ユーグレナ社、HVO51%混合の次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を開発

配信元:PR TIMES
投稿:2024/12/18 18:48
軽油規格に適合、公道走行可能な混合比率として最高水準を達成

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充)は、軽油にHVO(Hydrotreated Vegetable Oil:水素化植物油、以下「HVO」)51%を混合した次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を開発し、供給を開始します。
このHVOを51%混合した「サステオ」は、軽油規格に適合しており、軽油同様にディーゼルエンジン車の公道走行に使用可能です。

HVO51%混合の「サステオ」イメージ

当社は、気候変動問題の解決を目指すため、日本初となるバイオジェット・バイオディーゼル燃料製造実証プラントを建設・稼働させ、陸・海・空すべての領域において、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)および次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を累計93件以上※1供給してきました。
現在、マレーシアで最大12,500バレル/日(約72.5万KL/年相当)の製造能力を持つバイオ燃料商業プラントの建設・運営プロジェクト※2,3を推進するとともに、将来的なバイオ燃料の需要拡大を支える持続可能な原料の選択肢として、微細藻類由来油脂の大規模生産に関する研究開発に取り組んでいます。
HVOについては、国内におけるさらなる需要拡大に応えるため、国際持続可能性カーボン認証(International Sustainability & Carbon Certification、以下「ISCC」)※4の認定を受けている再生可能燃料供給企業である香港のEcoCeres社とパートナーシップを組んでいます※5。
※1 2023年末時点で93件
※2 2022年12月22日のニュースリリース「ユーグレナ、PETRONAS、Eniの3社、マレーシアにおけるバイオ燃料製造プラントの建設・運営プロジェクトを共同検討」https://www.euglena.jp/news/20221214-2/
※3 2024年7月26日のニュースリリース「ユーグレナ、PETRONAS、Enilive の3社、マレーシアにおけるバイオ燃料製造プラントの建設・運営プロジェクト最終投資決定を完了」https://www.euglena.jp/news/20240726-2/
※4 国際持続可能性カーボン認証:持続可能性および炭素に関する国際認証で、バイオマスや再生材などが持続可能な原料であることをサプライチェーン上で管理・担保する認証制度
※5 2024年11月18日のニュースリリース「EcoCeres社とユーグレナ社 日本における持続可能な航空燃料(SAF)と次世代バイオディーゼル燃料(HVO)の普及促進に関する基本合意書を締結」https://www.euglena.jp/news/20241118-2/

■日本におけるHVO普及の課題点
HVOは、バイオマス(生物資源)原料を水素化処理した燃料(水素化処理植物油)です。ドロップイン燃料※6として、軽油と混合でも単独でも利用することが可能であり、また、石油由来の軽油使用時と比較してCO2排出量の削減効果が高いため、脱炭素社会実現に貢献する燃料として欧州を中心に利用が拡大しています。しかし、100%のHVOは日本の地方税法第144条、いわゆる軽油取引税が定める軽油の密度の下限値を下回るため(図1)、公道走行に使用するためには、この地方税法に基づき、製造承認を受けている施設で軽油と混合して軽油規格に適合させる必要があります。
軽質なHVOは、その混合比率が上がるほど地方税法上の軽油密度に適合させることが難しいため、軽油規格に安定的に適合させるべく、ユーグレナ社はこれまでHVO20%混合の「サステオ」を主として供給してきました。
※6 ドロップイン燃料:エンジン等の内燃機関を改修せずと従来燃料の代替として利用できる燃料

図1:HVOおよび軽油における密度規格イメージ(EN15940規格とは、欧州標準化委員会が定義するHVO等の規格)

