazonギフトカード」などに交換することも可能です。

株主優待制度に関するご案内

保有株式数と継続保有期間によって優待の進呈条件が変わりますので、興味のある方はぜひご覧ください。

駆け足となりましたが、私からのご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:「OpenWorkリクルーティング」の成長率鈍化の背景と今後の見通しについて

司会者:「第3四半期の『OpenWorkリクルーティング』の営業収益は、成長率が前年同期比で24.4パーセントとなっています。第1四半期、第2四半期の時の35パーセント程度と比較すると減速しています。その要因についてどのようにお考えでしょうか? これは一時的な減速でしょうか?」というご質問です。

大澤:未来のことですので、あくまで推測になりますが、結論としては一時的な減速になると考えています。

先ほどもご説明したように、前期は第3四半期から「OpenWorkリクルーティング」上で、企業を限定し、クロスセル商材として特別なスカウトを購入いただける「スペシャルスカウト」の提供を開始しました。

こちらが前期の第3四半期および第4四半期には一括で計上されていましたが、今期からは適切に期間按分して計上するかたちに計上ルールを変更しています。

また、第3四半期から販売を開始したこともあり、前期の第3四半期は非常に業績が拡大しています。それを基準にすると成長率が鈍化しているように見えるかもしれません。

しかし、各種KPIを含めて非常に力強く動いており、「OpenWorkリクルーティング」も引き続き成長していますので、一時的な現象と捉えていただくのが適切かと思います。

質疑応答:採用市場の現状と景気の影響について

司会者:「アメリカを中心に景気の不透明感が強まっていますが、御社のクライアント企業の採用意欲に変化はありますか?」というご質問です。

大澤:一時期にあった、海外からの景気の不透明感による、特にメーカーを中心とした採用控えの傾向は、現在ではだいぶ少なくなったと思います。全体的に見ると採用は活況であり、一時期止まっていたコンサル業界も非常に活況を呈してきています。全体的には目立った悪影響は見られないように思います。

ただし、企業によっては採用を少し控えようとする動きもあり、その動きが増える場合もあれば減る場合もあります。海外ほどの影響はなく、「まったく影響がない」と言っても過言ではありません。

質疑応答:サービスの認知度と広告戦略について

司会者:「御社はすでに十分な認知を獲得している印象があります。その中で広告費への投資を行われる理由を教えてください」というご質問です。

大澤:うれしいご意見です。私も十分な認知が得られていると思っていたのですが、実際のところ、思ったほどにはまだ認知されていないのです。

具体的な認知率のデータをお出しすることはできませんが、いわゆる主要な転職・就職サイトや、非常に有名で広告費を大量に投下している企業と比べると、認知度はまだ3分の1程度です。それでも、もともと5分の1以下だったところから、この2年から3年でだいぶ認知度が上がってきましたが、まだ3分の1程度にとどまっています。そのため、第一想起されるポジションには至っていない状況です。

また、「OpenWork」は社員クチコミとしての認知度が依然として強い状況です。少しずつ転換してきていますが、まだ「クチコミのサイトでしょ?」という印象を持たれやすく、想起されたとしても転職サイトや就職サイトとしてのポジションには至っていません。

このような2つの観点から広告費をさらに投入し、「OpenWork」をまだ知らない方々に知っていただけるよう努めていきたいと考えています。

質疑応答:「OpenWorkリクルーティング」の伸びしろについて

司会者:「『OpenWorkリクルーティング』は、労働人口が減っている中で、どれくらい伸びしろがあると考えていますか?」というご質問です。

今はしっかり伸びているものの、どこかで頭打ちの心配をしなくてよいかというご質問も兼ねていると思います。いかがでしょうか?

大澤:難しい質問ですね。AIを含めて、マッチングの構造がどのように変わるかを議論すると、かなり長くなってしまいますので、、今回はその点を割愛してお答えします。

全体像としては、しばらくはしっかり成長していくのではないかと思います。

まず、個人のキャリア観の変化や終身雇用、年功序列といった構造的な限界も影響し、雇用の流動化は今後ますます加速すると考えています。すでに加速していますが、さらに進んでいくと思われます。

