【QAあり】tripla、香港・フィリピンに子会社設立を決定 アジア市場拡大加速と多通貨決済やAI活用によるサービス拡張等に注力

投稿:2024/12/27 13:00

Agenda

高橋和久氏(以下、高橋):tripla株式会社代表取締役CEOの高橋です。本日は、12月16日に発表した2024年10月期の決算資料についてご説明したいと思います。どうぞよろしくお願いします。

本日のアジェンダです。会社概要、2024年10月期の振り返り、成長可能性に関する事項、中期経営計画の順にご説明します。

会社概要

高橋:会社概要です。tripla株式会社の創業は2015年4月です。従業員数は2024年10月末現在、tripla単体で92名、連結で158名です。

日本の他に台湾、韓国、シンガポール、インドネシア、タイの拠点を軸に、国内外で事業を展開しています。

数値でみるtripla

高橋:数字でみるtriplaです。当社は主にホテル向けに事業を行っています。

ホテルの予約システム、また、ホテルの公式サイトで使っていただいているチャットボット、CRMなど、どれだけホテルに使っていただいているかが主要なKPIとなっています。2024年10月期の導入施設数は、8,000施設を超えています。

従業員の国籍数はトータルで15ヶ国になり、日本人はわずか21.5パーセントしかいないのも、当社の特徴です。

triplaのこれまでの歴史

高橋:2015年の創業当初は8名体制でしたが、2017年以降、現在の主力サービスである「tripla Bot」や「tripla Book」をリリースし、そこから順調に推移していくのではないかと思っていました。

しかし、2020年からコロナ禍に入りました。本当に苦しい時期でしたが、Back to Basics、つまり、基本に立ち返り、今あるサービスをしっかり売っていこうと考え、「tripla Book」の販売を拡大した結果、2022年11月に東証グロース市場に上場しました。

上場後は、M&Aを行いながらインドネシア、台湾、タイといったマーケットで海外進出を強めています。

経営陣の紹介

高橋:経営陣の紹介です。現在、7名で運営しています。また、2名代表制を採用しており、私がCEO、鳥生がCTOを務めています。

triplaのパーパス

高橋:これまでは、ミッション、ビジョン、コアバリューを大切にしてきましたが、今回からミッションを止め、パーパスというかたちで定義しました。

社内外のステークホルダーに、「triplaはこのような目的のために会社を運営しているのだ」という方向性を、より明確なメッセージとして伝えようと考えました。そこで、「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する。」をパーパスとして定義しました。

triplaのビジョンとコアバリュー

高橋:ビジョンについても「顧客体験の向上と省人化を実現するデジタルソリューションを提供し、旅行業界を革新する。」に再定義しました。

また、7つのコアバリューを掲げて、事業を展開しています。

財務ハイライト

高橋:2024年10月期の振り返りです。財務ハイライトです。当期純利益は、2023年12月に発表したガイダンスに対して計画比26.5パーセント増となり、2億円を超えました。

営業収益、営業利益も通期計画を達成しています。また、グループ全体の導入施設数についても8,000施設を超え、8,037施設で着地しています。

2024年10月期結果(連結)

高橋:連結での財務サマリーです。営業収益は約18億6,700万円、昨年比58.8パーセント増で着地しました。営業利益は約2億7,000万円、昨年比52.5パーセント増で着地しました。

2024年10月期結果(単体・営業収益)

高橋:tripla単体での営業収益は約16億3,900万円で、昨年比39.4パーセント増加しました。特に、ホテル向けの予約システム「tripla Book」の従量収益が大きく牽引しました。

2024年10月期結果(単体・営業利益)

高橋:単体での営業利益は約3億2,400万円で、昨年比83.2パーセント増となりました。良い決算になったのではないかと考えています。

日根野健氏(以下、日根野):「tripla Book」の売上の伸びが顕著ですが、どのような要因でしょうか? やはり訪日観光客の増加が影響していますか? 

高橋:2つの要因があります。1つ目に、導入施設数が前年に比べて460施設以上増加したためです。

2つ目に、従量収益の売上も伸びています。従量収益は、基本的に宿泊従量と決済従量から構成されています。訪日外国人観光客が非常に増え、ADR(客室1室あたりの平均単価)が上がった結果、従量収益も上がったと見ています。

日根野:施設数も増えたことに加えて、稼働数、単価も上がったわけですね。

高橋:おっしゃるとおりです。

2024年10月期結果(BookandLink)

高橋:子会社の2024年10月期の結果についてです。BookandLink社は、インドネシアの子会社です。営業収益は、計画では1億100万円でしたが、実績は1億600万円と、計画を超過して着地しました。

営業利益は、計画ではのれん償却代として4,000万円、のれん償却前に4,000万円の営業利益を見込んでいたため、プラスマイナスゼロとしていました。最終的には、1,500万円の赤字で着地しました。

その理由として、グループ全体のコスト最適化もあり、tripla本社側で開発人員を採用するのではなく、インドネシア側での採用を拡大したためです。このようなところでコストの組み換えがあったとお考えください。

日根野:インドネシアで採用された方は、インドネシアのホテル向けのサービスを開発するのですか?