■なぜ「51%」なのか
世界気象機関(WMO)によると、2024年の世界平均気温が観測市場過去最高となる見通しで、日本でも自然災害の激甚化や高温障害などによる農作物の不作など気候変動の影響が増してきました。日本は、2030年度までに、2013年度比で温室効果ガス排出量を46%削減する目標を、うち運輸部門においては35%削減する目標を現在掲げており、今後、より運輸部門にCO2をはじめとする温室効果ガス排出量削減への貢献が求められることが想定されます。
当社では、よりCO2排出量削減効果が高く、かつ、軽油規格に適合した燃料の必要性を重視し、高濃度にHVOを混合した燃料の密度をコントロールすることで、軽油規格に適合させたHVO51%混合の「サステオ」を開発するに至りました※7。
なお、HVO51%混合の「サステオ」に使用しているHVOはISCC※4の認定を受けており、国際的にも持続可能な燃料として認められているほか、特定荷主※8および特定輸送事業者※9が、HVO51%混合の「サステオ」を専用で車両に使用する場合、バイオ燃料の混合割合が過半を占めることとなり※10、改正省エネ法※11で提出が義務付けられている中長期計画書※12における「非化石エネルギー自動車※13」として報告することが可能となります。
HVO51%混合の「サステオ」を使用することにより、CO2削減量あたりのコストの低減が可能になり、より効率的に温室効果ガス排出量の削減に貢献でき、脱炭素化が促進されることが期待されます。
※7 HVO51%混合の「サステオ」の製造方法は、当社の知的財産化を目的に特許を申請中
※8 特定荷主:年間輸送量3,000万トンキロ以上の、貨物輸送事業者との契約等により貨物を輸送させている事業者。物流特殊指定(特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法)において、継続的に運送又は保管を委託している場合で、資本金・取引上の地位が物流特殊指定の対象となる荷主企業のこと
※9 特定輸送事業者:国土交通大臣が指定する、自らの事業活動に伴って他人又は自らの貨物を輸送している者及び旅客を輸送している者のうち、輸送区分ごとに保有する輸送能力が一定基準以上(鉄道300両、トラック200台、バス200台、タクシー350台、船舶2万総トン(総船腹量)、航空9千トン(総最大離陸重量))である事業者 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000002.html
※10 経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ法の手引き 荷主編(令和5年度改訂版)」より https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/media/data/shoene_tebiki_02.pdf
※11 改正省エネ法:「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」。非化石エネルギーを含めた全てのエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換を求めるとともに、電気の需要の最適化を促す法律。改正省エネ法では、非化石エネルギーへの転換措置として、前年度の貨物輸送量が3000万トンキロ以上の特定荷主に対して非化石エネルギー転換に関する中長期計画および定期報告の提出を義務化しており、特定荷主のうち荷主専属用輸送および自家輸送に貨物トラックを使用する者を対象に、2030年度における貨物トラックの非化石エネルギー自動車の使用割合を5%とする目標を示している
※12 中長期計画書:特定荷主および特定輸送事業者は、毎年「中長期計画書」を作成して、主務大臣(経済産業大臣+事業所管大臣)に提出する義務がある
※13 非化石エネルギー自動車:EV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、バイオ燃料・合成燃料を使用した車

なお、いすゞ自動車株式会社が栃木工場および藤沢工場で運行するシャトルバスの燃料として、HVO51%混合の「サステオ」を使用し、石油由来の軽油およびHVO20%混合の「サステオ」と同様に走行に問題ないことが確認されています。

当社は、今後も引き続きステークホルダーとともに次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」の普及拡大や技術開発等に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

<株式会社ユーグレナのバイオ燃料事業について>
2024年5月、日本空港ビルデング株式会社と羽田空港におけるエアラインに対するSAFの供給・販売の事業化に向けたサプライチェーン構築を共同で検討する基本合意書を締結。2024年8月、東京都の「バイオ燃料活用における事業化促進支援事業」に選定、日本橋・大手町・丸の内エリアの再開発工事現場の大型重機や人気観光バスでも「サステオ」が使用され、継続的な導入が拡大している。これまで蓄積してきた微細藻類ユーグレナの大規模培養に関する知見や技術を活用し、ユーグレナをはじめとする微細藻類やその他の藻類・植物など、バイオ燃料原料用途のバイオマスの生産・利用の最大化・最適化する研究開発を国内およびマレーシアで推進。バイオ燃料商業プラントを建設・運営するプロジェクトをグローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional BerhadおよびEnilive S.p.A.と共同で進行中のほか、2024年11月にEcoCeresと日本におけるSAFとHVOの普及促進に関する基本合意書を締結し、さらなる「サステオ」の普及拡大に努めている。https://www.euglena.jp/businessrd/energy/

<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの提供、未利用資源等を活用したサステナブルアグリテック領域などの事業を展開。2014年より、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」を、継続的に実施している。https://euglena.jp
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