【質疑応答】株式会社ガーデン(274A) 新規上場記者会見

投稿:2024/12/17 17:30

株式会社ガーデン

会社概要
社名:株式会社ガーデン
設立:2015年12月
事業内容:山下本気うどん、壱角家、肉寿司など幅広いブランドを全国展開する外食チェーン経営。

質疑応答:M&Aによる成長に対する考え方について

質問者:当面は「壱角家」と「山下本気うどん」で成長されるのかなとなんとなく思ったのですが、M&Aを得意とされてきた会社さんにとっては、やはり上場は非常に大きなステップかなと思います。

環境もさらに良くなってくるのかなと思う中で、今後のM&Aによる成長の考え方、これまでのブランドよりも大きなものを狙っていくとか、既存のブランドよりもそういったものを狙っていくとか、もしあれば教えていただきたいです。

川島賢氏(以下、川島):数字のお話については、今のイメージで問題ないと思います。M&Aに関しては、赤字の企業を黒字化する、企業再生型のM&Aをやっています。

もちろん、予算を達成しないといけないということもあるので、M&Aに関しては、赤字の企業を黒字化するのも再生ですが、黒字の企業の黒字を何倍にもするのも再生だと僕は思っています。

かつ、上場企業であればPBR1倍以下の企業もあるので、そういうところを狙えばのれん代もほぼかからないというところで、「赤字だから3年後、見てください」というようなM&Aはしません。「うちが取りかかれば、すぐによくなりますよ」という案件を探す予定です。

ブランドにこだわりは持たずにリーズナブルに買える中で、シナジーはあるか、将来性・展開性はあるか、海外展開もできるか。いろいろな側面があると思うので、その側面の中でいいものがあれば買っていくということを考えたいと思っています。

質疑応答:海外進出について

質問者:先ほど、海外の優良企業と連携して海外へ進出というお話がありましたが、具体的にそういう話は進んでいるのでしょうか? 

川島:当社は渋谷のスクランブル交差点にビル1棟持っていたり、歌舞伎町のど真ん中にあったり、新宿駅前で27店舗構えていて、派手な看板なので、けっこう問い合わせはあるんですね。

ただ、大きい企業からの問い合わせはまだないです。今、そういう会社から声が掛かってきて進めたとしても、当社にはブランド力もなく、非上場だったので、交渉力がないんですよね。

日本の企業で、海外と条件交渉の上手いところは少ないなと思っていて、条件交渉が下手だと、最後に向こうにいいところを持っていかれちゃうんですよ。それだと意味がないんです。

上場して、これからさらにブランド力を高めて、企業価値を高めることで、「日本の外食でとんでもないのがあるぞ」と認知してもらえるようになっていくと、向こうから声を掛けられるチャンスはいくらでもあると思っています。

こちらから声を掛けると、やはり向こうが上ですよね。日本でこれだけの外食産業があるんだと示したいというところで、交渉力をもってして、向こうの優良企業と合弁会社を作りたいです。あくまで僕のイメージですが、力のある企業であれば、やはり国内で展開するスピードがめちゃくちゃ速いと思います。

米国のマクドナルドのFC本部のようなイメージの日本版ですよね。これを日本の企業でやったところって、今まで1社もないんです。日本のブランドで、世界の人たちが知っているブランドって1つもないですよね。だから、うちがそれを作りたいと思っています。

質疑応答:初値に対する感想について

質問者:初値はだいたいどのくらいだったのでしょうか。それに対する感想・印象もうかがいたいと思います。

川島:初値については、証券会社の人から「このくらいかな」というところを聞いていますが、確定の数字は私は知りません。

初値については、他人が評価するわけで、基本的に当社がどうのこうの言う筋合いはなく、それを真摯に受け入れてどう考えるかということしかないので、そこに対して特にコメントはありません。

質疑応答:出店規模のイメージについて

質問者:出店規模の今後のイメージをうかがいたいです。「山下本気うどん」と「壱角家」で200店弱と資料に書いてありますが、出店の規模についてはどんなイメージでしょうか。

川島:上場前・上場直後に急速な展開をして、利益の率や額がピークになって、その後下降していく外食企業が昔から非常に多いなというのが私の印象です。

これからさらに利益率と額を上げていくので、しっかりと利益率と額が残るような出店しかしません。なので、年間だいたい10店舗から15店舗くらいですね。「来年、翌年は何をするんですか」と質問をいただきますが、出店数は変えません。

