GA technologies、上方修正計画を上回り、売上・利益とも過去最高値を更新 構造改革によるストック収益拡大等が寄与
Our Ambition (私たちの志)
樋口龍氏(以下、樋口):お忙しい中、GA technologiesの通期決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長執行役員CEOの樋口です。
当社の目指すべき姿は「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を生む世界のトップ企業を創る。」です。創業から変わらず、このOur Ambition(私たちの志)を掲げて、10年経営してきました。
私達が取り組む課題と提供価値
当社が選んでいる領域についてご説明します。社会課題が大きく、テクノロジーだけではなく、リアルを融合させていくことによって解決できる領域を事業として選んでいます。不動産領域は大きなマーケットであり、テクノロジーが入っていない最後の領域です。
したがって当社は、不動産にテクノロジーを掛け合わせる、いわゆる不動産テック、プロップテックと言われる領域を取り扱っていることを、投資家の方々には再度ご理解いただきたいと考えています。
テクノロジーが入っていない最後の大きな領域のリーディングカンパニーとして、10年経営をしてきた自負があります。
2024年10月期 通期連結業績
2024年10月期通期の業績についてご説明します。期初予想では売上収益が1,763億円でしたが、上方修正をして1,850億円と目標を掲げていました。こちらをさらに上回るかたちで、約1,898億円の着地となりました。
このような規模で、YoYを約3割取れているグロース銘柄はなかなかないと思います。当社としては、自信が持てる結果だと考えています。
売上総利益の期初予想は273億3,000万円でしたが、上方修正をして300億3,000万円としていました。結果は約307億円の着地と、大きく成長できています。YoYは36パーセントとなり、売上総利益も力強く成長できています。
事業利益は期初予想が33億円でしたが、上方修正をして37億円としていました。結果は40億円の大台と、YoYは87パーセントと大きな成長ができました。
当社グループの連結の売上収益・利益共に最高益を更新し、上方修正した数字をさらに上回る実績で着地できました。
2024年10月期 通期連結業績
前期から新しい指標として、中期経営計画でもネット売上収益とコア事業利益率について出しています。
結果は、ネット売上収益が約318億円、事業利益は約40億円です。その結果、コア事業利益率は12.7パーセントと高い水準を保っています。
ネット売上収益及びコア事業利益率
ネット売上収益とコア事業利益率についてご説明します。当社の第1事業の「RENOSYマーケットプレイス」は、RENOSYというサイト上で売り手と買い手をマッチングするサービスです。
一般的なマッチングプラットフォームと違うのは、1万円や2万円などの低額な商品ではなく、2,000万円、3,000万円、5,000万円、1億円と高額な不動産の取り扱いをしている点です。
商品の在庫を一度、「RENOSYマーケットプレイス」が保有します。その結果、仕入れが発生します。例えば、5,000万円の物件を仕入れると、仕入れたものの売上のグロスが当然計上されます。しかし、当社はあくまでもマッチングがビジネスモデルの前提のため、そちらから得られる手数料である売上総利益をネット売上収益と呼んでいます。
ITANDIはSaaSになります。このITANDIの売上収益とRENOSYマーケットプレイスの売上総利益を足したものが、ネット売上収益という考え方です。そのようなことを投資家の方々に正しく認識していただくのが、大切だと思っています。
そちらの指標で言いますと、コア事業利益率は12.7パーセントになります。中期経営計画で出している数字を達成すると、17.9パーセントとなり、利益率も力強く成長することができています。
2024年10月期 通期業績
グループ連結では、売上収益は前期の約1,466億円から約1,898億円となりました。売上総利益は約307億円、事業利益は約40億円となり、YoYで力強く成長しています。
