*16:06JST RIZAP-G Research Memo(6):巡航速度での出店と会員数の伸び
■chocoZAPの達成とKPI
1. 店舗数と会員数
RIZAPグループ<2928>では、chocoZAP事業の進捗を随時開示している。店舗数においては、2022年3月期末に16店舗(テスト店舗)、chocoZAPブランドを本格展開し始めた2022年7月に77店舗、2023年3月期末に479店舗と順調に店舗数を伸ばしてきた。2024年3月期末に1,383店舗となり、月間約75店舗のペースで出店したことになる。出店ペースはやや落ち着いてきてはいるが、2024年11月14日には1,755店舗に達して増え続けている。出店を続けられる背景としては、基本的に無人オペレーションであり、人材投資が伴わないビジネスモデルである点が大きく寄与している。会員数の伸びも止まらない。2022年11月には10万人を突破し、2023年3月末に35万人、2023年5月に55万人、2023年11月14日には101.0万人となり、エニタイムフィットネス(80.7万人、2023年12月末)、カーブス(80.9万人、2023年11月末)を抜いてフィットネスクラブの会員数で日本一を達成した。さらに、2024年2月14日時点では112万人、2024年8月15日に127万人、2024年11月15日に130万人と順調に会員数が積み上がっている。会員数の順調な成長には、入会数の伸びとともに退会数の抑制が順調に推移していることも寄与している。chocoZAPの退会率は、ブランドを開始した2022年7月を1.00とした時の指数で2024年9月に0.96と抑制できており、顧客満足度が高く、顧客がトレーニングを継続していることが窺い知れる。
2. 本格参入から1年5ヶ月で市場シェア1位を達成
chocoZAP会員は約130万人(2024年11月15日時点)であり、この数字は国内フィットネス市場会員数上位5社のシェアで30%を超え1位である。フィットネスジム市場への本格参入から1年5ヶ月で会員数日本一を達成し、その後も会員を増やし続けている。RIZAPのブランドを生かして事業を軌道に乗せ、早期に「ちょいトレ市場」においてデファクトスタンダードを確立したことで、参入障壁を確立したと言える。今後は、事業モデルを模倣するプレーヤーが現れると予想されるが、導入しているサービスが多岐にわたっていることや、全国1,755店舗というスケールメリットによるコスト競争力などの様々な観点から、集客力や収益性の点でchocoZAPに追い付くのは至難の業だと弊社では考えている。
3. 単月黒字化6ヶ月目の優れた収益モデル
同社では、1店舗を出店してからの平均的な収支を開示している。2022年9月に開示した平均モデルでは、出店から約3ヶ月で単月黒字化し、約18ヶ月で累積投資を回収するというものだった。一般的な店舗ビジネスでは累積投資の回収期間は3年から5年を目安にする場合が多く、それと比較すれば、早期回収ができる事業モデルと言える。その後ビジネスモデルの改善を積み重ねており、出店直後の投資(広告、スターターキットなど)や各種サービスを強化することで、単月黒字化が6ヶ月目、累積投資の回収期間が14ヶ月目という平均モデル(2024年3月期第4四半期実績)が最新である。サブスクリプション方式であるため、退会率を一定以内に抑制できれば店舗当たりの会員数を積み上げることで2年目以降の収益性はさらに上がることになる。
既述モデルから、新規店舗(単月黒字化前店舗、出店から5ヶ月目まで)の比率が多いフェーズは赤字が先行し、既存店舗(単月黒字化済店舗、出店から6ヶ月目以降)の比率が多くなると黒字となる。実際にchocoZAP事業全体の収支は、既存店比率が過半となった後の2023年12月に損益分岐点を超え、月次黒字化を達成した。今後、出店ペースを大幅に加速することは考えにくいため、1店舗当たりの会員数が上限に達するまで利益が積み上がることになる。なお、同社では既存店の品質向上への投資を計画・実施しており、一時的に利益水準が下がることが想定されている(2025年3月期上半期)が、巡航軌道に復帰すれば高い収益性を維持できるビジネスモデルと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 店舗数と会員数