「じゃあ、成長できませんよね」。いや、成長できるんです。うちには、M&Aがあるんです。 焦らず、しっかりとした店舗の物件を取っていって、今以上の利益率と額を積み上げていって企業価値を高めていく中で、よりいい条件でM&Aをすることは可能だと思っています。それによる成長は将来的に図れると思っています。

質疑応答:上場に対する感想について

質問者:上場できた受け止め・感想をお願いします。

川島:上場に関しては、非常にうれしいですし、感謝もしています。やはり上場は、周りの方々のサポートがないとできないということを、その準備中に本当に実感をしました。今後は、その方々の期待に応えたいと思っています。

ただ、僕、実は自分の誕生日もあまり興味がないくらい、そういうイベントに興味がないんです。もともと、上場よりも上場先のことを考えてずっと計画していて、外食をやっている以上はトップになりたいと思っていました。

だから、上場に対して、ものすごく感動したというのは実はなくて、ありがたいというところと、返していかないといけないなというところが非常に多いです。

上場よりも、上場に向けて準備する中で、今までちょっとやる気がなかった従業員が気持ちを切り替えてがんばってくれたという、変わったところを見るのがやはり一番うれしかったし、感動しました。

そういう意味では、上場は非常によかったなと思います。準備をしてよかったのと、結果を残して上場できたのが非常によかったと考えています。

質疑応答:大事にしている経営哲学について

質問者:経営哲学みたいな、経営上、大事にしていることがあれば教えていただけますか?

川島:僕は経営上の理念をシンプルに考えていて、いつも現場の朝礼でも、「心のあり方と行動だけだよ」という話をしています。テクニックで売上や利益を上げるということは話さないんです。現場には、「笑顔で、ポジティブだけでいいよね」「それ以外考えるな」と。「笑顔でやっていれば売上は上がるから、信じろ」と。毎回、朝礼ではそれしか言っていません。

もちろん、その背景で経営陣が利益を得られる仕組みを作ります。笑顔になって数字が上がる自信があるのは、経営陣がしっかり仕組みを作っているからです。

でも、やはり笑顔と元気があるといいものを呼び込むので、それで本当に売上や利益が上がると従業員は信じてくれますよね。だから、うちは「不平不満を持つのはやめよう」と言ってます。

6年前、会社が潰れそうな時は、ほとんど全員が不平不満だらけでした。文句ばかり。今は、ほとんどいません。不平不満を言わない人ばかりが集まっているので、そういう環境だと言いにくいですよね。非常に質のいい会社になってきたなというのはすごくうれしいですし、シンプルに、「元気で、ポジティブに考えていくだけでいいよね」というところを大事にしています。

あとは、行動ですよね。「元気でポジティブでも、行動できなきゃ意味ないじゃないですか」ということを、現場で話しています。「元気や笑顔だけでは結果は出ないよね」「元気と笑顔は大事なんだけど、一緒に行動してね」「行動に手を抜かないでね」と。「手を抜かなければ必ず自分に返ってくるから」という話をしています。僕はシンプルに、その2つをやっているだけです。

質疑応答:FC募集の現状について

質問者:ラーメンの「壱角家」と「山下本気うどん」の出店余地について、直営とFC、それぞれどう見てらっしゃるのか。特に、「山下本気うどん」はFCの募集を開始されていると思いますが、その現状をお聞かせください。

川島:出店余地に関しては、1都3県中心に乗降客5万人以上の駅、まだまだ空いているところがありますし、新宿だけで現在27店舗を構えているのですが、一切カニバリがないんですよね。

「壱角家」だけでも13店舗ありますが、出店しても出店しても、既存店が減少することはないです。それだけ東京の新宿にはポテンシャルがありますし、渋谷も池袋も同様です。

渋谷・池袋も出店の余地はありますし、新宿も同様にあります。年間10店舗から15店舗ですよと言いながらも、余地が100店舗はあるので、十分すぎるほど余地があると捉えていただいて構わないと思います。