事業別では、RENOSYマーケットプレイスセグメントの売上収益が前期の約1,431億円から約1,847億円となり、売上総利益が約267億円、事業利益が約88億円となり、YoYプラス29パーセントとなりました。売上総利益がYoYプラス34.8パーセント、事業利益がYoYプラス34.5パーセントで着地しています。
ITANDIセグメントは、売上収益が前期約32億円から約45億円となりました。売上総利益は約26億円から約36億円となり、事業利益は約7億円から約13億円と力強く成長しています。
その結果、売上収益がYoYプラス40パーセント、売上総利益がYoYプラス35パーセント、事業利益がYoYプラス87パーセントと、大きく成長できた1年であったと思っています。
通期業績予想に対する達成率
当社は2018年に上場しました。上場以来7期連続で、売上収益はコミットした数字を達成しています。当社が結果にコミットしてきた表れだと考えています。
事業利益は2021年に一度下方修正しましたが、その後3期連続で計画を大幅に達成し、コミットした利益は3年連続で達成しています。
2021年から、構造改革として収益性をしっかり高めていく取り組みが狙ったとおり進んでいる表れだと考えています。偶然利益が大幅に増加しているわけではなく、計画的に構造改革進めた結果、しっかりと約束を果たして結果を出しています。
マージン拡大に向けた収益構造の転換
計画的に構造改革を行った事例をもう1つご紹介します。マージン拡大に向けた収益構造の転換です。RENOSYマーケットプレイスはマッチングビジネスです。マッチング後の管理が、サブスクリプションになります。こちらがストック収益です。
ITANDIはSaaSの事業になるため、ストック収益です。フローに対してストックの粗利の割合を約25パーセントまで拡大してきました。
スライドに記載とおり、2018年の上場時点ではストック収益はありませんでしたが、現在は約25パーセントに成長しており、人件費のほとんどをストック収益でカバーできるようになってきています。
収益構造の転換を経営として意図的に図った結果、その改善ができており、こちらも自信を持って、みなさまにご説明できる部分だと考えています。
主要イベントの振り返り
期初の方針のとおり、結果を出すことができた1年だと思っています。期初の方針として、グループ全体の収益構造の見える化を図り、収益改革をすると掲げていました。
また、ストックビジネスの拡大による安定的な収益構造の構築や、業績のボラティリティの低減、M&Aを通したノンオーガニック成長とグローバル展開の推進、テクノロジー部門の推進体制の強化を掲げました。
結果は、コア事業利益率は中期経営計画を12パーセント上回る、12.7パーセントで着地しました。ストック型収益は全体の約25パーセントを占めるまでになり、平準化施策により3年連続第1四半期の赤字を、前期は黒字化を達成しました。
M&Aによって、国内では3件、海外では7つの国や地域に進出しています。そして、業界トップクラスのテクノロジーの人財を採用できており、期初の方針はすべて1年で達成することができました。
テクノロジーの推進体制を強化
創業から変わらず「一丁目一番地」として注力しているのは、テクノロジーの推進です。今期から新しく、常務執行役員CTOに後藤、執行役員CDOに奥村、執行役員CPOに熊谷と、それぞれ業界のリーディングカンパニーとして活躍してきた方々がジョインしました。今後も力強くテクノロジーに対して投資を行います。
このような強いテクノロジー体制と、創業から獲得してきたマーケットシェア、唯一無二のデータを活用することによって、今後よりテクノロジーを強化していきます。
生成 AI 活用による不動産投資体験
当社は従来、アナログな不動産業界をデジタル化してきました。だからこそ、短期間で売上高約1,800億円まで急成長できています。
さらに、急成長プラス生産性の向上をテーマに掲げているため、デジタル化から将来に向けてよりテクノロジーを活用し、より生産性があり、効率化したマッチングプラットフォームを作るため、投資をしていきます。