このような観点から見ると、現状では人材の奪い合いが進む中で採用単価が向上することも予想されており、転職・就職市場は今後も一定の成長を続けると考えられます。

では、「OpenWorkリクルーティング」は採用市場の中で本当に伸びていくのかといえば、私はもちろん成長していくと考えています。

例えば、非常に有名な大手ダイレクトリクルーティングサイトのユーザー数は240万人から250万人程度です。一方で「OpenWork」のユーザー数はその3倍にあたる750万人、Web経歴書数だけでも150万人を超えています。単純な売上規模としては、数百億円もの規模を十分に見込むポテンシャルをすでに有していると思います。まだ成長の余地が大いにあると考えています。

ただし、それを実現するためには、当社が保有する独自データを活用しながら、まだクチコミサイトとしての認知度が低い現状を改善する必要があります。改善を進めることでさらなるシェア拡大が可能となり、世の中で「OpenWork」を活用して自分の働きがいを向上させる人が増えるのではないかと考えています。

したがって、当社の伸びしろについては、直感的にまだ10倍、20倍と成長できる可能性があると感じています。今後にご期待いただければ幸いです。

質疑応答:大手企業を含めた競合他社のシェア率について

司会者:基本的な点でおうかがいしたいのですが、ダイレクトリクルーティング市場は非常に拡大している市場であると認識しています。

その中で、先ほどご説明された超大手企業のシェア率は現在どのような状況なのでしょうか? 業界全体の中でもシェアが伸びているのか、業界内の順位は変わらないまま業界全体が成長しているのかなど、そのあたりも含めて教えてください。

大澤:キャリア採用市場と新卒採用市場を合わせると、全体でおよそ5,500億円から6,000億円ほどの規模があるといわれています。その中で、当社は現在の予想数値では45億円程度ですので、約1パーセントのシェアしか取れていない状況です。

しかし、当社を長く見てくださっている方にはおわかりいただけると思いますが、上場前後の時点では「OpenWorkリクルーティング」単体の売上が10億円程度でした。それが現在では5倍にまで成長し、シェアとしても0.2パーセントから1パーセントまで拡大しています。

トップ企業との差は依然として大きいものの、成長幅としては非常に大きく、驚異的な勢いで追い上げてきていると感じています。もちろん、シェアが小さいため「シェアを大きくしてから言えよ」と言われる状況ではありますが、差は縮まってきているのではないかと思います。

具体的な内容は私から申し上げることはできませんが、他社の人材関連の上場企業の決算をご覧いただければ、「オープンワークの成長率は非常に高いね」とご理解いただけるかと思います。そのような観点から、総合的にご判断いただければ幸いです。

質疑応答:契約社数が鈍化するリスク要因について

司会者:「契約社数が順調に伸びていますが、契約社数が鈍化してしまうリスクについてどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

大澤:今期第1四半期から申し上げているとおり、鈍化は避けられないと思っています。

基本料を設定したことで、「OpenWork」上のプラットフォームにしっかりと参画し、ユーザーに対して自社の魅力を伝えようとする企業しか利用できないプラットフォームに変わっていきます。そのため、現在は営業活動が奏功して契約社数が伸びていますが、いずれ鈍化する可能性が高いと考えています。

ただし、この点について大きなリスクになるとは考えていません。プラットフォーム全体が質の高いものに変わっていくと確信しています。

採用意欲が高く、スコアが高い企業が増加するとともに、転職・就職に対して意欲が高い、あるいは自身のキャリアに対して明確な意思を持つ方々がマッチングされるサイトへと進化していきます。

したがって、鈍化のリスクについても特にないと考えています。

質疑応答:2027年以降の利益面の成長イメージについて

司会者:「Appendixの中に『今後の成長イメージ』が掲載されています。2027年、2028年以降の利益についてどのようにお考えですか?」というご質問です。

大澤:現在、当社では具体的な数値は開示していないため、お答えすることができません。

しかし、東証グロース市場に身を置いていますので、いわゆる40パーセントルールのように、営業収益と営業利益が20パーセントから30パーセント程度成長する基準は維持していきたいと考えています。

当然、これは確約できるものではありませんが、その程度の成長角度を維持したいと思っています。また、M&Aなどを今後積極的に進めることで構造が変化し、トップラインが大きく伸びる可能性もあります。

あくまでイメージですが、オーガニック成長においては、引き続き安定的に高い成長を実現できると考えています。

質疑応答:広告効果が売上に反映されるまでの期間について

司会者:「第4四半期に広告費を投下するとお話がありました。投下した広告宣伝費の回収期間の目途についてどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