また、フランチャイズに関してですが、実はあまり力を入れていないんですね。というのは、直営で出して儲かっちゃうので、FCに力を入れる必要がないんです。

海外だと時間がないので、ほとんどFC化を進めていますが、国内においては、直営の爆発的な利益が出るような物件を厳選して探すと同時に、フランチャイズについては申し込みがあればというところです。ただ、必ず儲けてもらうというのが信念なので、申し込みをしてくれた人とはしっかりとお話をして、必ず儲けてもらう立地を出してもらいます。なので、増店増店で新規が入ってこなくても、出店はちょこちょこ増えてはいます。

外食業界でも、ガーデンを知っている人、いないんですよ。うちって収益状況、見られないじゃないですか。

だから、たぶん今、外食業界の方々は信じられないと思っていると思います。「ガーデンがそんなに利益を出していたのか」というところはあると思います。実績は信用になりますよね。そうなると、フランチャイズも集まってくると思います。

「山下本気うどん」に関しても、今、ちょこちょこ問い合わせが来ていて、上場承認後、さらに問い合わせは多くなってきています。ただ、地方において、「山下本気うどん」はまだ17店舗で、検証しないといけない部分があります。来月・再来月にオープンする岡山の直営で、きちんと利益が出るのであればフランチャイズとしてお勧めができるようになるので、しっかりと増やしていきたいなと思っています。

特に地方は、ドミナントの中心を強みとしているところがあるので、「本気うどん」に関しては、先月の福岡など、いい加盟のお問い合わせがあれば進めていきたいなと思っています。

質疑応答:株主還元について

質問者:今までにない株主還元をというお話がありました。どういったものをご準備されているんですか?

川島:これについては、決算説明会の時にお話しします。

質問者:配当や優待とはまったく違いますか?

川島:それは、いろいろ考えています。 何が一番、株主の方にいいのか、投資家の方に評価をいただけるのかというところですよね。それはもしかしたら優待券かもしれませんし、配当を増やすことなのかもしれませんし、他のことなのかもしれません。

質疑応答:人手不足への対応について

質問者:先ほど賞与を3倍にするとおっしゃっていたのですが、正社員のほかには、人手不足にどのように対応しているのでしょうか。

川島:「山下本気うどん」は、メディアや女性誌にけっこう取り上げられたり、有名人が来ていただけるので、非常に人気があり、スタッフは集まりやすいんです。

「壱角家」はラーメンで、やはりあまり良くない印象を持たれている方が多いので、非常に人材難で困ってはいますが、今はタイミーさんを非常に活用させていただいています。

タイミーさんはリピート率が6割以上と非常に高いんです。利便性が良かったり働きやすかったり、オペレーションがきちんとできていたり、マニュアルができているからもう一度働きたいという方が多い中で、うちの専属のアルバイトや社員になっていただいたりというところは非常に強いです。

また、うちは新卒よりも中途の採用が多いのですが、大手の外食企業にいた方がけっこう多いんです。みなさんうちに来ると労働環境の良さにびっくりします。古巣の方に声をかけて、どんどん引っ張ってくれるので、そのあたりは、他社にはないうちの強みなのかなと思っています。

また、賞与もどんどん引き上げています。12月は3倍になっているので、みんな絶句をしているんですよね。上場企業の外食系企業で賞与ゼロのところっていっぱいあるんですよ。

僕は何年も前から朝礼で、うちは利益率をトップにしているけど、そのトップにいたる過程の中でそれに近づいてきたら、賞与も必ず2倍3倍にはすると。いついつまでにしますよと約束してきました。

それをすることで、さらに「うちの会社っていいよね」ということで、紹介が増えているという現状があります。

質疑応答:初値に対するコメントについて

質問者:初値に対するコメントをもうちょっといただきたいなと思います。公開価格をやや下回る結果だったと思いますが、その感想などをお聞きしたいです。

川島:初値については、証券会社の方とちょっと出足が悪そうだなというところで話していました。証券会社の方は、初値は初値で一過性のものだよねと、社交辞令で優しくしてくれたんですね。

僕としては、証券会社の営業の方がいたり、やはりそういう初値に期待される方々もいらっしゃるので、そこに関しては、やや責任を果たせなかったのかなという思いもあるのですが、ただ今後上場して、これから決算発表する中で数字を右肩上がりにしていけばいいだけなので。 これは言っていいのか悪いのかわかりませんが、僕は初値が低くてよかったと思っています。

