【QAあり】南海化学、計画比で営業利益+26%達成、化学品事業が牽引 長期借入金増額も、利益積み上げで自己資本比率の改善を継続
2025/3期 中間決算概要(対計画)
杉岡伸也氏(以下、杉岡):南海化学株式会社代表取締役社長執行役員の杉岡です。それでは、2025年3月期中間決算について説明します。
2025年3月期の中間連結決算の業績は、スライドに記載のとおりです。実績値は色の付いている列となり、売上高は87億8,800万円、営業利益は5億1,600万円、経常利益は6億2,300万円、親会社株主帰属(中間)純利益は4億4,700万円となりました。
まずは、計画との比較です。売上高は電解製品や農薬の需要落ち込み等により計画を若干下回っていますが、営業利益は化学品事業、特に基礎化学品が牽引し、計画比プラス26パーセントと大きく上回っています。
なお、年間業績予想は本年5月14日に公表したものから変更はありません。
2025/3期 中間決算概要(対前年)
一方で、前年同期比は減収減益となっています。
減益の主な要因としては、そもそも計画で織り込んでいた従業員への賃上げ、2024年問題からの物流費の増加、エネルギー原材料の高騰などによりコストが上昇したことに加え、電解製品や農薬の需要減、ならびに天候による和歌山県の梅の不作が大きく影響し、塩需要が減少したことが挙げられます。
セグメント別業績:化学品事業(対計画)
セグメント別の実績です。まずは、化学品事業の計画との比較です。
売上高は、電解製品や農薬の需要減により、基礎化学品ならびにアグリ事業が計画を下回った影響が大きく、化学品事業全体では計画を若干下回っています。
一方で、注力中の環境リサイクル事業においては、半導体メーカーからの廃硫酸受け入れの増加により、計画を上回りました。
セグメント利益は、全体的に適正価格を維持しつつ、一部製品においては値上げを行ったこと、およびコストの低減もあり、計画を大きく上回りました。
セグメント別業績:化学品事業(対前年)
化学品事業の前年との比較です。前年同期比で減収減益となりました。
売上高は、主力の基礎化学品が電解製品の需要減を水処理殺菌剤の輸出増などでカバーし、前年並みとなりましたが、その他の事業は前年から減少しました。
利益は、販売減に加え、計画では織り込み済みの人件費や物流費の増加により、前年から減少しています。
セグメント別業績:各種塩事業(対計画)
各種塩事業の計画との比較です。
販売数量は、和歌山県の名産である南高梅が天候により不作であり、梅用塩需要が想定以上に減少したことにより、販売単価はほぼ計画どおりとなったものの、売上高・利益ともに減収減益となりました。
セグメント別業績:各種塩事業(対前年)
各種塩事業の前年との比較です。販売単価は前年とほぼ同じ水準となっていますが、販売数量では梅用塩需要が減少し、売上高・利益ともに減収減益となりました。
B/Sの状況
B/Sの状況です。固定資産が増加していますが、これは、すでに公表している子会社の富士アミドケミカル社の土地売却対応の一環として、整地や土壌改良などの費用を繰り延べていることが要因となっています。
これは、来年9月に予定されている土地の引き渡し時に費用を計上することになっています。なお、費用の総額については現在精査中です。
また、借入金・社債などの有利子負債が増加しています。金利上昇に備え、長期借入金を積み増したことによるものです。
しかし、自己資本比率は38.2パーセントに上昇し、財務体質の健全化は継続しています。
CFの状況
キャッシュ・フローの状況です。営業キャッシュ・フローは利益の減少に加え、スライドの表の「その他」に含まれている、前年との比較で支払債務のタイミングの期ズレという一時的な要因もあり、前年から減少しています。
結果として、本中間期のフリー・キャッシュ・フローはマイナスとなっていますが、資金的にはまったく問題ありません。
株主還元 (2024年5月14日の期初公表から変更なし)
株主還元です。当社は従来、期末15円の固定配当を継続していましたが、2024年3月期から中間配当も実施することにしました。2024年3月期は中間配当15円、期末配当35円の年間50円へ増配しています。
2025年3月期は中間配当を5円増配し、現時点では2024年5月14日の公表どおり、年間55円を予定しています。今後も安定配当をベースとしつつ、増配および配当性向の向上を目指していきます。
なお、株主還元はさらに拡充していく意向です。そのためにも中長期的な成長を目指した投資を行い、事業から創出したキャッシュを株主のみなさまに継続的に還元できるよう、地に足をついた経営を目指していきます。
以上で、2025年3月期中間決算の説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:化学品事業における売上・利益の対前年減少の要因と今後の見通しについて
