―原材料コスト低下の思惑台頭、日米関税交渉では米国産米の輸入拡大で合意―
昨年からの急激な コメ価格上昇を受け、政府が随意契約方式による備蓄米の売り渡しを決め、食品スーパーなどで6月以降、備蓄米が店頭に並ぶこととなった。その後、コメの店頭価格の上昇は一服したものの、日米関税交渉で米国産米の輸入拡大が決まるなど、コメを巡るニュースが終息する兆しはみえない。「令和の米騒動」が新たな局面を迎えるなかで、業績面で恩恵を受けそうな銘柄に注目していく。
●備蓄米販売後の6月月次実績をみると…
農林水産省は今年2月、政府備蓄米の放出に舵を切った。だが、集荷業者を対象とした一般競争入札で落札された備蓄米の流通は進まず、「コメは買ったことがない」発言で江藤拓・前農相の後任に、小泉進次郎農相が起用されたのが今年5月21日。同月26日には大手小売業者を対象に、随意契約により備蓄米を売り渡す制度の詳細が公表され、6月に大手食品スーパーなどで備蓄米の販売が大々的に行われるようになった。販売開始日には開店前に行列ができる店舗も現れたほどだった。
随意契約方式での放出制度導入後に、いち早く大規模な調達に動いた企業には、 食品スーパーや ドラッグストアなどを展開する総合小売大手のイオン <8267> [東証P]、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を主力とするパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス <7532> [東証P]、ネット通販大手の楽天グループ <4755> [東証P]やアスクル <2678> [東証P]に加え、ドラッグストアのコスモス薬品 <3349> [東証P]やサンドラッグ <9989> [東証P]などがある。その後はコンビニ大手も備蓄米の調達事業者として名を連ねるようになり、足もとでは 中食・ 外食や給食事業者も加わる。
もっとも、早々に備蓄米の確保に動いた企業の6月の月次実績をみると、集客効果がくっきりと表れているとは言いにくい。イオンの月次をみると、マルエツやいなげやなどを含むスーパーマーケット事業の既存店売上高は前年同月比3.1%増と伸び率は5月(2.8%)を上回ったものの、イオンリテールなどを含む総合スーパー事業では伸びは鈍化している。サンドラッグとパンパシHDの伸び率は5月を下回った。
西日本を中心に食品スーパーを展開する企業の経営企画担当者は「備蓄米だけを購入して帰宅した顧客も多くいた。買入点数の増加につながるなどの好影響が定量的な形で6月の実績に表れたかというと、そうは言い切れなかった」と話す。
小売各社の競争は熾烈を極めている。スーパーに限らず、ドラッグストアをみても、M&Aで果敢に事業拡大に取り組むクスリのアオキホールディングス <3549> [東証P]の6月既存店売上高は前年同月比7.2%増と比較的高い伸び率を維持している。ウエルシアホールディングス <3141> [東証P]は3.8%、マツキヨココカラ&カンパニー <3088> [東証P]は2.3%と、ともに5月の伸び率を上回った。「インバウンド需要を着実にとらえ、生活必需品もしっかりと展開して着実な実績を構築しているドラッグストアの勝ち組企業は評価されやすい」(岩井コスモ証券投資調査部フェローの有沢正一氏)との声も聞かれる。
●コメ価格下落のメリットは今後波及へ
前述の食品スーパーの経営企画担当者は「今後、コメ価格が一段と低下すれば、顧客の購買力が回復し、当社の収益にプラス効果をもたらすはずだ」と期待を示している。農水省によると、全国のスーパー1000店舗のPOSデータに基づくコメの平均価格は7月20日までの週で3585円と、9週連続で低下。5月のピークと比べて16%低下した。今年の新米価格については、昨年産の銘柄米に比べて値下がりするとの見方も一部で広がっているようだ。
外食企業でコメを多く原材料として調達しているのは、吉野家ホールディングス <9861> [東証P]や松屋フーズホールディングス <9887> [東証P]、ゼンショーホールディングス <7550> [東証P]といった牛丼チェーンが挙がる。「スシロー」のFOOD & LIFE COMPANIES <3563> [東証P]やくら寿司 <2695> [東証P]、カッパ・クリエイト <7421> [東証P]といった回転ずしチェーンも加わることになるだろう。
コメの小売価格が期待ほど下がらなかったとしても、備蓄米調達に動いた外食企業の場合は、そのコストメリットの恩恵を享受することが見込まれそうだ。農水省が公表する随意契約の申入れ業者のうち、「まいどおおきに食堂」のフジオフードグループ本社 <2752> [東証P]の株価は底値離脱の兆しがみえる。子会社が申入れ業者となっているコロワイド <7616> [東証P]の株価は1月を底に戻り歩調を継続。同社は傘下にカッパクリエやアトム <7412> [東証S]、大戸屋ホールディングス <2705> [東証S]などを持つ。
中食事業者では持ち帰り弁当の「ほっかほっか亭」の運営事業者をグループに持つハークスレイ <7561> [東証S]の収益貢献に期待が膨らむ。26年3月期は2ケタの最終減益予想だが、配当利回りは4%台だ。給食事業者でリストに記載のあるシルバーライフ <9262> [東証S]は、高齢者施設向け料理などを展開。25年7月期の最終利益は過去最高益を計画している。
●飼料米価格の動向も注視
日米関税交渉の合意の枠組みのなかに、米国産米の輸入拡大がうたわれたのは周知の通りである。米国側は日本がすぐに輸入を「75%増加」させると公表した一方で、日本側は国際的なルールに基づき無税で輸入する「ミニマムアクセス米(MA米)」の77万トンの総量は変えず、MA米のうちの米国の比率を高める方針を示している。更に小泉農相は、MA米の主食用最大10万トンの枠について「変更は考えていない」としている。
輸入が拡大される米国産米の具体的な用途について詳細はまだ明らかにはなっていないものの、主食用の枠が維持されるのであれば、増加分については加工用・飼料用などに活用される可能性が高い。もっとも、米国以外からのMA米の輸入が減ることになれば、需給へのインパクトはニュートラルになるため、追加情報を見極める必要がある。仮に飼料米価格の高騰が一服した際には、鶏卵大手のホクリヨウ <1384> [東証S]や鶏肉大手のアクシーズ <1381> [東証S]、日本ハム <2282> [東証P]などハム・ソーセージ関連企業にコストメリットをもたらすシナリオも存在する。
このほか、コメ価格の下落によるメリットが期待できる銘柄として、亀田製菓 <2220> [東証P]や岩塚製菓 <2221> [東証S]、宝ホールディングス <2531> [東証P]、わらべや日洋ホールディングス <2918> [東証P]などを挙げておきたい。
株探ニュース
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