【QAあり】オルバヘルスケアHD、医療器材事業を中心に展開 4期連続増収増益で今期も過去最高更新を予想
スピーカー自己紹介 前島洋平
前島洋平氏(以下、前島):オルバヘルスケアホールディングス株式会社、代表取締役社長の前島です。当社の説明会をご視聴いただきありがとうございます。本日は、当社の現状と将来についてお話しします。
まずは簡単に自己紹介をします。私はもともと内科医で、専門は腎臓内科といって、慢性腎炎や腎不全の方の診療を担当していました。岡山大学の医学部を卒業し、大学院の博士課程を修了した後、米国にポストドクターとして留学しました。その後、岡山大学に戻り、助手講師を経て、2011年から慢性腎臓病の講座の教授となりました。
その後、2014年に事業承継で当社の取締役に就任し、翌年から現職の社長を務めています。そして、経営学について学ぶためにGLOBIS経営大学院も修了し、実際に経営に活かしています。以上がこれまでの経歴になります。
したがって、私は現在、医師、大学での教育者、経営者という3つの側面をもって活動しており、スライド右下に記載のとおり、隔週で土曜日に内科診療を行っている状況です。
Contents
前島:本日のコンテンツです。会社紹介・企業理念・事業概要、医療機器販売業の業界説明・当社の強みと弱み、業績概要・株主還元、そして中期経営計画の概要の順に進めていきます。
医療・介護機器販売業 事業内容①
前島:会社紹介・企業理念・事業概要についてご説明します。当社の事業内容は、医療と介護機器の販売です。スライドには3つ記載していますが、医療器材事業では、医療現場のトータルパートナーを4つの事業会社が担っています。
左下に記載のSPD事業は、医材流通のスペシャリストであるホスネットという会社が担っています。これについては、後で詳しくご説明します。
右下に記載の介護用品事業では、在宅介護を中心とした介護用品のトータルサポートを行っています。当社では、これら3つの事業を展開しています。
増井麻里子氏(以下、増井):ここからは、質問を挟み込みながら進めたいと思います。よろしくお願いします。
医療・介護機器販売業 事業内容②
増井:現在の売上高構成比を見ると、94パーセントが医療器材事業となっています。将来的には、この構成比をどのようにしていきたいのか、なにかビジョンは持っていますか?
前島:我々は地域のインフラとして、医療・介護を支えるという立場で100年以上に渡って事業を展開しています。ですので、この医療器材事業、SPD事業、介護用品事業は、これからも続けていきたいと思っています。
さらに、新規事業や、国内に限らず海外の事業なども、これからはこの売上高の中に入ってくる可能性はあると考えています。
6ページに売上高の構成比を示していますが、ご覧のとおり、9割以上が医療機器事業となっています。
オルバグループの展開地域
前島:当社グループの展開地域です。現在、全国で57拠点に事業展開しています。さらに、左下に示しているように、タイにもジョイントベンチャーとして、合弁会社のタイオルバヘルスケアを立ち上げています。
展開エリアは、創業の地の近くである中四国圏が中心となっています。そして、アライアンスを経て、関西、東北、そして東京にも一部展開しています。
また、少し見えづらくなっていますが、黄色の地域ではカワニシバークメドといって、クリニック向けの自動精算機の事業を展開しています。こちらは、比較的全国に展開している状況です。
増井:自動精算機以外の事業は、西日本中心に展開しているように見えます。今後、これを拡大していく予定はありますか?
前島:この医療機器販売業という業界では、1,000社以上ある各社が比較的地域に根ざしたかたちで展開されています。これは、医療機関との関係性も非常に強いという意味です。
実際に、我々がまだ展開していないエリアに展開するとすれば、これからはM&A、あるいは新規事業で川上からメーカー側として展開していく可能性はあると考えています。
増井:タイに進出されていますが、現在、他に進出を検討されている国はあるのでしょうか?
