ネオマーケ Research Memo(3):自社でマーケティングを一気通貫で支援する数少ない企業

配信元:フィスコ
投稿:2024/12/12 11:33
*11:33JST ネオマーケ Research Memo(3):自社でマーケティングを一気通貫で支援する数少ない企業 ■ネオマーケティング<4196>の事業概要

1. 収益構成
同社グループは、同社と子会社2社(パイルアップ、Zero)で構成されているが、マーケティング支援事業の単一セグメントである。グループで展開するサービスはインサイトドリブン、カスタマードリブン、デジタルマーケティング・PR、カスタマーサクセス・その他に分類され、顧客のマーケティングフェーズに応じたサービスを展開している。2024年9月期の売上高構成比の内訳を見ると、カスタマードリブンが40.4%を占め、インサイトドリブンが23.6%、デジタルマーケティング・PRが19.2%、カスタマーサクセス・その他が16.8%を占めている。

2. 競争力の源泉
同社では、競争力の源泉として、「マーケティングを一気通貫で支援」「インバウンドによる案件流入経路の確立」「ナレッジの蓄積」の3つを挙げている。「マーケティングを一気通貫で支援」とは、顧客のマーケティングプロセスにおける段階ごとに課題に応じたコンサルティング(課題解決)を、自社で実施していることを意味する。同社グループは、マーケティング支援サービスを内製化して、ワンストップで提供する数少ない企業である。「インバウンドによる案件流入経路の確立」とは、マーケティング会社としての優位性・経験則を活用して、自社オウンドメディアの運用により顧客獲得を実現していることを指す。独自の調査レポートは、優良な見込み顧客獲得ツールとして重要な役割を果たしている。また、同社のセミナー・ウェビナーへの参加者・登録者も見込み顧客である。「ナレッジの蓄積」とは、プロジェクトの実績がマーケティングナレッジデータベースとして蓄積されることを言う。同社設立以来の累計プロジェクト4万件以上となるデータベースを活用して、社内の専門家たちがプロジェクトチームを組んで顧客のマーケティング課題を解決し、品質の高いナレッジを提供している。

3. 運営サイト・サービス
(1) アイリサーチ
同社グループでは、「生活者起点のマーケティング支援」を実現するためのインフラとして、独自のマーケティングプラットフォーム「アイリサーチ」を運営している。「アイリサーチ」は、生活者パネル※を活用し、回答者が自宅に居ながら自身のPCやタブレット、スマートフォンを使用して、リサーチ業務に協力することで報酬を得られる仕組みである。「アイリサーチ」は、全登録者の性別・年齢・居住地といった属性情報の比率が、インターネット人口における比率に近似することに配慮して生活者パネルを構成することで、属性の偏りを極力排除したパネル構成となるように努めている。「アイリサーチ」は同社が生活者起点のマーケティング支援事業を展開するうえで基礎となるサービスインフラで、デモグラフィック情報(年齢、収入、職業)やジオグラフィック情報(住居、勤務地)を基に、データベースから案件ごとに必要となるマーケティング対象者を抽出できる点が特徴である。例えば、埼玉県在住で年収500万円の男性看護師といった条件で対象者を抽出することが可能だ。現在は外部パネルの利用も可能で、「アイリサーチ」を含めて約3,069万人の生活者パネルの活用が可能となっている。

※ 企業が実施する市場調査等のマーケティング活動に協力することを承諾し、登録された一般消費者の回答者ネットワーク。登録者には協力した度合いに応じて企業から謝礼が支払われる。

(2) ソルパネ
子会社のパイルアップが運営する、会員組織のプラットフォーム「ソルパネ」を活用したサービスは、インターネットを通じて不特定多数の人々に業務を委託するアウトソーシングの1種だ。クライアント企業が会員に対して店頭調査、購買体験、イベント体験、各種アンケート、データ入力などの業務を委託できるサービスを提供している。