大澤:サービスにもよりますが、売上に反映される時期は、だいたい7ヶ月から12ヶ月先です。

例えばマスメディアやCMを通じて認知されると、すぐに転職を検討する方の場合は「OpenWork」を検索し、Web履歴書を登録した後にスカウトを受けます。そして面談・面接を経て内定が決まり、現職の会社への退職届提出や退職を経て、新しい会社へ入社という流れになります。認知から入社までは6ヶ月から1年ほどかかります。

当社は、入社されたタイミングで企業から売上をいただくモデルとなっていますので、広告を出してもすぐに利益が発生するわけではなく、だいたい半年から1年先に影響が現れると考えていただければ幸いです。

質疑応答:「OpenWorkリクルーティング」の季節性以外の減収要因について

司会者:「第3四半期は『OpenWorkリクルーティング』事業の売上が第2四半期と比べて減少しています。これは季節性によるものと記載されていますが、季節性以外の減収要因はないのでしょうか?」というご質問です。

先ほど採用意欲に関してもご説明がありましたが、いかがでしょうか?

大澤:先ほども説明したとおり、要因の1つにクロスセル商材である「スペシャルスカウト」の計上方法の変更があります。前期の第3四半期および第4四半期では一括計上されていたため膨れていましたが、今期からは期間按分で計上していますので、その影響が少し出ています。

企業の採用意欲の減退は全体で見るとまったくありません。「Openwork」の決定人数という非公開のKPIがありますが、これに関しては非常に順調に伸びています。

2023年や2025年の動きのほうが一般的ですが、季節性の要因としては、4月に入社が集中しますので、第2四半期が売上が上がりやすい時期です。その影響があると捉えていただければと思います。

質疑応答:来期以降の計画と人件費投資について

司会者:「営業費用の中で、人件費が前年同期比で21パーセント増となっています。今後も同様のペースで増員していくのでしょうか? 売上成長と従業員の数のバランスについてのお考えも含めて教えてください」というご質問です。

来期以降の計画についてですが、可能な範囲でご回答をお願いいたします。

大澤:来期の詳細はお伝えできませんが、営業やプロダクト開発系、データサイエンス系の人員にはまだ伸ばす余地が非常にあると考えているため、増員を予定しています。

売上高と費用のバランスについてモニタリングしています。当社の売上高に対する人件費比率は、他の人材会社と比較しても相当高いと考えています。

「OpenWorkリクルーティング」は第3四半期単体では約25パーセントの成長を記録していますが、第1四半期と第2四半期を含めると30パーセントを超える成長となっています。この成長率に対して人件費は約20パーセント増です。

さらに、収益にはまだつながっていない「OpenWorkリクルーティング」以外の新事業や新サービスを仕込んでいることを踏まえると、そこまで負担は重くないと考えています。この数字の捉え方は人それぞれだと思いますが、私自身は非常に健全な人件費投資になっていると考えています。

司会者:現在の従業員数では、手をつけたくてもできないことが多いのでしょうか? 

大澤:それは当然あります。営業収益と営業利益の成長バランスを取る必要がありますので、すべてに投資できるわけではありません。

取締役会でも、利益を少し抑えてでも特定の分野にもっと投資した方がよいのではないかという意見や議論があります。しかし、技術の進化が非常に速いため、その投資が必ずしも成果として100パーセント返ってくるとは限らないという難しさがあります。バランスを取るのが非常に難しいところです。

また、もっとAIエージェントの分野に投資すれば可能なことが増えるのではないかという意見もありますが、その場合、トークンの価格が大幅に高くなってしまいます。このような点も考慮しながら進めた結果、ちょうど良い水準の人件費増加で推移していると思っています。

質疑応答:契約負債増加の要因について

司会者:「貸借対照表で負債の部を見ると、契約負債が2024年12月期の1億4,900万円から9ヶ月で6億4,300万円へと大きく増えています。どのような変化があったのか教えてください」というご質問です。