高橋:おっしゃるとおりです。買収した会社は3社ですが、いずれも競合他社を買収しているため、同じようにホテル向けのITサービスを提供しています。したがって、素地のある段階で開発者を増やしているため、triplaの開発にも大きく寄与してくれると考えています。

2024年10月期結果(Surehigh)

高橋:台湾の子会社Surehigh社についてです。営業収益は、計画どおり1億1,100万円で着地しました。

営業利益は、のれん代の償却を見込んでおり、プラスマイナスゼロで着地すると考えていましたが、最終的には700万円の赤字で着地しました。ただし、政府からの補助金1,600万円により、経常利益はプラス800万円で推移しています。

台湾では、4月に大きな地震がありました。東海岸には観光客向けのホテルが多いのですが、「tripla Bot」や「tripla Book」を提供する代わりに、政府が補助金を出す制度があり、その補助金をいただいたため経常利益ではプラスとなりました。

日根野:台湾政府による復興支援ということですね。

高橋:おっしゃるとおりです。

P/L連結時期

高橋:P/Lの連結時期です。BookandLink社は2月以降、Surehigh社とEndurance社については5月以降に連結に取り込まれています。

日根野:3社とも競合するエリアは違いますが、展開しているサービスは変わらないのですか?

高橋:Endurance社については、当社とほぼ一致しており、ホテル向けの予約システムを提供しています。

BookandLink社とSurehigh社は、チャネルマネージャーというサービスを提供しており、こちらは当社がもともと提供していなかったサービスでした。今回、M&Aで獲得することにより、当社側でも新しいサービスとして提供できるようになりました。

日根野:日本でもチャネルマネージャーのサービスを提供している競合はありますよね?

高橋:4社くらい存在します。

日根野:そのようなサービスのインドネシア版ということですか?

高橋:おっしゃるとおりです。

2024年10月期業績概要(連結・内訳)

高橋:連結の業績サマリーです。営業収益は約18億6,700万円、営業利益は約2億7,000万円です。親会社株主帰属の当期純利益は、約2億900万円で着地しました。

2024年10月期業績概要(単体)

高橋:単体についても営業収益は約16億3,900万円、営業利益は約3億2,400万円で着地しました。

四半期ごとの営業収益の偏重(単体)

高橋:営業収益には四半期ごとの偏重があり、特に第4四半期(8月、9月、10月)に収益が集中します。

日根野:旅行シーズンということですね。

高橋:おっしゃるとおりです。特に8月がピークになっており、その時期は旅行者が増えるだけでなく、ホテルの値段も非常に高くなります。

以前は「なぜそこまで高くなるのだろう」と不思議でしたが、このビジネスを手掛けるようになってから、価格のアップダウンに対しては「なるほど」と受け入れられるようになり、現在は気分を切り替えて取り組んでいます。

日根野:御社の販売単価も上がるのですか?

高橋:上がります。

日根野:連動するようなかたちですか?

高橋:従量収益が大きく貢献します。

日根野:従量とは、回数ではなく、ホテルの販売単価の従量ということですか?

高橋:おっしゃるとおり、ホテルの販売単価にもよります。後ほどもう少し詳しくご説明しますが、閾値があり、それよりも予約がたくさん入った場合、宿泊料金の3パーセントをいただけるかたちです。このように、従量が増える一因には宿泊の金額の増加も挙げられます。

日根野:私は出張などで利用するホテルの宿泊料金が非常に高くなって困っています。その裏側には、ホテルと提携してサービスを提供する会社の単価が上がっているわけですね。

高橋:おそらくそういうことだと思います。ただし、外国人は安いと感じているようです。先日、私のシンガポールの知り合いは「こんなに安い値段で泊まらせてくれてありがとう」と言っていたくらいです。

営業収益-セグメント別(単体・tripla Book)

高橋:実際の従量収益を含めた「tripla Book」の収益推移です。導入施設数は2,953施設で着地しています。

取扱高(GMV)とは宿泊料金の合計の数字ですが、第4四半期は387億円で着地しました。

日根野:最初のほうで、導入施設数は約8,000社というお話があったと思います。スライドのグラフでは約3,000社になっていますが、理由を教えてください。

高橋:最初にお伝えした8,037施設は連結での導入施設数で、海外での導入施設も含まれます。特にインドネシアのBookandLink社のチャネルマネージャーは3,000施設以上に導入されており、そのようなものを含めた連結の数字となっています。

日根野:母集団としては、国内全体に何施設あるのですか?

高橋:国内の宿泊施設は、約6万施設と言われています。ただし、その中でも民泊や簡易宿舎などもあり、いずれも自前の公式サイトを作らず、例えばOTA(Online Travel Agency)だけで販売するところも多いです。

自前の公式サイトを持っており、自分たちで集客を行い、販売を行っているホテルは約3万5,000施設あると言われています。その10パーセント弱の施設が「tripla Book」を導入していると見ています。

日根野:まだまだ成長の余地がありそうですね。

高橋:その余地は9割以上もあると考えています。

日根野:現状は、シェア10パーセントにも届いていないのでしょうか?

高橋:ホテル数が増えていることもあり、10パーセントには到達していないと思います。

日根野:ホテルにとっては、自社の公式サイトから予約を取りたいものですか?