前島:詳しくは後ほど触れますが、おっしゃるとおり、現在はタイで事業を展開しています。今後は、タイ近隣にあるASEANの諸国、例えばベトナムなども視野に入れていきたいと考えています。
2021年1月 創業100周年を迎え商号変更
前島:創業100周年を迎え、商号を変更しました。もともと、当社は株式会社カワニシホールディングスでしたが、創業100周年の2021年にオルバヘルスケアホールディングス株式会社に社名変更しています。
「オルバ」とは、ひとつにつながった楕円形を指す「オーバル」と軌道を意味する「オービット」を組み合わせた言葉です。地域のヘルスケアにおいて、人と技術がつながり、ひとつの円になる未来を目指し、グループの軌道を示すという意味合いで「オルバ」と名付けています。
それから、当社の事業ドメインをわかりやすく表現する言葉として「ヘルスケア」を組み合わせ、現在の社名となりました。
企業理念・存在意義 (パーパス)
前島:我々の会社の企業理念・存在意義、すなわちパーパスについてです。「ビジネスを通じて医学・医療・介護の発展に貢献し、国民の健康長寿に寄与する」というパーパスを全社員で共有しています。
そして、スライド下部の中央にある「社員憲章」という企業理念も全社員で共有しています。
増井:スライドには「国民の健康長寿に寄与する」という言葉がありますが、この健康長寿には「健康寿命を延ばす」といった意味があるのでしょうか?
前島:「健康」と「長寿」に分けられるかもしれません。「健康」に関しては、すべての年齢の方に健康でいてもらいたいと、予防、診断治療、再発予防、それから介護に至るまでを含めています。それから、「長寿」に関しては、おっしゃったように、健康寿命を長くしていくことが非常に大事な課題だと考えています。
増井:このパーパスに込めた想いとは、どのようなものなのでしょうか?
前島:私も医療者であるため、診療時は常に「健康長寿」が頭にあります。また、社員には、販売した医療機器が医療、そして患者のみなさまの役に立っていることをぜひ日頃から認識し、社会的意義を感じてほしいという想いもあります。
増井:パーパスには、意識づけの意味もあるということでしょうか?
前島:そうですね。最近では、パーパスが社会貢献や仕事の意義がエンゲージメントにもつながると言われています。
企業理念(社員憲章)浸透の取り組み
前島:社員憲章浸透の取り組みについてです。我々の企業理念、つまり社員憲章は、事業・組織・メンバーのあり方の3つに分かれています。この社員憲章は、文章で貼るのみではなかなか浸透しません。ですので、当社ではこのような4コマ漫画を作成し、社内報として社員に毎月共有する活動を行っています。
この漫画には、さまざまな登場人物がいます。見慣れた顔も1人登場していますが、この号では社員憲章の「倫理観を持つ」という内容が込められています。
増井:漫画を見て、非常にユニークな社員教育を実施されていると感じました。このような理念の浸透に関して、他にはどのような取り組みを行われていますか?
前島:この4コマ漫画に加え、「理念浸透のためにどのような活動を実施しているか」を社内で共有する機会も年に何回か設けています。
増井:コンプライアンスについては、日本の企業でもさまざまな問題が起きていますが、「絶対に守らなければいけない」というように浸透させているのですか?
前島:我々は医療に関する事業を行っているため、創業時から、倫理観は特に大事に守られている理念です。ただ、完全に守ることは難しいため、なにか事例が起こった際には、それを必ず社内で共有し、さらにeラーニングなどで再発防止につなげていく活動を行っています。
医療器材事業 主な取り扱い製品
前島:当社の事業についてご説明します。まずは医療器材事業です。取り扱い製品は多品種で、約85万種類あるといわれています。少量使用の医療器材を手術や患者の方に合わせて準備し、最適な機器を提案して届けるという役割を果たしています。
スライドのとおり、手術に使うもの、体内に埋め込む医療機器、さらには重症の方を診療する時の医療機器などがあります。最近では、スライド右側にある手術支援ロボットなども取り扱っているほか、マスク、手袋、手術ガウンといった、少し小さなものまで販売しています。
医療機器販売商社の機能と社会的意義
前島:当社の医療機器販売商社としての機能と社会的意義についてです。医療機器に関する多くのメーカーが存在しており、医療機関も多数あります。
当社のような医療機器販売商社は、その間に立ち、商品の安定供給や器材選定の支援、緊急手術時の対応、機器の適正使用支援を行います。さらに、医療機器はどんどんと新しいものが出てくるため、最新の医療情報を提供するという機能も果たしています。
このように、患者の方をサポートする医療チームの一員として、我が国の医療現場を支えるインフラとしての役割を担っています。
増井:もう少し具体的にうかがわせてください。御社では、商品販売以外にもいろいろなサポートサービスを行われているということですが、その具体例を1つ挙げていただけますか?
