*16:34JST ADワークスグループ Research Memo(4):取扱い物件の大型化により「ARISTO」シリーズの成長加速
■業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) 収益不動産販売事業
ADワークスグループ<2982>の収益不動産販売事業は売上高で前期比24.2%増の44,305百万円、営業利益で同41.3%増の3,907百万円と2期連続で過去最高を更新した。旺盛な需要が続く国内市場において、利益率の高い不動産小口化商品「ARISTO」シリーズの販売が好調に推移したほか、1棟収益不動産販売も堅調に推移したことが主因だ。仕入高も大型物件を中心に積極的な仕入活動を進めた結果、同15.3%増の33,862百万円と過去最高を更新した。ここ数年はマンションだけでなく、オフィスビルや商業ビルなど10億円を超える大型物件の仕入を進めてきたことや、首都圏だけでなく関西や福岡などにも戦略的にエリアを拡大してきたことも高成長の要因となっている。
国内売上高は前期比26.0%増の43,086百万円(販売棟数は同6棟増の31棟)、売上総利益で同41.0%増の6,893百万円となった。このうち、不動産小口化商品販売は同163.4%増の12,769百万円、売上総利益で同172.4%増の2,819百万円と急増した。築浅の店舗ビルや新築マンション、新築店舗・事務所ビルなど様々なタイプの商品を8棟販売し、早期に完売できた。一方、1棟収益不動産販売も同3.3%増の30,317百万円、売上総利益で同5.7%増の4,074百万円と堅調に推移した。一方、海外売上高は金利高を背景に慎重な仕入・販売を進めた結果、同17.9%減の1,193百万円となった。
なお、国内における仕入及び販売単価の動向を見ると、仕入単価は前期比32.3%増の1,441百万円、販売単価は同1.6%増の1,390百万円といずれも上昇傾向が続いた。不動産市況が高騰している影響もあるが、戦略的にオフィスビルや商業ビルなど大型物件の仕入力を強化してきたことや好立地物件を選好して仕入れていることが要因だ。2010年代までは平均単価が数億円程度であったが、2021年以降は10億円を超える物件を仕入れるケースが増えたことで、「ARISTO」シリーズを商品化しやすくなっており、不動産小口化商品の高成長につながっている。
(2) ストック型フィービジネス
ストック型フィービジネスは、売上高で前期比0.6%増の6,158百万円、営業利益で同11.4%減の1,142百万円となった。利益率の高い賃料収入が同0.8%減の1,783百万円と微減収に留まり、リーシングコストの上昇や保有物件の修繕工事が増加して原価率も上昇したことが減益要因となった。
賃料収入以外の売上高は同1.2%増の4,375百万円となった。このうちスミカワADDによる工事売上高は顧客先を絞り込んだ影響で減収となったものの、原価率の改善により営業利益は増益となった。エー・ディー・パートナーズによる不動産管理事業は、前期に取得した医療モールのMLSL(マスターリース・サブリース)収入が通年で寄与し増収増益となった。エンジェル・トーチのCVC事業及びFA事業については目立った進捗がなかった。
自己資本比率は31%と財務の健全性を維持、総資産回転率の上昇によりROEが上昇
3. 財務状況と経営指標
2024年12月期末の財務状況は、資産合計が前期末比954百万円増加の59,809百万円となった。流動資産では、現金及び預金が319百万円増加した一方で、販売目的の収益不動産残高が1,857百万円減少した。販売目的とした物件のうち2,100百万円分を賃料収入目的の有形固定資産に振り替えたことが主因だ。固定資産は収益不動産を中心に有形固定資産が2,547百万円増加した。
負債合計は同639百万円減少の41,048百万円となった。有利子負債が850百万円増加した一方で、クラウドファンディング等預り金が1,299百万円、買掛金が324百万円それぞれ減少した。クラウドファンディングは不動産物件取得のための資金調達手段の1つとして適宜活用しており、期末残高は957百万円となっている。純資産合計は同1,594百万円増加の18,761百万円となった。利益剰余金が1,166百万円増加したほか、円安進行に伴い為替換算調整勘定が439百万円増加した。
同社は借入金等を活用しながら収益不動産の仕入れを積極的に進め、結果として収益の拡大とROEの向上、並びにWACCを上回るROICを維持することで企業価値の向上を目指している。一方で、経営の安全性を確保するという観点から、自己資本比率30%を目安に有利子負債の水準をコントロールする方針を示している。2024年12月期のROEは9.5%と前期比0.5%上昇し、自己資本比率も31.3%となるなど同社の取り組み施策が順調に進んだものと評価される。ROEの上昇要因を3つの構成要素に分けて見ると、財務レバレッジが前期末比0.1倍低下し、売上高純利益率も0.2%低下した一方で、総資産回転率が0.1倍上昇したことがROEの上昇要因になった。「ARISTO」シリーズの販売が急拡大し、総資産回転率の向上につながった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) 収益不動産販売事業