従来人をベースに行っていたものをデジタルに置き換えることによって、効率化と成長を遂げてきました。今後生成AIの活用によって、さらにマッチングを自動化し、より効率性を高め、生産性を上げることで、さらなる成長を実現できると思っています。
重要KPIハイライト
藤川祐一氏:上席執行役員CFOの藤川です。2024年10月期第4四半期業績の詳細についてご説明します。
重要KPIのハイライトです。売上収益・売上総利益共に過去最高益を更新しました。ストックビジネスの粗利が、非常に大きな伸びを見せており、利益率に大きく貢献したのが大きな総括です。
売上収益は約1,898億円となっており、期初目標の20から30パーセントの成長率に入り、YoY約29パーセントの成長と、しっかりと達成しています。売上総利益は約307億円で、YoY約36パーセント成長となり、成長率の目標を上回り着地しました。
ストックビジネス粗利は約78億円で、YoY約85パーセントと大きな伸びとなり、成長率の目標を上回っています。ネット売上収益は約318億円と、YoY約37パーセントと成長率の目標を上回っています。
コア事業利益率は12.7パーセントと、中期経営計画目標の12パーセントを上回っています。中長期的に利益率目標の15パーセントを超えるところに近づいてきており、昨年比でもしっかりとした伸びを見せています。
ノンオーガニック比率は、複数のM&Aがあったため、目標の40パーセントから50パーセントの範囲内で着地しました。
連結業績推移
連結業績推移です。増収増益に加え、事業利益は平準化施策が功を奏し、すべての期が黒字着地しており、期初に掲げたボラティリティの低減を達成できました。
販管費推移
販管費推移です。M&Aの関連費用と業績賞与の支払いが費用計上されており、一過性要因によってQoQで増加しています。
ネット売上収益に占める販管費率は約3年前までは90パーセント台でしたが、80パーセント前半まで大きく改善しています。適切な販管費コントロールが、維持できています。
連結従業員数推移
連結従業員数推移です。直近のマーキュリー社のM&Aの分が加わり、1,487名に増えています。こちらの部分を除くと、実態は横ばいで推移しています。
引き続き、人財採用は非常に選別的に進めているのが、足元の状況です。
ストックビジネス売上総利益推移
ストックビジネス売上総利益推移です。SaaS事業とサブスクリプション共に、業容拡大を果たしています。
連結粗利に占める割合が、安定的に20パーセントを超える状況で、本当の意味で安定収益基盤が構築できた期というのが、こちらの数字を見ていただくとよくわかるかと思います。こちらの水準は、引き続き維持、もしくは上げていくことが基本的な方針です。
重要KPIハイライト
RENOSYマーケットプレイスの業績についてご説明します。会員数は50万人の大台を突破し、結果として成約件数の伸びとともに、サブスクリプション契約件数も順調に拡大し、過去最高益を更新しています。
売上総利益は約267億円で、YoY35パーセントの成長となり、成長率目標の20パーセントから30パーセントをしっかり達成しています。RENOSY会員数は51.9万人と、YoY30パーセントの増加となっています。
サブスクリプション契約件数は3万2,000戸を超え、YoYで約1万4,000戸とかなり大きな伸長がありました。まさにM&Aの寄与が大きく、今後も安定的に伸ばしていければと考えています。
購入DX成約件数は1,862件で、YoYは微増となりますが、1件あたりの取引価格が大幅に伸びています。件数ベースで見ると伸びが若干鈍化しているように見えますが、売上を見ると伸びているのがわかり、成長全体には懸念はないというのが足元の状況です。
売却DX契約件数は846件となっています。以前からお伝えしていますが、売却の成約件数を購入DX成約件数で割ると、約4割になります。こちらを直接調達比率と呼んでおり、約4割が手数料を省ける取引になっています。こちらが利益率の改善に寄与し続けているため、引き続き比率を上げていきたいと考えています。
アセットプランナー数/ARPAは11億円を超え、昨年比でもしっかりと金額を上げています。こちらは、当社が日々努力している生産性の向上、特にテクノロジーを使ったマッチング率の向上などが数字に表れてきていると、ご理解いただければと思います。
