*12:03JST ティア Research Memo(3):適正な料金プランと高品質なサービスの提供で顧客支持を集め持続的な成長を実現
■ティア<2485>の事業概要
4. 同社の特徴と強み
(1) 同社の特徴
同社の最大の特徴は、「葬儀価格の完全開示化」と「適正な葬儀費用の提示」を行い、旧来の葬儀社の慣習を打ち破ったことにある。このため、葬儀単価については全国平均と比較すると約3割低い水準で推移している。ここ数年の傾向として、核家族化の進行や高齢者の独居率上昇など生活スタイルが変化してきたことや、低価格戦略で展開する葬儀社が台頭してきたことなどを背景に、「一般葬儀」から「家族葬」へシフトし、葬儀単価も全体的に低下傾向が続いてきた。特に、2020年3月以降は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機として、葬儀規模を縮小する動きが一段と強まり、同社のみならず業界全体の平均単価が大きく下落した。ただ、2023年夏以降はコロナ禍の収束とともに参列者数が回復傾向となったこと、また物価の上昇もあって葬儀単価も緩やかながら回復基調となっている。2023年10月~2024年9月における業界平均単価は前年同期比3.1%増の121.1万円となり、同社においても、同期間のグループ直営店の平均単価は同4.5%増の86.9万円に上昇した。平均単価の高い八光殿(100.6万円)や東海典礼(96.0万円)をグループ化した効果で2.7%の押し上げ要因となっており、ティア単体では同1.8%増の84.6万円と業界平均よりも伸び率が小幅にとどまった。これは低価格プランである「ティアシンプル」の構成比が件数ベースで上昇したことが一因と見られる。
出店戦略ではドミナント出店により会館の相互補完性を高め、効率的に認知度向上を図りながら営業エリアを拡大している。1会館の商圏は直径3km、稼働率は約9割を目安としている。会館の基本フォーマットは、建坪150~200坪(平屋1階建て~2階建て)で収容人員100~150人の式場1室(最近は規模に応じて間仕切りできるよう店舗の改修を進めている)に会食ルーム、親族控室を併設したタイプで、設備投資額は150~200百万円、投資回収期間は9~10年が目安となっている。
ただ、最近出店する店舗形態の主流は家族葬専用ホールとなっており、基本フォーマットは建坪60坪(平屋1階建て)、収容人員30人規模の式場1室と会食ルーム、親族控室を併設したタイプとなる。家族葬専用ホールは既存ホールの商圏の隙間を埋めていく格好で出店を進めており、設備投資額は70百万円、投資回収期間は9年を目安としている。
そのほか、2016年9月期より式場の設備を有しない葬儀相談サロンを東京23区内で9店舗出店してきたが、2024年9月末でこのうち7店舗を退店している。都内では土地や家賃が高い一方で、葬儀単価が全国平均を下回る水準であること、火葬場と併設する貸式場が多いことなどから、式場を自社で保有・運営するよりも貸式場を活用した方が効率的に事業を拡大できるとの判断からサロン形式で出店してきたが、東京23区内ではここ数年で民営火葬場の料金が高騰するなど市場がやや混乱していることや費用対効果も鑑みて戦略を見直すことにした。当面は2023年に家族葬ホールで出店した青梅市を中心に郊外でドミナント出店を進めていく。
(2) 同社の強み
同社の強みは、他社に真似のできない人財教育システムにある。「ティアアカデミー」と呼ばれる人財教育システムでは、新卒入社の新人社員に対して入社後6ヶ月間、社会人としての基礎研修だけでなく、セレモニーディレクターとしての教育※、徳育的観点からの「命」や「心」に関しての教育などを実施している。現場配属後も、OJTだけでなく3ヶ月に1度は社長セミナーを受講しており、葬儀業である前に「究極のサービス業」であることを認識し、「ご遺族に対して最高のおもてなし」により「感動」を与えられる社員になれるよう心の教育を行っている。
※ 葬儀の依頼を受ける際の「打ち合わせ」、通夜・葬儀の際の会場設営、ロールプレイング、OJTによる施行立会い。
また、葬儀の専門人材「マスターセレモニーディレクター」の育成プログラムや、社員のスキルに応じた最適な人材配置を行うための客観的な判断基準として社内検定試験を等級別に7段階に分けて実施しているほか、会館運営・経営を担う次世代リーダーを育成するための各種研修を実施している。こうした人財教育システムが同社の質の高いサービスを作り上げており、競争力を支える源泉となっている。なお、同社は人財教育の充実を図るべく教育専用施設「ティア・ヒューマンリソース・センター」を本社隣接地に開設しており、短期間で多数の人財育成を可能としているほか(=新規出店余力の増大)、葬儀業の理解度をより深めることで定着率の向上に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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4. 同社の特徴と強み
