明日の株式相場に向けて=「トランプVS習近平」第1Rのゴング鳴る

トランプ米大統領の手の内から矢継ぎ早に切り出される“高関税カード”に振り回される展開が続く。メキシコ、カナダへの25%関税に関しては実際に大統領令に署名してブラフでないことを証明してみせた。と、思いきや土壇場で1カ月延期するという奥の手を出してくるのがいかにもトランプ流である。トランプ氏にすれば高関税をかけると脅しをかけながら相手の譲歩を引き出す戦略が、ここまでは見事に図に当たっているといえ、表現は悪いが味を占めた状況となっている。このメキシコ、カナダに対する高関税策については撤回されたわけではないが、1カ月の猶予期間を使った交渉で落としどころを探すことが予想され、マーケットの側からすればヤレヤレというところとなった。
しかし、現状は中国への一律10%の関税上乗せが俎上に載ったままだ。「発動はされているが実施は来週10日からで、まだ若干の猶予期間がある」(生保系エコノミスト)ため、この間に米中首脳会談でトランプ氏が何かしらの果実を得ようとしていることは明白である。メキシコやカナダを迂回して米国に入ってくる合成麻薬フェンタニルについて、中国政府が取り締まりを行わないという現状に痺れを切らしている。バイデン政権時代は知っていながら見過ごされてきたが、トランプ政権下ではそうは問屋が卸さないという姿勢を前面に押し出し、中国の対応をうかがっているわけだ。
一方、習近平政権にすればメンツもあって「直ちに違法薬物の輸出を取り締まります」とはなるはずもないが、間髪を入れず米国製品への関税強化を発表したものの、内訳は石炭と液化天然ガスに対し15%、原油や農機には10%の追加関税をかけるなど計80品目にとどめており、フルスイングではなくハーフスイング状態の対抗措置となっている。
プロレスとは言わないまでも、こうしている間に表の報道には出てこない水面下で実務的な交渉が行われていると考えられる。中国にしてみれば輸入品の量では米国の方がはるかに多いため、関税という土俵においての戦いは圧倒的に不利だ。したがって中国企業と関係が密接な米ビッグテックへの締め付けや、タングステンなど重要鉱物の対米輸出を制限するといった、からめ手で対抗するのが常套手段である。しかし、本気で殴り合えばウエートが何階級も違う米国に勝てる道理はなく、結局は妥協点を探るよりないところ。近々、米中首脳会談の場が設けられるはずだが、その結果をマーケットは見守ることになる。
日本でも石破首相が6~8日の日程で訪米し、トランプ米大統領と初の首脳会談を行うことが正式に発表されており、ここで何か材料と思しきものが出てくるかに関心が高まる。両首脳による共同声明には、米国側からの日本の防衛に対する「揺るぎないコミットメント」を明記する方向と伝わっており、普通に考えれば防衛関連株への追い風が意識されやすい時間軸にある。きょうは動きが冴えなかったが、三菱重工業<7011.T>やIHI<7013.T>などが改めて買われるような場面があっても不思議はない。このほか、全体相場にとらわれない個別材料株では、クラウド関連の新星チームスピリット<4397.T>や、バイオ関連では「PFAS」対策関連の有望株である室町ケミカル<4885.T>の押し目に着目してみたい。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に6カ月物国庫短期証券の入札と30年物国債の入札が行われる。このほか、1月の輸入車販売、1月の車名別新車販売、1月の軽自動車販売、1月のオフィス空室率など。なお、田村日銀審議委員が長野県金融経済懇談会後に記者会見を行う。海外では12月の豪貿易収支、12月のユーロ圏小売売上高、英中銀による政策金利発表、週間の米新規失業保険申請件数、10~12月期米労働生産性指数など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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