業績推移
全体の業績推移です。商品ラインアップの拡充やストックビジネスの拡大により、粗利・事業利益共に増大しています。
業績推移
業績推移です。オンライントランザクションは増収増益となっており、サブスクリプションは売上・粗利共に堅調に推移しています。
海外も、赤字幅がしっかり縮小してきており、我々の計画どおり推移しています。
売上総利益推移
売上総利益推移です。こちらもかなりプロダクトの拡充が計画的に進んでおり、いろいろなプロダクトが増えていくことで堅調に伸びています。
各プロダクトの利益幅も、スライドのグラフのとおり、徐々に厚くなってきています。したがって、引き続き各領域を伸ばしつつ、お客さまの幅広いニーズに応えながら、利益も伸ばしていければと考えています。
RENOSY会員ストック数推移
RENOSY会員数については、特に認知度拡大施策の積極推進が寄与し、50万人の大台を突破しました。
サブスクリプションKPI推移
サブスクリプションKPI推移です。オーナー数、サブスク契約件数共に、増加基調を維持しています。
特に、オーナー数はYoYプラス107パーセント、サブスクリプション契約件数もYoYプラス82パーセントと、非常に大きな伸びとなっています。
購入DX、売却DX成約件数推移
購入DX、売却DX成約件数推移です。取引件数の伸びは若干穏やかになっていますが、一件あたりの取引金額の上昇により、引き続き高い成長率を維持しています。
なお、売却DXの取引件数が好調に推移しており、粗利率向上に寄与しているポイントとなっています。
重要KPIハイライト
ITANDIの業績をご説明します。直近M&A企業の連結取り込みにより、顧客数、プロダクト数、ARRが大幅に伸長しています。
ARRは、今期末が約45億円、YoYプラス72パーセントの成長で、期初に掲げた成長率の目標30パーセントから40パーセントを上回るかたちで着地しています。
累計顧客数についても、4,503社でYoYプラス55パーセントの成長となっています。導入プロダクト数も同様に、1万3,144プロダクトでYoYプラス55パーセントの成長です。チャーンレートは0.37パーセントで、引き続き良好な水準を維持しています。
ユニットエコノミクスは40.8倍で、昨年対比で見ても非常に高い水準を維持できているとして、我々の考えているビジネスモデルが、しっかりと数字に表れていると思います。
ITANDI BBについては、PV数が1,101万PVで、ネットワーク効果が大きく表れるかたちとなってきています。
業績推移
業績推移は、売上・粗利共に計画を大幅に達成しました。セグメント利益は、YoYプラス349パーセントと大きく伸長しています。
ARR推移
ARR推移についてです。既存事業の成長と、マーキュリー社のM&Aがしっかり寄与しており、ARRはYoYプラス72パーセントの成長で、順調に拡大しています。
顧客数および導入プロダクト数の推移
顧客数および導入プロジェクト数の推移です。導入プロダクト数の着実な拡大により、3プロダクト以上の導入社数が約62パーセントと高い水準を維持できています。
SaaS KPI推移
その結果、不動産賃貸および売買の両領域で、販路の拡大も進んでおり、MRRについてもYoYプラス71パーセント成長しています。
売上総利益も同様に、YoYプラス56パーセントの成長を果たしています。
チャーンレート推移
チャーンレートは、直近12ヶ月平均0.37パーセントで、引き続き改善基調を維持できています。
その他指標
ITANDI BBのPV数並びにライフラインサービス数共に、前年同期比で堅調に推移しています。こちらもネットワーク効果が十分に発現するところまで伸びており、今後も引き続き数字を伸ばしていければと考えています。
① GAグループが目指す10年後の世界
樋口:中長期の成長戦略に関してご説明します。今一度ご理解いただきたいのが、不動産という100年前、200年前からある大きなマーケットについてです。
「テクノロジーで世の中が変わっていない領域はあるでしょうか? まだアナログな領域が思い浮かびますか?」と尋ねると、おそらく確実に不動産領域はまだアナログだろうと、みなさまが考えると思います。