前島:適正使用支援のお話をします。医療機関側では看護師の方の部署が時々変わるため、例えば、外科から別の部署に変わるようなことがあります。
そのような時には、新しく移ってきた看護師に対し、医療機器の使い方や「このような医療機器を準備してください」という説明を行います。そのようなところを当社の社員が担うことがあり、それが適正使用支援にあたると考えています。
増井:実際に、手術の現場でサポートされるのでしょうか?
前島:おっしゃるとおりです。手術することはできませんが、現場でサポートすることもあります。また、手術前の準備段階にも数多くの医療機器が必要になるため、そこでサポートすることもあります。
SPD事業
前島:SPD事業です。SPDとは、Supply(供給)、Processing(加工)、Distribution(流通)のことで、事業内容は医療機関の効率化支援サービスになります。
各医療機関の院内に物品を配送したり、適正に在庫を管理したりすることで、日常的に使われる医療機器が欠品しないよう、補充などを行う役割があります。加えて、病院の購買価格の検証や診療報酬管理の支援なども行っています。
介護用品事業
前島:介護用品事業では、自宅での介護をサポートしています。主に電動ベッドや車いすなどのレンタルが多いですが、販売も行っています。住宅の改修では、介護用のバリアフリー化なども行います。さらには、ケアプランの作成・支援も行っています。最近では、販売用品例として記載のとおり、補聴器の販売なども開始しました。
医療機器の国内市場規模
前島:医療機器販売業の業界説明と、当社の強みと弱みについてです。まず、医療機器の国内市場規模は、年間2パーセントから3パーセント程度で成長しています。現状では、3兆8,000億円弱の市場となっており、新型コロナウイルスの影響から回復し、緩やかな成長が見られる市場となっています。
また、手術数の増加、新規製品の導入により市場規模も拡大しています。
広域医療機器販売商社の状況
前島:広域医療機器販売商社の状況です。先ほどもお話ししましたが、医療機器販売商社を地域ごとに展開しています。全国に1,000社以上存在しており、徐々に近隣地域でのグループ化が進行しつつあり、今後M&A等による業界再編が進む可能性があると考えています。
このうち、メディアスホールディングス、オルバヘルスケアホールディングス、ヤマシタヘルスケアホールディングスが上場しており、小西医療器も親会社が上場しています。
当社の「強みと活用」「弱みと対策」
前島:スライドに当社の「強みと活用」「弱みと対策」についてご説明します。1つ目の強みは、中四国圏でシェアNo.1です。顧客・仕入れ先からの信用が基盤になり、安定的な利益確保による新規投資実施が可能となります。
2つ目の強みは、成長の源泉となる人材育成やデジタルトランスフォーメーション、つまりDXへの投資を行っていることです。特に約1年間の新入社員に対する教育によって、顧客のニーズを的確に把握するように取り組んでいます。
さらに、ICTツールの活用によって営業活動を後押ししていきます。スライド右側のオレンジ色の部分に記載のとおり、ICTツールの中には、例えば電子カタログや物流統合システム、経費精算システムなどがあります。
そして、弱みの1つ目には、卸売業の業界特性ともいえる、低利益率が挙げられます。こちらに関しては、海外展開や自社開発商品等のプライベートブランドなどの、高付加価値事業を推進していくことで対策していきたいと思います。
2つ目の弱みとして、大都市圏での低シェアがあります。こちらは先ほどもお話ししましたが、高い参入障壁によって進出困難であるため、アライアンスやM&A、新規事業による全国向けの販売などが対策として挙げられます。また、後ほど触れますが、自動精算機事業では約4割が関東圏での販売となっています。
増井:スライドの強みのところに「ICTツール活用」と記載があり、電子カタログなどを挙げてご説明いただきました。なにか注目すべきものがあれば教えてください。
