NZドル/円、“ハロウィン効果”が奏功するか

著者:津田隆光
投稿:2025/10/31 10:47

相対的に“出遅れ感”のあるNZドル/円?

NZドル/円・週足・複合チャート
NZドル/円・週足・複合チャート出所:トラリピFX/CFDチャート

【注目ポイント】「89.000円」を上抜けブレークするか否か
【シナリオ①】同レート超えなら、「92.000円」付近までの上昇も
【シナリオ②】同レート超え未達なら、「85.000円」付近までの下落を想定
【1~2カ月程度の“主戦場”(コアレンジ)】「85.000~92.000円」
【投資戦略アイデア】『10月末買い、翌年4月末売り』


17日に直近安値となる「85.324円」を付けた後、「下値固め完了」→「反発/上昇フロー」となっているNZドル/円。昨今のいわゆる“高市トレード”に伴う円安(株高)フローが進み、対円通貨ペアが全般的に強含む中、NZドル/円についてはやや出遅れ感があるとの見方も。今後、その乖離を取り戻す動きとなるのでしょうか。

上図(週足チャート)をそれぞれ見ていくと、1) 26週および200週MA(移動平均線)が緩やかな右肩上がりとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足を上放れつつある(上図黄色丸印)こと、3) ローソク足の下方に青色雲(=サポート帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして4) DMI(方向性指数)でADX・+DI・-DIが収斂している(上図青色点線丸印)ことから、現在のNZドル/円・週足チャートは下方硬直性を伴うレンジ相場を示すチャート形状であると判断します。

その他では、BB(ボリンジャーバンド)・±2σラインが収縮する“スクイーズ”となっていることを合わせると、足もとのNZドル/円は相場の力を溜め込みつつ、方向感を模索する時間帯(局面)と言えそうです。


上記を踏まえた上で、目先注目すべきポイントは・・・BB・+2σラインをメドとする「89.000円」(上図黄色矢印および黒色線、週次終値ベース)を上抜けブレークするか否か。

筆者が想定する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
この先、「89.000円」を終値ベースで上抜けブレークした場合は、「上値抵抗線突破」→「もう一段の上値切り上げ」へのトリガーとなりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンの上放れ」や「(BB・±2σラインの拡張である)エクスパンションの示現」、また「+DI>-DIへの変化」なども伴いながら、昨年11月以来の高値水準となる「92.000円」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇となりそうです。

[シナリオ②]
一方で、「89.000円」超え未達(=上値抑制)となった場合は、「上値抵抗圧力の強まり」→「下押しフロー」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンのローソク足への近接」や「26週MAおよび200週MA(≒87.000円)割れ」、また「-DI>+DIへの変化」なども伴いながら、BB・-2σラインをメドとする「85.000円」(上図Ⓑ水色線)付近までの下落を想定すべきでしょう。


上記シナリオ①および②を概括すると、現下のNZドル/円はもう一段の上値切り上げを模索する相場付きとなる中、当面※は「85.000~92.000円」を“主戦場”(コアレンジ)とする動きになりそうです。(※ここでの「当面」は、1~2カ月程度のスパンを想定しています。)

『黄金の180日ルール』について

NZドル/円・シーズナルチャート
NZドル/円・シーズナルチャート出所:Equity Clock

そんな中、NZドル/円の季節的な動向を見る上で、シーズナル・チャートを見てみましょう。(出所:Equity Clock)

上図を見ると、NZドル/円の季節的な動向(シーズナル・サイクル)について、以下のような仮説が成り立ちます。


(1) NZドル/円は、10月末から12月末にかけて上昇しやすい。
(2) 特に、12月中旬以降は上昇モメンタムが加速しやすい。
(3) 1月から3月にかけて下値を切り下げた後、4月にかけて上昇トレンドを形成しやすい。


上記仮説については、あくまで過去20年間(2005-2024年)のアベレージを述べたものであるため、相場における傾向・パターンとして捉えていただければと思います。

(1)~(3)をベースに、NZドル/円の『10月末買い、翌年4月末売り』、いわゆる“黄金の180日ルール”(上図黄色四角枠、“ハロウィン効果”)の投資をした場合の過去20年における勝敗・勝率(=当該期間においてプラスリターンを「勝ち」、マイナスリターンを「負け」とした場合)は・・・12勝8敗(.600)。

同期間において、NYダウが15勝5敗(.750)、日経225が14勝6敗(.700)という成績から見ると、やや見劣りするものの、対円通貨における勝率は相対的に高くなっています。

とは言え、今回も必ずこの“黄金の180日ルール”(ハロウィン効果)が奏功するとの帰結には至りませんが、あくまで季節的なアノマリーをベースとする投資アイデアとしてご参考にしていただければ幸いです。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想