ただし今後、5年、10年、20年と考えた際に、AIとテクノロジーが進化した中で、変わらない業界は絶対にありません。そこで、我々がこの大きな不動産マーケットをテクノロジーで変えていきます。
日本の不動産領域の中で、プロップテック、不動産テックにおいて、本当の意味で推進している企業が思い浮かぶかというと、おそらく我々のグループが真っ先に思い浮かぶのではないかと思います。
それでは、我々がどのような世界を作り、作られていくのかを考えてみると、不動産会社は12万社ありますが、それぞれ賃貸や管理、売買のみ、デベロップメント、投資の5つに分かれます。
この5つに対して、我々は全グループ合わせて、SaaSでプロダクトを提供しています。この5つの領域すべてにプロダクトを提供できている唯一の企業群が当社だと思います。
したがって、12万社の生産性、世の中にイノベーションを起こしていく部分では、我々がその一端を担っています。我々が12万社の不動産会社に対してテクノロジーを導入していくことにより、結局は消費者の体験が変わっていきます。
① GAグループが目指す10年後の世界
今までは対面、アナログで不動産の取引が行われていましたが、RENOSYを通して、テクノロジーですべてITに置き換わります。
テクノロジーで変わらなかった領域は1つもありません。我々が対面で行っていた部分をデジタルに置き換え、ワンクリックで不動産の売買ができるようにテクノロジーを活用し事業を推進しています。
それが5年後、10年後にテクノロジーの進化はさらに進みます。そして我々が目指す不動産、本当にワンクリックで売買できるように推進しています。
そのため、変わらない業界はなく、我々はこの最後の大きなマーケットに取り組んでいるとご理解いただきたいと思います。
その中でもう少し具体的にご説明します。我々がユニークな部分として、スライド左側の図のとおり、RENOSYは不動産投資のマッチングプラットフォームです。
RENOSYでマッチングした後、スライドの図の丸の中に「RENOSY ASSET MANAGEMENT」と記載していますが、こちらは、プロパティマネジメントを行っており、不動産投資をマッチングしただけではなく、その後の管理を預かるストックビジネスを行っています。
RENOSYの円の横には、ITANDIの円があります。ITANDIがお客さまに提供している一番大きな主要顧客は管理会社です。その管理会社に対し、SaaSでプロダクトを提供しています。
したがって「RENOSYマーケットプレイス」では不動産売買のマッチングをし、そこでマッチングした物件の管理を預かり、そのノウハウをITANDIを通してSaaSで管理会社に提供しています。
つまりそれぞれの事業はつながっているわけです。そのため「RENOSYマーケット」プレイスでマッチング件数が増えるほどサブスクリプションの預かり件数が増え、さらに預かり件数が増えるほどそこに我々のナレッジが溜まり、ITANDIを通して他の管理会社にプロダクトを提供していきます。
このようなかたちで、着々と円が大きくなるというのが、我々の事業におけるユニークな部分です。
みなさまご存知のように、一般的にSaaSの企業は基本的にSaaSのみ、もしくはマーケットプレイスを運営している会社はマーケットプレイスのみ事業展開しています。しかしながら我々はマーケットプレイスとSaaSを両方行っていることがユニークなポイントです。
② RENOSYマーケットプレイスのビジネスモデル
「RENOSYマーケットプレイス」の成長戦略です。デジタルマーケティングにより年間で約10万人の会員が増え、現段階の会員数は51万人です。
当然、年々獲得数は増え、RENOSYの認知度は上がります。結果的に、「取引量の拡大」につながり、いわゆるマッチングの規模は、約1,800億円まで拡大しました。
したがって、RENOSYマーケットプレイス事業の売上収益が、一般的なマッチングプラットフォーム事業におけるGMVの部分です。この10年で、「toC」サービスでGMVが1,000億円を超えるプロダクトは日本でほぼ生まれていないのではないかと思います。
我々が10年で、1,000億円、約2,000億円を超えるようなマッチングプラットフォームを作ることができた理由の1つに、デジタルマーケティングやテクノロジーで効率的なマッチングプラットフォームであるRENOSYを作ったことが挙げられます。それにより、取引量が拡大しています。