長津徹氏(以下、長津):「化学品事業の売上・利益の対前年減少の要因と、今後の見通しについて教えてください」というご質問です。
杉岡:まず、売上については、特に電解製品、あるいは農薬の需要が減少したことが大きな要因です。電解製品は基礎的な商品であり、需要は景気の影響を比較的受けます。
足元については、特に私どものお客さまでいえば、繊維系や金属系製品において、苛性ソーダなどの基礎化学品が使われています。このあたりの需要が落ち込んでいますが、逆に景気が上向いてくると、これらの商品も需要を取り戻していきます。
足元では半導体向け製品が回復傾向にあり、これが牽引し景気が浮揚してくれば、再び基礎化学品の需要が回復していくのではないかと思っています。
農薬事業についても、私どもの製品はこんにゃく芋やサツマイモなど、いわゆる地下茎の農薬に使われることがあります。
特に、こんにゃく芋の作付面積の減少が原因として大きかったのですが、一方でいちごやサツマイモなどの分野は、最近の健康ブームやさまざまなブランドのいちごが出るなど好調であり、また今後は新たな作物も含めて増えていくのではないかと思っています。
一方、利益に関しては、もともと計画を策定した時点で織り込んでいたものの、当然ながら現在は世間でも賃上げをしていかなければならない動きがある中、当社としても有能な人材をしっかりと確保していく、あるいは重要なステークホルダーである社員にしっかりと報いていくという意味でも、給料を上げました。
また、ご存知のとおり2024年物流問題に関しても、物流費をある程度上げていかなければ物流が確保できない面もあります。加えて、原材料価格の上昇も織り込んではいましたが、やはり前年と比べると、これらの要因によって利益が落ちています。
ただし、足元の利益は計画を上回っています。これは、適正価格の維持、一部製品価格の是正、コスト低減の影響もあり、利益は計画を上回って推移しているため、年間計画をしっかりと達成していきたいと考えています。
質疑応答:年間業績の感触について
長津:「年間業績について、足元での感触はいかがでしょうか?」というご質問です。
杉岡:先ほどご説明しましたが、電解製品、あるいは農薬の需要が落ち込んだことによって売上が減少した部分があります。また、塩事業では梅干し用の梅が不作であったということもあり、売上は苦戦しているというのが実情です。
一方で利益に関しては、計画をしっかりと達成する推移で進んでいます。
1点、明るいニュースとしては、私どもの成長戦略の一丁目一番地に置いている環境リサイクル事業では、半導体メーカーからの廃硫酸の引き取り量が計画を上回るペースで進んでいます。そのような意味で、成長戦略は成果を上げつつあるということを非常に頼もしく思っています。
質疑応答:土佐工場の脱塩事業の見通しについて
長津:「2023年10月から稼働した、土佐工場の脱塩事業の今後の見通しについて教えてください」というご質問です。
杉岡:こちらはまさに環境リサイクル事業であり、私どもの成長戦略の1つになっています。昨年度下期から稼働を開始し、昨年度の売上は3,000万円程度でしたが、今年度は非常に順調に動いており、およそ3倍となる約1億円程度の売上を見込んでいます。
今のところ非常に順調であるということと、需要自体に新たな可能性もあるということも考慮し、今後は設備増設の検討を開始したいと考えています。
質疑応答:半導体メーカーとの交渉の進捗状況について
長津:「先ほど少し言及されましたが、廃硫酸リサイクル事業における半導体メーカーとの交渉の進捗状況等について、開示できる範囲で教えてください」というご質問です。
杉岡:先ほどお伝えしたとおり、現時点では半導体メーカーから出てくる廃硫酸の引き取り数量は計画を上回るペースで進んでいます。
以前から取引を開始している数社に関しては、前年同期比、および10月まででほぼ倍増となり、さらに今年度から開始した新たな取引先においても、現時点では非常に順調に引き取り数量が推移しています。このような動きは、今後も継続していくのではないかと期待しています。
質疑応答:経営の手応えについて
長津:「南海化学に来られて約8ヶ月が経過しましたが、経営の手応え等があれば教えてください」というご質問です。
杉岡:8ヶ月はあっという間でしたが、その期間でできる限り現場を回ったり、お客さまを訪問したりして、入社前には見えていなかったさまざまな課題も見えてきました。また、先ほどから説明していますように、経済環境はなかなか楽観できないという想定外のような状況もありました。
しかし、成長戦略である環境リサイクル事業は順調に動いてきているという、私どもからすれば非常に勇気づけられる動きもあります。そのため、来年度は特に環境リサイクル事業のさらなる施策、一の矢、二の矢、三の矢を放っていけるように目指していきたいと考えています。
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