大澤:契約負債の増加は、従来は初期費用なしで契約できていた「OpenWorkリクルーティング」を、基本利用料をいただくモデルに変更したことによるものです。

この基本利用料は年間利用料としてキャッシュインはあるものの、月次で按分して計上していますので、その未計上分が契約負債として積み上がっています。

逆に言えば、これは将来かなりの確率で当社の収益につながる安定したものと捉えられます。安定した企業経営ができている指標として見ていただければと思います。

質疑応答:来期の広告投資方針について

司会者:「御社の広告投資は、2026年12月期も今期と同じ程度を行う見込みでしょうか?」というご質問です。

これもまだ開示されていない内容ですが、もしお話しできることがありましたらお願いします。

大澤:開示前でお伝えできないことが多いのですが、広告は重要な要素の1つだと考えていますので、積極的に投資を行っていく予定です。

ただし、当社としては規律ある利益をしっかり出していく中で、使いすぎないことを意識しています。規律ある広告投資を行いながら認知度をしっかり上げつつ、それでも利益を出せるような2026年になるのではないかと考えています。

質疑応答:テレビCMに注力する理由について

司会者:広告にはさまざまな形態がありますが、今期、御社はテレビCMに投資されています。集客だけを考えると、Web広告に多く投資したほうが実績が上がるのではないかとも感じます。テレビCMに注力されている理由は何ですか?

大澤:説明が十分ではありませんでしたが、おっしゃるとおり、テレビCMだけでなく、かなりWeb広告にも力を入れています。

どちらかといえばWeb広告に重点を置いた上で、認知度向上のためにマス広告を追加で実施しているイメージです。Web広告は以前から非常に注力している領域です。

質疑応答:現金活用と株主還元方針について

司会者:「約70億円という現金保有に対し、成長投資などにより配当が出ていない状態があります。株主優待制度はあるものの、もっと還元ができるのではないかと感じています。この点に関してお考えをお聞かせください」というご質問です。

大澤:現金については、M&Aによるインオーガニックな成長に活用していく方針もあります。実績が出ていないとのご指摘もあるかもしれませんが、現在はそのような方針で進めています。

株主還元に関しては今期から株主優待制度を開始しており、かなり大きな額を充てていることもおわかりいただけると思います。そのようなかたちで還元を行っていきたいと思っています。

配当については、現時点で具体的な回答ができませんが、成長投資に必要な資金や株主優待を提供する中で、総合的に検討していきたいと考えています。引き続き社内で議論を行う予定です。

質疑応答:来期の増収ペースの見通しについて

司会者:「来期の増収ペースは今期の27パーセントよりも落ち着く見込みでしょうか?」というご質問です。

大澤:具体的な回答は控えますが、増収率については先ほどお伝えした20パーセントから30パーセント程度を基準としています。

「OpenWorkリクルーティング」は今後も成長が期待できるため、前期比で30パーセント程度を目指していきたいと考えています。

一方で「OpenWork」に関しては、もともとデータベースとして外部に情報を流している状態です。今期は単価引き上げによる増収がありましたが、来期以降については、単価を上げられない場合、前期までと同様の水準維持にとどまる可能性があります。その点を総合的に考慮していただければと思います。

質疑応答:機関投資家との面談内容やよくある指摘事項について

司会者:「機関投資家とのマーケティングの実施状況について教えてください。また、株主還元や親子上場への指摘はあるのか教えてください」というご質問です。

また、「以前、機関投資家との対話を定期的に実施しているとうかがいしましたが、よく指摘される事項などを教えてください」という同様のご質問もいただいています。

大澤:機関投資家との面談は安定的に実施しています。株価が振るわない部分もありますが、一定程度上昇してきており、注目いただける機会も増えています。

指摘で一番多いのは、ストレートに「これだけデータベースがあって、おもしろいプロダクトを持っているのだから、もっと伸ばせるでしょ」「AIを使ったもっとおもしろいサービスはないんですか?」といったような話が多いです。

それ以外では、ご質問にもあったような株主還元に関する内容や、M&A方針に関する内容も多くいただいています。親子上場への指摘は若干数ではありますが、流動性の観点を含めたご質問をいただくことがあります。

質疑応答:資本コスト経営に対する考え方について

司会者:「御社の資本コスト経営に対する考え方を教えてください」というご質問です。

大澤:先ほど何度かいただいた質問と類似する回答になってしまうかもしれませんが、資本効率やROEという経営アジェンダについては、現在、取締役会で非常に議論を重ねている最中です。