その結果、サブスクリプションで、オーナーから管理を預かることがストックになります。現在、海外も含めて3万2,452戸を管理しています。それが、「流通量の増加」につながります。それはなぜかというと、この3万2,452戸は、いつか売却に回るからです。
「RENOSYマーケットプレイス」のネットワーク効果と、エコシステムは、完成に近づいています。
会員が51万人おり、その結果、取引量が拡大、預かり戸数も3万件を超え、そして、我々の「RENOSYマーケットプレイス」には3兆円の物件が集まっています。
このように、我々のネットワーク効果が確立し、好循環モデルとなっています。売り手と買い手が集まっている状態を作れており、我々の強固なビジネスモデルが構築できているサイクルです。
② RENOSYマーケットプレイス 中長期戦略
その結果、売上総利益率拡大の効果があります。具体的にご説明すると、1つ目が商品ラインアップの拡大です。
不動産の中で投資といっても、新築や中古、アパートや戸建てなど、さまざまな商品があります。したがって、「RENOSYマーケットプレイス」は、商品ラインアップを拡大することで、売上総利益が上昇しています。
2つ目が市場シェアの拡大です。これはネットワーク効果でお伝えしているとおりです。
3つ目が認知度の拡大による成約率の上昇です。結果、売上総利益率が上昇しています。
2つ目は売上総利益だけではなく、販管費率も低減されています。販管費率低減の理由が、リピート顧客の増加による人件費の削減です。「RENOSYマーケットプレイス」には、国内で2万5,000戸を預かっており、そしてそのオーナーがいます。
そのため、一度顧客になるとリピートし、「RENOSYマーケットプレイス」内で売却、そしてまたリピートすることで、広告費の削減へもつながります。
販管費の低減により、結果的に利益率、利益額の拡大だけではなく、利益率の拡大につながっています。したがって、RENOSY、連結を通しても、利益額だけではなく、利益率が向上しているのは、「RENOSYマーケットプレイス」が強固なビジネスモデルにつながってきている理由です。
当然、認知度が上がり、商材が増えると、加速度的にその部分は固定費が下がり、収益性が上がっていくため中期経営計画で公表をした部分にもつながります。これらがRENOSYの考え方です。
③ ITANDIのビジネスモデル
ITANDIにおいても、この1年で売買領域の参入により、Housmart社と経営統合しました。
スライド左側に記載したカバー領域という意味では、バーティカルSaaSの特徴、要は業界特化のSaaSの特徴は、1社に対して深く、複数のプロダクトを入れられるということです。1社に深くプロダクトを導入していくため、その結果、ホリゾンタルと違い、マーケティングコストがかかりません。
そのため、YoYプラス30パーセントを超える成長を遂げている、SaaSにもかかわらず現在、利益が出ています。それは投資を止めているため、利益が取れているわけではなく、バーティカルSaaSの特徴です。したがって、今までITANDIは賃貸の中でプロダクトを増やしてきました。
事業領域の拡大で、Housmart社との経営統合により、今度は売買領域で、ITANDIの賃貸のように、プロダクトを増やしていくことが1つ目の戦略です。
スライド右側、2つ目の戦略として、マーキュリー社と経営統合しました。これは不動産のデータを扱っている会社です。我々の成長戦略として、スライドの図に記載のとおり、導入社数が増加していきます。
そして2つ目、ITANDIのプロダクトシェアが高まります。その結果、ITANDIのプロダクト利用数が増え、ITANDI BBの掲載数とPV数が増加します。
先ほど、RENOSYマーケットプレイスとITANDIのSaaSを両方行っていることがユニークだとご説明しました。そして、ITANDIの中でも、SaaSとマーケットプレイスの両方を事業として行っています。
それが、4つ目のITANDI BBです。これは不動産で、管理会社が物件を掲載し、仲介会社が空き情報を見るマーケットプレイスです。
