*15:04JST リアルゲイト Research Memo(4):リアルゲイトの業務プロセス、収益構造、強み
■リアルゲイト<5532>の事業概要
5. 業務プロセス:企画・設計から運営(ML・PM)まで一気通貫で内製化
同社では、物件ごとにプロジェクトが組成され、プロジェクトリーダーの下に、企画営業(宅建士)、一級建築士、1級建築施工管理士、デザイナー、営業事務などのメンバーが協力して業務にあたる。プロジェクトでは、企画・デザイン、設計・建設、リーシング、運営を一気通貫で行う。特に、同社では「運営」業務の重要性を認識している。入退去理由やクレーム内容等入居者の意見を分析することが良い企画の源泉となるため、早期リースアップと高単価の実現にも寄与している。社員(88名)は精鋭が集っており、一級建築士(5名)、1級建築施工管理士(6名)、宅地建物取引士(47名)が含まれる。優秀な人材の確保・定着のため2024年9月期はベースアップを実施した。
6. 収益構造:先行投資・費用をリーシング稼働率の向上により回収していく
主体となるビジネスモデルである「ML契約」では、契約当初からビルオーナーへの賃料の支払いが発生するものの、入居企業が決まるまでには時間がかかるため空室が発生し損失が発生する。典型例(渋谷区延床面積400坪の築古ビル、以下同様)では、6ヶ月で損益分岐売上に達し8ヶ月でリースアップする。リースアップ後は毎月の粗利は250万円(エンド賃料の25%)が得られる。初期(6ヶ月)の損失は先行投資と考えられ、月次黒字化後は投資を回収し、10年〜15年をかけて収益を得ていくという形である。「保有」に関しては、先行投資がさらに大きくなり、物件価格を除いて考えても、物件取得費用(税金、仲介料など)が3,000万円かかる。また、リノベーション関連の工事・設備費が自己負担になる。一方で、リースアップした際の月額の粗利は月650万円(エンド賃料の65%)と相対的に大きくなる。「保有」は収益性が高いビジネスモデルではあるが、築古ビルでも数億円から数十億円の価格となり、自己資本比率を低下させるため、一時期に取り組める棟数には限界がある。同社では、資金効率を最大化するために、リースアップ後一定期間保有をした物件は売却しMLにつなげている。「PM契約」は、先行投資・費用が発生しないのが特徴である。竣工前には企画・設計・施工を担当でき、リースアップまでの各種支援も収入になる。一方、リースアップ後は月80万円(エンド賃料の8%)と粗利は相対的に低い。
7. 強み:技術力・企画力・運営力により適正価格を実現
同社の強みは、「技術力・企画力・運営力により、適正価格でのサービスを実現する力」と要約できる。「技術力」については、耐震補強をはじめ、エレベーター新設、用途変更、増築、検査済証取得、耐久性の向上など築古ビル特有の問題を解決し、安心・安全に生まれ変わらせることができる。「企画力」に関しては、外観デザインの変更、屋上のスカイテラス設置、ラウンジ設置、館内アート導入などヴィンテージ物件をつくりあげる多彩な共用部と洗練されたデザインのノウハウを蓄積している。「運営力」に関しては、創業以来、PM業務やML業務を内製化し、入居テナントとのコミュニケーションを直接行ってきたことが、顧客満足度の高いサービスの源泉になっている。“適正なエンド価格を間違えないこと”も同社の強みの重要な要素である。同社では坪単価で3万円前後のエンド価格を想定し、その金額から逆算して建築・運営コスト、仕入れ単価を設定する。適正なエンド価格、建築コスト、減価償却費、運営諸経費などをスピーディかつ正確に見積もることで、仕入れの判断も早くなる。築古建築は、古くなった部分をそのまま活用したり、敢えてコンクリートをむき出しにするなど、建築工事費の低減にも有利であることが、適正価格での提供を実現している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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5. 業務プロセス:企画・設計から運営(ML・PM)まで一気通貫で内製化
同社では、物件ごとにプロジェクトが組成され、プロジェクトリーダーの下に、企画営業(宅建士)、一級建築士、1級建築施工管理士、デザイナー、営業事務などのメンバーが協力して業務にあたる。プロジェクトでは、企画・デザイン、設計・建設、リーシング、運営を一気通貫で行う。特に、同社では「運営」業務の重要性を認識している。入退去理由やクレーム内容等入居者の意見を分析することが良い企画の源泉となるため、早期リースアップと高単価の実現にも寄与している。社員(88名)は精鋭が集っており、一級建築士(5名)、1級建築施工管理士(6名)、宅地建物取引士(47名)が含まれる。優秀な人材の確保・定着のため2024年9月期はベースアップを実施した。
6. 収益構造:先行投資・費用をリーシング稼働率の向上により回収していく
主体となるビジネスモデルである「ML契約」では、契約当初からビルオーナーへの賃料の支払いが発生するものの、入居企業が決まるまでには時間がかかるため空室が発生し損失が発生する。典型例(渋谷区延床面積400坪の築古ビル、以下同様)では、6ヶ月で損益分岐売上に達し8ヶ月でリースアップする。リースアップ後は毎月の粗利は250万円(エンド賃料の25%)が得られる。初期(6ヶ月)の損失は先行投資と考えられ、月次黒字化後は投資を回収し、10年〜15年をかけて収益を得ていくという形である。「保有」に関しては、先行投資がさらに大きくなり、物件価格を除いて考えても、物件取得費用(税金、仲介料など)が3,000万円かかる。また、リノベーション関連の工事・設備費が自己負担になる。一方で、リースアップした際の月額の粗利は月650万円(エンド賃料の65%)と相対的に大きくなる。「保有」は収益性が高いビジネスモデルではあるが、築古ビルでも数億円から数十億円の価格となり、自己資本比率を低下させるため、一時期に取り組める棟数には限界がある。同社では、資金効率を最大化するために、リースアップ後一定期間保有をした物件は売却しMLにつなげている。「PM契約」は、先行投資・費用が発生しないのが特徴である。竣工前には企画・設計・施工を担当でき、リースアップまでの各種支援も収入になる。一方、リースアップ後は月80万円(エンド賃料の8%)と粗利は相対的に低い。
7. 強み:技術力・企画力・運営力により適正価格を実現
同社の強みは、「技術力・企画力・運営力により、適正価格でのサービスを実現する力」と要約できる。「技術力」については、耐震補強をはじめ、エレベーター新設、用途変更、増築、検査済証取得、耐久性の向上など築古ビル特有の問題を解決し、安心・安全に生まれ変わらせることができる。「企画力」に関しては、外観デザインの変更、屋上のスカイテラス設置、ラウンジ設置、館内アート導入などヴィンテージ物件をつくりあげる多彩な共用部と洗練されたデザインのノウハウを蓄積している。「運営力」に関しては、創業以来、PM業務やML業務を内製化し、入居テナントとのコミュニケーションを直接行ってきたことが、顧客満足度の高いサービスの源泉になっている。“適正なエンド価格を間違えないこと”も同社の強みの重要な要素である。同社では坪単価で3万円前後のエンド価格を想定し、その金額から逆算して建築・運営コスト、仕入れ単価を設定する。適正なエンド価格、建築コスト、減価償却費、運営諸経費などをスピーディかつ正確に見積もることで、仕入れの判断も早くなる。築古建築は、古くなった部分をそのまま活用したり、敢えてコンクリートをむき出しにするなど、建築工事費の低減にも有利であることが、適正価格での提供を実現している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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