決算説明会の時に、説明どおりの数字だと投資家を裏切ることになると僕は実は思っていて、どこの上場企業でも、初値がすごくいいと決算どおりの数字を出しても株価は下がるじゃないですか。

そこをしっかりとやっていきたいという意味では、右肩上がりで数字をできるだけ、1円でも利益を出していくというところと、事故を起こさないしっかりとした守り。

上場を目指す上で、僕は従業員に、数字よりも一番にするのは守りであると常に言ってきました。利益を重要視するところで守りが少なくなるのであれば、上場をやめたほうがいいよ、とずっと言ってきました。

守りを大事にしながらしっかりと利益を出していき、右肩上がりになっていけるような信用を得られれば、投資家の方は必ずついてきてくれると僕は思っているので、そういう企業になっていきたいと考えています。

質疑応答:高い利益率を実現する方法について

質問者:食料の高騰で、外食企業にとって厳しい状況が続いていると思いますが、その中で利益率をどう高めていくかをおうかがいしたいです。利益率が高いのはなぜなのかと、どうやってそれを実現していたのかを具体的にお話しいただきたいと思います。

川島:現在の高騰に関しては、当社はそれほど高騰の煽りを受けていないのが現状ですが、お米の価格も上がってくるので、そういうところはあると思います。

当社の利益率が高いのは、利益率が高いものしかやらないからです。要は、20ブランドある中から利益率の高いブランドだけを選んで、それしか展開をしない。

またコロナ禍においては、コロナが過ぎた後に駄目になるだろう居酒屋ブランドをすべて躊躇することなく閉鎖しました。それは利益が薄いところ、ブランドを残していても仕方がないというところもあります。

あと、利益が出やすい立地を選べばいいだけですという話もあります。外食は立地ありきなので、利益がいいところを取れば、絶対勝てるんですよ。利益がいい立地にいいブランドが入れば、さらに利益出ますよね。いい立地にいいブランドが入って、従業員のQSCやセールスが良くなれば、さらに良くなりますよね。たったこれだけなんですよ。

物件が悪く、仕組みもない中で従業員が汗水垂らしてセールスをがんばっても、利益はそんなに出るわけがないんですよね。利益が出る土台と仕組みを作った中で、従業員にがんばってもらえたから、うちは外食でトップの利益率が出たんです。それが当社の仕組みです。

当社は事業再生が得意で、いろいろな会社の再生をしてきました。赤字を黒字転換していくと、どんどん良くなってきて、元気も出てきて、その中において、約束したとおりに給料も上げていって、賞与も出すようにすると、社員がどんどん良くなりますよね。

それだけではなくて、当社は潰れそうになって、もう駄目だとなったことが実は創業から5回ぐらいあるんですよ。だからうちは、もう明日がないというぐらいの失敗をしてきたのが強みです。

それに加えて、他社の失敗を見てきた中で6年前にやったのが自社の再生です。いろいろな経営陣を見てきた中で、ノウハウが出来上がったからこそ自社を再生できたり、思いっきりメスも入れることができたと思います。

質疑応答:今後の展望について

質問者:6年前に会長職になった時に、今後のガーデンについてどのようなことを考えていたのか、今後どういう絵を描いてらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。

川島:6年前に戻ってきたのは、やはり責任です。このまま逃げたり、いい事業だけ売却して、ハワイで悠々自適に暮らすこともできたのですが、何のためにやってきたのかなというのがあって。僕はみんなに「人って目的を持っていないとがんばれないよね」と言ってるんです。

6年前に戻ってきた時に、目的をしっかり持って、戻ってきたからにはもう会長にはならないと思いました。僕はこの会社、事業から離れるまでは社長でやると。あと20年ぐらいやれると思っていますが、必ずやると。

社長としてやり遂げるという責任を持つというところと、目的というところでは、1つはやはり、外食産業のあり方、労働環境を良くしたいと思っています。それをするためには何をしなきゃいけないかというと、数字を出さないといけない。

今までの外食企業のあり方でなかったものを一番やりたくて、やりたいために上場をしました。だから上場も数字を出していくのも手段です。

数字が出ないと何もできません。外食業界に恩返しをするにも、数字を出さないと影響力もないし聞く耳も持ってもらえませんから。それをするために手段として数字を出すわけです。その覚悟を持って戻ってきました。

配信元: ログミーファイナンス

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