ステップ Research Memo(2):プロ教師による質の高い指導に定評、神奈川県公立トップ高校で圧倒的な合格実績

配信元:フィスコ
投稿:2024/12/25 16:02
*16:02JST ステップ Research Memo(2):プロ教師による質の高い指導に定評、神奈川県公立トップ高校で圧倒的な合格実績 ■ステップ<9795>の会社概要

1. 事業内容
同社は1975年の創業以来、神奈川県内で小中学生、現役高校生を対象とした学習塾「STEP」を展開し、2016年からは新たに学童保育部門「STEPキッズ」(小学1~4年生)を開始している。2024年10月末時点で、小中学生部門145スクール(うち25スクールはハイレベルな指導を行う「Hi-STEP」)、高校生部門15校、個別指導部門1校、学童保育部門4校、ステップジュニアラボ1校の合計166校を展開している。生徒総数もスクールの新設とともに年々増加し、2024年10月末時点で3.5万人を超える規模となっている。売上高の約80%を小中学生部門で占め、県内の公立進学校トップ19校の合格者数では他塾を圧倒する実績を誇り、その学習指導力の高さと堅実経営に定評がある。

2. 同社の特徴と強み
同社の特徴と強みは、「教師のプロ化による質の高い学習指導」「ドミナント展開と口コミ情報による効率的なマーケティング戦略」「高い収益性・安定性」に集約することができる。

(1) 教師のプロ化による質の高い学習指導
同社は「教師は学習指導のプロでなければならない」という考え方のもと、教師を正社員化し、授業内容の専門化・高技術化に努め、その学習指導力によって高い進学実績を積み上げることを成長基盤としてきた。2024年10月末時点における全教師数743名のうち正社員教師は714名で、そのほか専任講師(フェロー・嘱託職員)21名、非常勤講師8名(うち3名は英語科ネイティブ講師)の構成となっており、正社員比率は96.1%とほぼ100%がプロの教師と呼べる指導体制である。また、教師が生徒獲得のための勧誘活動(電話勧誘やポスティングなど)を行うことなく、学習指導に専念できる体制を整えていることも特徴の1つである。

同社では、各教師が「日々指導技術の研鑽を怠らず、一人ひとりの生徒と向き合い、学力向上に真摯に取り組んでいく」ことを基本方針として、研修会などを定期的に行いながらスキルアップに努めている。具体的には、新人・2年目研修をグループで隔週4時間、個人別に隔週2時間実施しているほか、地域別研修も隔週で金曜日に2時間半、必要に応じてフォローアップ研修や勉強会を隔週で火曜日に2時間実施し、教務力の向上に努めている。

こうした教師のプロ化による質の高い学習指導によって、2024年春の高校入試では神奈川県内の公立トップ19校で2,435名の合格者を輩出し、全塾中でトップの実績を残した。トップ19校のうち16校で、塾別合格者数トップとなり、県内最難関校の横浜翠嵐高校についても2年連続でトップとなった。また、神奈川県の学力向上進学重点校に指定された8校※1で見ると1,320名が合格し、全合格者数の50.9%をステップ生で占めるなど圧倒的な実績を残している。学習指導の質の高さもさることながら、過去の入試問題の分析・対策能力や的確な進学指導力などが高い合格実績につながっている※2。県内の競合大手としては、臨海セミナー、湘南ゼミナール(スプリックス<7030>の子会社)などがあるが、いずれも公立トップ19校の合格者数では同社の半分以下の水準となっており、県内公立トップ校を目指す学習塾としてのブランド力はさらに強固なものとなっている。さらに、「STEP」生徒の通学圏内で男女共学校として最難関と位置付けられる東京学芸大学附属高校(国立)でも、214名(前年比26名増、帰国生と内部進学除く。正規合格者152名は同総数274名の55.5%を占める)の合格者を輩出し、同社によると16年連続で全塾中トップの合格者数になったようだ。なお、公立トップ19校の合格者数が前年比で若干減少したが、2024年は難関校にチャレンジする生徒数が例年よりも多かったことが影響したと見ている。同社は受験指導において、生徒や保護者の希望を最優先に臨む方針である。

※1 学力向上進学重点校:神奈川県教育委員会が、県立高校改革実施計画において、将来の日本や国際社会でリーダーとして活躍できる人材を育成する学校として位置付けた学校。横浜翠嵐、湘南、厚木、柏陽、川和、小田原、横浜緑ヶ丘、多摩の8校が選定されている。
※2 合格率もほかを圧倒している。例えば、横浜翠嵐高校ではステップ生が64.3%だったのに対してその他受験者は44.1%と20%以上の開きがあった。

一方、現役高校生向けの高校生部門について見ると、2024年春の大学受験合格者数は国公立大学で354名(前年比30名増)、早慶上智大学で594名(同134名増)、MARCH及び東京理科大学で2,219名(同227名増)となり、のべ合計では3,167名(同391名増)と過去最高を更新し、最難関の東京大学合格者数も14名(同6名増)と2年ぶりに過去最高を更新した。これら合格者の大半は公立の現役高校生であり、公立高校から難関大学に現役合格できる塾としてのブランド力は年々高まっている。以前は入塾する高校1年生の大半が中学部門のステップ生だったが、最近はステップ生以外の入塾希望者も増加傾向にあり、横浜校ではすべての学年及び全教科で早々に定員に達し募集を打ち切る状況が続いている。

同社が高い合格実績を残し続けている要因として、教務力の高さに加えてチューター制度が有効に機能していると考えられる。チューターとは、高校生の学習や進路、悩みなどの相談を受け、個人に合わせた学習計画や合理的な受験作戦を提案するなど的確なアドバイスを行うスタッフである。高校生部門では各校舎に専任のチューターを1校当たり2~9名配属しており、受験への不安を抱える生徒にとって良きアドバイザーとなっている。また、同社はチューターの機能を小中学生部門の校舎でも数年前から導入しており、窓口業務とチューターの機能を果たすスクールキャストと呼ばれる正社員スタッフを増員している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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