*17:06JST ロココ Research Memo(6):2024年12月期は一過性費用の計上等により減益となるも売上高は過去最高を更新
■ロココ<5868>の業績動向
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の連結業績は売上高で前期比8.7%増の7,803百万円、営業利益で同11.1%減の426百万円、経常利益で同1.9%減の441百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.8%減の278百万円と増収減益決算となった。
売上高は企業の生産性向上や業務効率化のためのIT投資拡大を背景に、ServiceNow事業が好調を持続したほかITサービスマネジメント事業やイベントサービス事業なども伸張し、過去最高売上を更新した。一方、利益面では売上原価率の上昇や販管費の増加が減益要因となった。売上原価率は、積極的な人材採用に伴う人件費の増加に加えて、受託開発案件の着手時期が遅れたことによるエンジニアの一時的な稼動率低下が影響し、前期の62.8%から63.6%に上昇した。エンジニアの採用については新卒・中途採用合計で過去最高となる78名を採用し(前期は54名)、期末のエンジニア数は前期末比43名増の558名となった。なお、受託開発案件の遅れについては顧客先とのコミュニケーション不足が原因で、当初予定していた4月から7月に着手時期が遅れ、その間に当該案件に関わるエンジニアが待機(非稼動)状態となった。今後はこうしたミスの発生を防止すべく、顧客とのコミュニケーションをしっかりと行っていくとしている。
販管費は前期比で223百万円増加した。増加要因としては、人件費や採用費・教育費等の増加や新規案件獲得のための営業活動費の増加に加えて、顧客との関係強化のための一過性費用の計上(約50百万円)※、株式上場関連費用(株主総会費用等)、内部統制強化費用及び外形標準課税の適用に伴う租税公課の増加(約30百万円)などが挙げられる。
※ 創立30周年の記念パーティーを第2四半期に大阪と東京で開催した。
同社の四半期業績推移を見ると、第2四半期に営業損失で76百万円を計上し大きく悪化したが、エンジニアの稼働率低下や一過性費用の計上、さらには新卒社員の教育研修費用などが重なったためで、第3四半期以降はこうしたマイナス要因がなくなり、営業利益も急回復した。
営業外収支が前期比で44百万円良化したが、主には保険解約返戻金17百万円の計上と助成金収入の増加8百万円、上場関連費用及び株式交付費16百万円がなくなったことによる。この結果、経常利益は小幅な減益にとどまった。期初会社計画比で、売上高は計画を達成したもののエンジニアの一時的な稼働率低下が響いて利益ベースでは未達となった。ただ、2024年8月に修正した計画値に対しては売上高、各利益ともに上回って着地した。
ServiceNow事業は前期比約2割増と高成長が続く
2. 事業セグメント別動向
(1) ITO&BPO事業
ITO&BPO事業の売上高は前期比7.5%増の5,123百万円、営業利益は同22.4%減の260百万円となった。売上高はITサービスマネジメント事業が契約更改時の単価上昇効果もあって堅調に推移したほか、新規案件の獲得によりカスタマーコミュニケーション事業やイベントサービス事業も好調に推移した。また、ソリューション事業においても、非接触需要の増加に伴う施設向けのソリューション導入案件の新規契約を獲得したほか、イベント関連での顔認証ソリューションが好調に推移したことで売上を大きく伸ばした。一方、利益面では人件費の増加や新規案件獲得のための販売費用、顧客との関係強化のための費用などの増加が減益要因となった。
(2) クラウドソリューション事業
クラウドソリューション事業の売上高は前期比11.5%増の2,536百万円、営業利益は同0.2%減の141百万円となった。売上高は、主力のServiceNow事業が既存顧客からの追加発注に加えて新規顧客が前期末から20社増加したこともあり、前期比で約2割増収と高成長が続いた。また、HRソリューション事業やシステムソリューション事業も堅調に推移した。一方、利益面では人員体制強化に伴う人件費の増加や一時的な稼働率低下、並びに顧客との関係強化のための費用増もあって横ばい水準にとどまった。
(3) その他
