【QAあり】石井食品、成長に向けた投資コスト増で減益 「ミートボール50th」を中心に販売促進の実施で売上高は増収着地

投稿:2024/12/16 15:00

目次

村上樹生氏:石井食品株式会社経理部マネージャー村上です。本日は、会社概要を簡単にご説明した後、2025年3月期第2四半期決算説明についてご報告します。

会社概要

会社概要です。当社は1945年に設立した食品メーカーであり、創業より千葉県船橋市に本社を構え、活動しています。

会社概要

私たち、石井食品は「食」の実験企業であると自負しています。戦後の創業以来、その時代時代に合わせた食の課題に対してビジネスを作ることで、私たち自身の成長を目指しています。

沿革:第一期

沿革です。当社は、もともと佃煮製造から始まった会社です。1945年設立、千葉県船橋市の近くの東京湾で採れた海産物を佃煮に加工するところからスタートし、佃煮メーカーとして、大量かつ安定的においしいものを作りながら成長してきました。1962年には東京証券取引所第二部に上場しました。また、来年の2025年には創業80周年を迎えます。

沿革:第二期

その後、1970年代から「チキンハンバーグ」や「イシイのおべんとクン ミートボール」などの商品開発を行い、この時代に主力商品を佃煮からチルド商品へシフトしました。

沿革:第三期

1990年代に入ると、「食」の安全性の追求を大きく掲げ、食の安全とおいしさをどのように一体化させるかという模索の中から、「無添加調理」という今に至る技術のベースに転向しました。

それとともに原材料履歴管理システムを導入し、すべての情報をお客さまが確認できるトレーサビリティデータのオープン化を行っています。

沿革:第四創業期

現在は第四創業期であり、佃煮からチルド商品に転向したように、今ある商品群を大きく再定義しながら、地域とともに循環していくビジネスモデルの構築を掲げ、さまざまな試みを行っています。

企業理念

現在の企業理念は、「真(ほんとう)においしいものをつくる~身体にも心にも未来にも~」と掲げています。目先の利益だけでなく、本当においしいものを作り続けることが食品メーカーにとって持続的に成長していく道であるという考えのもと、企業活動を進めています。

経営目標

経営目標として「日本一、生産者と地域に貢献する食品会社になる」と掲げています。

「地域と旬」MAP 2024

「『地域と旬』MAP 2024」に記載のとおり、さまざまな地域・生産者とともに課題を解決する地域・季節限定商品などを作りながら、こちらのカテゴリを伸ばしています。

また、スライドには記載していませんが、これらの商品と主力である定番商品において大きなシナジーも生まれています。定番商品についても、懇意にしている地域農家や地域とともに活用を進めていく中で、品質向上を図ることができています。

第4創業期で目指す循環モデル

我々が目指すモデルのイメージです。生産者と我々が協働していく中で、生活者・消費者が生産者と我々を認知し、ファンになり、応援していただくことをビジネスの基軸として、持続可能なモデル作りに取り組んでいます。

主な事業内容

主な事業内容です。本日の決算発表でもお伝えしますが、ミートボールなどの食肉加工品に加え、「地域と旬」と銘打ったさまざまな商材を扱っています。佃煮製造で創業して以来、お重や単品のおせちといった正月料理や冬季の限定商品などを作っています。

また、非常食や食物アレルギー配慮食などを製造できる技術を持っており、こちらもビジネスとして展開しています。

2025年3月期第2四半期-中間決算業績ハイライト

ここからは、2025年3月期の中間決算についてご説明します。

主要の商品は、経常売り上げは堅調で増収はしているものの、コスト面での増加があり前年比で減益という結果となりました。業界の外部環境として、未だに依然として厳しい状況にあります。

景気面では緩やかな回復の動きが国内経済では見られましたが、円安傾向の継続や資源・エネルギー価格の高騰に伴う物価高等インフレは個人消費に著しく影響を及ぼしています。特に食品の業界においては、外食小売り含め、消費者の低価格志向も相まって厳しい状況であると見ています。

そんな中、売上は堅調に推移しています。今回、ミートボールが販売開始から50周年を迎えており、キャンペーンないし販売促進早期策を実施したことにより、売上高は堅調に昨年比で増やすことができました。