高橋:おっしゃるとおりです。国内のOTA、海外向けのOTAもありますが、手数料は比較的高く設定されています。通常のピュアな手数料は十数パーセントですが、基本的にそれだけでは足りません。

広告を追加で払わないと上位に表示されないプログラムがたくさんあり、そのような広告支出も含めると、20パーセント近い手数料を払っているのが現状かもしれません。

日根野:かなりの数字ですね。一方、自社の公式サイトからの流入になると、その費用を大きく抑えることができるのですね。

高橋:もちろんです。あとは、どれだけ自社で広告費に力を入れるかですが、ある程度の広告費をかけるホテルが増えてきているように感じます。

日根野:ホテルとしては、自社の公式サイトからできるだけ予約してほしいと思っているわけですね?

高橋:おっしゃるとおりです。海外の事例ですが、マリオットグループは、Annual Reportに「自社予約をこれだけ増やしていく」という目標を大きく掲げています。それが営業利益に大きく関与することも書かれているくらいです。

このように、どのホテルも自社での予約拡大に力を入れていると思います。

Book従量収益の収益構造とtake rate

高橋:take rateについてです。従量収益には、宿泊従量課金と決済従量課金の2種類があります。これを足すと宿泊料金の1.17パーセントを、従量収益としていただいています。

宿泊従量課金については、これまで「tripla Book」に変える前に使っていた予約システムにおける予約数を閾値として、それよりも予約が増えた場合、増えた予約の3パーセントをいただいています。そして、決済の従量も一部入って、合算されるかたちになっています。

日根野:「tripla Book」を導入する前に、公式サイトに来ていた予約数が閾値となり、それを超えると3パーセントの従量課金が発生するわけですね。ですが、OTAにお願いした場合の20パーセントに比べると大変お得で、絶対に利用したいですよね。

高橋:ものすごくお得だと思います。ぜひ利用していただければと思います。

Book従量収益の季節性について

高橋:従量収益には季節性があります。8月には旅行が集中しますので、8月を含む第4四半期に急激に膨らむ傾向があります。

営業収益-セグメント別(単体・tripla Bot)

高橋:「tripla Bot」は、チャットで質問すると、すぐにAIが回答してくれるサービスです。公式サイトなどでチャットできるアイコンを見かけたことがあると思います。

私もよく利用しており、例えば朝、「少しテレカンをしてからチェックアウトしたい」などという場合に、「このホテルのチェックアウトは、何時だろう?」と思ってチャットで聞くと、「11時です」と回答してくれます。「それならば、大丈夫だろう。テレカンしてから帰ろう」というかたちで活用することもできます。

日根野:宿泊者にとっては簡単に確認ができますし、ホテル側にとってはわざわざ電話で対応する必要がないというメリットがありますね。

高橋:おっしゃるとおりです。省人化に対して非常に効いてきます。ただし、この1年間は省人化のみならず、「tripla Bot」が「LINE」「Facebook Messenger」「WhatsApp」などのメッセージングアプリと連携ができるようなかたちになってきています。

ホテルの「LINE」公式アカウント内に、当社の「tripla Bot」を入れることができますので、「LINE」で質問しても自動的にAIが回答します。このような機能も当社が提供しています。

日根野:便利ですね。宿泊客は日本人だけではなく、いろいろな国の人がいると思いますが、その方はどうすればよいのですか?

高橋:当社はすべて多言語対応できるようになっています。日本語、英語、繁体字中国語、簡体字中国語、韓国語、タイ語、インドネシア語、アラビア語の8言語に対応しています。

日根野:ホテルの方は非常に助かりますね。

高橋:アラビア語で回答するのはなかなか難しいと思いますので、そのようなところで非常に活躍できるのではないかと思っています。

四半期ごとの営業費用の推移(単体)

高橋:営業費用の推移についてです。第3四半期は3億4,500万円でしたが、第4四半期は3億3,200万円に下がっています。営業利益率が31.6パーセントで着地しました。

下がった理由ですが、最近「不正トラベル」という犯罪行為が非常に横行しています。要は、偽物のクレジットカードで予約してきて、チェックアウト後になって、「実はそのクレジットカードは不正に利用されたものでした」というかたちで、ホテル側や我々が被害に遭うトラブルが増えています。

盗まれた日本人のクレジットカードがよく使われます。今年7月単月で、1,100万円の被害を受けました。

日根野:カード会社が補填してくれるのではないのですか? 

高橋:いろいろなパターンが今、非常に増えています。3Dセキュアといわれている対応方法があり、ID、パスワードを入れてもらって対応していれば、そのカード会社が補填してくれる仕組みもあります。

しかしながら、その中でもいろいろ今ちょうど不正が増えている状況で、中にはカード会社が補填を拒否するような被害もあり、当社側で負担することになった事例もありました。

日根野:これは困りますね。

高橋:そこで当社では4月以降、この不正への対策を取っています。7月には1,100万円あった不正金額を、10月には3万円に収めることができました。その結果、1,000万円以上の営業費用を削減できました。

日根野:完璧に対策ができるのですか? 

