*11:02JST ノムラシステム Research Memo(2):後継製品にリプレイスする2027年までを飛躍の期間に
■ノムラシステムコーポレーション<3940>の当面の事業展開
現在の主力である「SAP ERP 6.0」は2027年にメンテナンス終了予定である。いわゆる「SAP2027年問題」を控えていることから、同社では「SAP S/4HANA」へ完全切替えとなる2027年までを大きく成長期として位置付けている。「SAP S/4HANA」を土台に、SAP ERPとビッグデータ分析、AI/IoT/クラウドの組み合わせによる競合優位を確立する。そのためには、レベルの高い人材育成及び採用が課題となりそうだ。同社は成長戦略を進めるため人材投資を積極的に行い、新卒社員を育てて戦力化し、着実にビジネスを遂行する方針である。
(1) 次世代戦略事業部によりDX事業を推進
同社はDXサービスを展開する次世代戦略事業部の活動に注力している。次世代戦略事業部単独での引き合いが活性化しているようで、今後はストックビジネスの受注拡大を目指す。重要なのは受注先の企業規模であるが、同社では受注単価が大きい大企業からの受注が増える傾向にある。ビッグユーザーの増加は収益向上に直結するため、今後も大企業からの受注獲得を目指す。
IT業界は人材の流動が激しいイメージがあるが、同社は時間をかけて新卒採用者を育成している。その結果、離職率は徐々に低下しており、2024年12月期第3四半期までの離職率は3%となった。人材育成力が向上し社員の定着率が高まれば、中長期的な収益向上につながると考えられる。コンサルの育成に重点を置くことにより、今後も成長を目指す考えだ。
(2) PMOサービスに注力
次世代戦略事業部で注力しているのがPMOサービスだ。PMOとは「Project Management Office」の略称で、企業内のプロジェクトをまとめるPM(Project Manager)を支援する組織のことである。同社では戦略的ERP導入コンサルティングのノウハウと開発プロジェクトの経験を基にプロジェクト推進を支援し、プロジェクト成功率を最大化するPMOサービスを提供している。
同社は大企業中心の顧客基盤を持っており、その累計売上規模は140兆円に上る。大企業の平均的なIT予算は2%と言われており、2.8兆円の市場を持っていることになる。多くの大企業の経営層に対して直接訴求できる状況であり、強い信頼関係に基づいた支援を行っていく。引き続き、大手SIer会社や公立大学などから新規受注を確保し、営業活動を着実に進める。
(3) 製品戦略
製品戦略では自社ソリューションの開発に力を注いでおり、訴求力のあるテンプレートを開発し、プライムプロジェクトの受注増を目指している。注目すべきは、著作権テンプレートである。これは2023年6月にプロトタイプが完成したが、他パートナーとの差別化を図るほか、メディア事業向けERPソリューションの地位獲得とともに、SAPからの紹介案件を受けやすくする狙いがある。
■株主還元
2024年12月期も1株当たり3.25円配を予想
無借金経営であること及び事業規模に照らすと、キャッシュリッチな企業と見ることができる。2024年12月期第3四半期末時点の自己資本比率は89.3%と極めて高い。同社は安定配当を継続的に行う考えを明らかにしており、2024年12月期も年間で1株当たり3.25円の配当を継続する意向だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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現在の主力である「SAP ERP 6.0」は2027年にメンテナンス終了予定である。いわゆる「SAP2027年問題」を控えていることから、同社では「SAP S/4HANA」へ完全切替えとなる2027年までを大きく成長期として位置付けている。「SAP S/4HANA」を土台に、SAP ERPとビッグデータ分析、AI/IoT/クラウドの組み合わせによる競合優位を確立する。そのためには、レベルの高い人材育成及び採用が課題となりそうだ。同社は成長戦略を進めるため人材投資を積極的に行い、新卒社員を育てて戦力化し、着実にビジネスを遂行する方針である。
(1) 次世代戦略事業部によりDX事業を推進
同社はDXサービスを展開する次世代戦略事業部の活動に注力している。次世代戦略事業部単独での引き合いが活性化しているようで、今後はストックビジネスの受注拡大を目指す。重要なのは受注先の企業規模であるが、同社では受注単価が大きい大企業からの受注が増える傾向にある。ビッグユーザーの増加は収益向上に直結するため、今後も大企業からの受注獲得を目指す。
IT業界は人材の流動が激しいイメージがあるが、同社は時間をかけて新卒採用者を育成している。その結果、離職率は徐々に低下しており、2024年12月期第3四半期までの離職率は3%となった。人材育成力が向上し社員の定着率が高まれば、中長期的な収益向上につながると考えられる。コンサルの育成に重点を置くことにより、今後も成長を目指す考えだ。
(2) PMOサービスに注力
次世代戦略事業部で注力しているのがPMOサービスだ。PMOとは「Project Management Office」の略称で、企業内のプロジェクトをまとめるPM(Project Manager)を支援する組織のことである。同社では戦略的ERP導入コンサルティングのノウハウと開発プロジェクトの経験を基にプロジェクト推進を支援し、プロジェクト成功率を最大化するPMOサービスを提供している。
同社は大企業中心の顧客基盤を持っており、その累計売上規模は140兆円に上る。大企業の平均的なIT予算は2%と言われており、2.8兆円の市場を持っていることになる。多くの大企業の経営層に対して直接訴求できる状況であり、強い信頼関係に基づいた支援を行っていく。引き続き、大手SIer会社や公立大学などから新規受注を確保し、営業活動を着実に進める。
(3) 製品戦略
製品戦略では自社ソリューションの開発に力を注いでおり、訴求力のあるテンプレートを開発し、プライムプロジェクトの受注増を目指している。注目すべきは、著作権テンプレートである。これは2023年6月にプロトタイプが完成したが、他パートナーとの差別化を図るほか、メディア事業向けERPソリューションの地位獲得とともに、SAPからの紹介案件を受けやすくする狙いがある。
■株主還元
2024年12月期も1株当たり3.25円配を予想
無借金経営であること及び事業規模に照らすと、キャッシュリッチな企業と見ることができる。2024年12月期第3四半期末時点の自己資本比率は89.3%と極めて高い。同社は安定配当を継続的に行う考えを明らかにしており、2024年12月期も年間で1株当たり3.25円の配当を継続する意向だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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