海外事業は売上高で前期比12.0%増の438百万円、営業利益で同1547.3%増の25百万円となった。売上高はグループ内取引高が同14.7%増の295百万円、外部顧客向け売上高が同6.9%増の142百万円といずれも増加した。利益面では、円安進行による人件費や家賃等の固定費の増加があったものの、増収効果で吸収し増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の連結業績は売上高で前期比8.7%増の7,803百万円、営業利益で同11.1%減の426百万円、経常利益で同1.9%減の441百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.8%減の278百万円と増収減益決算となった。
売上高は企業の生産性向上や業務効率化のためのIT投資拡大を背景に、ServiceNow事業が好調を持続したほかITサービスマネジメント事業やイベントサービス事業なども伸張し、過去最高売上を更新した。一方、利益面では売上原価率の上昇や販管費の増加が減益要因となった。売上原価率は、積極的な人材採用に伴う人件費の増加に加えて、受託開発案件の着手時期が遅れたことによるエンジニアの一時的な稼動率低下が影響し、前期の62.8%から63.6%に上昇した。エンジニアの採用については新卒・中途採用合計で過去最高となる78名を採用し(前期は54名)、期末のエンジニア数は前期末比43名増の558名となった。なお、受託開発案件の遅れについては顧客先とのコミュニケーション不足が原因で、当初予定していた4月から7月に着手時期が遅れ、その間に当該案件に関わるエンジニアが待機(非稼動)状態となった。今後はこうしたミスの発生を防止すべく、顧客とのコミュニケーションをしっかりと行っていくとしている。
販管費は前期比で223百万円増加した。増加要因としては、人件費や採用費・教育費等の増加や新規案件獲得のための営業活動費の増加に加えて、顧客との関係強化のための一過性費用の計上(約50百万円)※、株式上場関連費用(株主総会費用等)、内部統制強化費用及び外形標準課税の適用に伴う租税公課の増加(約30百万円)などが挙げられる。
※ 創立30周年の記念パーティーを第2四半期に大阪と東京で開催した。
同社の四半期業績推移を見ると、第2四半期に営業損失で76百万円を計上し大きく悪化したが、エンジニアの稼働率低下や一過性費用の計上、さらには新卒社員の教育研修費用などが重なったためで、第3四半期以降はこうしたマイナス要因がなくなり、営業利益も急回復した。
営業外収支が前期比で44百万円良化したが、主には保険解約返戻金17百万円の計上と助成金収入の増加8百万円、上場関連費用及び株式交付費16百万円がなくなったことによる。この結果、経常利益は小幅な減益にとどまった。期初会社計画比で、売上高は計画を達成したもののエンジニアの一時的な稼働率低下が響いて利益ベースでは未達となった。ただ、2024年8月に修正した計画値に対しては売上高、各利益ともに上回って着地した。
ServiceNow事業は前期比約2割増と高成長が続く
2. 事業セグメント別動向
(1) ITO&BPO事業
ITO&BPO事業の売上高は前期比7.5%増の5,123百万円、営業利益は同22.4%減の260百万円となった。売上高はITサービスマネジメント事業が契約更改時の単価上昇効果もあって堅調に推移したほか、新規案件の獲得によりカスタマーコミュニケーション事業やイベントサービス事業も好調に推移した。また、ソリューション事業においても、非接触需要の増加に伴う施設向けのソリューション導入案件の新規契約を獲得したほか、イベント関連での顔認証ソリューションが好調に推移したことで売上を大きく伸ばした。一方、利益面では人件費の増加や新規案件獲得のための販売費用、顧客との関係強化のための費用などの増加が減益要因となった。
(2) クラウドソリューション事業
クラウドソリューション事業の売上高は前期比11.5%増の2,536百万円、営業利益は同0.2%減の141百万円となった。売上高は、主力のServiceNow事業が既存顧客からの追加発注に加えて新規顧客が前期末から20社増加したこともあり、前期比で約2割増収と高成長が続いた。また、HRソリューション事業やシステムソリューション事業も堅調に推移した。一方、利益面では人員体制強化に伴う人件費の増加や一時的な稼働率低下、並びに顧客との関係強化のための費用増もあって横ばい水準にとどまった。
(3) その他
海外事業は売上高で前期比12.0%増の438百万円、営業利益で同1547.3%増の25百万円となった。売上高はグループ内取引高が同14.7%増の295百万円、外部顧客向け売上高が同6.9%増の142百万円といずれも増加した。利益面では、円安進行による人件費や家賃等の固定費の増加があったものの、増収効果で吸収し増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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