unerry Research Memo(8):2028年6月期に売上高100億円を目指す中期成長戦略を推進中(2)

配信元:フィスコ
投稿:2024/12/12 14:08
*14:08JST unerry Research Memo(8):2028年6月期に売上高100億円を目指す中期成長戦略を推進中(2) ■unerry<5034>の中期成長戦略とその進捗状況

(2) 新規顧客獲得
直販と並んで同社の主要な顧客獲得ルートである提携先等のパートナー企業と共同で拡販体制を構築することで、迅速な新規顧客獲得と案件推進を目指す。パートナー関係にある企業は、商社、広告、金融、IT、小売、プラットフォーマー等、多くの顧客接点を持つ業種に属している。同社サービスのメリットを熟知したパートナー企業を味方に、パートナー企業が強みを持つ業種の企業に対してアプローチすることで、サービスの有効性をアピールする。パートナー企業とは業務提携等で様々な取り組みを進めている。2023年8月には、三菱食品と資本業務提携し、双方の事業加速に向けて、購買・人流・メディア接触データを統合したデータ基盤とリテールメディアプラットフォームの共同構築を推進している。2024年4月には(株)SalesPlus、(株)電通とテレビCM接触者の来店・購買を計測・分析し、メディアプランニングをサポートする「TV de Sales+」の提供を開始した。各業界の有力企業と提携を推進することで、提携先の取引企業等が同社のサービスに関心を寄せ、顧客開拓が進むであろう。その他のパートナー企業においても、専担チームを組成して同社サービス内容の理解を深め、同じ目線でビジネス展開するなど施策を展開しており、引き続きケーパビリティの高いパートナー先を重要ターゲットに据え、提携先の拡大を目指す。顧客企業のニーズは多岐にわたることから、まずは各企業が属する業界の課題を理解し、同社サービスを熟知するパートナー企業の支援を受けることで、効果的な提案を実現する考えだ。これにより顧客企業数を増加させ、リカーリング顧客化してクロスセルやアップセルを行い、顧客単価の向上を図る計画である。

(3) リカーリング顧客化・単価向上
リカーリング顧客化や単価向上に向けた仕組みの面からの強化策として、フライホイールプロダクト戦略を推進する。同社のリアル行動ビッグデータプラットフォームであるBeacon Bankを基盤として、各サービスを支えるプロダクトを連携する仕組みを強化する。現状では、新規顧客に対してまずは分析・可視化サービスを利用してもらい、その後リカーリング顧客化した先に対して行動変容サービスやOne to Oneサービスのクロスセルやアップセルを行って顧客単価を高めている。今後についてはフライホイールプロダクト戦略として、Beacon Bankを基盤に3つのサービスを連携して高速に回転させると同時に、Beacon Bankの基盤拡大にも寄与する仕組みを構築する。分析・可視化サービスで新規ユーザー情報を取り込み、集客課題に取り組むなか行動変容サービスをクロスセルして顧客価値を拡大し、顧客の囲い込みを図る。さらにOne to Oneサービスで顧客体験を最大化することで重要顧客の定着化を図り、顧客単価の向上を実現する。その結果、Beacon Bankのビッグデータも成長し、新たに収集したデータから顧客の課題を発掘して分析・可視化へとループし、取引を拡大する考えだ。この仕組みで、顧客企業への提供価値拡大と同社業績拡大を同時に達成する。

(4) 組織の急成長
急速な成長を支える組織拡大と、1人あたりの生産性向上を同時に実現するための人的資本戦略を策定した。2028年6月期までに年平均成長率36%の売上成長を実現するため、人的資本戦略の柱として、(1) ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)の浸透、(2) 未来をつくる人材の継続的な確保・拡大、(3) グローバル企業としてのダイバーシティ実現、(4) チャレンジを褒め称えるチームワークの4つのテーマを設定した。

