*15:07JST リアルゲイト Research Memo(7):営業利益年率30%以上、2027年9月期に営業利益17億円を目指す
■中長期の成長戦略
1. 新中期経営計画における数値目標:営業利益を年率30%以上成長
リアルゲイト<5532>は2025年9月期を初年度とし、2027年9月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画をスタートさせた。この計画は、前中期経営計画(2024年9月期〜2026年9月期)をローリングさせたもので、大幅に計画値が上方修正された。具体的には、前中計では営業利益の成長ペースが年率15%前後だったのに対し、新中計では年率30%前後に引き上げた。この背景には、外部要因として不動産ソリューション需要の増加という市況環境の追い風や人的資本の強化に加え、この2年で保有物件の仕入れが順調に進展した結果、ストック型ビジネスの基盤が着実に拡大したことが挙げられる。また、内部要因としては、財務基盤や人的資本が強化され、物件の獲得を積極的に行える体制が整ったことが大きい。
既に獲得済の物件による売上構成が2025年9月期で100%、2026年9月期で90%、2027年9月期で70%と高いため、売上計画達成に向けた確度は非常に高いと言えるだろう。なお、7年後の2031年9月期の営業利益目標は50億円としている。
2. 成長戦略:保有モデルとML大型化を継続、オフィス+ホテルなど新たな企画にも挑戦
同社では中期経営計画の中で、4つの事業戦略を掲げている。
1) 高稼働率の維持(賃料適正化)
2) 高収益物件の新規獲得(大型ML・保有物件)
3) 計画的な保有物件の売買
4) 新たなオフィス需要をとらえた企画の展開(オフィス + ホテル、住居、イベントスペース etc)
「1) 高稼働率の維持(賃料適正化)」に関しては、現在の稼働率が99%以上と過去最高水準となっていることから賃料値上げの余地が大きいと考えられる。今後は多少の稼働率低下を許容しつつ、賃料値上げを進めていく方針である。「2) 高収益物件の新規獲得(大型ML・保有物件)」については、前中計においても重点施策として取り組んできた。今後も1,500平方メート以上の大型ML物件の獲得を目指す。保有物件に関しては、2024年9月期に5物件獲得し、合計で7物件、延床面積8,410平方メートル、満室時の年間想定賃料で合計約6.5億円分を保有する。今後はバランスシートを考慮しながら売却と取得を実施し、ポートフォリオを適宜入れ替えていく方針である。「4) 新たなオフィス需要をとらえた企画の展開」は、新中計で新たに立案された取り組みである。オフィスにホテルや住居、イベントスペースなどを併設する企画などが想定されており、一部は既に具体的な企画が進んでいるという。
3. 建築費高騰、利上げの影響は軽微
建築費の高騰は2022年から顕著になり、2023年までの2年間で約1.5倍の水準に達し、その後も高止まりしている。建築費が高くなると、同社の主戦場である不動産再生事業にとっては、新築開発事業との競争の中では相対的に優位になる。また、同社がドミナント展開している東京都心エリアはスモールオフィス需要が底堅く、仮にコストアップを吸収するために価格転嫁を行っても稼働率に大きな影響は及ばないことが想定される。また同社は通常、計画時には稼働率95%でも利益が出るスキームを組むという。現状の稼働率は99%であるため、仮に何らかの理由で稼働率が数%下がったとしても、十分利益を上げられる。
金利に関しては、2024年7月に、日銀は金融政策決定会合で、政策金利である短期金利(無担保コールレート)を0.25%程度に引き上げることを決定した。不動産業界にとって、金利は大きな影響をもたらす重要な要素ではあるが、これまでのところ利上げ幅は軽微であり、不動産の買い控えや不動産価格の低下などの大きな変化は見られない。上記の稼働率でいえば、一般的には95%以上で稼働している物件に値下げ圧力がかからないと言われており、高稼働率を維持する同社では影響を回避できる余裕がある。また、同社の不動産の買い手は中長期保有を目的とした富裕な企業であり、ローンを組まないで購入するケースも多い。仮に、今後さらなる利上げが行われたとしても、同社のビジネスモデルへのインパクトは、建築費高騰のそれと同様に軽微だろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 新中期経営計画における数値目標:営業利益を年率30%以上成長