特に重要なのは、保有する現金が非常に多い点です。これをどのように活用して将来の営業キャッシュフローを増やし、収益性を向上させていくかだと思います。

資本コストを意識した経営は経営陣にとっても課題だと認識しており、みなさまに早急に成果としてご報告できるよう精進したいと考えています。

質疑応答:ユーザー層拡大への施策について

司会者:「現在利用されているユーザーは若い方が多いように思います。ミドル層・シニア層などへターゲットを広めるための施策などはあるのでしょうか?」というご質問です。

大澤:おっしゃるとおり、当社の中心的なユーザーは20代後半から30代の方ですが、現在は人材の流動化が激しくなる中で40代、50代の方の転職も広がっています。

しかし、やはり一番の施策としては、現在の主要ユーザーである30代の方々に「OpenWork」を利用していただき、良い体験を提供することが将来の40代や50代につながっていきます。そのためにも目の前のユーザーを大切にすることを基盤として非常に力を入れています。

人材系のサービスは満足度であるNPSが低く、1回使って終わりになることが多いものです。その中で「OpenWork」はリピータブルに何度も使っていただけるユーザーが多い特徴があります。そのため、目の前のユーザーに価値あるサービスを提供することが重要だと考えています。

それ以外の方向性としては、M&Aが1つの選択肢となる可能性があります。ミドル・シニア層に強いサービスやそのようなデータベースを保有している企業もありますので、将来的にそのような取り組みを行う可能性もあるかもしれません。

質疑応答:来期計画とAI関連プロダクトへの投資について

司会者:「今期の営業利益は成長率が約10パーセントとなっていますが、来期はどの程度を見込んでいますか?」というご質問です。

大澤:詳細はお伝えできませんが、来期の計画はほぼ策定が終わっています。

やはりしっかりと投資を行うことが営業収益の向上につながると考えています。AI関連プロダクトへの投資はすぐには売上に直結しないものの、将来当社が競争優位性を築く上で非常に重要だと認識しています。

そのような健全な投資を行いつつ、利益の成長幅をしっかりと拡大させ、EPSへの貢献を図りたいと考えています。この程度の抽象的な回答でお許しいただければと思います。

質疑応答:「オープンワーク」への社名変更の理由について

司会者:「上場前の『ヴォーカーズ』から『オープンワーク』に社名変更されています。社名変更の理由を教えてください」というご質問です。

大澤:「ヴォーカーズ」という名前を知っていただけているのは、非常にうれしいです。

プレスリリースも出していますが、「ヴォーカーズ」は人事業界では有名だったものの、実際にどのような事業を手掛けている会社なのか、少しわかりにくかったと思っています。「ヴォーカーズ」は「Voice of workers」の略なのです。

より透明性が高い「オープン」、仕事の選択を提供する「ワーク」と、直感的にわかりやすいサービス名と社名に変更することが目的でした。

少しマニアックな話になりますが、「ウ」に濁点がついていると、検索時に不便なこともあります。また、「Vorkers」とスペルが少し難しいため、検索で間違えられてアクセスされないケースがありました。そのような点を踏まえ、親しみやすくわかりやすい名前に変更しました。

質疑応答:株価の低迷と自社株買いへの考えについて

司会者:「現状好調にもかかわらず株価が低迷しています。前期のように株価状況を鑑みて機動的な自社株買いをするお考えはあるのでしょうか?」というご質問です。

大澤:まさにおっしゃるとおりで、業績が好調であるにもかかわらず、株価を上げられないのは悔しいところです。

自社株買いについては非常に悩ましく、「現在の株価は本来の価値を反映していない」と思いながらも検討を進めています。ただし、自社株買いを進めすぎると流動性が低下します。流動性とのバランスを考慮しながら、適切なタイミングで実施する可能性があります。

申し訳ありませんが、確定的な回答はできません。ただし、まったく検討していないわけではありません。

質疑応答:医療従事者向けサービス展開について

司会者:「看護師を筆頭に、介護福祉士なども含めて医療従事者の求人はものすごく多いです。御社は医療従事者向けのサービスを展開しないのでしょうか?」というご質問です。

大澤:「なくはない」という回答になりますが、現状の優先度はそれほど高くありません。

「OpenWork」にも看護師や介護福祉士からのクチコミは実際にあります。質問者の方もこの業界に詳しい方なのかもしれませんが、風土や病院、施設特有のルールが存在し、ブラックボックス化している職場が多い傾向があります。

また、この業界は慢性的に人手不足に悩まされており、競合他社も多く参入していますので、非常に魅力的な市場ではあります。

しかし、採用単価が当社サービスにはなかなかそぐわない場合があり、特化型のサイトやサービスを展開するとなると難しい面もあります。そのため現状では優先度が高くないという回答になります。

司会者:採用単価が合わないのは、他のサービスが医療従事者向けサービスの単価を安く設定しているからでしょうか? 