前島:電子カタログは、当社独自で多数の品目を掲載したものを作っています。単に商品名がわかるだけでなく、社内で蓄積した独自の商品評価や付加情報も提供しています。
それから、他のICTツールとして経費精算システムを導入したことにより、業務の効率化がかなり進みました。これまでは紙で行っていた業務をデジタル化することができ、ペーパーレスもかなり進んでいる状況です。
成長の源泉 人材育成
前島:強みの1つである人材育成については、約30年の歴史を持つ「OLBA Academy(オルバ・アカデミー)」という制度があります。スライドに詳しく記載していますが、新入社員のところから、2年目、さらにその上の一般、管理職、幹部に至るまで、シームレスな教育体制を設けています。
例えば、2年目以降の社員には指導論文コースなどがあります。また、ユニークな内容としては、図書購入サポート制度、資格取得支援制度などもあります。
(前期)業績のトピック
前島:業績概要・株主還元についてです。スライドには、前期の業績のトピックを3つ挙げています。1つ目に、手術件数はコロナ禍前の水準まで回復しました。手術関連の消耗品販売が増加した一方で、新型コロナウイルス関連製品の需要は緩やかに減少しています。
2つ目に世界的なインフレ・円安の影響で、海外製品が多い医療機器の価格は上昇傾向が継続しており、営業活動の拡大や仕入改善等の対策を実施しています。現状では販売価格への転嫁も進み、一定の利益水準を確保できています。
3つ目は新規の取り組み等です。まず、オリンパスマーケティング社の代理店業務は福島県での取り組みになります。こちらは消化器内視鏡関連製品の売上高が、トータルで前期比23パーセント増となっています。
新規顧客獲得は主に関西エリアですが、整形外科消耗品の売上高がトータルで前期比5.6パーセント増となっています。それから、クリニック向けの自動精算機販売を全国で展開していますが、そちらの売上高が前期比80パーセント増となっています。
(前期)2024年6月期 連結業績
前島:2024年6月期の連結業績です。売上高が1,185億6,400万円、営業利益が22億2,600万円、経常利益が22億4,400万円、親会社株主に帰属する当期純利益が15億円で、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益が過去最高となっています。
(前期)2024年6月期 業績まとめ
前島:2024年6月期の業績をまとめたものです。左側の緑色の部分をご覧ください。先ほどお話ししたように、売上高、営業利益が過去最高を更新しています。
また、中央の黄色の部分に記載のとおり、ROEも13.8パーセントと高い水準で、PBRは1倍を超える状況となっています。
それから、右側のオレンジ色の部分に記載のとおり、配当利回りも4パーセントと比較的高く、DOE(株主資本配当率)も4.4パーセントと高い状況です。こちらも、できればこのレベルを維持していきたいと考えています。
【連結売上高】過去推移と2025/6期予想
前島:連結売上高の推移と今期の予想です。これまで4期連続での増収となっていますが、今期も過去最高を更新する1,237億円を予想しています。
【連結営業利益】過去推移と2025/6期予想
前島:連結営業利益の推移と今期の予想です。営業利益も4期連続で増益となっており、今期も過去最高を更新する22億7,000万円を予想しています。
配当の基本方針
前島:配当の基本方針として、当社では増配または維持を目指します。また、成長投資に備えて内部留保にも努めていきます。
スライドの棒グラフは、1株当たりの配当を示しています。2019年6月期は40円で、その翌年から5期連続で増配しており、現在は5年前の倍となる80円まで増加している状況です。
増井:DOE、配当利回りともに非常に高水準で、「内部留保に努める」というコメントから、自己資本比率なども意識されていると思いました。それぞれについて、何を指標とし、どの程度を目安とされていますか?