一方で、上期に当初の想定を超えたコスト増がありました。中期経営計画で掲げた成長投資及び人的投資を進めているため、人件費と減価償却費の増加は見込みどおりでしたが、運搬費などの経費は想定よりも増加しています。

2025年3月期第2四半期-連結業績

売上高は54億円で前年比2億5,100万円プラスで着地をしました。

一方で、営業利益は8,800万円確保できたものの、前年比3億3,800万円と比較すると2億5,000万円減益しました。

当期純利益は、3,400万円と前年比1億5,500万円の減少となりました。EBITDAについては2億7,000万円を確保しています。

2025年3月期第2四半期‐営業利益

昨年度の営業利益3億3000万円に対し売上が増加しているものの、それを上回るコストの増加がありました。

当初より人員増やベースアップ実施等により増加する見込みではありましたが、残業削減によって増加分のカットを計画していたところ、受注増による工場の生産が逼迫したことにより、当初生産性改善を見込んでいましたが、残業削減に至りませんでした。

減価償却費とエネルギーコスト増加は、期初の見込みどおり推移しています。運搬費は、当初より前年比で増加すると見込んでいましたが、結果的には想定以上の増加となっています。生産が増えたこと等による全国の配送網の整備や臨時配送が運搬費の増加につながっています。

2025年3月期第2四半期‐商品群別実績 ミートボール

ミートボールについてご説明します。

来年は企業の80周年です。ミートボールにおいては、現在、50周年の年を迎えています。

このミートボールから企業の活動を知っていただきたいと思っているため、引き続き積極的に施策を行います。

2025年3月期第2四半期‐商品群別実績 惣菜

惣菜についてご説明します。

常温の惣菜は、今後の可能性を秘めていると考えています。

保存期間が延びることで私たちの製造計画も立てやすくなり、製造工程においてメリットも出てきます。メインのミートボールとハンバーグを含め、常温食への注力は一番大事にしたいと考えています。

2025年3月期第2四半期‐商品群別実績 地域商品

地域商品についてご説明します。

会社全体から見た売り上げのパイや伸び率は、他のカテゴリーより少し見劣りする部分がありますが、地域商品はここ10年かけた取り組みなので、詳しくお話しします。

地域商品は「地域と旬」を掲げている、ハンバーグを中心とした日本の各地域の旬の素材を活かした商品です。今年は単なる販売以外での進展があったと思っています。

コロナ等で中断したこともあるものの、近年は「おおつき タマネギフェスタ」や「まる曽玉ねぎ 収穫祭」等の地域のイベントに、積極的に参加できるようになりました。

継続したことが徐々に根付いてきたというのが、今期の手応えです。

大きな盛り上がりを見せたことで、最初は石井食品と生産者だけだった施策に行政も加わり、より地域一体となって取り組むことができました。地域における取り組みのおかげで、地域に根付いた販売促進ができてきているところが実感できています。

2025年3月期第2四半期‐商品群別実績 非常食

非常食についてご説明します。

企業の福利厚生や、オフィスコンビニの導入による新しい販路の採用、子会社のダイレクトECが好調により、売上高は前年比165パーセント成長という結果になりました。

最終消費者の方々の災害備蓄に対する意識が高まっていることから、インターネット上で非常食の検索が増えており、非常食をはじめとする常温商品の伸びが顕著に表れています。非常食だけではない常温商品は、ローリングストックやアウトドアでの利用など多様な可能性があると見ており、今後強化していく分野です。

2025年3月期‐通期業績予想の修正

前回の予想と期初に出していた予想についてご説明します。

前年比増収減益としていましたが、今回の上期や下期の見通しを踏まえ変更しました。売上高は引き続き好調のため計画を上回った数値を出しました。一方で、上期に売上高を上回るコスト高があり下期も継続の見通しのため、営業利益を下方修正しました。

今後も、修正が必要となった場合は速やかに開示します。

資本政策について

配当方針については、中期計営計画の方針から変わらず継続というかたちです。

基本的に、弊社の株主さまは、長期保有してくださる個人の方が多いです。そのため、サポーターや一番のファンという位置づけで、中長期的な関係を築いていきたいと考えています。

資本政策として安定的な配当に努めながら財務状況とバランスをとることが、私たちの方針になっています。

質疑応答:自己株を活用した販路の拡大について

質問者:少し踏み込んだ内容にはなりますが、自己株9パーセントを活用し、アライアンス提携を結んで販路を拡大するような考えはないでしょうか?