SaaSの利用が伸びるほど、マーケットプレイス内での物件数が伸びるため、閲覧数も増えるというかたちです。これもグループでもそうですし、ITANDIの中でも、SaaSとマーケットプレイスを両方運営しています。これがより強固なビジネスモデルにつながっている理由です。
③ ITANDI 中長期戦略
SaaSの成長戦略は、スライドに記載のとおりです。我々エンタープライズの市場シェアは6割から7割となっています。したがってエンタープライズでは今後、さらに市場シェアを高め、既存顧客に対するアップセルをしていきます。
SMBの戦略に関しては、プロダクトのクロスセル・アップセルです。これは賃貸と売買を両方行っている企業もありますし、マーキュリー社が売買仲介のお客さまにプロダクトを提供しています。
そのため、「PropoCloud」のクロスセル、賃貸と売買を両方行っている企業に対するクロスセル、そしてさまざまな商品のアップセルを通して、SMBに対するCACを下げることにより、LTVの最大化を図るという、全方位の戦略を取っています。
④ 海外事業のビジネスモデルと収益イメージ
海外の考え方についてです。我々の海外事業における戦略として、安定的なストック収益をベースに、フローで高い成長を狙っていきます。
米国のRenters Warehouseにおける、米国のプロパティマネジメントという安定的な収益の上に、RENOSYとのシナジーにより、投資家が海外の不動産にも投資していきます。
このように、ストックで安定収益を上げながらも、フロー並びにシナジーにより高い成長を遂げていきます。これが海外事業のモデルです。
④海外事業領域の拡大の軌跡
その結果、海外においては、2022年で売上収益が2.5億円だったものが、前期終わった時点で37億円と高い成長も遂げることができています。
中期経営計画2026の位置づけ(2024年6月13日公表分)
今期の事業利益は60億円になり、2026年は大台の100億円を目指しています。
中期経営計画2026(2024年6月13日公表分)
事業利益は、2023年10月期の実績は2,180億円でしたが、2025年10月期は60億円と計画しています。
2026年10月期は、売上収益が3,230億円、事業利益が100億円を計画しています。これに関しては中期経営計画ですので、コミットしている数字です。
中期経営計画2026(2024年6月13日公表分)
コア事業利益率というかたちで表すと、今期がネット売上収益423億円に対して事業利益が60億円です。したがって、コア事業利益率が14.2パーセントです。
2026年にはネット売上収益が559億円、事業利益100億円になりますので、コア事業利益率が17.9パーセントと、非常に高い数値になります。
中期経営計画2026の基本戦略及び位置づけ(2024年6月13日公表分)
ネットワーク効果によって粗利が上がり、販管費も低減していきます。
これはRENOSY、ITANDI共にネットワーク効果が働いているという、強いビジネスモデルを構築できているからこそ、この数字にコミットしています。
中期経営計画 2026 RENOSY マーケットプレイス(2024年6月13日公表分)
各セグメントでは、RENOSYにおいては、2023年から含めるとCAGR30パーセントの売上収益を上げていきます。事業利益に関しても、CAGR36パーセントと高い成長を目指しています。
中期経営計画 2026 ITANDI(2024年6月13日公表分)
ITANDIにおいても、2026年時点では売上収益84億円、日本でもSaaSの事業者として100億円を超える会社は、まだまだ10社前後というところまで成長を遂げることができるかと考えています。
事業利益は約2.1倍のCAGR28パーセントの15億円近い収益も出しながら、トップラインも4割成長というのは、我々としては自信を持っている部分です。
中期経営計画の達成に向けた生産性向上施策
今回、新たな指標として、我々は、生産性の向上をキーワードに、第2の構造改革を行っています。
今まではトップラインを上げながらも、しっかり事業利益を出してきました。ここに関しては、コミットした数字を達成できていると思っています。