高橋:いいえ、「イタチごっこ」です。世の中でも今、いろいろな犯罪が増えていますが、さらに新しい方法がどんどん出てきています。不正対策は継続的に行っていかないと、再び増えてしまいます。継続的な対策を行っていこうと考えています。

日根野:それにしても、営業利益率30パーセントはすばらしいですね。四半期で一番売上が偏重する時期とはいえ、すごい利益率だと感じました。

高橋:第4四半期に関しては、非常に良い数字になりました。

2024年10月期の主な成果– tripla.aiの開設

高橋:ここまで数字の部分を振り返ってきました。ここからは、この1年間にどのようなサービスを提供してきたのかという、ソフトの部分についてお話しします。

今年1月から、「tripla.ai」という旅行予約サイト(OTA)を提供し始めました。旅行者はこちらで最後に予約ができるかたちになっています。

2024年10月期の主な成果– 多通貨決済

高橋:インバウンド対策として、多通貨決済ができるようになりました。日本人のお客さまは日本円で決済したいのですが、外国人のお客さまは日本円で決済するのを嫌がります。

日根野:米ドルのほうが良いですね。

高橋:当社では今、IPアドレスによって「このお客さまは米国から来ている」と判断し、自動的に米ドルで価格を表示できるようにしています。

日根野:親切ですね。

高橋:米国のクレジットカード会社も日本円で決済されるよりも米ドルで決済されたほうが、決済成功確率は上がります。したがって、決済が失敗したという理由での予約ができない確率が減っていきますので、予約のコンバージョンが自然に上がっていきます。

日根野:ホテルにとっても、外国人ユーザーもうれしいですね。

高橋:加えて、米国のクレジットカード発行会社もうれしいと思います。

日根野:決済が通せることできちんと利益が取れますからですね。

高橋:このようなかたちのサービスになっていますので、インバウンド対策には非常に効いてきます。

国内のホテル向け予約システムで提供できているのは今、おそらく当社だけなのではないかと思っています。逆に、海外系グローバルOTAといわれている会社ではすべて提供できている機能ですので、非常に重要な機能だと捉えています。

2024年10月期の主な成果

高橋:ホワイト・ベアーファミリーという旅行会社との協業で、航空券と宿のセット販売する機能を提供できています。

2024年10月期の主な成果

高橋:「tripla Bot」では、既存の「LINE」「Facebook Messenger」に加えて、欧米や東南アジアでよく使われているメッセージングアプリ「WhatsApp」とも連携できました。

2024年10月期の主な成果

高橋:セグメントを切って「LINE」「Facebook Messenger」で配信できる、「tripla Connect」というサービスも提供できました。

日根野:矢継ぎ早にいろいろなサービスが出てきていますが、自社で開発しているのですか?

高橋:もちろん、すべて自社で開発しています。

日根野:職員の職業別の割合は、プロダクト部門が非常に多かったと思います。こちらは開発部門ということですか?

高橋:すべて自社開発部門です。

日根野:職員の4割くらいがプロダクト部門で、このような開発を手がけているのですね。

高橋:おっしゃるとおりです。ただし、他社をベンチマーキングすると、このようなホスピタリティIT系のサービスでは、半分近くが開発者なのが通常かと思っています。

2024年10月期の主な成果

高橋:BookandLink社とSurehigh社が提供していたチャネルマネージャーのサービスを少し改良し、5月から日本市場での販売を開始しています。これが「tripla Link」というサービスです。

日根野:こちらはM&Aの効果と言えますね。

高橋:M&Aなくしてはできていないと思います。これはM&Aの非常に大きな成果だと思っています。

2024年10月期の主な成果

高橋:「tripla Guide」を2月にリリースしました。こちらは、ホテルに泊まった時に「スパは何時まで開いているのだろう?」「マッサージは何時まで営業しているのだろう?」「朝食会場は何時からだろう?」といった館内情報を、Webで確認できるサービスです。

2024年10月期の主な成果

高橋:「tripla Boost」は、公式サイトのホテルが広告を運用する時、ホテルに成り代わってtripla側が広告の運用を代行するサービスです。こちらは省人化などに非常に効いてきます。

このようなサービスを始めた背景は、コロナ禍で多くのホテルマンが辞めてしまっていることにあります。人材不足により、自分たちで広告を運用できないホテルが、非常に多くなっています。

日根野:広告運用は難しいですからね。

高橋:おっしゃるとおり、広告運用は非常に難しいと思います。例えば、ホテル側が3時間かけて設定するところを、当社なら慣れていますので1時間でできるという利点もあります。そこで、当社側がこのように運用を代行するサービスを提供しています。

2024年10月期の主な成果

高橋:「tripla Page」も、M&Aの産物です。Surehigh社が提供していた「Website Builder」というサービスを日本語でも対応できるようにし、日本向けにカスタマイズして提供しています。

2024年10月期の主な成果

高橋:「tripla Analytics」は、帳票が出てくるBIツールです。いろいろなデータを1ヶ所に集めて、一括で見られるサービスになっています。

2024年10月期の主な成果 (2/2)

高橋:「tripla Analytics」では、例えば、自社の値段だけではなく、今OTAに掲載している価格とともに、競合の価格も一緒に見られるダッシュボードも提供しています。

日根野:便利ですね。

高橋:例えば、競合が価格を上げているのに自分たちが下げる必要はないですよね。「自分たちも少し上げてみようか」というかたちで活用すると、非常に上手なレベニューマネジメントができます。

日根野:そもそも自社の公式で予約してもらいたいわけですから、自社の公式とOTAの価格もうまくバランスを取る必要がもちろんありますし、同じようなターゲット層を狙っている競合とも価格を比較するのに役立つと感じました。それによって売上を上げていくわけですね。