ADワークスグループ<2982>の収益不動産販売事業は売上高で前期比24.2%増の44,305百万円、営業利益で同41.3%増の3,907百万円と2期連続で過去最高を更新した。旺盛な需要が続く国内市場において、利益率の高い不動産小口化商品「ARISTO」シリーズの販売が好調に推移したほか、1棟収益不動産販売も堅調に推移したことが主因だ。仕入高も大型物件を中心に積極的な仕入活動を進めた結果、同15.3%増の33,862百万円と過去最高を更新した。ここ数年はマンションだけでなく、オフィスビルや商業ビルなど10億円を超える大型物件の仕入を進めてきたことや、首都圏だけでなく関西や福岡などにも戦略的にエリアを拡大してきたことも高成長の要因となっている。
国内売上高は前期比26.0%増の43,086百万円(販売棟数は同6棟増の31棟)、売上総利益で同41.0%増の6,893百万円となった。このうち、不動産小口化商品販売は同163.4%増の12,769百万円、売上総利益で同172.4%増の2,819百万円と急増した。築浅の店舗ビルや新築マンション、新築店舗・事務所ビルなど様々なタイプの商品を8棟販売し、早期に完売できた。一方、1棟収益不動産販売も同3.3%増の30,317百万円、売上総利益で同5.7%増の4,074百万円と堅調に推移した。一方、海外売上高は金利高を背景に慎重な仕入・販売を進めた結果、同17.9%減の1,193百万円となった。
なお、国内における仕入及び販売単価の動向を見ると、仕入単価は前期比32.3%増の1,441百万円、販売単価は同1.6%増の1,390百万円といずれも上昇傾向が続いた。不動産市況が高騰している影響もあるが、戦略的にオフィスビルや商業ビルなど大型物件の仕入力を強化してきたことや好立地物件を選好して仕入れていることが要因だ。2010年代までは平均単価が数億円程度であったが、2021年以降は10億円を超える物件を仕入れるケースが増えたことで、「ARISTO」シリーズを商品化しやすくなっており、不動産小口化商品の高成長につながっている。
(2) ストック型フィービジネス
ストック型フィービジネスは、売上高で前期比0.6%増の6,158百万円、営業利益で同11.4%減の1,142百万円となった。利益率の高い賃料収入が同0.8%減の1,783百万円と微減収に留まり、リーシングコストの上昇や保有物件の修繕工事が増加して原価率も上昇したことが減益要因となった。
賃料収入以外の売上高は同1.2%増の4,375百万円となった。このうちスミカワADDによる工事売上高は顧客先を絞り込んだ影響で減収となったものの、原価率の改善により営業利益は増益となった。エー・ディー・パートナーズによる不動産管理事業は、前期に取得した医療モールのMLSL(マスターリース・サブリース)収入が通年で寄与し増収増益となった。エンジェル・トーチのCVC事業及びFA事業については目立った進捗がなかった。
自己資本比率は31%と財務の健全性を維持、総資産回転率の上昇によりROEが上昇
3. 財務状況と経営指標
2024年12月期末の財務状況は、資産合計が前期末比954百万円増加の59,809百万円となった。流動資産では、現金及び預金が319百万円増加した一方で、販売目的の収益不動産残高が1,857百万円減少した。販売目的とした物件のうち2,100百万円分を賃料収入目的の有形固定資産に振り替えたことが主因だ。固定資産は収益不動産を中心に有形固定資産が2,547百万円増加した。
負債合計は同639百万円減少の41,048百万円となった。有利子負債が850百万円増加した一方で、クラウドファンディング等預り金が1,299百万円、買掛金が324百万円それぞれ減少した。クラウドファンディングは不動産物件取得のための資金調達手段の1つとして適宜活用しており、期末残高は957百万円となっている。純資産合計は同1,594百万円増加の18,761百万円となった。利益剰余金が1,166百万円増加したほか、円安進行に伴い為替換算調整勘定が439百万円増加した。
同社は借入金等を活用しながら収益不動産の仕入れを積極的に進め、結果として収益の拡大とROEの向上、並びにWACCを上回るROICを維持することで企業価値の向上を目指している。一方で、経営の安全性を確保するという観点から、自己資本比率30%を目安に有利子負債の水準をコントロールする方針を示している。2024年12月期のROEは9.5%と前期比0.5%上昇し、自己資本比率も31.3%となるなど同社の取り組み施策が順調に進んだものと評価される。ROEの上昇要因を3つの構成要素に分けて見ると、財務レバレッジが前期末比0.1倍低下し、売上高純利益率も0.2%低下した一方で、総資産回転率が0.1倍上昇したことがROEの上昇要因になった。「ARISTO」シリーズの販売が急拡大し、総資産回転率の向上につながった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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