前島:明確に規定している指標のレベル感はまだありません。自己資本比率に関しては、徐々に上がってきています。現状は25パーセント前後ですが、もう少し上がってもいいと考えています。
DOEに関しては、これからもこのレベル感を維持していきたいと思っています。配当利回りに関しては、引き続き企業価値の向上によってこの水準を維持できると良いですが、明確に何パーセントとはまだ言えない状況です。
株主優待 QUOカード
前島:株主優待として、株式の保有年数と所有株式数に応じて、スライド右側に記載の額面のQUOカードを謹呈しています。
中期経営計画(2027/6期:売上高1350億円、営業利益27億円)
前島:中期経営計画の概要です。スライド左側に示しているように、企業理念、社員憲章の共有をベースに考えています。
右側の紫色の部分をご覧ください。「OLBA-DX」とありますが、デジタルトランスフォーメーションをしっかりと進めていくため、その下に記載の施策を推進していきます。また、その下に「ITスキルアップ」と記載のとおり、社員のITスキルも向上していく想定です。
スライド左側から中央上部にかけては、「生産性向上」について示しています。現業強化・効率化に加え、ロジスティクス・イノベーション、つまり物流の改革を進めていきます。
その下には「未来への投資」について示しています。新規事業育成として海外事業や新規事業拡大を行い、外部連携促進として業務提携やスタートアップとの連携、医工連携などを行っています。また、サステナビリティも重要だと考えています。
1番下には「VISION2030」を示しています。2030年には国内最高の医療機器商社になること、営業利益の2割は海外から得ていくこと、さらには30個以上の新製品・サービスを生み出していくことを目標としています。
そして、2027年6月期の目標は、売上高1,350億円、営業利益27億円です。
新規事業①「テマサック」販売好調
前島:新規事業の紹介です。「手間を割く」という意味で「テマサック」と名付けた、クリニック向けの自動精算機の事業を展開しています。こちらはカワニシバークメドが手がけており、2024年6月期の導入実績が226台、累計の導入台数が全国で569台となっています。こちらは岡山のみならず、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡に続き、北海道にも販売拠点を今年開設しています。
荒井沙織氏(以下、荒井):「テマサック」の特徴について教えてください。
前島:こちらは大きな病院ではなく、主にクリニック向けの自動精算機で、現金のみならず、各種のキャッシュレス決済や、外国語にも対応しているという特徴があります。
荒井:外国語は何ヶ国語に対応しているのでしょうか?
前島:7ヶ国語です。もう1つは、診療で使う診療報酬の算定、いわゆるレセプトとの連携ができていることも特徴です。
荒井:顧客のみならず、診療所の中の方にも使いやすいものということですね。
前島:おっしゃるとおり、診療所の中の方にとっても使いやすくなっています。診療所の中の方々の業務を減らすことで、労働時間の削減にもつながると思います。
荒井:自動精算機事業については、いつから、どのように営業を進めているのでしょうか?
前島:約4年前の2020年から販売を開始しており、当初はいわゆるプッシュ型の営業を行っていました。現在はホームページを拡充しており、「YouTube」の動画なども制作しています。それらを見た上で連絡してもらい、説明から商談につなげていきます。いわゆるインサイドセールスといった手法で展開している状況です。
荒井:ホームページや「YouTube」の動画を見に来てもらわなければならないと思いますが、クリニックの方は常々そのような情報を求めているのでしょうか?
前島:クリニックの職員の方は忙しいため、精算のプロセスを省ける点は重要視されています。そのため、展示会などでも当社を見に来られる方がかなり多く、展示会で商談につながることも増えています。
新規事業②「OLSTECH」販売開始
前島:こちらも新規事業で、「OLSTECH(オルステック)」という機械をご紹介します。自然分解促進型アップサイクルユニットで、簡単にご説明すると、さまざまな有機ゴミを分別せずにこの中に投入し、分解することが可能です。燃焼させないため、二酸化炭素やダイオキシンの排出も大幅に抑制できます。
開発コンセプトは「ゴミを出さない」ということで、持続可能な社会の実現を目指し、2024年8月から日本全国で販売を開始しており、SDGsにも貢献できると考えています。
タイオルバヘルスケア事業
前島:海外事業のタイオルバヘルスケア事業をご紹介します。タイに進出した理由は、タイがASEANのハブになっていること、今後急速な高齢化が見込まれること、そして、タイ政府が医療産業の育成に注力していることです。
