日本航空はこれからがスタート、投資家は見極めが肝心

著者:藤村哲也
投稿:2012/09/18 14:08

日本航空はこれからがスタート、投資は見極めが肝心

2010年1月に会社更生法の適用を申請して経営破綻し、同2月20日に上場廃止となった日本航空。経営破綻後は人員削減など大規模リストラを経て、2期連続で最高益を計上し、わずか2年半というスピードで再上場にこぎつけました。今回の再上場後の展望はどうなるでしょう?

前回の日本航空株の保有者は全て紙屑、今回はどうでしょう?

2010年2月に上場廃止となり100%減資により、株主は大きな責任をとらされました。日本航空という超有名企業での事態なだけに株の怖さ、難しさを思い知った方も多いと思います。

それからたった2年半でスピード上場となります。6000億円を超える資金を市場から調達することになり、2012年ではフェイスブックに続く大型上場となります。前回の株主は苦汁を味わっただけにこの上場劇は是非成功してもらいたいものです。

上場劇の成功とは?

では、上場劇の成功とはどうゆうことをいうのでしょう?

公募価格を初値が上回ることはもちろんですが、初値形成後が大事です。初値が突拍子もなく上昇しても、その後株価が値下がりしていくようではどうしようもありません。初値はおとなしくても三ヶ月後、半年後、一年後と時が経過するごとに評価が高まっていくことが理想ですし、皆が喜べる上場です。

そのためには?

あえてここで触れるまでもなく、日本航空は再生した会社、再出発した会社です。一度は失敗し、社会にも大きな影響を与えました。

ですから2012年9月19日の上場日は再スタートを切り、大きく発展していく基点の日になって欲しいものです。もちろん上場がゴールのはずがありません。
リストラという大手術と6000億円という上場で得られた資金を使って、どう日本航空は生まれ変わっていくのかを見ていくことが一番大事ではないでしょうか?よく変わっていくのであれば、市場での評価は日に日に高まり、株価も上がっていくと思われます。逆に再び悪くなっていく可能性だってありましょう。

良い悪いの判断は?

いろいろな基準がありますが、日本航空はやはり国際線が命です。航空会社の評価は様々な国際的な基準が公表されており、スカイトラックスで評価されるランキングなどが有名です。航空会社はホテルのような評価軸があるのです。カタール航空やシンガポール航空などが上位です。全日空は5位の評価を受けていますが、日本航空は20位にも入っていません。現段階では本業の評価は全日空に劣っています(もちろん、この評価が全てではありませんが・・・・。)

再生した限りは安全性の面でも、シートの快適さや機内食、機内サービスの充実などの面でも高い評価を受けられる航空会社へと生まれ変わってほしいものです。航空会社として高品質のサービスを提供できる会社へと大きく生まれ変われるかどうかが一番重要な視点ではないでしょうか?

航空会社本来のサービスの向上がどんどんはかられ、長距離を利用される方に外国人にも積極的に選ばれていく存在になることが今後の日本航空に最も重要に思われます。

サービスの質が向上し、国際的な評価も高まればリストラでスリムになり筋肉質になっただけに業績や市場での評価は自然とくっついてくるのではないでしょうか?

株主は目先の値動きにあまり目を奪われないで、上場は一度は失敗した会社のため、過度に期待せず、良くなっていくのか悪くなっていくのかを見極めながら順次追加(もしくは減らす)していくような投資スタンスの方が今は良いのかもしれません。
藤村哲也
ライジングブル投資顧問代表
配信元: 達人の予想