村上:自己株式の活用については、市場に流通している株価と自己株のバランスを見ながら行っており、議論を進めています。

株式報酬での活用やステークホルダーとの連携強化、M&A等も含めて幅広く検討を進めています。

質疑応答:生産設備やITシステムへの投資による変化について

質問者:生産設備やITシステムへの継続的な投資により、どのような変化がありましたか? また、現状どのような変化が見えそうか教えてください。

村上:ITシステムへの投資について、昨年、長く使用していた基幹システムを刷新し、新しいシステムでの運用を開始しました。

当初は「慣れない」や「前の方が融通が利いた」などの声もあがりましたが、今回の刷新に伴い、自分たちの業務や業務フローをあらためて見直す機会になり、効果はあったと思っています。

つまり、使いやすくなって作業時間が減ったと同時に、刷新の過程で見つかった業務の見直しも行うことができたと思っています。

これらを構築してきたIT戦略部を中心に、ITシステムの使用に関わる各部署の従業員をはじめ会社全体でITリテラシーが向上し、よりシステムを使いこなせる体制になった点は、直接数字では見えない、いわゆる人的資本の積み上げとして効果があったと思っています。

質疑応答:夏場に取り組んだ新たなニーズについて

質問者:これまで苦戦傾向にあった夏場は、新たなニーズの取り組みにより良かったということですが、どのようなニーズに取り組めたのかを具体的に教えてください。

村上:まず、2022年までは夏場に売り上げが落ちるということを経験してきました。

2023年は、世の中のインフレや消費者の低価格志向もあり、イベントシーズンに大人向けと子ども向けで夏場のニーズを捕捉できました。

大人向けについてご説明すると、外食ランチの値上がりを受けて、お弁当への需要が高まったことによるニーズを取り込みました。

子ども向けについてご説明すると、これまでの活動の中で、学校は長期休暇に入るものの学童や塾、部活動等、継続した弁当ニーズを新たに発見できました。2023年において、お弁当ニーズの掘り起こしをできたところが、初めて夏場を克服できたポイントです。

2024年は、夏場のお弁当ニーズの取り込みから2年目となるため、夏場のニーズは2023年よりうまくいきました。

また、今年は、社内の営業担当が推奨していた「ミートボール居酒屋キャンペーン」という取り組みが実現しました。ミートボールはお弁当だけでなく、お酒のおともになったりおかずになったりと、夜食のシーンでもニーズがあることをキャンペーンとして推し進めることができたところは大きな1つのポイントです。

さらに、2023年からセブンイレブンのプライベートブランドが始まり「イシイのミートボール」と書かれているPBが全国のセブンイレブンや系列店で公開されています。大人向けのニーズをうまく取り込めていると手ごたえを感じています。

質疑応答:株主個人への手当の検討について

質問者:工場見学やイベントなど、ファンのみなさまに素晴らしい対応をされていると感じています。そういった中で、例えば優待に工場見学を盛り込むといった、株主個人に対しての手当などについて何かご検討があれば教えてください。

村上:優待に組み込む話は株主さまからのご意見などをうかがいながらしっかり検討し、いつかプログラムに入ってくる可能性があります。また、優待ではありませんが、今年、株主さま向けの工場見学を実施しています。

今後も、株主さまとは工場見学等を通じ、リアルでコミュニケーションをとることができる場をどんどん増やしたいと考えています。

工場見学のメニューは人気で倍率はかなり高いのですが、ご要望をうかがいながら組み込むことを検討します。

質問者:工場見学は毎年行っているのでしょうか?

村上:コロナ禍で中断していましたが、今年、工場見学が本格的に復活しました。もう少し安定して運営できるという手応えを感じてから、今後について検討します。

質問者:今回工場見学を訪れた株主さまは、何名ほどでしょうか?

村上:約40名のお客さまにご参加いただきました。

質問者:応募倍率は、大体どのくらいでしょうか?

村上:かなり多かったです。普通枠の工場見学も、例年に対し多く、最大で準備枠に対して約15倍程の応募数でした。

配信元: ログミーファイナンス

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