[資源・新興国通貨10/27~31のポイント&注目通貨] 豪CPIでRBAの利下げ観測が高まるか

著者:八代和也
投稿:2025/10/27 14:23

今週のポイント

25-26日にクアラルンプールで米中閣僚級協議が開かれました。協議終了後のベッセント米財務長官の発言をみると、11月1日の100%の対中追加関税発動は見送られる可能性が高そうです。30日に予定されるトランプ大統領と習近平国家主席の会談を受け、両国の貿易摩擦への懸念が一段と後退すれば、リスクオン(リスク選好)が強まるとともに、豪ドル/円やNZドル/円など対円の通貨ペアが堅調に推移する可能性があります。

BOC(カナダ中銀)の政策会合が29日に開かれます。市場では、0.25%の利下げが行われるとの見方が優勢です。そのとおりの結果になれば、BOCの声明や会合後のマックレム総裁の会見で、今後さらに利下げする可能性が示されるのか注目です。

同じく29日には豪州の7-9月期CPI(消費者物価指数)が発表されます。RBA(豪中銀)は11月3-4日の政策会合で0.25%利下げするとの観測があるなか、CPIがその観測を高める内容になれば、豪ドル/米ドルや豪ドル/NZドルが軟調に推移しそうです。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.12500NZドル~1.14500NZドル>

豪州の7-9月期CPI(消費者物価指数)が29日に発表されます。その結果に豪ドル/NZドルが反応しそうです。

RBA(豪中銀)は2月に利下げを開始し、その後5月・8月にそれぞれ0.25%の利下げを実施。前回9月の会合では政策金利を据え置き、現在の政策金利は3.60%です。

豪州の9月失業率(9/16発表)は4.5%と、8月の4.3%(4.2%から上方改定)から悪化し、21年11月以来およそ4年ぶりの高水準となりました。市場ではRBAは次回11月3-4日の会合で0.25%の追加利下げを行うとの見方が優勢となっており、OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、24日時点で市場が織り込む次回会合の利下げ確率は約6割です。

7-9月期CPIが市場予想を下回る結果になれば、RBAによる追加利下げ観測が一段と高まりそう。その場合には豪ドルが軟調に推移して、豪ドル/NZドルには下押し圧力が加わると考えられます。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.39000カナダドル~1.41000カナダドル>

今週は28-29日にFOMC(米連邦公開市場委員会)、29日にBOC(カナダ中銀)の政策会合が開かれます。それらの結果が米ドル/カナダドルの動向に影響を与えそうです。

市場では、FRBとBOCのいずれも0.25%利下げすることを決定すると予想されています。そのとおりの結果になれば、焦点はパウエルFRB議長やマックレムBOC総裁の会見などで、両中銀の先行きの金融政策についてどのようなヒントが示されるのかになりそうです。仮にパウエル議長が追加利下げに慎重な姿勢を示す一方で、マックレム総裁が追加利下げに含みを持たせば、米ドル/カナダドルは堅調に推移するかもしれません。

トランプ政権による対カナダ関税のゆくえにも注目です。トランプ大統領は25日、自身のSNSで「カナダからの輸入品に対する関税をさらに10%引き上げる」と表明しました。カナダのオンタリオ州が、レーガン元米大統領の演説を使用して虚偽のCMを流しているためとのこと。

トランプ政権は10月25日時点で、カナダからの輸入品に原則35%の追加関税を賦課。ただし、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)準拠品については追加関税の適用対象外になっており、原油などエネルギー関連品の追加課税率は10%、鉄鋼・アルミは50%、自動車・同部品は25%です。

対カナダ関税の引き上げ時期や対象範囲については明らかになっていません。トランプ大統領によるさらなるSNS投稿などにより、関税の引き上げが現実味を帯びる場合、カナダドルにとってのマイナス材料になると考えられます。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想