RIZAPグループ<2928>では、chocoZAP事業の進捗を随時開示している。店舗数においては、2022年3月期末に16店舗(テスト店舗)、chocoZAPブランドを本格展開し始めた2022年7月に77店舗、2023年3月期末に479店舗と順調に店舗数を伸ばしてきた。2024年3月期末に1,383店舗となり、月間約75店舗のペースで出店したことになる。出店ペースはやや落ち着いてきてはいるが、2024年11月14日には1,755店舗に達して増え続けている。出店を続けられる背景としては、基本的に無人オペレーションであり、人材投資が伴わないビジネスモデルである点が大きく寄与している。会員数の伸びも止まらない。2022年11月には10万人を突破し、2023年3月末に35万人、2023年5月に55万人、2023年11月14日には101.0万人となり、エニタイムフィットネス(80.7万人、2023年12月末)、カーブス(80.9万人、2023年11月末)を抜いてフィットネスクラブの会員数で日本一を達成した。さらに、2024年2月14日時点では112万人、2024年8月15日に127万人、2024年11月15日に130万人と順調に会員数が積み上がっている。会員数の順調な成長には、入会数の伸びとともに退会数の抑制が順調に推移していることも寄与している。chocoZAPの退会率は、ブランドを開始した2022年7月を1.00とした時の指数で2024年9月に0.96と抑制できており、顧客満足度が高く、顧客がトレーニングを継続していることが窺い知れる。
2. 本格参入から1年5ヶ月で市場シェア1位を達成
chocoZAP会員は約130万人(2024年11月15日時点)であり、この数字は国内フィットネス市場会員数上位5社のシェアで30%を超え1位である。フィットネスジム市場への本格参入から1年5ヶ月で会員数日本一を達成し、その後も会員を増やし続けている。RIZAPのブランドを生かして事業を軌道に乗せ、早期に「ちょいトレ市場」においてデファクトスタンダードを確立したことで、参入障壁を確立したと言える。今後は、事業モデルを模倣するプレーヤーが現れると予想されるが、導入しているサービスが多岐にわたっていることや、全国1,755店舗というスケールメリットによるコスト競争力などの様々な観点から、集客力や収益性の点でchocoZAPに追い付くのは至難の業だと弊社では考えている。
3. 単月黒字化6ヶ月目の優れた収益モデル
同社では、1店舗を出店してからの平均的な収支を開示している。2022年9月に開示した平均モデルでは、出店から約3ヶ月で単月黒字化し、約18ヶ月で累積投資を回収するというものだった。一般的な店舗ビジネスでは累積投資の回収期間は3年から5年を目安にする場合が多く、それと比較すれば、早期回収ができる事業モデルと言える。その後ビジネスモデルの改善を積み重ねており、出店直後の投資(広告、スターターキットなど)や各種サービスを強化することで、単月黒字化が6ヶ月目、累積投資の回収期間が14ヶ月目という平均モデル(2024年3月期第4四半期実績)が最新である。サブスクリプション方式であるため、退会率を一定以内に抑制できれば店舗当たりの会員数を積み上げることで2年目以降の収益性はさらに上がることになる。
既述モデルから、新規店舗(単月黒字化前店舗、出店から5ヶ月目まで)の比率が多いフェーズは赤字が先行し、既存店舗(単月黒字化済店舗、出店から6ヶ月目以降)の比率が多くなると黒字となる。実際にchocoZAP事業全体の収支は、既存店比率が過半となった後の2023年12月に損益分岐点を超え、月次黒字化を達成した。今後、出店ペースを大幅に加速することは考えにくいため、1店舗当たりの会員数が上限に達するまで利益が積み上がることになる。なお、同社では既存店の品質向上への投資を計画・実施しており、一時的に利益水準が下がることが想定されている(2025年3月期上半期)が、巡航軌道に復帰すれば高い収益性を維持できるビジネスモデルと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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