MVVの浸透については、eNPS※をKPIに導入した。2023年6月期の従業員サーベイではeNPSは-30.4%となり、MVVへの共感とeNPSが強い相関関係にあることが判明した。そのため、従業員エンゲージメント、採用力強化に向けて、合宿、情報共有会の開催などによるeNPSの10%改善を目標とした。2024年6月期の実績は-17.2%と前期比13.2ポイント改善して目標を達成し、MVV共感の浸透と、会社の環境や待遇の向上、自身の能力を生かす機会や自身の仕事へのポジティブな変化等を反映した結果となった。2025年6月期はeNPS-12.0%を目指す。

※ eNPS:親しい友人や知人に自分の会社で働くことをどれくらい勧めたいか、という職場に対する推奨度。推奨度を10段階に分け、度数9以上を推奨者、度数6以下を批判者として、「推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)」で算出する。日本企業の平均eNPSは-40%~-20%と言われる。

未来をつくる人材の継続的な確保・拡大については、データ専門職の採用・育成、非データ専門職のデータ人材化などに取り組む。2024年6月期には、データ専門職比率60%(前期比2.4ポイント増)、データ人材比率90%(同10.3ポイント増)を目標に掲げたが、データ専門職比率は56.9%、データ人材比率は77.8%と前期比同水準維持の結果に終わった。ただし、従業員数は約2割増加したことから、実数ではデータ専門職、データ人材ともに増加した。引き続きデータ専門職の採用・育成や非データ専門職のデータ人材化を進め、目標達成を目指す。

ダイバーシティ実現については、女性のさらなる活躍を推進するため、2024年6月期には女性管理職比率30%超の維持(前期は33.3%)と、現行の外国籍比率10%超(前期比1.5ポイント増)を目標に採用拡大に取り組んだ。2024年実績では、管理職をCxO※とCxO以外に分類して集計した結果、女性管理職比率はCxOでは30%超と目標を達成したが、CxO以外では9.1%と目標に届かなかった。外国籍比率については8.3%(同0.2ポイント減)と前期同水準だったことから、従業員一人ひとりに沿ったキャリアパスや環境を整備することで、グローバル企業に相応しいダイバーシティの実現を目指す。

※ CxO:「Chief:組織の責任者」+「x:業務・機能」+「Officer:執行役」からなる経営用語で、企業活動における業務及び機能の責任者の総称を指す。

チャレンジを褒め称えるチームワークについては、従業員同士がお互いの良い行動を感謝・称賛し、少額のインセンティブを添えて投稿するサービスのUnipos(ユニポス)を導入している。2024年6月期は、チャレンジ賞賛指標(チャレンジを賞賛された投稿を貰った従業員の比率)は39%(前期比2ポイント増)、チーム間助け合い指標(チームを超えて投稿を貰った従業員の比率)は51%(同2ポイント増)と改善を見せた。2025年6月期は、チャレンジ賞賛指標45%、チーム間助け合い指標55%の目標を設定しており、Unipos運営チームを中心とした利用促進策の推進で良好な社内文化を醸成し、社内コミュニケーション活性化が進むことで業務効率向上のほか新規プロジェクト企画など業績貢献が期待される。

1人当たり生産性の指標である1人当たり売上高は、2024年6月期実績で43.2百万円と前期比1%増となった。2025年6月期目標46.8百万円(前期比8%増)に向けて、プロダクトへのリソースシフトを図る。これまで新規顧客獲得やクロスセルに関してセールス部門とともに対応していた事業開発チームについて、人材の一部をプロダクトチームにシフトする。現状では、事業成長と人員増加により安定した成長を実現しているが、今後はさらなる成長を目指し、組織改編を進める。具体的にはプロダクト導入時のマーケティング活動に要する作業の簡素化やオペレーションの自動化のほか、クロスセル提案活動の効率化を図り、人員増に連動する直線的成長を底上げして指数関数的成長を目指す。これに伴い、人的資本戦略にプロダクトリソースシフトを加え、評価基準として1人当たり生産性をKPIに設定した。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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