さらに、我々が飛躍するためには、1人あたりネット売上収益にもコミットしていきたいと思っています。2026年10月期には、1人あたりネット売上収益が3,000万円になる目標です。
コーポレート部門の生産性においても、2024年10月期の11.4パーセントから、2026年10月期は10パーセントに低減していきます。
中期経営計画の達成に向けた生産性向上施策
どのように実現するかは、先ほどのテクノロジー人財を中心に、テクノロジーによって生産性を上げていくことに、コミットしていきます。
現に2025年10月期、2026年10月期を含め、計画で生産性を上げていく目標になっていますので、ここにもコミットしていきます。
販管費率においても、2024年10月期の83パーセントから、2026年10月期には80パーセントという目標を掲げています。
中期経営計画の達成に向けた生産性向上施策
人件費率においても、2024年10月期の29パーセントから、2026年10月期には25パーセントへと低減を図ります。
広告宣伝費率も、ネットワーク効果により2024年10月期の17パーセントから、2026年10月期には約15パーセントまで下がっていくことが、我々として目指している姿です。
ネットワーク効果が高まりにより成約率の向上を図り、また、商品ラインアップを拡大していきます。それにより、広告宣伝費率を下げていくことを計画しています。
中期経営計画2026 進捗状況
中期経営計画に対する進捗率は、基本的にコミットしたところの約3割を達成しています。遅れている部分に関しても、達成可能だと思っています。
2025年10月期 業績予想
今期の業績目標はネット売上収益423億円、成長率は3割です。この規模で3割は、なかなかないのではないかと思います。
トップラインの成長だけではなく、事業利益に関しても今期も成長していきます。したがって、2025年10月期も47.9パーセントと高い成長率を目指していきます。
その結果、コア事業利益率に関しては14.2パーセントというかたちで、トップラインも上げながら、事業利益の拡大を図りつつ、生産性も上げることによって、コア事業利益率のアップにもつながると思っています。
2025年10月期 通期連結業績予想
2025年10月期の「RENOSYマーケットプレイス」の売上収益は2,400億円、売上総利益は357億円、セグメント利益は121億円と予想しています。
ITANDIの売上収益は59億円で、前期の45億円に比べて30パーセントの増加を見込んでいます。売上総利益は48億円で、前期の36億円に比べて32パーセント増加と、力強い成長を目指していきます。
2025年10月期の見通し
2025年10月期の見通しの詳細は、スライドに記載のとおりです。大枠の方針としては、ネットワーク効果の拡大により、プラットフォームとしての地位を確立します。そしてさらなる利益成長を目指します。
また、中期経営計画の達成に向けた新たな指標として、1人あたり生産性を、テクノロジーを活用したことにより、さらに高めていきます。
したがって、マーケットシェアを拡大し、利益額を拡大しながらも、利益率の向上にコミットする1年にしていきたいと思っています。
RW OpCo 着実な利益創出体質への転換に向けた戦略
米国の事業に関しては、今期含めてブレークイーブンに持っていきます。フランチャイズの企業のM&Aや生産性の改革をベースに、RENOSYとのシナジーも掛け合わせていくことによって、ブレークイーブンを目指していくのが今期の戦略になります。
まとめると、テクノロジーが入っていない領域はありません。そして、最後の大きなマーケットが不動産です。
我々はこの10年、着実にRENOSY、ITANDI共にシェアを高め、マーケットプレイスとして強固になってきています。それをさらに加速していくために、前期はテクノロジーの体制をさらに強化しました。
2026年10月期のビジョン達成をより強固なものにし、生産性を上げ、この業界にイノベーションを起こすために行っていることを、今一度、投資家のみなさまにもご理解いただきたいと思っています。
長くなりましたが通期の決算発表は以上とします。ありがとうございました。
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