主な事業として、全自動錠剤分包機の販売を日本のタカゾノと連携して行っているほか、リハビリ用機器の販売を日本のモリトーと協力して進行しています。
医工連携 ~医療機器販売業参加型 医工連携モデル~
前島:医工連携についてです。我々は医療機器販売業ですが、医療機器開発を目指して約9年前から取り組んでいます。現在、全国34都道府県の企業や大学、地域産業支援機関と連携している状況です。
私も一般社団法人日本医工ものづくりコモンズの理事を兼任し、この取り組みを推進しています。その中で、倉敷中央病院が受託したAMEDという国家的な研究事業である「Health Tech Hub中四国」へ参画しています。
当社は医療現場や医療機器メーカー、もの作り企業の間に立って、スライドに記載のようなコンサルティング機能を果たし、新たな医療機器開発に貢献したいと考えています。
ESGへの取り組み
前島:ESGへの取り組みです。Environment(環境)では、温室効果ガスの排出量やエネルギー使用量を集計し、削減に取り組みます。先ほどご説明した「OLSTECH」の販売も、こちらへの貢献が可能だと考えています。
Social(社会)では、人的資本投資・働き方改革を進めるため、定期昇給プラスベアで4パーセントから5パーセントの給与の増加と、男性の育児休業取得者の増加を目標としています。女性の活躍推進や社員エンゲージメント向上の取り組みもスタートしました。
また、私が医療者である背景を活かし、健康経営を展開しています。「健康経営優良法人2024」の認定を受け、健康経営推進会議も設置しています。地域社会のために、安全かつ質の高い医療・介護機器、サービスの提供を行っていきます。
Governance(ガバナンス)では、経営の透明性・効率性・健全性を確保し、グループの企業価値向上の実現を進めていきます。
質疑応答:コロナ禍と自動精算機事業の開始時期との関連性について
増井:新規事業についてです。2020年から自動精算機の販売を開始されていますが、新型コロナウイルスによる感染症が流行した年だったと思います。新型コロナウイルスなどは関係なく、そのようなものを販売する計画があったのでしょうか?
前島:自動精算機事業を行っているカワニシバークメドという会社で、もともとは別の事業を進めようとしていました。そちらがあまりうまく進められなかったため、自動精算機事業にピボットしました。
増井:今では、クリニックの多くに自動精算機が導入されています。とても先見の明があったのだと思います。
前島:いまだ導入していないクリニックも多くあると聞いています。コロナ禍においては、対面でお金を受け渡すのではなく、機械で行うことで感染対策になるという面もあったかと思います。
質疑応答:SPD事業の新規開拓見通しについて
荒井:「SPD事業について、今後の新規開拓見通しを教えてください」というご質問です。
前島:今後も物流センターがある中四国エリアなどで顧客開拓を行う計画があります。従来のSPDは、当社の物流センターからの配送や、当社職員の病院常駐による運用など、当社の営業所があるエリアでしかサービスを提供できませんでした。
最近では、主に中小病院向けに自主運用する「Medilia(メディリア)」という在庫管理システムを開発しています。当社での人員確保が不要になるため、中四国圏のみならず、広いエリアに展開可能です。今後はこのような事業も進めていきたいと考えています。
質疑応答:「テマサック」の販売価格と普及の見通しについて
荒井:「『テマサック』の1台あたりの価格を教えてください。また、どこまで普及すると考えていますか?」というご質問です。
前島:「テマサック」は、先ほどご説明したようにクリニック向けのため、そこまで高くない価格設定となっています。最近はIT導入補助金を活用すると、導入時のクリニックの負担を減らすことができるため、導入しやすくなっている状況です。
質疑応答:M&Aの方針について
荒井:「M&Aに関するお話がありましたが、御社ではM&Aを実行するよりも、新規事業や海外展開、自社開発商品に注力していく方針でしょうか?」というご質問です。
前島:M&Aについては、地域展開のところでご説明したと思います。新たな地域への展開を考えると、M&Aは1つの手段になると考えています。その場合は、地域的な補完などが視野に入ると考えています。一方で、新規事業を進めていく上で必要なM&Aも、今後出てくる可能性はあると考えています。
質疑応答:今後の成長投資について
荒井:26ページでは、今後の成長投資に備え、内部留保に努めるというお話がありました。その成長投資については、どのような内容を考えていますか?