高橋:おっしゃるとおりです。

2024年10月期の主な成果

高橋:「tripla Success」も、ホテルの省人化に向けて、予約エンジンやチャネルマネージャーの設定などをtriplaが代わりに行っているサービスです。

宿泊施設の売上及び利益の最大化への寄与

高橋:ここまでご説明したとおり、このような11のサービスを提供しています。

5/29:triplaカンファレンスをヒルトン台場で初開催

高橋:そのほかにも、5月29日にtriplaカンファレンスをヒルトン台場で開催しました。多くの既存ホテルのお客さまに参加いただき、当社のサービスをいろいろご説明しました。

10/23-25:ITB Asia(シンガポール)へ4社合同で出展

高橋:10月23日から25日には、シンガポールのマリーナベイ・サンズで行われた「ITB Asia」というイベントに参加しました。

triplaから私と韓国の責任者の2名、BookandLink社から2名、Endurance社から2名、Surehigh社から1名の、合わせて7名で出展しました。

未来のtripla–サービスイメージ

高橋:成長可能性に関する事項についてご説明します。スライドでは、さまざまなところにお客さまとのタッチポイントを作り、サービスとして活用していただく、未来のtriplaのサービスイメージをまとめています。

triplaの経営戦略

高橋:経営戦略に関しては、今年はスライドの4つを掲げています。市場ニーズに応じたサービスの多機能化、海外市場展開の加速、地域社会の発展支援、人材のグローカル化です。

戦略を実現するアクションプラン

高橋:戦略それぞれに対して、8つのアクションプランを掲げています。

01. 現地決済から事前決済への切り替えを促進していく

高橋:市場ニーズに応じたサービスの多機能化については、1つ目に、決済ソリューションの強化と多様化に取り組みます。

現地決済率を下げ、事前決済を強化します。ホテル側で泊まった後に払う現地決済が今、日本では80パーセントになっています。事前にクレジットカードで払うのが20パーセントですが、この事前決済比率を35パーセントくらいまで上げていこうかと考えています。

これにより、ホテル側はキャンセル料の取り漏れがなくなります。また、tripla側では先ほどの決済従量による売上を増収させることができます。したがって、スライド下に挙げたアクションプランを実行して、この数字を上げていきたいと考えています。

01.決済手段と決済シーンの多様化

高橋:決済手段と決済シーンの多様化を図ります。今、クレジットカード決済しか対応できていませんので、QRコード決済やコンビニ払い、銀行振込のようなところにも対応していこうと考えています。

01.コストの最適化を常に実行

高橋:コストの最適化を常に実行します。今までは日本国内のペイメントゲートウェイ会社とお付き合いしてきましたが、グローバルパートナーなどとも連携を強化して、コストの最適化を行っていきます。

02.集客及びコンバージョンを改善する機能強化

高橋:2つ目に、集客及びコンバージョンを改善する機能強化に取り組みます。ホテルのさまざまな利用シーンの中で、当社のサービスをタッチポイントとして使っていただければと考えています。

02.集客及びコンバージョンを改善する機能強化

高橋:具体的には、「tripla Connect」ではセグメントを切ってメールを配信したり「LINE」を配信したりできます。例えば、30代未満の方にはメールAで、30代以上の方にはメールBのようなかたちでセグメントを切ってメールを配信して、反応がなければ次に「LINE」を送るなどです。

このようにセグメントを切った顧客との間で1on1のマーケティングができるようなかたちになっています。

03.AI&ビッグデータを活用し、マーケティング&省人化への寄与

高橋:3つ目に、AI及びビッグデータを活用し、マーケティングの省人化に寄与します。

03.宿泊ビッグデータプラットフォームをAIと融合させる

高橋:当社が手がけている11のサービスを、AIエンジニアの技術により融合させていきます。

03.売上や省人化へ寄与するべくAIを活用していく

高橋:当社の顧客は、8,000以上の施設・2,900万人に拡大しています。これだけの顧客に使っていただいていますので、このようなところに対してAIをよりうまく活用してもらうことで、宿泊施設の利益の最大化や省人化、UXの向上に努めていきます。

04.アジアパシフィックを中心に最適な事業拡大

高橋:4つ目に、海外市場展開の加速として、アジアパシフィック中心に事業を拡大していきます。

12月16日に、香港及びフィリピンに追加で子会社を作ると発表しましたが、適宜、事業を拡大していきたいと考えています。

04.海外進出形態の整理

高橋:海外進出形態の整理については、自前でフィリピンのように会社を設立して進出する場合と、販売代理店を使って進出する場合、M&Aを実行して進出する場合と捉えています。

日根野:国を選ぶ基準などはどのようになっていますか?

高橋:基本的には言語です。最初は言語で、日・中・英・韓と分け、この言語がうまくサービスではまるということで、台湾や韓国に進出していきました。

その後、伸びてくるマーケットという基準で、インドネシアやタイのマーケットを選んで、進出しています。アジアパシフィックは特に、マーケットとして非常に伸びていますので、まずしっかり取っていくことに注力しています。

05.サービスのグローバル化を実現するためのシステム連携

高橋:5つ目に、サービスのグローバル化を実現するためにシステム連携に取り組みます。

「コネクティビティハブ」については『日経電子版』にも取り上げていただいたのですが、海外展開していこうとすると、いろいろな海外のチャネルマネージャーと連携していく必要があります。