(3) リサーチDEMO!
2024年6月に、セルフインタビューツール「リサーチDEMO!」の事業を譲受し、マーケティングの内製化を目指す企業への対応を始めた。従来からの「アイリサーチ」「ソルパネ」は、同社が業務を請け負って遂行するサービスである。これに対して、「リサーチDEMO!」は顧客企業が自ら顧客理解のための定性調査を実施するために活用するサービスである。顧客は、このサービスの活用によって、より短時間で高品質かつ安価に定性調査を実施できるメリットがある。同社では、セルフ型リサーチの市場は拡大すると見ており、このサービスを通じて、広告代理店やコンサルティング会社など、従来とは異なる顧客層にアプローチすることで、さらにクロスセルの起点となることも考えている。

4. サービス内容
(1) インサイトドリブン
生活者への定性調査で、インタビューや観察に基づいて潜在的なニーズ(インサイト)を創造する手法である。生活者パネルの中から最適な対象者を抽出し、インタビューや行動観察※を実施することで、数値では計測できない潜在的な意識を明らかにし、コンセプト立案、製品やサービス開発、コミュニケーション戦略に活用する。

※ 実際に商品を使用している姿の観察のこと。

(2) カスタマードリブン
生活者への定量調査で、結果を明確な数値(人数や割合)で分析するための調査である。生活者パネルから収集した定量的データを数値化し、市場全体の理解やブランド評価、実施施策の検証に活用できるサービスだ。特長は、収集したデータから顧客起点のプロモーション施策の戦略立案・施策実行までをクライアント企業に提供できる点である。

(3) デジタルマーケティング
ターゲットのタッチポイントに沿ったデジタルコミュニケーションの戦略策定からクリエイティブ制作、施策実行・効果検証までをトータルにカバーすることで、あらゆるコミュニケーションの課題を解決するサービスである。戦略設計にあたり、生活者起点のデータを基に、Web広告に関する戦略立案から作成・運用・効果検証までを実行する。同社グループのメイン顧客層である製造業にはD2C※支援サービスとして、クライアントに代わって同社グループでECサイトの構築から、Web広告やSNSを活用した集客・運用までを一気通貫で支援している。

※ 自ら企画生産した製品を生活者にダイレクトに販売する手法のこと。

(4) PR
ブランドの特長を明確にして可視化(=リサーチPR)を起点にメディア露出+広告+デジタルを活用しながらリーチを広げていくことを提案・実行するサービスである。認知拡大・ブランディングを目的としたPR支援サービスと言える。特徴的な事例としては、エボークトセット※を指標として、クライアント企業の目指すべきブランド像や世界観を、同社グループでメディアリリースを作成し、ターゲットに対してニュースや記事を通じて届けるものである。

※ 消費者が購買行動前に、購入検討の対象として頭の中に思い出すブランドの組み合わせのこと。


(5) カスタマーサクセス
クライアント企業の顧客に対するカスタマーサポートを軸に、クライアントが提供している商品やサービスを長く利用してもらうように支援するサービスである。解約率の低減、リピート率の向上、アップセル、好意的な口コミの醸成など、クライアントが求める成果を実現するために高品質なカスタマーサポートを行う。沖縄県那覇市と神奈川県横浜市にカスタマーサクセスセンターの拠点を設けており、電話・メールのほか、ZoomなどWeb会議システムによる顧客対応により、サブスクリプションモデルの課金ユーザー離脱防止プログラムにも対応している。

5. 取引先クライアント
同社グループは、メーカー企業を中心とした様々な業界の企業を取引先に持つ。メーカーでは、大手メーカーから中小・中堅メーカー企業まで幅広い顧客層へ、商品開発から販売戦略まで幅広いマーケティング支援で継続的に商品やサービスが売れる仕組みを構築している。メーカー業界は、家電、食品、飲料、化粧品、日用品、ゲーム、アミューズメント、アパレル、自動車など多岐にわたっている。さらに、そのほかのクライアントとして、広告代理店、シンクタンク、官公庁、地方自治体、大学などもある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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配信元: フィスコ

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