大澤:地域によっても異なりますが、採用媒体や求人媒体に出して展開する場合、比較的安い単価で採用しているケースがあります。

そのため、実際にサービスを展開する場合、開発コストやマーケティング費用を投資しなければならず、営業も関与することになります。初期段階でコストが重くなりますので、このような観点から少し単価が合わないだろうというのが私や経営陣の考えです。

質疑応答:株主優待制度の適用条件と保持株数の変更について

司会者:「株主優待制度について教えてください。100株の所有期間が来月で半年になるのですが、今1,000株にすると、来月の株主優待は1,000株分もらえるのでしょうか?」というご質問です。

株主優待は6ヶ月以上保有しないと適用されませんが、現在100株を保有している方が直前で1,000株に増やした場合でも、6ヶ月以上の保有が適用されるのかというご質問だと思います。

大澤:例えば、2025年6月末より前から100株をお持ちであれば適用されます。正確な情報については、当社ホームページで株主優待のページをご覧いただきたいのですが、その認識で合っていると思います。ぜひ応援いただけると幸いです。

司会者:「100株以上1000株未満」または「1,000株以上5,000株未満」どちらの優待が適用されるのかを尋ねているようです。

大澤:100株を2025年6月末より前にお持ちで、その後1,000株に増やされた場合、「1,000株以上5,000株未満」の優待が適用されます。

質疑応答:外国人向けの支援について

司会者:「外国人向けの就職・転職支援も行っているのでしょうか? 行っている場合、言語の問題などへの対策や支援を行っていますか?」というご質問です。

大澤:登録者数は非常に少ないものの、「OpenWorkリクルーティング」上に英語の求人も増えていることもあり、外国籍の方の登録が少しずつ増加しています。

現時点ではそこに非常に力を入れているわけではなく、例えばクチコミをすべて英訳するような取り組みも行っていません。ただし一定のニーズがあり、すでに利用されているのは事実です。

質疑応答:「オルタナティブデータサービス」の位置付けについて

司会者:「『オルタナティブデータサービス』の成長率が低いのですが、ポテンシャルは相当高いと思っています。この『オルタナティブデータサービス』についてはあまり営業をされていないのでしょうか?」というご質問です。

サービス別営業収益の推移では44.9パーセント増と説明がありました。質問者の方は、第1四半期や第2四半期に比べて減少している点が気になっているのかもしれません。

大澤:ポテンシャルが高いとご評価いただき、ありがとうございます。

結論から申し上げると、営業活動において「OpenWorkリクルーティング」と比較すると大きく人員を割いているわけではありません。ただし「OpenWorkリクルーティング」とセットで販売できる側面もあり、その観点では一定の営業活動を行っています。

海外および国内の機関投資家向けの営業は、1人、2人で対応していますが、そもそもターゲット数が少ないという意味で、それほど市場規模が大きくないと考えています。

おっしゃるとおり、オルタナティブデータサービスは世界ですでに数千億円規模の市場があり、一説によると2030年には10兆円近くまで市場が拡大するといわれていますが、その主要データはクレジットカードデータやPOSデータ、人流データなどです。

日本という非常に限られたHRマーケットにおいて、さらにHRデータの用途は限定的であり、オルタナティブデータサービスの市場内でも非常にニッチな領域になると考えています。

そのため、現状の「FIS」と「DAP」の領域だけでは、当社がその市場を独占的に取れると考えているものの、市場規模はおそらく5億円から10億円程度にとどまるのではないかとみています。

しかし、大きな成長は期待しにくいものの利益率が高い事業領域であるため、まずは確実にそこを取り切ることが重要だと考えています。

また、海外の機関投資家や日系の大手企業が当社のデータを活用している事実は、当社のデータ品質の高さを裏付けるものです。そのため、このようなデータ品質を維持するブランド価値の観点からも、事業を継続していきます。

売上以上に、利益面やブランド面での価値が高いものとして位置付けていただければ幸いです。

質疑応答:オルタナティブデータサービスの単価向上の可能性について

司会者:御社が保有するデータは唯一無二のものだと思います。大手の販売先にさらに単価を上げて販売することは難しいのでしょうか? 