(1) 同社の特徴
同社の最大の特徴は、「葬儀価格の完全開示化」と「適正な葬儀費用の提示」を行い、旧来の葬儀社の慣習を打ち破ったことにある。このため、葬儀単価については全国平均と比較すると約3割低い水準で推移している。ここ数年の傾向として、核家族化の進行や高齢者の独居率上昇など生活スタイルが変化してきたことや、低価格戦略で展開する葬儀社が台頭してきたことなどを背景に、「一般葬儀」から「家族葬」へシフトし、葬儀単価も全体的に低下傾向が続いてきた。特に、2020年3月以降は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機として、葬儀規模を縮小する動きが一段と強まり、同社のみならず業界全体の平均単価が大きく下落した。ただ、2023年夏以降はコロナ禍の収束とともに参列者数が回復傾向となったこと、また物価の上昇もあって葬儀単価も緩やかながら回復基調となっている。2023年10月~2024年9月における業界平均単価は前年同期比3.1%増の121.1万円となり、同社においても、同期間のグループ直営店の平均単価は同4.5%増の86.9万円に上昇した。平均単価の高い八光殿(100.6万円)や東海典礼(96.0万円)をグループ化した効果で2.7%の押し上げ要因となっており、ティア単体では同1.8%増の84.6万円と業界平均よりも伸び率が小幅にとどまった。これは低価格プランである「ティアシンプル」の構成比が件数ベースで上昇したことが一因と見られる。
出店戦略ではドミナント出店により会館の相互補完性を高め、効率的に認知度向上を図りながら営業エリアを拡大している。1会館の商圏は直径3km、稼働率は約9割を目安としている。会館の基本フォーマットは、建坪150~200坪(平屋1階建て~2階建て)で収容人員100~150人の式場1室(最近は規模に応じて間仕切りできるよう店舗の改修を進めている)に会食ルーム、親族控室を併設したタイプで、設備投資額は150~200百万円、投資回収期間は9~10年が目安となっている。
ただ、最近出店する店舗形態の主流は家族葬専用ホールとなっており、基本フォーマットは建坪60坪(平屋1階建て)、収容人員30人規模の式場1室と会食ルーム、親族控室を併設したタイプとなる。家族葬専用ホールは既存ホールの商圏の隙間を埋めていく格好で出店を進めており、設備投資額は70百万円、投資回収期間は9年を目安としている。
そのほか、2016年9月期より式場の設備を有しない葬儀相談サロンを東京23区内で9店舗出店してきたが、2024年9月末でこのうち7店舗を退店している。都内では土地や家賃が高い一方で、葬儀単価が全国平均を下回る水準であること、火葬場と併設する貸式場が多いことなどから、式場を自社で保有・運営するよりも貸式場を活用した方が効率的に事業を拡大できるとの判断からサロン形式で出店してきたが、東京23区内ではここ数年で民営火葬場の料金が高騰するなど市場がやや混乱していることや費用対効果も鑑みて戦略を見直すことにした。当面は2023年に家族葬ホールで出店した青梅市を中心に郊外でドミナント出店を進めていく。
(2) 同社の強み
同社の強みは、他社に真似のできない人財教育システムにある。「ティアアカデミー」と呼ばれる人財教育システムでは、新卒入社の新人社員に対して入社後6ヶ月間、社会人としての基礎研修だけでなく、セレモニーディレクターとしての教育※、徳育的観点からの「命」や「心」に関しての教育などを実施している。現場配属後も、OJTだけでなく3ヶ月に1度は社長セミナーを受講しており、葬儀業である前に「究極のサービス業」であることを認識し、「ご遺族に対して最高のおもてなし」により「感動」を与えられる社員になれるよう心の教育を行っている。
※ 葬儀の依頼を受ける際の「打ち合わせ」、通夜・葬儀の際の会場設営、ロールプレイング、OJTによる施行立会い。
また、葬儀の専門人材「マスターセレモニーディレクター」の育成プログラムや、社員のスキルに応じた最適な人材配置を行うための客観的な判断基準として社内検定試験を等級別に7段階に分けて実施しているほか、会館運営・経営を担う次世代リーダーを育成するための各種研修を実施している。こうした人財教育システムが同社の質の高いサービスを作り上げており、競争力を支える源泉となっている。なお、同社は人財教育の充実を図るべく教育専用施設「ティア・ヒューマンリソース・センター」を本社隣接地に開設しており、短期間で多数の人財育成を可能としているほか(=新規出店余力の増大)、葬儀業の理解度をより深めることで定着率の向上に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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