そこでEndurance社が持っていたチャネルマネージャーの連携をうまく活用して、「コネクティビティハブ」というかたちでサービスを提供しています。

06.triplaLinkが連携しているOTA及びWholesale一覧

高橋:スライドは、提携しているOTAの一覧です。

06.インバウンド主体の新規顧客獲得アクション強化

高橋:6つ目に、インバウンド主体の新規顧客獲得のアクション強化に取り組みます。

日本のホテルが海外の小さなOTAのすべてと付き合っていくことは、容易ではないと思います。そこで、当社側が言語面でもサポートし、代理店としてホテルの代理販売を協業で行っています。

06.インバウンド主体の新規顧客獲得アクション強化

高橋:加えて、各サービスについて、各国の拠点から多言語での広告運用を提供したいと考えています。

07.地域社会の発展支援-つくる責任つかう責任(SDGs #12)

高橋:7つ目に、地方創生牽引として、地域社会の発展支援に取り組みます。地域社会の発展支援として、地方の観光情報サイトに当社の「tripla Book」を提供し、宿泊予約を簡便にするなど、課題の解決に貢献しています。

07.地域社会の発展支援-つくる責任つかう責任(SDGs #12)

高橋:また、「tripla Success」を地域の温泉や温泉旅館などに提供することで、省人化に寄与し、地域社会の発展支援に努めていきたいと思っています。

08.人材のグローカル化を推進

高橋:8つ目に、ダイバーシティを目指し、人材のグローカル化に取り組んでいます。いろいろな国に営業のスタッフがおり、それぞれがローカルでのニーズを汲み取って開発を行っています。

triplaグループの営業収益

高橋:中期経営計画についてご説明します。triplaグループの営業収益については、2027年10月期に40億円超を達成したいと考えています。今期は、25億8,200万円を目標に掲げています。

triplaグループの営業利益

高橋:営業利益については、2027年10月期に12億円超を達成したいと考えています。今期は4億3,800万円を目標に掲げています。

日根野:すごい勢いでの成長を見込んでいますね。

高橋:M&Aや海外成長なども含めて、ともに成長していければと考えています。

前回計画からのローリング

高橋:前回計画からのローリングということで、2027年10月期を1期足しています。来年も同様にローリングフォーキャストを取り入れ、2028年10月期の数字を公表したいと考えています。

中長期の利益計画

高橋:中長期の利益計画をまとめた数字をスライドに示しています。

営業収益-日本

高橋:日本単体で、今期の営業収益は20億円超を計画しています。2027年10月期には営業収益33億円超と、大きな成長を考えています。

「tripla Book」だけではなく、「tripla Connect」や「tripla Link」などのサービスをクロスセルしていくことによって、成長を牽引したいと思っています。

営業収益-セグメント別(日本・tripla Book)

高橋:セグメント別の営業収益についてです。「tripla Book」に関しては、2027年10月期には4,000施設以上のホテルに使っていただくことを計画しています。

Book従量収益の収益構造とtake rate

高橋:take rateについては、今期は1.33パーセント、2027年10月期には1.65パーセントを達成したいと考えています。こちらは、宿泊と決済の両方の従量の合計で計算しています。

営業収益-セグメント別(日本・tripla Bot)

高橋:「tripla Bot」については、新機能として「LINE」や「Facebook」などとの関わりがあります。そのようなメッセージングアプリとの連携がすでにできており、省人化だけではなくマーケティングにも寄与できる面があるため、それを活かして導入施設数をより一層伸ばしていきたいと考えています。

今期には1,837施設、来期2026年10月期には2,000施設を超えるお客さまに使っていただければと思っています。

営業収益-セグメント別(日本・tripla Connect)

高橋:「tripla Connect」についてです。今、「tripla Book」を売る時に「tripla Connect」も一緒に売っているのですが、約8割のホテルが一緒に契約してくださっています。

逆に、既存のホテルに対しても、積極的に拡販を行っていこうと考えています。今期は1,000施設を超えるお客さまに使っていただくことを目標に準備を行っています。

営業収益-セグメント別(台湾・Surehigh社)

高橋:台湾のSurehigh社についてです。営業収益は、今期に2億5,900万円、2027年10月期に3億7,200万円を見込んでいます。

スライド右側に示しているように、特に、チャネルマネージャー、チャットボット、予約エンジンについて、当社のサービスをさらに売っていくことに注力していきます。

営業収益-セグメント別(東南アジア・BookandLink社)

高橋:東南アジアのBookandLink社については、チャネルマネージャーが中心のサービスになっています。

そのため、予約エンジン、チャットボットなどのクロスセルをより高めていき、売上を積み上げたいと考えています。2027年10月期には営業収益が3億円を超えることを予定しています。

日根野:こちらは反対に、日本で作った別のサービスをインドネシアに持っていくイメージですね。

高橋:おっしゃるとおりです。特に予約エンジンが重要だと考えています。

営業費用-日本

高橋:日本における営業費用について、人件費や採用費、営業収益等、各種の数字の推移をスライドに示しています。日本の従業員数は、今期107名で、2027年10月期には174名を計画しています。

triplaグループの従業員数

高橋:グループ全体の従業員数は、今期は177名体制で、2027年10月期には244名体制となるよう推移させていこうと考えています。

具体的には、インドネシアでエンジニアを中心に採用していく予定です。インドネシアのエンジニアは今まで4名でしたが、今期で11名まで増やします。来期以降も、2026年10月期に25名、2027年10月期に39名と、インドネシアのエンジニアの増加を図っていきます。