大澤:さらに価値を出せるようになれば、単価はまだ上げられると思っています。しかし、社員のクチコミデータをAIで分析するだけであれば、出せるデータの価値は現状の単価設定ぐらいが限界だと思っています。

当社が収集するデータ量が増加したり、技術の発展によりさらに深い分析が可能になったりすれば、おっしゃるとおり、もう少し単価を上げられる可能性はあると考えています。

質疑応答:「OpenWork」のユーザー層について

司会者:「『OpenWorkリクルーティング』による転職者の平均年収はどの程度でしょうか? また、ユーザーの属性について、特徴的なCMで知られる業界大手などの競合と比べて、特徴的な点があれば教えてください」というご質問です。

大澤:ユーザー数は750万人に達しており、非常に多くの方に登録いただいています。平均年収の開示は行っていませんが、ユーザーの半数以上が年収500万円以上です。もしかすると「500万円以上は高くないのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、世の中的には高いほうに入ります。

また、ユーザー層も特定の層に偏らず、具体的にはエンジニアや営業職、バックオフィス系人材など、さまざまな職種の方にご登録いただいています。

特徴として挙げられる点としては、学生のうち3人に2人が利用していること、社会人では20代、30代が7割を占めていることです。そのため、若手人材やDX人材が多いと言えるかもしれませんが、それ以上に多くのユーザーが集まっていること自体が最も大きな特徴と言えます。

質疑応答:第4四半期における巨額広告費の投下理由と先行投資計画について

司会者:「今期から広告費を平準化されているとのことですが、第3四半期で営業利益が通期計画を超過している中で、第4四半期に赤字になるレベルの費用をなぜ投下されるのでしょうか? 過去5,000万円程度の上振れ着地はありましたが、かなり大きな費用を計上しなければならないと思います」というご質問です。

つまり、業績が予想に対して100パーセントで終わるのであれば、相当な利益をCMに投資することになるというご指摘かと思います。

さらに、「投資をしたとしても、過去との比較では、営業利益で1億円、2億円の上振れをしてもおかしくないのですが、上振れ着地の選択肢はないのでしょうか?」というご質問もいただいています。

「第4四半期に巨額の広告費を使うのはなぜなのか?」というご質問かと思います。いかがでしょうか?

大澤:まず、広告費については引き続き投下していきます。最大の入社の山が4月に訪れるため、第4四半期は来年の最も重要な商戦期となります。年末年始も含め、自身のキャリアを見直そうとする方が増える時期でもあり、広告費が大きく増加するタイミングです。

さらに、それ以外にもAIを活用したプロダクトの構想が進行中です。まだ正式に発表する段階ではありませんが、非常に興味深いプロダクトの企画が進められています。そのような領域への先行投資費用も含まれています。

また、現在のうちに投資可能な領域を進めていく計画もあります。一定程度計画どおりとなりますが、第4四半期に一定のコストを消費する結果、そのような予測のまま進めていくというのが、現時点でお伝えできる範囲かと思います。

質疑応答:直近の株価下落に対する考えについて

司会者:「直近の株価が下落しているのは、上方修正がなく、計画の着地に終始したことと推察し、投資家としては納得できる値動きです。昨今の株価の値動きは予想外なのでしょうか? 株価の値動きについて、市場感覚をお持ちの大澤社長にうかがいたいです」というご質問です。

少し深掘りした質問をいただきましたので、ご回答をお願いします。

大澤:株価は市場が決めるものであるため、現在の評価や株価は真摯に受け止めています。その上で、当社としては来期にどのような計画を提示し、どのような成長を描き、どのような期待を抱いていただけるか、コミュニケーションをしっかりと工夫していく必要があると考えています。

質疑応答:採用成功報酬の設定について

司会者:「採用成功報酬がかなり安いように思います。また定額ではなく、他社同様、「年収の何割」などに変更するお考えはないのでしょうか?」というご質問です。

大澤:今のところは変更はありません。理由としては、以前からお伝えしているように、「OpenWorkリクルーティング」は最後発で採用市場に参入していますので、まだまだシェアを取る上で価格競争の優位性を持つべきだと経営陣が判断しているからです。

一方で「OpenWork」には非常に多くのユーザーが登録していますが、まだマッチングできていないユーザーや、スカウトが届いていないユーザーが多く存在します。詳細はお伝えできませんが、採用単価が合わない職種やエリアがあるのです。