リアルゲイト<5532>は2025年9月期を初年度とし、2027年9月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画をスタートさせた。この計画は、前中期経営計画(2024年9月期〜2026年9月期)をローリングさせたもので、大幅に計画値が上方修正された。具体的には、前中計では営業利益の成長ペースが年率15%前後だったのに対し、新中計では年率30%前後に引き上げた。この背景には、外部要因として不動産ソリューション需要の増加という市況環境の追い風や人的資本の強化に加え、この2年で保有物件の仕入れが順調に進展した結果、ストック型ビジネスの基盤が着実に拡大したことが挙げられる。また、内部要因としては、財務基盤や人的資本が強化され、物件の獲得を積極的に行える体制が整ったことが大きい。
既に獲得済の物件による売上構成が2025年9月期で100%、2026年9月期で90%、2027年9月期で70%と高いため、売上計画達成に向けた確度は非常に高いと言えるだろう。なお、7年後の2031年9月期の営業利益目標は50億円としている。
2. 成長戦略:保有モデルとML大型化を継続、オフィス+ホテルなど新たな企画にも挑戦
同社では中期経営計画の中で、4つの事業戦略を掲げている。
1) 高稼働率の維持(賃料適正化)
2) 高収益物件の新規獲得(大型ML・保有物件)
3) 計画的な保有物件の売買
4) 新たなオフィス需要をとらえた企画の展開(オフィス + ホテル、住居、イベントスペース etc)
「1) 高稼働率の維持(賃料適正化)」に関しては、現在の稼働率が99%以上と過去最高水準となっていることから賃料値上げの余地が大きいと考えられる。今後は多少の稼働率低下を許容しつつ、賃料値上げを進めていく方針である。「2) 高収益物件の新規獲得(大型ML・保有物件)」については、前中計においても重点施策として取り組んできた。今後も1,500平方メート以上の大型ML物件の獲得を目指す。保有物件に関しては、2024年9月期に5物件獲得し、合計で7物件、延床面積8,410平方メートル、満室時の年間想定賃料で合計約6.5億円分を保有する。今後はバランスシートを考慮しながら売却と取得を実施し、ポートフォリオを適宜入れ替えていく方針である。「4) 新たなオフィス需要をとらえた企画の展開」は、新中計で新たに立案された取り組みである。オフィスにホテルや住居、イベントスペースなどを併設する企画などが想定されており、一部は既に具体的な企画が進んでいるという。
3. 建築費高騰、利上げの影響は軽微
建築費の高騰は2022年から顕著になり、2023年までの2年間で約1.5倍の水準に達し、その後も高止まりしている。建築費が高くなると、同社の主戦場である不動産再生事業にとっては、新築開発事業との競争の中では相対的に優位になる。また、同社がドミナント展開している東京都心エリアはスモールオフィス需要が底堅く、仮にコストアップを吸収するために価格転嫁を行っても稼働率に大きな影響は及ばないことが想定される。また同社は通常、計画時には稼働率95%でも利益が出るスキームを組むという。現状の稼働率は99%であるため、仮に何らかの理由で稼働率が数%下がったとしても、十分利益を上げられる。
金利に関しては、2024年7月に、日銀は金融政策決定会合で、政策金利である短期金利(無担保コールレート)を0.25%程度に引き上げることを決定した。不動産業界にとって、金利は大きな影響をもたらす重要な要素ではあるが、これまでのところ利上げ幅は軽微であり、不動産の買い控えや不動産価格の低下などの大きな変化は見られない。上記の稼働率でいえば、一般的には95%以上で稼働している物件に値下げ圧力がかからないと言われており、高稼働率を維持する同社では影響を回避できる余裕がある。また、同社の不動産の買い手は中長期保有を目的とした富裕な企業であり、ローンを組まないで購入するケースも多い。仮に、今後さらなる利上げが行われたとしても、同社のビジネスモデルへのインパクトは、建築費高騰のそれと同様に軽微だろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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