以上が、私からの中期経営計画を含む2024年10月期の振り返りです。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:海外でのエンジニアの採用状況について

日根野:「エンジニアの採用は非常に重要だと思いますが、国内では採用活動が非常に難しく、人材を採りにくい状況かと推測します。海外でも同じ状況なのですか?」というご質問です。

高橋:実は当社は、国内でも人材をそこまで採りにくくなってはいません。なぜなら、当社は社内言語をすべて英語としているからです。

実は外国のエンジニアで日本を好きな方はかなりいます。例えば、日本のアニメ文化が好きな方が多くいるのですが、日本で働こうと思った時に、通常は日本語が使えることが必要になります。

しかしながら、triplaでは日本語が必須ではないため、非常に多くの外国の方に応募していただいています。そのため、日本でも多くの外国人のエンジニアが働いていますし、海外でもインドネシアでは多くのエンジニアの方に応募していただいています。

荒井沙織氏(以下、荒井):日本人従業員が少ないのは、戦略的なものなのでしょうか? 社内言語が英語という影響もあるでしょうか?

高橋:昨日も、本日の資料を元に、オールハンズミーティングを行いました。インドネシアの方、台湾の方を含めて全員が「ZOOM」に入り、私が中期経営計画の説明を英語で行いました。従業員それぞれも、この3ヶ月間で何を行った、この半年間で何を行ったという話を英語で説明しました。

しかし、全員が英語を流暢に話せるわけではありません。当社の営業の人員は、この半年間で英語を勉強してきて、このようなことができた、このようなホテルと契約できたなどの話を、英語で一生懸命説明しています。

そのような面から、またさらに仲間感が増していき、コミュニケーションがスムーズになってきていると感じています。

質疑応答:各国におけるサービスの重複と一本化について

日根野:「インドネシアで採用を活発化させるというお話がありました。各国で同じようなサービスの開発をすると、重複が出てきたりする問題はないのでしょうか?」というご質問です。

高橋:重複の可能性はあります。そのため、サービスは全部1本に絞っていきます。

例えば、台湾のSurehigh社は予約エンジン「EZ HOTEL」というサービスを提供しており、台湾の数百件のホテルに導入されています。それをPMIの一環として、すべて「tripla Book」に置き換えていきます。

日根野:そのような意味で、効率化も進めていくわけですね。

高橋:おっしゃるとおりです。

質疑応答:「tripla Book」のゴールイメージについて

日根野:「国内の『tripla Book』については、最終的なゴールとして、GMVや導入施設数はどのようなイメージで考えていますか?」というご質問です。

高橋:国内だけではなく、海外を含めて、導入施設でまずは1万施設を突破したいと考えています。

海外の競合他社を見ていても、まず1万施設が入っていると、みなさまからかなり注目されます。そのため、まずは海外を含めて導入施設数を1万施設に伸ばしていきたいと考えています。

海外の最大手は、おそらく4万施設くらいで導入されているのではないかと思います。そのあたりをベンチマーキングしながら、当社で何が足りないのかを比較分析し、機能的なギャップやビジネス的なギャップなどを1つ1つ埋めていきたいと思っています。

質疑応答:国内外で意識している競合他社について

日根野:「競合として特に意識している会社は、国内、海外問わず、どのようなところになりますか?」というご質問です。

高橋:オーストラリアの証券取引所に上場しているSiteMinder社は大きな競合他社だと捉えています。SiteMinder社は、チャネルマネージャーを中心に販売している企業ですが、販売方法や価格戦略などについてベンチマーキングしています。

また、予約エンジンに関しては、フランスのD-EDGE社という、アコーホテルグループの100パーセント子会社があります。こちらもおそらく3万施設くらいに導入されており、どのような機能があるのか、どのような営業を行っているのかなどについて、ベンチマーキングしています。

質疑応答:配当方針の現状と見通しについて

日根野:「配当の方針の現状と、これからの見通しについて教えてください」というご質問です。

高橋:現状では、配当は行っていません。競合他社に対してしっかり戦っていく素地を作る必要があるため、今は投資を優先しています。まずはそのあたりの投資に力を入れていき、将来的に配当を出せればと考えています。

質疑応答:M&Aについて

日根野:「成長戦略の1つとして、今後もM&Aを活用していくと理解してよいのでしょうか?」というご質問です。

高橋:2024年12月21日現在、決定している会社はありませんが、今後もそのような機会があり、戦略上、M&Aを実行できそうであれば、行っていきたいと思っています。

質疑応答:中期経営計画の見直しの背景について

日根野:「中期経営計画の数字について若干の見直しがあったように思いますが、どのような背景があるのでしょうか?」というご質問です。

高橋:おそらく見直しと言われているのが、営業利益のところかと思います。営業利益が、前回よりも若干少なくなっているように見えるというご指摘があったかと思います。

こちらに関しては、トップラインはおそらく、ほぼ1パーセント以内で発表しています。

日根野:売上は概ね想定どおりですよね。

高橋:おっしゃるとおりです。投資に関しては、海外も含めた人員への投資を前回よりも行っていく必要があるため、足元の状況を鑑みて、営業利益の修正を行っています。

日根野:「take rateが悪化した」「競争環境が厳しくなった」などというよりは、前向きな将来に向かっての人員投資が中心だということですね。

高橋:そうですね。人員投資が中心だと捉えていただければと思います。

質疑応答:アクティビティ関連の販売と協業について

荒井:「ホテルや航空券だけでなく、ホテルの周辺の博物館や美術館などにお得に入館できるようなチケットは販売しているのでしょうか? 今後販売の予定などはありますか?」というご質問です。