例えば、ハローワークのほうが採用が進みやすく、採用コストが0円だというエリアもあります。また、ある職種では採用単価が1人当たり70万円となり、そこまでは払えないという場合もあります。

そのような状況を踏まえると、両立を図っていくことが考えられますが、その場合は採用単価が下がっていくことになります。

方向性として、マッチングが進まず収益につながっていない領域について、ダイナミックプライシングではありませんがプライシング表を調整し、より「OpenWork」を使いやすいサービスに変えることは考えられると思っています。

そのために、経済学に詳しい人材も含めてプライシングの研究を進めている最中です。

質疑応答:ユーソナー社との連携について

司会者:「マッチング精度向上の施策として、ユーソナー社のビジネスアプリにデータを提供していると思います。データ提供の成果は出ているのでしょうか? 今後、資本提携や業務提携は考えていますか?」というご質問です。

大澤:ユーソナー社とは、「mソナー」という名刺管理と企業情報を連携させるビジネスアプリの中で、会社情報を調べる際に「OpenWork」のデータも見られるように連携を行いました。

これは、当社のマッチング精度向上に向けたデータ提供ではなく、あくまで「mソナー」の利用ユーザーがより便利になる取り組みとして行っています。

そのユーザーの中には「OpenWork」に飛んでくる方がいて、「OpenWork」のユーザー獲得や認知度向上にもつながっています。ただし、これがすぐにマッチング精度向上に直結するものではありません。

シンプルに、当社の収益に寄与する施策として捉えていただければと思いますし、認知度向上施策の1つと捉えていただければ幸いです。

ユーソナー社との資本提携や業務提携については現時点で具体的にお伝えできる部分はありません。非常にすばらしい会社だと思っていますので、なにか一緒にできることがあれば積極的に進めていきたいと考えています。

質疑応答:クチコミ数と収益の関係性について

司会者:「クチコミ数が徐々に増えていますが、これが収益に与える効果は、どのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

クチコミは業績にはあまり影響しないのか、クチコミがあることでリクルーティングがうまくいくなどの相乗効果があるのかというご質問に感じました。いかがでしょうか?

大澤:クチコミ数と収益には直接的なつながりはありません。ただし、クチコミ数が増加することによってSEOのほか、最近では生成AIで「OpenWork」をリファレンス先として表示させる、LLMOと呼ばれる施策などが行えます。

このような取り組みを通じてクチコミを基盤とし、「OpenWork」にユーザーが訪れ、トラフィックが増加します。その結果、Web履歴書の登録や会員登録が増え、Web履歴書を登録したユーザーに企業がスカウトや求人を送ることで採用が決定します。

クチコミ投稿を基にした収益化は1年半ほど後になりますが、クチコミ投稿数の増加は最終的に収益に影響をもたらすものと考えています。

さらに、このクチコミは自然言語データです。これを活用してユーザーがキャリアや仕事について考えられるような興味深いプロダクトの模索を進めています。このプロダクトが実現すれば、より直接的に収益につながる可能性があると考えています。

質疑応答:ハイクラス転職への取り組みについて

司会者:「高額収入を目指す転職、ハイクラスの転職に今後力を入れる予定はありますか?」というご質問です。

大澤:ハイクラス転職には、すでに力を入れています。

ただし「OpenWork」はハイクラス転職のためだけのプラットフォームではありません。ミッションにあるとおり、当社は本当に多くの人の働きがいに貢献していきたいと思っていますし、収入が高いことだけが幸せではないと考えています。

そのため、ハイクラス転職にも力を入れると同時に、それ以外の多様なドメインやセグメントにも価値を提供できるサービスを目指しています。

大澤氏からのご挨拶

大澤:今日の話を聞いて、当社に興味を持っていただけたり、応援したいと思っていただけたりした方は、まず「OpenWork」をぜひ一度お試しいただけるとうれしいです。

非常におもしろいサービスですし、企業にお勤めの方、もしくは過去にお勤めされていた方は、その会社を見ていただくことで、どれだけ信頼性のあるサービスかを体感していただけると思います。

その上で、「これは本当に世の中にとって必要なサービス、プロダクトだ」と感じていただけましたら、ぜひオープンワークを応援いただけますと幸いです。本日は最後までありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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