前島:いくつかありますが、1つはITです。現在もDX推進のための投資は行っています。もう1つは、人材育成のための投資です。eラーニングのみならず、さまざまな人材育成の取り組みや、人材マネジメントなどのエンゲージメント向上への投資が必要だと考えています。
そのようなITや人材育成、人材マネジメントといった部分での投資に加え、新規事業を伸ばすための投資もあると思います。
質疑応答:連結営業利益が過去最高となった要因について
荒井:22ページについて、「過去最高となった連結営業利益の内容は、為替による影響が一番大きいのでしょうか?」というご質問です。
前島:当社は、直接的に円安や円高の影響を受けるわけではありません。当社が取り扱っている医療機器の中には海外から来るものもありますが、それらは海外メーカーの日本支社が輸入しているものです。そのため、直接的にリアルタイムで円安の影響を受けることはありません。
もちろん、円安になると仕入価格が上昇するため、利益の減少につながる可能性はあります。したがって、当社では業務効率化や、先ほどご説明したような取り組みを進めることで、営業利益を伸ばしていきたいと考えています。
質疑応答:収益性改善における既存事業と新規事業の考え方について
増井:卸売業は、営業利益率がマイナスになることはないものの、利幅が大きく取れることもない業界だと思います。今の水準はある程度維持したまま、新しい事業や派生した事業でもう少し利益率を高めていこうという考えでしょうか? それとも、今の卸売業を効率化すればもう少し利益率を上げることができると考えていますか? そのあたりを教えてください。
前島:新規事業に関しては高収益性を期待しています。そのため、本日ご説明した新規事業を海外も含めて伸ばしていくことが、収益性の改善のための方策になります。
一方で、既存事業の医療機器販売業も、DXを含めた業務の効率化や物流の改革でコストダウンしていきます。さらに、物流面や社員の情報提供能力によって、メーカー側にも価値を提供し、収益性を高めていく方策もあると考えています。
質疑応答:「OLSTECH」について
荒井:「『OLSTECH』も高利益率商品になっていますか? 販売開始から現状までの推移をイメージしやすいかたちで教えてください。」というご質問です。
前島:「OLSTECH」は、8月1日にリリースしたばかりです。東京都狛江市への設置や、最近では沖縄県石垣島への設置のように、自治体と組んで実証試験を開始している状況です。今後は離島や自治体、CO2排出で困っている企業にもおすすめして販売展開していくことを考えています。
「OLSTECH」には、紙や衣類、布、食べ物、プラスチックなどの有機ゴミをまとめて投入できます。それらの容積を一晩ほどで約300分の1までダウンし、ゴミを運ばずにその場で分解できるほか、最終的には粉末にしたものを道路の舗装や農業などで二次利用できるというメリットがあります。非常に環境に優しいもので、いわゆるアップサイクルというビジネスの特徴があるため、SDGsにも貢献できます。
これまでのビジネスとはやや毛色が違いますが、オムツの分解もできるため、病院などの介護領域でも活用できると思います。
荒井:素材になったものは、どのように使用されるのでしょうか?
前島:粉末の主な成分は炭酸カルシウムで、道路の舗装や農業などに使われると聞いています。
荒井:メーカーを通じて販売されていくのでしょうか?
前島:おっしゃるように、回収してもらって販売するかたちになります。
質疑応答:株主優待の所有株式数について
増井:株主優待の制度について、「所有株式数は100株以上か1,000株以上という分類になっていますが、500株保有の優待は検討されていませんか?」というご質問です。
前島:現状は100株以上1,000株未満で区切っています。当面はこの状況で謹呈したいと考えています。
増井:100株の方も、3年以上持っていれば金額が2倍になると記載されています。
前島:当社としては、長期保有株主を増やしていきたいと考えているため、継続的に企業価値を向上する取り組みを行いたいと考えています。ですので、3年以上保有している方への謹呈は増額する方針です。
質疑応答:介護事業における在宅介護の想定について
荒井:「介護事業では、今後、在宅介護が増えていくことを想定していますか?」というご質問です。
前島:これは実際に増えていくと思っています。ライフケア社が行っている介護事業は、ここ数年で非常に成長しているセクターです。今後も在宅介護の取り組みを継続したいと考えています。
前島氏からのご挨拶
前島:本日は当社の説明会にご参加いただき、ありがとうございました。我々は創業から100年経った企業ですが、これからも新しい取り組みを継続しながら、地域の医療・介護のインフラとして貢献したいと考えています。ぜひご支援のほどよろしくお願いします。
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