高橋:当社について、「ホテルの予約ができるのだから、全部の予約を行ったらよいのでは」「ゴルフ場の予約もできればよい」などとみなさまおっしゃいます。しかしながら、それぞれ「餅は餅屋」で、自前で開発していこうとすると、それなりのリソースと投資を行う必要があります。

そのため、例えばゴルフの予約などのアクティビティの部分に関しては、それぞれのパートナー企業と協業しています。直近でプレスリリースを発表したのが、Japanticket社との協業です。Japanticket社が持っているアクティビティなどの予約をtriplaでも販売できる環境を整えています。

このような協業に関しては、さまざまなお客さまのニーズに基づいて、こことも協力できたらよいのではないかなどと検討し、対象や協業先を広げていきたいと考えています。

質疑応答:不正トラベルの対策について

荒井:「不正トラベルについてすばらしい対策を行ったというお話がありましたが、イタチごっこという側面もあるかと思います。不正利用された場合に損害保険でヘッジするような、不正トラベル対策としての保険は存在するのでしょうか?」というご質問です。

高橋:検討したことがないのですが、おそらくそのような保険はないのではないかと思います。申し訳ありませんが、今はわからないため確認したいと思います。

荒井:不正利用がこれだけ多いため、そのような保険がある場合、保険会社も大変かもしれません。

高橋:保険会社も嫌がるでしょうね。

日根野:したがって、基本的には不正利用をさせないようにするためのしかるべき対策をすでに正攻法で取り組んでいるわけですね。

高橋:おっしゃるとおりです。これは日本だけではなくてグローバルで増えていますので、グローバルでの不正対策を厳密に行っていきたいと思います。

荒井:そのあたりは成功されていますので、他社からも参考にされるところがあるのではないかと思います。

高橋氏からのご挨拶

高橋:triplaは2024年10月期で十分に成長できたと自負していますが、これからも当社のコアバリューで掲げている「顧客満足実現へのマーケットイン(Market-In for Customer Satisfaction)」を意識して、実際にお客さまの意見をしっかりと聞き、どのようなニーズがあるのかを捉えていきます。その上で、確実にサービスに反映し、ビジネスの成長をより牽引していきたいと思っています。

四半期ごとにこのような形式で決算発表しますので、これからも投資家のみなさまに応援していただければと思っています。本日はありがとうございました。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:顧客満足度はどのように上げていくのでしょうか?

回答:当社のコアバリューとして、「Market-In for Customer Satisfaction」というものがあり、最も重要な行動指針と捉えています。

新製品、新機能を開発する際には、常に顧客の声を聞き、社内で議論の上で、どういったものを開発するか、その優先順位等を決めています。そのため、今後ご利用いただくお客さま、すでにご利用いただいているお客さまの双方ともに満足度を高め、新規獲得、解約の維持を図っていきます。

<質問2>

質問:「アゴダ」などのプラットフォームに支払う手数料が高く収益が上がらないため、一部のホテルで自社で集客という動きが出てきていますが、今後影響を受ける可能性はあるのでしょうか?

回答:自社で集客という流れは拡がっており、当社がそれを加速していきたいと考えています。旅行予約サイトでは手数料率が高くなるため、自社(各宿泊施設さま)のサイトから予約いただくほうが宿泊施設の利益率が上がり、持続可能な成長に寄与すると考えています。

「tripla Book」での予約だけでなく、「tripla Boost」や「tripla Connect」等をご利用いただき、自社での集客、予約をさらに拡げていただくことで、旅行業界に貢献していきたいと思います。

<質問3>

質問:中国だと「Alipay」などの支払い(現金不可)ができないとなにも買うことができないのですが、今後日本人が中国渡航の際の通貨決済手段の提供などの計画はありますか?

回答:当社のお客さまである宿泊施設については、今後、「Alipay」「WeChat Pay」による決済手段も順次連携し、ご利用いただけるようにしていく計画です。なお、当社では現在、決済手段と決済シーンの多様化を進めており、「Alipay」「WeChat Pay」との連携といった決済シーンの多様化がtake rateや従量収益の増加につながると考えています。

<質問4>

質問:海外企業の買収の経緯と、それぞれの企業の特徴を教えてください。

回答:きっかけとしては当社の顧問からの紹介や、かねてから取引があったことから発展したこと等があります。各企業ともに、宿泊施設向けにITサービスを開発、販売しているという点は共通しています。

BookandLink社は、チャネルマネージャーというサービスが収益の大半を占め、インドネシアの宿泊施設を主たる販売先としています。

Surehigh社は、予約エンジン、チャネルマネージャー、Webサイトビルダー等を開発、販売しており、台湾の宿泊施設が主たる販売先です。

Endurance社は、予約エンジン等を開発、販売しており、インドネシア、タイ、エジプト等の多地域の宿泊施設を販売先としています。

なお、これまでは各社で開発を行っていましたが、今後は、1プロダクトは1ブランドとして、開発コスト、リソースの効率化を進めていきます。また、インドネシアで開発したサービスを日本で販売する、日本で開発したサービスを東南アジアで販売する等、販路の拡大を行っていきます。

配信元: ログミーファイナンス

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